政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針4715 号  2018・6・19(火)

2018/06/19

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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4715号
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      2018(平成30)年6月19日(火)



     「肝臓をいたわっていますか?」:片山 和宏(医師)

           メディアは何を間違えたのか:宮崎正弘
      
      米国の真の相手は、北を支える中国だ:櫻井よしこ

                           
                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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第4715号
                             発行周期 不定期(原則毎日発行)
             
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「肝臓をいたわっていますか?」
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      片山 和宏(医師)

◆健康百話・「肝臓をいたわっていますか?」

肝臓は、右の脇腹からみぞおちのあたりにある、重さが約1kgちょっとの 臓器です。

心臓のように「どきどき」したり、お腹が空いた時の胃や腸のように 「グーグー」鳴ることもありませんが、ただひたすら黙って体の他の臓器 に栄養を送ったり、いらなくなったごみを捨てたりしていますので、家族 で言えばまさに最近の若いお母さん達にはとても少なくなった昔の良妻賢 母型のお母さんの役割を果たしています。

だからといって、あまり無理ばかりをさせていると、ご主人を見捨てて家 出してしまうかもしれません。ですから、ご主人であるあなたが普段から ちゃんといたわってあげる必要があるわけです。
 
基本的に肝臓は、少しくらい弱っていても自覚症状が出にくい臓器です。 しかし、血液検査をすると、実はとても早くから「SOS」のサインを出し ていることが多いのが特徴です。

 「沈黙の臓器」として有名な、自覚症状の出にくい肝臓も、血液には ちゃんと気持ちを伝えているわけで、血液検査は肝臓の気持ちを察して上 げられる重要な検査です。

 これから、どのようにいたわってあげればいいかとか、文句を言いたそ うだけど、どのようにすれば早めに察してあげられるかなどについて、紹 介していきたいと思います。 (大阪厚生年金病院)

             

         
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メディアは何を間違えたのか
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)6月13日(水曜日)
         通巻第5724号 
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 米朝首脳会談を過大な期待で予測したメディアは何を間違えたのか
  会談は始まりにすぎず、金正恩は中国の意向(何も約束するな)を実 践した
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日本の期待は夢幻に終わったのか。

発表された米朝首脳会談の共同声明を「素晴らしい」とトランプは自画自 賛したが、多くの人々から見れば、具体的内容を欠いているため、「失 望」だろう。

第一に「非核化への努力」は謳われたが、「完全な、検証可能な、不可逆 的な」という文言は共同声明のどこにもないではないか。

期限も方法も明記されていない。要するに具体的には何も成果はなかった のだから。安倍首相が「高く評価する」などと、トランプの成果を渋々評 価したのも、納得するには無理がある。

米国政府筋は「これから高官による詰めが行われて、具体的な日程などが でてくる。ともかく歴史的文脈に於いて、この会談は意議がある」と総括 して、今後の交渉に大きく期待する方向にある。

とはいえ、「完全な、検証可能な、不可逆的な非核化」は結局、並ばず、 「非核化」の現地を金正恩から得ただけだった。

中国の後ろ盾を得た金正恩は強気になっていた。アメリカとの世紀の ショーを演出するために、人質を解放し、使い物にならなくなった核実験 場を廃棄処分としたが、これをトランプは記者会見で「成果」と総括し た。ディールの名人も、ここまでか、との感想を抱いた読者が大いに違い ない。

「総合的に前進した」という米朝首脳会談は、アメリカにとっては中間選 挙向け、北にとってはやっぱり時間稼ぎと中国との関連。唯一の歯止め が、米国は「制裁を続ける」という姿勢だけだろう。

大きく期待した人は失望の谷は深い。期待しなかった人にとっては、なん とか、一歩前進したというのが率直な感想ではないか。

「歴史的に米朝が『初の会談』という意議いがいにないもない」(NYタ イムズ)

「希望を抱かせたが、保証がない」(ワシントンポスト)

「希望に向けての前進」(ウォールストリートジャーナル)


