政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

全て表示する >

頂門の一針4771 号  2018・8・21(火)

2018/08/21

                         
□■■□──────────────────────────□■■□ 
わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4778号
□■■□──────────────────────────□■■□


       2018(平成30)年8月21日(火)


                マーシャルプランは:宮崎正弘

            いもち病(稲熱病)の怖さ:渡部亮次郎

     敵味方逆転の摩訶不思議な米露首脳会談:櫻井よしこ
                        
                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


□■■□──────────────────────────□■■□
第4778号
                             発行周期 不定期(原則毎日発行)
             
               御意見・御感想は:
                  ryochan@polka.plala.or.jp

                購読(無料)申し込み御希望の方は
                    下記のホームページで手続きして下さい。
  
       http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm
    バックナムバーは http://www.melma.com/backnumber_108241/

    ブログアドレスは http://chomon-ryojiro.iza.ne.jp/blog/



━━━━━━━━━
マーシャルプランは
━━━━━━━━━
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)8月20日(月曜日)弐
        通巻第5798号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 マーシャルプランは公共財の提供による欧州の経済復興だった
  中国のシルクロードは過剰在庫処分と失業者の輸出、高利の金貸しが実態
*********************************

戦後の欧州復興計画は、荒廃したヨーロッパの社会インフラ、経済の立て 直しを図ろうとして、米国務長官だったマーシャルが立案し、当時の金額 で100億ドルの支援と援助をなした。後半には軍事援助が主体となって NATOへの足がかりとなるのだが、とりわけドイツの復興に力点が置か れた。

マーシャルはこれによりノーベル平和賞を贈られている。
 
つまりマーシャルプランとは「公共財」の提供によって援助対象国を経済 的に豊かにすることが目的だった。

中国のシルクロード(BRI)プロジェクトは公共財の提供ではなく、過 剰な在庫処分と大量の失業者の輸出であり、巨額のプロジェクト資金も無 償援助ではなく、高利で貸し付け、担保を取るという阿漕な高利貸し。す なわち相手国から収奪するのであり、これを「キンドルバーガーの罠」と 呼ぶ。

したがって被援助国の経済的な被害がむしろ肥大化するにつれ、中国の評 判は滅法悪くなった。

まさに「世界に孤立する中国、共産党の奥の院で四面楚歌の習近平」とい う新しい状況を生んだ。

プロジェクトに携わる世界の各地で、たとえばマレーシアの新幹線中断、 ニカラグア運河の頓挫など、プロジェクトの頓挫が目立つようになったの である。

中国のBRI(一帯一路)の世界各地における挫折ぶりを、この稿ではラ オスとスリランカの現状をみよう。
 
 
 ▲ラオスの新幹線、20%の工事が出来たが全土多難

アジアの内陸国家、最貧国のラオスの現状はどうなっているのか。

ラオスを縦断する新幹線は標語が「造福老中人民鉄路」(「老」は中国語 でラオスの意味)と銘打たれ、北部ホーデンから(起点は雲南省昆 明)414キロ、途中バンビエン(中世の首都)、世界的に有名な保養地ル アンパルパンを通過し、首都のビエンチャンへといたる。

2018年8月現在、20%の工事が完了し、全線開通は2021年2月2日(ラオ ス民主共和国成立46周年の記念日)を予定している。

工事を請け負っているのは中国鉄道建設の子会社「中鉄」で、その第二局 と第五局が、現地を筆者が取材したとき、工事現場には大看板があり、労 働者の宿舎にも、二局、五局の看板がでんとあった。

中鉄の第二局とは四川省成都が拠点。また第五局は、貴州省貴陽が拠点で ある。因みに第1局は西安、第三は太源、第四は合肥、第六は北京、第七 は河南省鄭州にある。

中国が主導するラオス新幹線の北部の拠点はビエンバンに置かれる。

ビエンバン新駅は車庫や操車場も設けるため140ヘクタールの広さの用地 が確保された。

ということは村人の移転が強要されたが、保証金は微々たる額でしかな かった。介在した地方政府幹部が懐にいれた分のほうが多かったといわれる。

新幹線プロジェクトに伴い、ラオス全土で立ち退きとなる総面積は3832ヘ クタール(1haは1万平方メートル)。強制退去される居住者は 4000家族、およそ2万人である。

その一方で、ラオス北部にすでに建設された高層ビル、マンションなど、 ラオス政府が秘かに中国と契約し8000人の中国人の居住区となっている。 あたりの不動産広告の大看板はすべて中国語、販売価格も人民元表示である。

狭い道路に長距離トラックはひしめき合い、すでにカジノホテルから、 デューティー・フリーショップ(免税店)のけばけばしいビルも出来ていた。

開通の暁には旅客用新幹線は時速160キロ。2時間40分で昆明――ビエン チャンを結ぶ。貨物列車は時速120キロである。

このために造成するトンネルが53本、橋梁は167箇所(現在46の橋梁が工 事中)。総工費は60億ドルである。

問題はラオスのような小国にとって、この60億ドルの捻出と回収をどうす るのか、いかなる計算で元が取れるのか。

正確に言うと工事着手から現在までの建設費用は24億ドルで、中国とラオ スが共同事業体を組み、中国が70%を出資し、30%がラオスの負担となっ た。つまりラオスの出資は7億2000万ドルである。

