政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針4754 号  2018・7・28(土)

2018/07/28

                       
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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4754号
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      2018(平成30)年7月28日(土)



            パキスタン選挙で番狂わせ:宮崎正弘

              我が国とアメリカの労働組合の違い論:前田正晶

        トランプの独批判は即日本批判だ:櫻井よしこ                                 
                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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第4754号
                             発行周期 不定期(原則毎日発行)
             
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パキスタン選挙で番狂わせ
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)7月27日(金曜日)弐
        通巻第5769号  
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パキスタン選挙で、まさかの番狂わせ。「タリバン・カーン」が勝利
 シャリフ派が予想外の大惨敗。周章狼狽は巨額投資実行中の中国だった
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2018年7月25日に行われたパキスタン下院選挙は大番狂わせ。シャリフ前 首相が率いる「イスラム連盟」が大惨敗(3分の1に)。アバシ前首相の 落選の模様だ。第2党のブット率いるPPP(パキスタン人民党)も票が 伸びず、誰も予測しなかった第3党「PTI」(パキスタン正義運動)が 大躍進、議席を4倍とする勢いである。

パキスタン下院は定数342議席だが、任命制議席を除く定数は272。現 時 点(27日4時、日本時間)でPTIの獲得議席予測は120.過半には到 ら ないので無所属議員や少数野党との連立になるだろう。

このPTIを率いるのはイムラン・カーンで、1992年のワールドカップ (クリケット)で優勝したスポーツ選手出身。カリスマ的存在である。
 イムラン・カーンはクリケット選手を引退後、1996b年に新党を組織し て、じつに22年間、野党活動を展開してきた。単なるタレント、有名人政 治家ではなく、筋金入りである。それでも万年野党、政治力は限られていた。

であれば、与野党逆転、まさかの勝利の原因は何か?

イムラン・カーンが訴えたのは「汚職追放」「イスラム回帰」。そして、 「外国からの借金をなくそう」が3大柱。若者に向かっては、「1000万人 の雇用を約束する」だった。

このため新たに有権者となった2000万人の若者、なかでもパシュトン族が 中心となって、イムラン・カーンを支えた。それは表面的な理由で、背後 にあるのはパキスタン陸軍である。陸軍はシャリフ前首相との関係が悪 かったのだ。

だから英国メディアは「イムラン・カーンではなく、タリバン・カーン」 だと譬喩した。(英紙インデペンダント、7月27日)。シャリフ前首相派 は「信じられない。やつらは不正投票をしたに違いない。陸軍がバックだ から」と不満を述べた。

さて、このPTI勝利に腰を抜かすほど驚いたのは、中国だ。

なぜなら中国はパキスタンに570億ドルの巨額を注ぎ込ん「CPEC(中 国パキスタン経済回廊)」を建設中だからだ。

イムラン・カーンの訴えた「外国からの借金をなくそう」というのは、 CPEC中断が選択肢に入るからである。

中国はすぐさま「パキスタンとの友好関係は毫も揺るぎない。政策は不変 で新政権と中国は協力できる」との声明をだした。慌てている様子がくみ 取れるだろう。

他方、パキスタンの宿敵インドは、基本的にイムラン・カーン新政権を歓 迎気味。ただし「かれは『パキスタンのトランプ』、何をしでかすか分か らない予測不能要素がある」との不安があるとも分析している。

     
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1766回】       
――「支那人は巨人の巨腕に抱き込まるゝを厭はずして・・・」――中野(22)
中野正剛『我が觀たる滿鮮』(政?社 大正4年)

       △
 日清戦争前後から敗戦までの中東鉄道を巡っての動きの大筋を考慮した うえで、中野の主張に戻りたい。

  満洲をめぐる列国の対応に対し、現地で目にする我が政府の動きは甚 だ心許ない。であればこそ、「滿鐵なるものは我無能なる外交の缺漏を補 ふべく?々巧妙なる活動をすべき」である。これまでの経験からして、 「滿洲に於て支那人との合辨事業は殆ど不可能」だ。

「歐米先進國の特許 會社は、世界到る所の植民地に於」て成功してい る。これら成功例に鑑み るなら、やはり「我國の植民政策は、周到なる 研究と、敏捷にして巧妙な る手段とを缺き、一に名目のみに拘らんとす る所、實に官僚式を其儘なり と云ふを得べし」。