 ▲「人権」「拉致」の文言は声明には盛り込まれていない

米国メディアは消極的だが、否定はしていない。しかしトランプは記者会 見で「人権に言及した」「日本の拉致問題についてはちゃんと伝えた」と 言い訳に終始し、いつものような強気が見られなかったように、そのう え、米軍撤退を示唆したように、これでは過去の歴代大統領の、その場の 人気取り対応と大きな違いはない。

結局、この米朝首脳会談で一番の勝者は、中国である。

おそらく中国は、前進があったとして『制裁』緩和の方向へ舵を取るだろ う。『中国抜きには何も進まない』と国際社会に印象づけることに成功 し、金正恩の背後でシナリオを描き、トランプに米軍撤退の発言を誘発さ せた。 

同じ日に上野動物園のパンダが誕生一周年とかで、長い長い行列ができ た。パンダはチベットの動物であり、中国が外交の道具としているものだ。
これを行列してみるという、あきれ果てた日本人がいるように、精神的劣 化がますます進んでいる。


       
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米国の真の相手は、北を支える中国だ
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           櫻井よしこ

世界の安全保障問題専門家が集うアジア安全保障会議では、今年もまた中 国への物言いが際立った。シンガポールでの3日間の会議で、6月1日、基 調講演に立ったのはインドのナレンドラ・モディ首相である。

モディ氏はインド・太平洋の在り様が世界の運命を定める重要な要素だと し、「大洋が開かれているとき海の安全が保たれ、国々は結ばれ、法治が ゆきわたり、地域は安定し、国家は大小を問わず主権国として栄える」 と、謳った。

どこから聞いても、南シナ海のほぼすべてが自国領だと主張し、第1及び 第2列島線で米国の進入を防ぎ、インド・西太平洋に君臨しようとする中 華大帝国思想への批判である。インドは「東に向かえ」政策(Act East Policy)の下で、日、米、豪を筆頭にASEAN諸国やロシアを含めた大 同団結で、平和で繁栄するインド・太平洋圏を構築すると語った。

翌日は、ジェームズ・マティス米国防長官が演説した。小野寺五典防衛相 のマティス氏の人物評は、「極めて物静か、人の話に耳を傾ける、控えめ に話す」である。そのとおりに、マティス氏は冷静な口調ながら、冒頭か ら鮮やかに切り込んだ。

「私にとって2回目の参加です。専門家が集い、自由で開かれた海として のインド・太平洋の重要性を共通の認識とする最高の機会です」

「昨年は主として耳を傾けました。今日、私はトランプ政権のインド・太 平洋戦略を共有してもらうために来ました」

無駄な修飾語のひとつもなく、事柄の核心だけを淡々と述べる。それは自 ずと中国への批判となった。

「米国は台湾との協調関係を誠実に守ります。台湾関係法に基づいて台湾 の自主防衛に必要で十分な防衛品を供給し、助力、協力します。如何なる 一方的な現状変更にも反対し、(台湾海峡の)両岸の人々の意思が尊重さ れなければならないと主張します」

習主席が語った言葉

台湾に対する中国の一方的手出しは看過しないと言明した、この突出した 台湾擁護には、実は背景がある。トランプ大統領は昨年12月、6920億ドル (約79兆円)の軍事予算を定めた国防権限法案に署名し、台湾への手厚い 対策を実現しようとした。

高雄を含む複数の港に米海軍を定期的に寄港させ、台湾海軍も米国の港に 定期的に寄港することを許可し、台湾の自主潜水艦建造、機雷製造など水 中戦力の開発を技術的、経済的に支えようとした。

ところが中国が猛烈な巻き返しに出た。米議会への中国のロビー活動は凄 まじく、法案は事実上骨抜きにされた。だがトランプ氏も国防総省も引っ 込みはしない。トランプ氏はすでに台湾の潜水艦の自主建造に必要な部品 の輸出の商談を許可し、シンガポールではマティス長官が前述の台湾擁護 の演説をしたのである。