しかし最貧国のラオスとしては、国家予算から毎年5000万ドルを出費し、 五年計画としており、残りの4億2000万ドルを中国輸出入銀行からの融資 で補った。

条件は金利が2・3%、35年で返済する約束となっている。工事全体は残 り36億ドルで、どのような資金調達をなすのかは不明である。

ところがラオス側は、この鉄道が中国の推進するシルクロードの一環であ り、メンツをかけたプロジェクトであることを認識し、中国が追加融資を おこなうと楽観的なのである。また中国人が沿線の土地を買っているた め、その所得も当て込んでいる。

ちなみにラオスのGDPは僅か180億ドル、1人あたりのGDPは2705ド ル、経済成長率は過去10年間平均で5−8%だ。

新幹線への投資が、GDP比でみると、ほかの福祉予算などを食いつぶし ていることになりIMFは遅ればせながら警告を発している。


 ▲現地ラオス人の不満は爆発寸前

ほかに問題が起きた。ラオス新幹線の目論見では現地に夥しい雇用が生ま れ、またホテル、レストラン、ガイド、旅行代理店業務などが潤うとされた。

ところが現実には中国から囚人らが労働者として派遣され、およそ3万の 建設労働者をやしなう宿舎は中国が建設し、食事はコックを含めて食材も 中国から運び込み、ラオス人が経営する沿線各地のレストランは閑古鳥、 ホテルもガラガラ、現地人の雇用とはならなかった。

これら少資本のホテル、レストランの経営悪化を聞いて、安値で買いたた いているのが、雲南省からきた華僑と韓国の商人たちだという(アジアタ イムズ、8月18日)。

そればかりではなかった。風紀の乱れである。建設現場には売春宿がつき もの「LOVE BAR」とかのピンクのネオンの小屋があちこちに粗製 乱造されたが、中国人の安い賃金では女性も買えないこととなった。

また将来の不安として、長距離バスのドル箱であるビエンチャン ー ル アンパルパン路線は新幹線に食われることにならないか。航空路も同様で ある。しかし現地を視察した専門家によれば、バンビエン新駅は市内から 13キロ離れており、ルアンバルパンの新駅も旧市内から8キロも離れて いる。新幹線需要は、従来線を脅かすことにはならないだろうと見る。


 ▲ハンバントラを取られたスリランカ、コロンボ沖人工島建設は進捗中

スリランカはどうだろう。

南方のハンバントタ港を借金のカタにとられ中国の軍港と化ける。近くの ラジャパスカ空港はついに国際線すべてが乗り入り中止。閑古鳥。
 なのに、懲りずにスリランカ政府はコロンボ沖合の人工島プロジェクト を中国に委託している。これも借金のカタである。

スリランカ政府はセリナセ新政権となって、いったんはコロンボ沖合人工 島プロジェクトを中止するとした。ところが資材、セメント、ブルドー ザ、クレーンはすでに陸揚げされており、契約破棄となると天文学的な違 約金を取られることが分かり、渋々工事継続を承諾した経緯がある。しか し中国側も追加融資を飲まざるを得なかったため、資金枯渇という問題が 表面化した。

当初の計画では、人工島をオフショア市場とし、国際金融のハブ化させる ばかりか、なんと60階建ての高層ビルを3棟、港も整備し、国際貿易の 中継基地とする等、薔薇色の未来図だった。

主契約社は中国最大の港湾建設企業として世界的に有名なCHEC(「中 国港湾=英語名はチャイナ・ハーバー・エンジニアリング」)だ。同社は パキスタンのグアダール港、マカオの国際空港、カラチの湾内肥料ターミ ナル、ペナン島の第二橋梁などの建設実績を誇り、シルクロード関連では 軒並み入札に顔を出し、最近はアフリカ諸国、とくにエジプトにも進出を 果たしている。

新都市は「ニューコロンボ・シティ」と命名される。

ここには中国と敵対するインド企業の誘致も図るように方針転換がなされ た。隠れた理由はインドからも投資資金を呼び込もうとするもので、いよ いよ資金が底をついた現れである。

269ヘクタールの人工島の89%が海を埋め立てて造成され、ジョイントの 主体は中国港湾エンジニア公司を基軸に、スリランカ政府、当該地方政府 などが参加した。

目下のところ、インド、シンガポール、タイ、マレーシアそして日本にも 資本参加を呼びかけている。

あたかも3年後に完成予定のマンションを、はやくに販売して頭金をかき 集め、ローン契約で銀行から資金を融資して貰い、完成を急ぐデベロッ パーの如く、販売チームはアジア諸国を訪問し、まだ完成もしていない未 来図をもとに売り込みに必死だ。