朝鮮統治と同じように満洲でも、「陸軍第一の威勢家 を總督として、總 てを劃一政策の鑄型に叩き込まんとする」。であればこ そ満州経営が成 功するわけはない。朝鮮経営の二の舞だ。

  やはり「唯周到なる研究と、巧妙なる手段とにより、細を盡し、微を 盡し、實に土人に對する深切の力」こそが、植民地経営のカギだ。現実の 満鉄経営陣をみれば、「植民會社の必要條件とせらるゝ周密なる實際的研 究、巧妙なる手腕、冒險的勇氣、敏捷なる活動に至りては、毫も認め」ら れない。

「他の外務省系の領事館などゝと同樣に、萬事文書上の調査を基 礎とし て、少しも實際的經驗をなさ」ず。加えて「領事輩は支那人に對し て も、日本人に對しても、毫も踏み込みたる實際的研究をなさず、單に領 事警察の巡査等の探偵せし結果を報告書に綴り、之を外務省に提出して、 その職責を免るゝが如き、爲體なり」。

満鉄も領事館(外務省)も役立たずなら、陸軍主体の「都督府の態度 も、大概大同小異なり」というのだから、最早ナニヲカイワンヤ、である。

だが考えてみれば中野の慨歎から1世紀ほどが過ぎた現在、外交の要とな る官邸や外務省、さらには出先の大使館や領事館、はては通商貿易政策の 舵取り役(?)であるJETROや援助外交の司令塔(?)たるJICAなどの活 動を見るに、これら機関(ということは、そこで禄を食んでいるヒト)の 日々の活動は大いに改善されたのだろうか。中野の当時と「大概大同小異 なり」ではないことを願うのみだ。

  中野の慨歎は続く。

「要するに我植民地に於ける凡百の施設は、内地に於けると同樣、形式 主義、劃一主義なる官僚風の弊に落ちたり」。であればこそ「同じく官僚 主義を以て固められたる滿鐵」では、到底理想的な植民地経営は望めな い。「宜しく劃一的官僚風の弊を一掃して、實際的に親切なる働きをなす は、實に帝國植民政策の爲に忘るす可からず」。

であればこそ「滿鐵會社 に重役たるものは、宜しく政商と結託し、會社 を胡魔化して、私腹を肥や さゞるの愛國心を起こすべし」。これまでも 「伏魔殿」と指弾されてきた 満鉄に「政黨的勢力の注入されし際」、余 ほど注意しないと「政黨の餓鬼 により喰ひ盡さるゝに至るやも知る可か らず」である。それにしても「政 黨の餓鬼」とは、現在にも通じる実に 的確な表現だ。

 このままでは満鉄は「從來の官僚的劃一主義の弊に陷」ったままで改 革は覚束ない。だが、だからと言って「政黨の餓鬼」の容喙を許せば、 「黨人の無能に搗てゝ加へて、不廉潔俗惡なる行爲の續出せんこと」を 「最も憂ふ」しかない。

 かくして中野は、満鉄改革に「大鉈は宜しく振ふべし」。だが振り間 違えれば「國家の災難」となる。

また政党が手を突っ込むことを許したら、「政黨側より生え出でんとする 毒菌に培ふが如んば、我國の大陸經營は大蹉跌に際會」することになる―― と結論づける。

 満鉄の創立から敗戦による消滅までの経緯を振り返えると、一面では 国内的要因によって経営が左右され、とどのつまり「我國の大陸經營は大 蹉跌に際會」したわけだ。
          
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者
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(読者の声1)なんと愚かな選択か、と思いました。日航が中国の「東方 航空」と包括的な提携をするというニュースです。

上海を中心とする東方航空が、日本の50の都市を結んでいるJALと、 「共同運行」の名の下に、自由な乗り入れが実現すれば、もっとも裨益す るのは中国でしょう。

いくらシェア競争が大事といっても、「約束を守らない」ことで悪名高い 国の飛行機会社が、特恵をむしゃぶりつくすことは目に見えています。だ から愚かと思ってのですが、如何ですか?
                      (YK生、江戸川区)