マティス氏は「南シナ海における中国の政策は我々の『開かれた海』戦略 に真っ向から対立する。中国の戦略目標を疑わざるを得ない」と語り、 「南シナ海の軍事化で対艦ミサイル、対地・対空ミサイルが配備され、電 波妨害装置が導入され、ウッディー島には爆撃機が離着陸した。恫喝と強 制だ。

ホワイトハウスのローズガーデンで2015年に(南シナ海人工島は軍 事使 用しないと)習(近平)主席が語った言葉と矛盾する。こうした理由 ゆ えに我々は先週、環太平洋合同軍事演習(リムパック)への中国の招待 を取りやめた」と、説明したのである。

軍人出身らしい無駄のない極めて短い表現で、事実のみを淡々と披露した マティス氏に、例の如く中国側は激しく反論した。

今回の会議に中国代表として参加していた人民解放軍軍事科学院副院長の 何雷(ホーレイ)中将は「米軍の航行の自由作戦こそ、南シナ海の軍事化 だ」と反論した。他方、中国外交部は、マティス発言以前に華春瑩(ファ チュンイン)報道官が米国の南シナ海に関する発言に対して「盗人猛々し い狡猾さ」だと口汚い非難を展開済みだ。

決して自分の非を認めず必ず他国のせいにするのが中国だが、彼らは昨年 から、大物をアジア安全保障会議に派遣しなくなったと、「国家基本問題 研究所」研究員、太田文雄氏が指摘する。現に今年の代表の階級は中将だ。

「ここ数年、シンガポールに行く度に彼らは国際社会から総スカンを食 らってきました。国際社会の中枢勢力と折り合うのを諦めて、独自の道を 模索し始めたのではないでしょうか。それが香山フォーラムです」

トランプ大統領は大丈夫か

香山フォーラムは06年の創設である。米国、日本、インド、NATO諸国 など、自由と法治を尊ぶ国々の価値観に基づく安全保障論は、どこまで いっても中国のそれとは折り合わない。

そこで、中国が影響力を及ぼし得 る国々を集めて軍事の世界を仕切ろう という意図が見える。中国はアジア 安全保障会議に取って代る、中国主 導の安全保障会議を創り出したいので ある。彼らは64か国が集まったと 喧伝する。アジアインフラ投資銀行 (AIIB)や一帯一路 (OBOR)構想には中国マネーに魅きつけられ て多くの国が参加し た。しかし中国の軍事力やその安全保障政策に魅きつ けられる国々は、 現時点では多くなく、影響力も小さい。

ただ、中国の意図を過小評価してはならないと思う。彼らはハーグの国際 司法裁判所の中国版の創設も目指している。金融、経済、軍事、司法など の全ての分野において中国式のルールを打ち立て、それによって世界を支 配しようと考えているのは明らかだ。

まさに価値観の闘いに、中国は本気で挑んでいるのである。そのことに私 たちは気づかなければならない。米国は、少なくとも国防総省や通商代表 部などの行政組織、それに立法府である議会、とりわけ上院は十分に気づ いているはずだ。

だからこそ、米国と台湾の要人の往来を自由にする台湾 旅行法を、上院 は党派を超えて全会一致で支持したのではないか。地政学 上、台湾擁護 は南シナ海の安定に直結する。インド・太平洋を開かれた海 として維持 するには台湾を死守しなければならないという認識であろう。

米中の価値観は全く異なる。対立の根は深い。その中で北朝鮮問題に関し てトランプ大統領の姿勢は大丈夫か。トランプ氏は、中国が北朝鮮を支え 始めてから金正恩朝鮮労働党委員長が変化したと批判した。

中国の支援があるからこそ、北朝鮮は朝鮮半島の非核化とは言っても、 「完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄」(CVID)とは決して言わない。

北朝鮮の路線に乗る限り、トランプ氏の交渉はそれ以前の政権と同じく失 敗に終わるだろう。トランプ氏はその元凶の中国にこそ厳しく対峙しなけ ればならないのである。
『週刊新潮』 2018年6月14日号  日本ルネッサンス 第806回