工事の現状といえば、埋め立て工事の20%がようやく終わった程度で、 この先の懸念は資金が続くか、どうか。人口島の埋立と整備だけで総工費 14億ドルである。60階建ての高層ビルは別予算である。
 
       
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)「日本文化チャンネル桜」からのお知らせです。21日夜の 「フロント・ジャパン」に宮崎正弘さんが出演です。ホストは福島香織さ ん、ゲスト宮崎さんでテーマは「挫折、頓挫の続く中国のシルクロード」 (予定)など、です。(日本文化チャンネル桜)



  ♪
(読者の声2)前々号でしたか、貴誌の投書欄で、PB生さんが、日清戦争 で有名な定遠艦とその記念館の話をされていますが、日本にも定遠記念館 があるのです。
しかも無料です。
http://ki43.on.coocan.jp/sonota/teienkan/tei.html
  (HT生、大田区)


(宮崎正弘のコメント)福岡にあるとは存じませんでした。敵の将軍を称 える日本の武士の伝統でしょうか。



  ♪
(読者の声2)8月20日(月曜日)通巻第5797号中の、宮崎氏コメント に、永井陽之助(以下、原則として敬称略)のほか、林房雄、高坂正堯、 会田雄次と並んで、神島二郎などという名前を見いだし、懐かしくなりま した。

いずれも、私の学生時代に親しんだ著者たちでした。神島二郎について は、教養課程の京極純一教授『政治学』で、指定図書の中に『近代日本の 精神構造』(岩波書店)がありました。

手許の保有書を見ると、1961年2月第1刷で、私は1964年第5刷を所有して います。林房雄『大東亜戦争肯定論』ですが、手許のものを見ると、1964 年8月初版発行とあります。続編が1965年5月初版です。

 宮崎氏の叙述を読んで感じたのは、宮崎氏たちは、行動とともに相当の 学習もしておられたのだな、ということです。私なども学生時代にシコシ コと読書はしていましたが、しょせんはノンポリであり、何らの「行動」 「発言」をした訳ではなかった。

大学紛争の中で、私は永井陽之助編の『政治的人間』(平凡社、1968年11 月)を何度も読み返したりしていました。

 
今は、興にまかせて読書等で日々を送る清貧老人の身ですが、近未来にお いて、中国経済は、そして何よりも我が国の財政問題等は、現実にどのよ うな展開と着地をしていくのだろうか? 

私の目の黒いうちには、結末を見ることができるのだろうか?ということ は考えざるを得ないところです。  (CAM)


(宮崎正弘のコメント)神島二郎の本も勉強会で使っていると言うと、村 松剛先生が「立教大学で同僚だけど、へぇ」と呆れた顔をされたことがあ りました。それで読むのをやめたのでしたか、記憶は曖昧です。京極さん のは、まさに教科書でしたね。

 それはともかく、目の黒いうちにあの独裁政権が潰えることがあって欲 しいと期待している人も多いはずです。



   ♪
(読者の声3) 第40回 家村中佐の兵法講座 兵法書として読む『古事 記』『日本書紀』

日本最古の史書とされる『古事記』『日本書紀』には、遠い昔から今に伝 わる日本人の戦争観や武力行使のあり方、優れた戦略・戦術や軍隊の指 揮・統率など、現代社会においても十分に役立つ最高の兵法書としての教 えが数多あります。今回の兵法講座では、6世紀後半の仏教導入をめぐる 崇仏派・蘇我氏と排仏派・物部氏の対立激化と武力抗争への発展、これに よる物部守屋の滅亡、勢いを得た仏教勢力・蘇我馬子による崇峻天皇の暗 殺など、日本史上「最も混迷した時代」の出来事を図や絵を用いながらビ ジュアルに、分かりやすく解説いたします。

         記

日 時:8月25日(土)13:00開場、13:30開演(16:30終了予定)
場 所:文京シビックセンター5階 会議室A
講 師:家村和幸(日本兵法研究会会長、元陸上自衛隊戦術教官・予備2 等陸佐)
演 題:第13話 敏達天皇から崇峻天皇まで
参加費:1,000円(会員は500円、高校生以下無料)
お申込:MAIL info@heiho-ken.sakura.ne.jp
 FAX 03-3389-6278(件名「兵法講座」にてご連絡ください。事前に、 「新説『古事記』『日本書紀』でわかった大和統一」(宝島社新書486)を お読みいただくと、理解が深まります)。
    (日本兵法研究会会長 家村和幸)

  

          
━━━━━━━━━━━
いもち病(稲熱病)の怖さ
━━━━━━━━━━━


     渡部 亮次郎

「蓑(みの)着て笠(かさ)着て鍬(くわ)持って お百姓さんご苦労さ ん」という童謡がNHK第1放送から流れていた時代がある。明治でも大正で もない、昭和も敗戦直後、1947、8年ごろだった。食糧難の時代、国民みん なして百姓にゴマをすったのである。

蓑や笠を着る百姓は今やどこにも存在しない。すべて機械化して田圃から は女性が姿を消した。田植えも稲刈りも機械がやるし、除草は農薬が解決 してくれた。結果、農村からは猫背、蟹股、腰曲がりが居なくなって久しい。