(宮崎正弘のコメント)ANAはスターアライアンス、JALはワンワー ルドとの連携ですが、東方航空はスカイチームの筈。連合の垣根を越えた 連携が、はたして実現するのか。共同運行は経営合理化の流れにあるとし ても、独禁法との壁は? クアルコムが蘭社買収に失敗したように、この 話、本当に実現するでしょうか。

 米中関係険悪のおり、米国からも圧力がかかるでしょうし。




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我が国とアメリカの労働組合の違い論
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                         前田正晶

実は、14年3月に発表した我が国とアメリカの労働組合の違い論が、有り 難いことにブログでは未だにお読み頂いている。そこでその時点でやや説 明不足だと思われる点があったので、ここに多少加筆訂正して補ってみた 次第である。あらためてご一読願えば幸甚である。

組合に対する阻害行為になる:

先ず、これから述べることはアメリカの紙パルプ産業界で経験したことで あるとお断りしておく。しかし、他の産業界でも会社対組合の関係の在り 方は同じだとは聞かされている。ご一読願えば、我が国とアメリカに於け る労働組合の在り方の違いを認識して頂けると考えている。

我が国とアメリカの労働組合の在り方の最大の相違点は、アメリカでは職 能別組合(Craft unionという)であることは既に指摘してきた。言うま でもないが、我が国では概ね会社ごとの組合である。

その点をより具体的に言えば、アメリカの紙パルプ工場の現場には紙パル プの労働組合員の他に、製造の作業に関連するあらゆる種類の組合員がい るということなのだ。

即ち、電気関係、営繕、輸送等々の職業の労働組合員が入り交じって作業 をしているということ。これが如何なる時に難しい事態を引き起こすかを 知ったのは、アメリカの製造業の会社に転進してから何年か経った後だった。

私のように日本の会社で育った者が現場に入っていって、組合員と関係
が如何なるものかという事を知る機会はそう滅多にあることではないのだ。

その時には、私は偶々出張中で工場の事務棟にいたので、製紙工場の原料 部門に問題が発生して抄紙機が停止した緊急事態発生と知らされたのだった。

そこで居合わせた会社側のパルプ部門の製造担当者(我が国でいえば係長 辺りか)と現場に駆けつけたのだった。私は偶然にその担当者が組合員か ら転出してきたという珍しい経歴の持ち主と承知していた。

この点も以前に述べたことだが、法的に別組織である労働組合に属してい る者が、会社側に転進することは例外的なのである。より詳しく言えば 「アメリカでは新卒で入社してきた者が、先ず工場に配属されて経験を
積んでから本社に移動するといったような過程を経ることはない」という 意味である。職能別組合に加入した者は会社側とは別個の組織に属するこ とになるのだ。

彼は現場に着くやいなや、事故の原因を把握して組合員にテキパキと指示 をしたが、当人は現場が指示通りに動かなくても黙って見ているだけだっ た。それを疑問に思ったので「何故貴方は手を拱いていているだけで、手 伝おうとしないのか」と尋ねてみた。

彼の答えは「現場の作業は組合員である者たちが進めるもので、言わば別 の組織である会社側である私が直接手を出せば、彼等組合員の労働を阻害 した行為となって、労使間の係争問題になる。

故に、私は成り行きを見守っていることしか出来ない」だった。私は会社 側対組合の問題を多少は認識していたが、そこまで厳密というか厳格な
ものとは思っていなかったので、やや驚かされてしまった。

念の為の補足しておけば、同じ会社の中にあっても、労働組合員は法律で 保護された別な組織に属しているということだ。

労働組合員は業界を横断する職能別の組合員で、言うなればその上部団体 からW社の工場に派遣されてきているのだと考えれば解りやすいと思う。 その職能別組合には紙パ労連もあれば電機労連もあるということだ。

彼は言葉を継いで「仮にマシン設備全体がここで停止したとしよう。そし て問題が電気系統にあって、一度何処かで電源を抜かねばならない事態と 判明したとしよう。その際に紙パルプ労働組合員は電源を抜く行為をして はならないのだ。