            
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重 要 情 報
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 ◎大阪北部地震−SNS情報−蔡英文 Tsai Ing-wen @iingwen

蔡英文 Tsai Ing-wenさんが安倍晋三をリツイートしました

日本の近畿地方で発生した地震で被害に遭われた日本国民の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

また、被害に遭われた方々の速やかな回復と被災地の早期復旧を心からお祈り申し上げます。

台湾は震災後の動向に注目していくとともに、日本に対して出来る限り必要な支援を行う用意をしています。蔡英文 Tsai Ing-wenさんが追加
______________
安倍晋三 @AbeShinzo

#大阪府 北部を震源とする地震で、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げます。
 - 2018年6月18日21:33


【写真】蔡英文臺灣総統
https://twitter.com/iingwen/status/1008568476468797442
【SNS情報】蔡英文臺灣総統 2018.06.18 13:58 〔情報収録 − 坂元 誠〕

 ◎長年築き上げてきた技術が不要になる時代の到来:前田正晶

 18日の朝に比亜迪股份有限公司(BYD)の電気自動車を論じていて途中 から、一寸おかしいかなと思い出したことは「中国の電力は安価なのかど うか」という辺りだった。充電の設備がBYD以外にも街中にあるのかなと いう点も気にはなった。走行中のバスが「もうじき電気切れ」というよう な、テレ東の出川哲朗の人気番組「充電させて下さい」のような電気切れ の状態になったらどうする気なのかなとも考えてしまった。

 余談だが、先日一泊した箱根湯本の吉池旅館の駐車場には、これは何か なと一瞬戸惑った充電の設備が用意されていた。旅館業としての先見の明 のなのか、またはお客様向けのサービス精神の表れか否かは解らなかった が、時代はそこまで来たかと感じたのは確かだった。

 それよりも何よりも、私は先進工業国在来型の製品を低い能率で生産す る工場の時代が終焉を告げる時期が予想よりも早くなった気がするのだ。 思い起こせば、1988年に我が社の最新鋭のフィンランド製の抄紙機を導入 したカナダの新工場を技術指導に訪れたN製紙の課長さんが、そのマシン を具に視察・検討されて「我々が長年かけて築き上げてきた熟練と鍛え上 げた勘とに裏付けられた技術が不要になる時代が確実に来る」と予言され た通りになって行く時代になってしまったと思わずにはいられない。

 但し、新時代の超大型生産設備はそれなりの多額の設備投資コストが必 要になるが、生産能力が在来型とはかけ離れて大量になるから、案外に短 期間で投資分を回収してしま得るのだろう。先ほど例に挙げたAPPは中国 に続々と世界最大級の規模の工場と最新鋭のマシンを導入して、先進国の (在来型の生産設備しかない大手)メーカーを凌ぐ競争力がある価格で世 界中に売り回ってきた。だが、その結果からか、アメリカやEUでは高率の 関税で、その最新鋭の高品質の紙が閉め出される目に遭っている。

 即ち、高率の関税で閉め出す保護貿易はオバマ大統領とEUが先鞭を付け ていたことで、何もトランプ様が編み出された特別な手法ではないという 事実があるのだ。オバマ大統領は印刷用紙だけではなく、ドイツからの感 熱紙(キャッシュレジスターのレシートに使われている薄い紙)まで関税 で閉め出してしまった。不思議なことに、この保護貿易政策を非難したり 報じたメデイアは、私が知る限り皆無だった。マスメディアはオバマ大統 領がやったことでは人目を惹かないとでも考えたのだろうか。

 思うに、これから先に最新鋭の生産設備を整えた新興勢力の大工場の製 品と、生産設備の合理化投資もままならなかった嘗ての先進国というか在 来型のと言うか嘗ての世界をリードしてきたメーカーとの競合が暫くの間 は続くのではないのだろうか。だが、製品の質と価格では新興勢力が有利 でも、先進国側は高率の関税による保護貿易策に依存するかFTAの締結な どを主張して自衛策を講じようとするのではないか。