しかし、その代わり、田圃から女性と共に居なくなったのが泥鰌(どじょ う)とトンボである。稲作の大敵「いもち病」を防除すべく禁じ手「水銀 系農薬」を使ったからである。「いもち」はそれほど恐ろしい。今でも恐 ろしい。

「いもち」とはイネに対する最も普通の病気で,穂,葉,茎などに発生し て大害を与える。とくに山間,北部地域では,いもち病との闘いが稲作の 大きな課題であった。この事情を反映して,日本植物病理学の分野では最 も多く,また深く研究されてきた病害である。

穂に発生すると発病部位から先の方は実らないので、「穂首いもち」は被 害が深刻である。「葉いもち」、穂いもちとも同じ菌によって起こるが、 発生の様相としては、比較的葉いもちが多くて穂いもちの少ない南日本型 と、逆に葉いもちよりも穂いもちの多い北日本型がある。

若いイネに激発すると株全体が萎縮して枯れてしまう。この病状を「ずり 込みいもち」という。防除に失敗すれば収穫ゼロ。

防除薬剤としては,戦前はボルドー液万能であったが,戦後一時期有機水 銀剤が脚光を浴び目覚ましい効果を挙げた。これが禁じ手と気付いて止め たものの遅かりし。泥鰌は死滅した。

現在では抗生物質剤(ブラストサイジンS、カスガマイシンなど)や有機リ ン粒剤などが使われている。

いもちは一般に,日照不足,多雨,低温のときに病気が多く,またイネの 体内に遊離の窒素成分が多く,ケイ酸が少ないときに発生が多い。

いもち病の発生程度は年次によっても異なり,ほぼ10年周期で大発生が記 録されている。昭和年代に入ってからは,1934(昭和9)年の稲作冷害が 有名で,東北地方では娘の身売など深刻な社会問題が発生した。

陸軍のクーデター「2・26事件(1936年)」の背景であるが、この不作には純 冷害のほかにいもち病による被害が大きかった。

戦後では,53(昭和28)年,63(38)年,74(49)年に大発生をみている。

的確な防除を行うには発生を予察することが肝要である。以前から気象条 件,イネの体質,胞子の飛散などを知って穂いもち病の発生を予測してい たが,近年コンピューター導入で,大量のデータからの予察も試みられて いる。

日本ではじめてこの病気が記録されたのは,1679年(延宝7)の《永禄以来当 院記録年鑑》(広積院祐栄書)とされるが,その後の《耕稼春秋》(1707ごろ) の記載が人口に膾炙(かいしや)している。

イネ品種によってかなり抵抗性に違いがみられる。外国イネには強度の抵 抗性のものがあるが,日本在来の品種は概してかかりやすい。

従って日本にいける稲の品種改良は、収穫量、食味の追及とともにいもち など稲の病害虫に対する抵抗力の研究に重点が置かれてきた。

最近は外国イネの強い抵抗性因子を導入した品種も育成されている。しか しせっかく抵抗性品種ができても突然ひどく罹病してしまうことがある。 これはレース新生のためであることが多い。

レースrace とは形態が同じでありながら病原性の異なる菌で,日本には 今16以上のイネいもち病菌レースが知られている。

ここ数年 Pyricularia属菌の菌学的な研究が進み,イネいもち病菌とシコ クビエいもち病菌の交配によって有性胞子が形成され,またイネいもち病 菌がタケに寄生性のあることが知られるなどして,菌の所属について検討 される時機にある。資料 世界大百科事典(C)株式会社日立システムアン ドサービス 2008・07・07



   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
敵味方逆転の摩訶不思議な米露首脳会談
━━━━━━━━━━━━━━━━━━


             櫻井よしこ

敵味方逆転の摩訶不思議な米露首脳会談 トランプ氏の非難はいつか必ず 日本にも

7月16日、フィンランド・ヘルシンキでの米露首脳会談はおよそ万人の予 想を超えた。米CNNのクーパー・アンダーソン記者は「自分が報じてき たこれまでの如何なる首脳会談に較べても、米国と米国民にとって恥ずか しい内容だった」と伝えた。CNNはトランプ政権に必要以上に厳しい が、今回は、「米国人ならそう感ずるだろう」と、共鳴できた。

首脳会談の前、米国の複数のメディアは、トランプ米大統領が単独でプー チン露大統領と会談することへの懸念を報じていた。どのような言質をと られるやもしれない、単独会談は回避する、もしくはできるだけ短くすべ きだという指摘だった。他方、ホワイトハウスはトランプ氏に、プーチン 氏には強く厳しい姿勢で対処するように、その方が「トランプ氏自身の見 映えがよくなる」と説得していたと、米「ウォールストリート・ジャーナ ル」紙が伝えている。