飽くまでも電機労連の者が駆けつけるまで待たねばならないのだ。それが 職能別組合の法的な決まりというものだ」と教えてくれた。

私は後刻、我が国のある大手メーカーの人事・勤労部門の権威者にこの話 をして、ご意見を伺ってみた。彼は「我が国でも戦後間もなくは職能別組 合制を採っていた業界もあった。

しかし、今貴方が言われたような問題に直面して大いに難渋させられたの
だった。そこで、現在我が国の多くの企業が採用している企業別の組合制 が導入されたのだった。

しかし、アメリカの紙パルプ産業界は未だにその職能別組合制を採って
いる。その当否を論じるよりも、そこに企業社会の考え方の違いが認めら れる」と解説された。

既に述べたように組合員はその会社の工場で仕事をしていても、飽くまで も上部組織である業界横断の職能別組合に所属していると解釈すると解り やすいと思う。

社の我が事業部では90年代に入ってから、紙パルプの組合員たちに自分た ちが生産した紙が日本の印刷・加工の現場でどのように使われているかを 見せて、何故品質を常に改善して向上させねばならないかを理解させて、 これまで以上の努力をする為の資料にさせることを企画した。そして、何 名かを順次に日本に出張させることにした。

その際に工場側(会社側でも良いだろう)が先ず手を打ったことは、職能 別組合の上部組織の代表者と「出張する者たちが海外にいる間の時間給を どのように計算するか」を話し合ったのだった。

工場での勤務ならば一直は8時間で簡単明瞭だが、海外ともなればどの時 点から時計の針を動かすのかというのが、重大な案件だったのだ。

これを別な見方をすれば、意外にもW社では(アメリカでは?)本社機構 に所属している者でも容易には日本等の外国出張の機会は巡ってこないの である。従って労働組合員の海外出張という先例がなかったことでもあっ た。これも日本とアメリカの企業社会における典型的な文化の違いの例と 言えるだろうと思う次第だ。


     
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トランプの独批判は即日本批判だ
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         櫻井よしこ

この記事はヘルシンキでトランプ・プーチン会談が行われている日に書い ている。米露首脳会談の結果はわからないが、プーチン大統領にとって開 催しただけで得るものが多く、トランプ大統領にとっては、「シンガポー ル型首脳会談」になると見てよいだろう。トランプ氏の「大言壮語」の割 には米国が得るものは甚だ少ないという意味だ。

私たちは、米朝協議で米国が明らかに北朝鮮のペースに嵌まっていること を認めないわけにはいかない。初の米朝首脳会談は、共同声明に北朝鮮の CVID(完全で検証可能かつ不可逆的な核の解体)という大目標を明記 するものと期待されたが、CVID抜きの漠とした内容にとどまった。

7月上旬の3回目の訪朝で、米国の要求する「非核化」の内容を改めて突き つけたポンペオ国務長官を、北朝鮮は「強盗」にたとえた。この大胆な非 難は、金正恩氏がトランプ氏はもはや軍事オプションなど取れないと、足 下を見抜いたからであろう。

プーチン氏との首脳会談でも、トランプ氏の準備不足とロシアの脅威に対 する認識の欠落が米国にとって決定的に不利な状況を生む可能性がある。 ベルギーでのNATO(北大西洋条約機構)首脳会議を終えて7月12日、 英国に到着したトランプ氏は米露首脳会談について記者団に語った。

「君たちお気に入りの質問をするさ。(選挙に)介入したかと聞くよ。彼 は否定するかもしれないが。自分が言えることは『やったのか、2度とす るなよ』ということだ」

NATO首脳会議から英国訪問へ、その後の米露首脳会談に至る旅で、ト ランプ氏は「一番たやすい(easy)のはプーチンとの会談かもしれな い」と語っている。トランプ氏は自分の向き合う人物が、ソ連崩壊を「20 世紀最大の地政学的大惨事」と見做し、28年間ソビエト帝国建て直しを夢 見てきた男であることを知らないのか。米国を外敵ナンバーワンと位置づ け、愛国心で国論を統一したいと願うプーチン氏は2007年2月、ミュンヘ ンでこう述べている。