 その結果如何では、先進国の需要者も需要家も自国製の古くて割高な製 品を使わされる事態に直面するのかも知れない。トランプ大統領はその危 険性までを読まれて、中国との貿易戦争(と言って良いのかな?)に打っ て出られたのだろうか。

 ◎後発なるが故に:前田正晶

毎度のことながら、何処の局が流したニュースかは失念したが、その BYD 関連の内容には1997年1月に初めて訪れたインドネシアの、今では世界的 な大製紙会社となった Asia Pulp & Paper(APP) の最新鋭機の、未だ 且つて見たことも無いような大型の能力に圧倒されたのと同じような衝撃 を 受けた。

その抄紙機が凄いという前評判を聞かされていたが、実際にその 規模と 速度と超高速で出て来る紙質を見れば、大袈裟に言えば言葉を失う ほど だった。しかもその機械は日本のM重工製だったのにも圧倒された。 因み に、年産能力は所謂「模造紙」で50万トンだった。

 念の為に申し添えておけば、その数年後だったかに我が国の大手メー カー4社が挙って導入したやや似通った印刷用紙用のマシンの年産能力 が 30〜35万トンで、それでも業界の消息通は「それほど大型の設備を導入 して一体何処に売るという当てがあるのか」と揶揄したほど、当時の我が 国では過剰な生産能力だとの評価が与えられたのだった。

 APPに話を戻そう。この会社は華僑系の財閥が経営するアジアの新興勢 力で、後発なるが故にその新鋭工場に次から次へと導入される抄紙機は何 れも世界最新式で、最早世界最大の製紙国のはずだったアメリカや第2の 我が国には今更新規に設備投資して導入することなどあり得ない超最新鋭 の超大型機のみだった。

簡単に言えば、その新鋭機はほとんど人手を排除し、完全にコンピュータ 制御されており、最初に原料のパルプを投入すれば最後には規定の寸法に 裁断されたコピー用紙が段ボール箱に詰まって出てくるという仕掛けに なっているのだ。

 一寸恥ずかしい比較をすれば、2005年までは世界最大級の上質紙(=模 造紙)メーカーの一角を占めていた我がW社が最後まで運転していた古い マシンの年産能力は15万トンだったのだ。

この比較だけでもAPPのマシン が如何に巨大かが解ろうというもの。即 ち、20世紀末になって製紙業界に 進出してきたAPPや中国や韓国やタイ等 のメーカーは後発なるが故に既存 の大手製紙国が所有しているような 「時代遅れ」の抄紙機は入手できず、 年産能力が50万トンから100万トン にも迫る大型機しか導入できなくなっ ていたのだ。

更なる問題は、これらの新鋭マシンではこれまでの旧型マシンを長年蓄積 してきた経験と技術を活かして高度な品質の紙を製造してきた練達熟練の 現場の技術者を必要としなくなっていたのだった。

機械がその役目を十分 に果たし、熟練した技術者が作ってきた紙に比較 して遜色がなくなってい たのだった。私が「製紙の神様」と称えた某大 手製紙会社の現場の課長さ んも「蓄積してきた技術と経験がものを言わ ぬ時代が近くなった」と嘆息 された。

 今回は製紙業界の変革を語るつもりではなかった。私は深圳の街を走っ ている100数十台のバスや無数のタクシーの大部分は最早「比亜迪股份有 限公司(BYD)」の電気自動車に置き換えられつつあるという報道に衝撃 を受けたのだった。

このニュースを聞いて上記のAPPでの経験を 思い出したのだった。即ち、 中国は自動車産業では後発なるが故に一気に Hybridを通り越して電気自 動車の分野に突入できたのだということだと感 じた。何でも90分の充電 で900 km走行可能とか言われていた。