ジョン・ボルトン米大統領補佐官らは、トランプ氏に米露関係の分析や各 議題での攻め方などを詳細に説明したはずだ。KGB(旧ソ連国家保安委 員会)出身のプーチン氏に関する客観的分析や米露関係の戦略的解釈より も、「トランプ氏自身が格好よく見える」という、トランプ氏のエゴに訴 える論法で説得しようとした事実は、身近な側近でさえもトランプ氏の知 的水準をその程度に見ていたということなのだろうか。

結局、首脳同士のサシの会談は2時間も続き、公式の議事録もない。加え て全体会合が2時間、計4時間の会談を受けてトランプ・プーチン両首脳が 会見した。

トランプ氏がへりくだり、プーチン氏が自信の微笑をうかべた同会見は、 味方が敵になり、敵が味方になる摩訶不思議な歴史の大逆転をまざまざと 見せた。トランプ氏を掌中におさめたとでも言うかのような余裕を感じさ せたプーチン氏が、トランプ氏の為に記者団の質問に答えた場面さえあっ た。クリミア半島問題である。

トランプ氏はロシアのクリミア半島の強奪についてさしたる反対論は唱え ていない。それどころか、クリミア在住ロシア人の多さ故に、同地はロシ ア領だとの見方を示したことさえある。

プーチン氏はしかし、トランプ氏をかばうようにこう語った。

「トランプ大統領は、クリミア併合は違法だという主張を維持している。 ロシアの考えは別だが」と。

ロシアによる米大統領選挙介入疑惑で米AP通信が、トランプ氏に米国の 情報機関とプーチン氏の、「どちらを信ずるのか」と質した。トランプ氏 はまともに答えなかったが、プーチン氏はこう語った。

「私は情報機関の一員だった。(偽の)資料がどのように作成されるかも 知っている。おまけにわがロシアは民主主義国だ」

米情報機関が偽の資料を作成したとも、「米国同様の民主主義国」である ロシアが、他国の米大統領選挙に介入することなどあり得ないという主張 ともとれる。噴飯物である。だがトランプ氏はプーチン氏の隣で頷いていた。

トランプ氏は70年近く同盟関係にあるNATO(北大西洋条約機構)諸国 を酷い言葉で非難した一方で、いまや理念も体制も異なるプーチン氏のロ シアと、核や中東問題などを共に解決できるという構えだ。

長年ロシアを共通の敵として団結してきたNATOの大国、ドイツは軍事 支出がGDPの1.25%にとどまるとしてメルケル首相がトランプ氏に面罵 された。日本はドイツ同様敗戦国として、戦後を経済中心で生きてきた。 日本はドイツよりも尚、米国頼りだ。ドイツよりも国防費のGDP比率は 小さく、憲法改正もできていない。トランプ氏の非難はいつか必ず、ドイ ツ同様日本に向かってくるだろう。
『週刊ダイヤモンド』 2018年7月28日号
 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1241

             
━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━

 ◎野口裕之の軍事情勢】「中国共産党の死」を見届けられぬ?習近平氏 爆殺・毒殺未遂9回に疲労は危険レベル 

酷暑に豪雨と、尋常ならざる夏と闘う日本国民は疲れ切っているが、中国の習近平国家主席も疲労の度を深めている。小欄では過去何度か、習主席の「眠たげな顔」の原因の一つが「暗殺への恐怖→不眠→疲労困憊(こんぱい)」故だと報じてきた。

ただ、AFP通信のベン・ドゥーリー記者が投稿したツイッター上の証言や幾つかの外国メディア報道で、疲労困憊の原因は他にもあると改めて確認した。今次小欄はまず、その辺りに触れる。ドゥーリー記者は、7月に世界銀行のジム・ヨン・キム総裁と北京の釣魚台国賓館で会談した際の習主席の表情を、こう伝えた。

 《会談中はずっとウトウトしていた》

《(習主席が)あれほど疲れている場面は見た覚えがない》

加えて、同じ日に同じ場所で行われた、ユネスコ(国連教育科学文化機関)のオードレ・アズレー事務局長との会談で習主席は、アズレー氏を「世界貿易機関(WTO)事務局長」と何度も言い間違えた、という。《習主席は目に見えて疲労困憊していた=ドゥーリー記者》。

疲労原因について、英紙フィナンシャル・タイムズは8月、以下を報じた。

《中国の習近平国家主席は、近年の巧みな権力掌握に意図せぬ結果が伴った現実を思い知らされている。絶対的権力には絶対的責任が伴う。習氏は在任6年間で、とりわけ厳しい時期を迎えた。『数々の問題を習氏の責任に転嫁することが容易になっている』のだ》

フィナンシャル・タイムズは具体例として《急激にエスカレートし、経済成長の劇的鈍化につながりかねぬ米中貿易戦争》を指摘した。中国国内では、インターネット上の論文が削除され、身柄拘束をも覚悟してまで《金融恐慌発生の可能性が高い》と警鐘を鳴らす学者も存在する。