「アメリカはあらゆる分野で己の国境を踏み越えている。経済、政治、人 文の分野で他国に対して自己流のやり方を押しつけようとしている」

ロシアの存在感

13年9月には「ニューヨーク・タイムズ」に寄稿した。

「米国は己を他国とは異なるユニークもしくは『例外的な存在』と見做 し、『世界の警察官』としての役割を果たすとの大義名分を掲げ、かつ実 際に他国の内政に干渉している」(木村汎、『プーチン・内政的考察』藤 原書店)

実はプーチン氏の寄稿と同じ時期(13年9月10日)に、オバマ大統領(当 時)は内戦が激化したシリアについて、「軍事介入はしない」「アメリカ は世界の警察ではない」と演説した。これは米大統領による近代稀な戦略 的大失敗とされ、ロシアによるシリア介入を招いた。国際社会は異なるイ デオロギーや価値観を持った国々があらゆる野望と力でせめぎ合う場だ、 という現実から目を逸らし、平和を希求する話し合いで解決できると考え たオバマ氏の浅慮だった。プーチン氏は間髪を入れず、この機を利用して 中東におけるロシアの存在感を飛躍的に高めた。

陰謀を巡らす指導者は陰謀を恐れる。プーチン氏はジョージアやウクライ ナの「カラー革命」、アフリカ北部や中東諸国の「アラブの春」は米国の 経済的、軍事的支援があって初めて可能だった、ロシア国内での反プーチ ン運動も米国の陰謀ゆえだと信じていると見られる。

決して人を信じず、妻にも心を打ちあけないが、狙いを定めた人物の取り 込みには巧みなプーチン氏を、プーチン研究の第一人者、木村汎氏は「人 誑し」と呼んだ。そのプーチン氏とトランプ氏の首脳会談で、米国が戦略 的後退に陥り、その結果、ヨーロッパ情勢が歴史的大激変に追い込まれる 可能性がある。そのとき、NATO諸国はどうなるか、日本にとって他人 事ではない。

7月11、12の両日、ベルギーで開かれたNATO首脳会議でトランプ氏が 迫った要求は、表面上の粗野とは別に、国際政治の常識に基づけば十分正 当なものだ。1949年創設のNATOは、旧ソ連の脅威から西側陣営を守る ために結成された集団安全保障の枠組だ。これまでずっと米国が経費の 70%強を担ってきた。

トランプ氏は米国の負担が多すぎる、NATOの取り決めであるGDP比 2%の国防費という約束を守れと言っているのだ。メルケル独首相は 「我々がもっと努力しなければならないのは明らかだ」と述べ、NATO 諸国も、先にカナダで開かれた先進7か国首脳会議(G7)のような後味の 悪い結末だけは避けようと必死だった。

日本はどうするのか

トランプ氏とG7で激しくやり合ったカナダ首相のトルドー氏は、 NATO首脳会議初日に、イラク軍の軍事訓練強化のために、カナダ部隊 250人を新たに派遣する、今年後半には現地部隊を車輌整備、爆弾処理、 治安活動で指導する、と語った。

「カナダは向こう10年間で軍事予算70%増を目指す。それでもGDP2% には届かないが……。冷戦真っ只中の時代同様、NATOはいまも非常に重 要な軍事同盟だ」

NATO軍は、今秋、500人の新部隊をイラクに派遣するとし、さらにア フガニスタンでも、駐留米軍約1万5000人に対し、1万3000人だった部隊を 1万6000人に増やすと発表した。トランプ氏の「足りない、もっと増や せ」という要求に追い立てられるNATO諸国の姿が見える。

それでもトランプ氏は言い放った。「4%だ!」と。だが、氏の悪態にも 非礼にもNATO諸国は反論できない。国防が当事国の責任であるのはト ランプ氏の言うとおりだからだ。

NATO諸国で2%条項を守っているのは今年でようやく8か国になる見通 しだ。米国を筆頭に英国、ギリシャ、エストニア、ラトビア、リトアニ ア、ポーランド、ルーマニアである。

エストニア以下バルト三国は旧ソ連の下で苛酷な歴史を生きた。ポーラン ドとルーマニアも東欧圏の一員として息が詰まるようなソ連の支配下に あった。小国の彼らは再びロシアの影響下には入りたくないのだ。