金融恐慌発生の危険を、非習近平派はもとより、反習近平派も確信したが故に、3月の憲法改正で習主席が「終身国家主席」へと突き進む事態を黙認したのではないか。フィナンシャル・タイムズの論ずる『数々の問題を習氏の責任に転嫁することが容易になっている』とは、かくなる深謀遠慮を指すのではないか。しかも、憲法上は可能となった「終身国家主席」とはいえ、4年後の共産党大会時に習主席は69歳になる。共産党の内規《68歳引退》を破る反党行為を反習近平派が認めるとは考え難い。激烈な闘争の発火点となろう。

フィナンシャル・タイムズはまた、《習氏は国家主席1期目に、地域最大の軍事大国として米国に取って代わる決意を明確に示したが、(事実上の最高指導者だった)鄧小平(1904〜97年)が唱えた、じっくりと力を蓄え、時機を待つ『韜光養晦』戦略を、簡単に捨てるべきではなかった》との《ささやき声の批判の合唱》を紹介した。逆説的には、自国を経済・軍事上の「強国」と自覚するに至った中国国民は、国際社会の圧力に屈して南シナ海の海上人工軍事基地群を放棄すれば、習近平指導部に矛先を向ける、という理屈だ。

さらに、25万本もの小児用ワクチンが不正製造→接種され、習近平指導部を揺るがす大事件と化した《ワクチン・スキャンダル》も疲労原因に挙げた。ワクチン・スキャンダルをめぐっては、メディアを監視する中国共産党中央宣伝部がインターネット上にアップされる言論を徹底的に削除したが既に、薬品メーカーと国家食品薬品監督管理総局の癒着疑惑が拡散してしまっている。

軍のクーデターへの恐怖も重なって

経済の繁栄をレゾンデートル(存在理由)に掲げてきた中国共産党の一党支配は、ようやく将来の「死に場所」を見つけたようだ。

もっとも、習主席は「共産党の死」を見届けられないかもしれない。米国に拠点を置く中国問題専門の華字ニュースサイト《博聞新聞網》の報道や、筆者が取材した日中公安筋の情報を総合すると、次のごとき驚愕の暗殺未遂事件が起きた。

習主席は昨年12月24日、人民大会堂での会議が終わり、専用車両に乗ろうとした際、爆発物の炸裂に遭遇した。習主席は「腹痛」を起こし、北京市内に在る中国人民解放軍直属の《中国人民解放軍総合病院/通称・301病院》に緊急搬送された。爆発は「中国共産党本部や政府が所在する中南海エリアに駐車中だった習主席専用車両近くの車」とする情報もある。

一方、301病院搬送も外傷ではなく、極度の緊張・心労が原因で、正確には「腹痛」ではなく「胃痛」を発症したとされ、深刻な症状ではないといった見方が有力だ。大事をとって301病院で精密検査を受け、精神疲労をとるために特別病棟に1泊し、翌日の朝食後、退院した。

習主席の一団が病院に駆け込んだ直後、病院は一時的に閉鎖、他の患者は締め出され、武装警察や特別警察が厳重な警戒網を敷いた。人民大会堂は一般市民の立ち入りが禁止されている上、軍で使用される爆発物が仕掛けられていた諸点を考慮すれば、爆発物は人民解放軍幹部が持ち込み、セットされた可能性が高い。当日の監視カメラ映像などがチェックされ、人民解放軍の警備要員も個別に尋問された。

習主席を狙った暗殺未遂事件は過去5年間の報道でカウントすると、少なくとも8回発生したと推定され、昨年12月が9回目(報道回数)になる。

奇っ怪だったのは、ヒラリー・クリントン米国務長官(当時)が訪中した2012年9月。国家主席就任が決まっていた当時の習国家副主席は「水泳中に運悪く背中を痛めた」とかで301病院に入院し、絶対に会わなくてはならぬ超重要人物たるクリントン氏との会談をドタキャンした。中国共産党の最高意思決定機関=党政治局常務委員会の「周永康委員(当時/汚職で無期懲役・服役中)らの暗殺未遂説が有力。その後も周は“事故”に遭った習副主席が301病院に入院するや、今度は毒入り注射で毒殺せんともくろんだが、事前に発覚した」(日中公安筋)。 

この他、軍最高指導部=党&国家中央軍事委員会の委員(元人民解放軍総参謀長)ら党内序列上位の要人数人が軍事クーデターを画策したが露見し、失脚や自殺(暗殺説も)に追い込まれた。 

習主席は政敵や反対派幹部の追い落としを狙い“反腐敗運動”を断行。汚職容疑などで多くの幹部を粛清している。それ故、習主席を狙う党・軍の大幹部は多く、習主席の精神状態に大きな影響を与えまくるだろう。

クマのプーさんを恐れる地球上で唯一の国家=中国

筆者が複数の安全保障関係筋に聴いた話は興味深かった。

晴れの舞台で国家指導者は、抑えようとしても抑えきれぬ笑みがこぼれる。けれども、2015年9月に北京で挙行された《抗日戦争勝利70年観兵式》で、車両のサンルーフより身を乗り出した際も、天安門城楼に立った際にも、習主席の表情はいかにも眠たげで何とも冴えなかった。安全保障関係者の間では、84%にのぼる初公開の新兵器の真贋・性能も重要な分析対象だったが、もう一つ、「何かに怯えていた」かに見える習主席の顔に注目が集まった。

複数の安全保障関係筋によると、観兵式前、将兵が携行する小火器や動員する武装車輌/武装航空機に実弾が装填されていないか、徹底的な「身体検査」を実施したもよう。展示飛行する航空機の自爆テロを恐れた揚げ句の、地対空ミサイル配備情報にも接した。いずれも、習主席暗殺を警戒しての防護措置。眠たげな習主席の表情は、不安で前日一睡もできなかった結果だとの観測は、こうした背景から浮かんだ。

ところで、習主席が昨年12月24日、人民大会堂での会議が終わり、専用車両に乗ろうとしたとき、爆発物が炸裂した暗殺未遂事件は先述したが、タイミングが悪過ぎた。欧米の思想・宗教を弾圧する習近平指導部は、学校などでのクリスマス祝賀行事を厳禁する。当然、クリスマス・イブに起こった事件はインターネット上を駆けめぐった。こんなふうに−。

《習主席がサンタクロースの復讐を受けた》

筆者なりに、なぜ習主席が慈愛に満ちる《サンタクロースの復讐を受けた》のか、想像を膨らませた。真っ先に、ニセモノのディズニー・キャラクターを拡散し、内外の子供たちをだまし続ける中国に怒りを爆発させたのだ…と考えた。次いでたどり着いたのが「クマのプーさんへの弾圧」だ。丸っこくて+ふっくらして+愛らしいディズニーの人気キャラクター=クマのプーさんの外見が習主席にそっくりだとソーシャル・メディアで評判になり、中国の検閲当局は近年、クマのプーさんの名前や画像の投稿をブロックした。

中国国内でクマのプーさんは、民主派などが習主席を指す隠語としても使用されている。米国で大ヒット中の実写版映画《プーと大人になった僕》も、中国政府は国内公開を認めぬ方向だ。クマのプーさんは国家指導者様をおちょくる「反逆獣」というワケだ。

同じ独裁国家の北朝鮮でさえ、露骨なパクリながら「クマのプーさんもどき」をパッケージ・キャラクターにした菓子が発売される。地球上で、世界の子供たちの心を豊かにするクマのプーさんを恐れ「弾圧」する国家・地域は中国だけだ。

【写真】 中国の習近平国家主席。米中「貿易戦争」に頭が痛い=今年7月、南アフリカ・ヨハネスブルグ(ロイター)
<http://www.sankei.com/premium/photos/180820/prm1808200006-p1.html>http://www.sankei.com/premium/photos/180820/prm1808200006-p1.html
【産經ニュース】 2018.8.20 07:00 〔情報収録 − 坂元 誠〕

 ◎カタカナ語化されたのは単語を記憶させる英語教育の負の成果か:前 田正晶

私は20数年以前から「カタカナで表す野球用語は、おかしなカタカナ語の 宝庫である」と皮肉を言ってきた。野球用語は戦時中には敵性語として英 語のカタカナ表記が禁じられていたが、今やほとんどの用語は英語とほと んど何ら関係がないカタカナ語になってしまっている。このようなカタカ ナ語化を成し遂げた先人のご苦労には寧ろ敬意を表したいくらいだ。

ところで、同じアメリカが起源である(アメリカン)フットボールなどは 我が国では未だに「アメフト」か「アメフット」などという奇妙な略語で 呼ばれているマイナー・スポーツの域を脱していないのは残念だが、不思 議なことに競技の用語はカタカナ語化されずに元のままでカタカナ表記さ れているのだ。それだから普及しないって言うのか?

ではあっても揚げ足を取れば、少しは誤りもあって(ラグビーにも通じる かも知れないのだが)「インターセプト」と言っているのは動詞形だか ら、正しく「インターセプション」と名詞形にすべきだし、「インター ファアー」も同様に正しくは「インターフェアレンス」とすべきだった。

そこで、野球のカタカナ語である。このところの猛暑に悩む夏場では、気 が向けば甲子園の野球中継も見ている。そこで、アナウンサーも解説者も 挙って使いまくる好ましいとは思えないカタカナ語の野球用語も聞いてい る次第だ。

そこで、この際、丁度1年前に採り上げて批判した妙にカタカナ語化され た野球用語をもう一度採り上げてみようと思い立ったのだ。重ねてお断り して置きたいことは、アメリカで聞いた用語とカタカナ語にはほとんど共 通点がないという事実だ。

特に頻繁に聞こえてくるのが「ストレート」である。これは、その昔は 「直球」乃至は「速球」と呼ばれていた真っ直ぐな投球のことだ。これを 曲げて「ストレート」と解説中に言い始めたのは間違っていたらご免なさ いで、中畑清だと思い込んでいる。