では、日本はどうするのか。ロシア、中国、北朝鮮、左翼政権の韓国。日 本周辺は核を持った恐ろしい国々が多い。だが、わが国の国防費は、トラ ンプ氏に激しく非難されているドイツよりもずっと低い1%ぎりぎりだ。 遠くない将来、「シンゾー、いい加減にしろよ」と、トランプ氏は言わな いだろうか。

日本は安全保障も拉致問題の解決も、およそ全面的にアメリカ頼りだ。国 防費はGDPの1%、憲法改正もできず、第二のNATO、第二のドイツ にならないという保証はない。その時取り乱すより、いまから備えなく て、日本の道はない。

 『週刊新潮』 2018年7月26日号 日本ルネッサンス 第812回


         
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重 要 情 報
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 ◎短期集中型だったのかな:前田正晶

7月10日に暇さえあれば流されてくるドコモのCMが余りに勘に障るので、 あのがなり立てているだけの女性の歌手は何処の誰かと言うだけの関心で 検索してみた。その辺りを下記のように記載していた。

「本日辺りはやや下火になったが、2〜3日前まではそれこそ「暇さえあれ ば」という具合で、何処の誰だか知らない若い女性が声張り上げて「紅に 染まるこの俺を〜」と歌うというか、がなり立てるドコモのCMが出てくる のだった。

私にはあれはとても歌などではなく単なる騒音としか聞こえず、うるさい のには参っていた。そこで、あの女性は誰かと検索してみた。当てずっぽ うに「ドコモ、紅、女性歌手」と入れてみれば、Xジャパンの「紅」とい う曲で、歌っているのは高畑充希と判明した。」

その他に知り得たことはネット上では「高畑充希半端ねー」と礼賛する若 者がいるということで、時代が変われば歌手や極東の評価の基準などは著 しく変わっていくものだとあらためて認識できた次第だった。私には少な くともあれは歌っているのではなく、論評にも値しなとしか聞こえなかっ たのに。ではあっても、折角覚えた曲がもう訊けないかと思うと寂しい気 がするのは何故だろう。

それほど厭がっていたCMだったのだが、厭がっていただけあってドコモと は解っていたが、何を宣伝したいのかはまるで把握できていなかった。そ こで7月も26日となった26日になって気が付いたのだが、あのCMは全く流 れていなかったのだ。

これまでにほとんど気にかけたことがなかったのだが、テレビのCMという のはそれほど短命なものだったかと、あらためて認識した次第だ。と言う のは、CMの中には同じものが何十年も続けて流されているものもあるから だ、例えば「ピアノ売って頂戴」のように。

私にはあのがなり立てるだけのCMにどれほどの効果があったかなどは解る 訳がない。

だが、今までに聞こうとも聞きたいとも思ったことがなかったXジャパン なるバンドの曲を初めて聴かされたのだが、それもどうやら本来の歌手で あるTOSHIだったかが歌っているものではないのも面白かった。

Xジャパンというのは小泉元総理が入れ込んでおられたくらいは承知して いたが、そう言われて見れば何とかいう今はLAに住んででいるというリー ダーが、ドラムを動きながら叩くので首筋を痛めてピアノしか弾けなく なったとい聞いた記憶があった。

そのTOSHIなるものが歌っているところが、あのCMの反響のお陰でテレビ で部分的に流されたのも聞けた。私には遺憾ながらそれは所詮は演歌でし かないように聞こえた。

CMの批評を離れての結論めいたことを言えば、我が国に星の数ほどいる流 行歌手は上手かろうと下手だろうと、演歌の域を容易には出られないよう だし、そこに特徴があるのだということだと思うのだが。


 ◎れたと、心の中で決めて、感謝する祈りだと言はれてゐます)

北朝鮮に拉致された人は、全員、解放され、家族のもとに還って再開を果 しました。

有難うございます。有難うございます。有難うございます。(繰り返し念 じる)北村維康



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身 辺 雑 記
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28 日の東京湾岸は雨。

セミ時雨は亀戸1丁目のベランダでもうるさいぐらいだ。

隣の中学校は夏休みで「静寂」そのもの。

27日午後は大学病院で心臓の検査。問題ナシ。次回は8月24日。

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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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