この語源は恐らく“straight”という単語が「直線の、直進する、曲がって いない」を意味するので、英単語の知識が豊富なことを見せたくて使い始 めたと善意で解釈することにした。アメリカでの野球用語は“fast ball” だが、ストレート・ボールという表現は聞いたことはない。因みに、何事 も大雑把なアメリカでは変化球全て“breaking ball”で括ってしまう。こ れは心臓系の病を全て“heart attack”と総称するのにも似ている。「心筋 梗塞」には“myocardial infarction”という難しい名称があり、救急隊で は“AMI”の略語がある。

次に気になるのが、何も甲子園野球だけに限ったことではないが、「イン コース」だの「アウトコース」だのと言うのは、如何に英単語の意味を正 しく理解していないかを思いっきり表している。学校教育における英語の 教え方が如何に駄目かと言うことを悲しいほど表していると思う。

何処がおかしいかを理論的に言えば、“in”とは前置詞で「〜の中に」と位 置を示す単語である。打者に近い内側に寄った球筋を示すためには全く不 適当な単語である。

英語にはこれと似た表現を聞くことはないが、“high on inside”のような 言い方を聞くことがある。これで「内角高め」を表現しているのだが、ア メリカの野球中継ではこういう細かいことを言っていないと思うのだが。

「コース」も不思議である。これは名詞で「ある方向への進行または推 移」か「方向または進路」とジーニアス英和には出ている。これと「イ ン」または「アウト」と組み合わせた知恵は素晴らしいが、英語をどう教 え且つ学べばこういう発想になるかと思う時、理解に苦しむカタカナ語化 なのだ。おかしいとも思わずに使っているアナウンサーたちは大学までで 如何なる英語を教えられてきたのだろうか。それともNPBか高野連に「こ ういう言葉を使え」とでも要求されているのだろうか。または「野球用
語ハンドブック」みたいなものが制作されていて「これに準拠せよ」とで も指示されているのだろうか。

以上の他にカタカナ語は多々あるが、敬遠の四球(intentional walk)、 牽制球(pick-off throw (attempt)、サヨナラホームラン(walk-off home run)、前進守備(draw-in infield)、バックホーム(throw to the plate)等をこのように和訳した知恵は皮肉でも何でもなく、先人は 偉いと思うのだ。

造語の中でも特に感心ている造語が「ネクストバッターズ・サークル」 で、アメリカでは聞いたことがない。しかも、カタカナ語化される時にほ ぼ100%省略される「所有格のs」まで「バッターズ」のように付けてある 点が凄いと思う。アメリカではこういう表現がなく、精々 Ichiro is on the deck. とするような言い方を聞いた記憶がある程度だ。

畏メル友・O氏は<ええーつ、という感じがします。逆に言えば、「上手 く訳したものだ」という気持ちにもなりますね。>

との感想を寄せられた。私も同感である。兎に角、唸らせられるほど上手 い意訳というか、おかしなカタカナ語化だろう。

上記以外では「エンタイトルド・ツーベース」というのが凄いと思う。こ れの元の英語は“ground rule double”だから、これを先ず日本の感覚 で"entitled two base(hit)"という英語にして、カタカナ語の「エンタイ トルド・ツーベース(略してエンツー)」にしたと解釈している。何度か 述べてきたが、私は"entitle"等という堅苦しい単語を使って話した記憶 がないほど所謂「難しい単語」をこのように使った英語力に正直なところ 感心している。

これは決して皮肉っているのではなく、それだけ「単語の知識」のみを与 える英語教育の成果がこういう珍妙な形で表れたのだと思っている。後難 を恐れずに言えば、文部科学省は長い間こういう形でしか結果が現れない ような英語教育をしてきたのだと考えている。

余談の部類だが、私の大好きなカタカナ語の悪影響を示す挿話にこういう のがある。それは試合を決めるホームランを打った元MLBのアフリカ系の 選手がヒーロー・インタビュー(これも純粋なカタカナ語であり、このま ま hero interview などと英語にしても意味を為さない)で「ホームラン を打った球は何でした」と訊かれた。球団の通訳は躊躇うことな“What kind of ball did you hit homerun?” と訳したのだっ
た。

そこで彼は皮肉な微笑を浮かべて「あれは確か野球のボールでフットボー ルではなかった」と答えたのだった。この話はロバート・ホワイティング という人がその著書に載せたので私は当時書いていたコラムではそのこと を断って書くしかなかったのが残念だった。

投球は今では一般的に「球」と言われているが、英語では"pitc か"delivery"なのだ。私はこれを最初は「投球」と訳し、後に「球」(タ マ)に短縮したのだと思っている。だから、通訳さんは “ball” と訳した のだろう。

野球用語は言い出せば切りがないほど全部が巧みに意訳された英語擬き か、カタカナ語と言えるだろうと思う。しかし、「ストライク」と「ボー ル」は意訳しようがなかったようで、戦時中は「よし」と「駄目」(また は悪球)だったかと記憶している。


━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━

21日の東京湾岸は曇天。午後には晴れそうだが。

隣の第三亀戸中学校はまだ夏休みだが、生徒たちは手持ちぶさになった のか、校庭や屋内体育館に遊びに来るようになった。
                         読者:5572人。



規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: 97 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。