 比亜迪股份有限公司の日本支社長の説明では「中国には大のっぴきなら ない事情があって電気自動車を推進した」となっていたが、それは兎も 角、欧州では今後はガソリン車の生産を認めないという国まで現れた現在 では、BYDは明らかに我が国対してだけでも一歩も二歩も先んじているこ とになると危惧した。トヨタにしてもホンダにしても現時点では到底BYD には追い付いていないのではないか。追い付く場合の等の投資は生易しい 金額ではあるまい。

 先日も某電器会社の元幹部役員だった方とも語り合ったのだが、こと電 気自動車の時代ともなれば電池の分野で遅れていては追い付いていけぬ時 代となったのは明らかであると振り返っておられた。アメリカのテスラー だって生産能力の他に電池の手配でも行き悩んでいる様子だ。

私は電器自 動車にするのは結構だと思うが、アメリカのように今でもあ れだけ大量の 従来型自動車が走っている国ではどうする気なのかと、ト ランプ様に伺っ て見たい衝動に駆られる。

今や、嘗ての先進国は気が付けば後進国になってしまう危険性が極めて高 い時代となった。スマートフォンを考えて見よ。固定電話が普及しなかっ た後発国ではあの普及振りだ。ここ新宿区に来てイスラム横丁を歩いて見 よ。露天のような店が勝手にビルの壁にガラスケースを設けてスマート フォンを商っている。時の流れの速さと変化は恐ろしいものがある。その うちにBYDの電気自動車が東京の街を疾駆するのではないか。そんなこと があってはなるまい。


 ◎櫻井 よしこ(さくらい よしこ、1945年(昭和20年)10月26日 - ) は、日本のジャーナリスト、ニュースキャスター。国家基本問題研究所理 事長、言論テレビ株式会社会長(代表権なし)、「21世紀の日本と憲法」 有識者会議代表、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」共同代表。本名 は櫻井 良子(さくらい よしこ)。以前は本名の「櫻井良子」名義で活動 していたが、1994年4月に「櫻井よしこ」の表記に改めた。 血液型はO型。



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身 辺 雑 記
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19日の東京湾岸は曇天。NHK今夜は期待の歌番組ナシ。

18日早朝、大阪の大地震には日本中が震え上がりました。被災された各位 に心からお見舞いを申し上げます。主宰者も若い頃JOBK(NHK大阪)の記 者 として枚方(ひらかた)市に住んでおりましたから御心情、よくわか ります。枚方を菅官房長官は「まいかた」と読んだ。あの人は秋田県人に して大学の後輩。悪くいいたくないが不注意すぎるネ。

18日は東京湾岸は曇天下、都立猿江恩賜公園を散歩。他に散歩者は無かった。

昼食は前日残したサンドイッチと牛乳。牛乳大好きで、家人に飲み過ぎ
を注意される。呑み過ぎは毎夜の焼酎も。

曇天で洗濯物の乾きが良くない。雨の直前、午後2時まで干した。

主宰者は若い頃NHK記者として本土復帰前の沖縄に特派されたが、その時 屋外広告で「カフィー・シャープ」というのを見て日本人とはなんと染ま りやすい国民なのだろうと考えさせられた。日給30ドルの出張旅費。
下宿代1日5ドル、タクシー借り上げ代10ドル、残り15ドルは飲食代。

住民はアメリカのスパイだらけ。朝、米軍へ取材に顔を出すと『ミス ター・ワラナベ、ゆうべは励みましたね』と昨夜の回数を言うではない か。何のことはない。相手の売春婦がスパイそのものだったのだった。

君 の東京への報告はこの通りすべて録音しているよと大型の録音機を見 せて 脅すのだった。私のことを警戒するよりÅ新聞のC記者を見張る方が 先じゃ ないかと言ったらA新聞は那覇空港で没収できるが、君のは電波だ から没 収できない、だから発信元から警戒するしか無いのだという。妙 に納得さ せられた。

後年、外務大臣の秘書官になってアメリカとソヴィエトの東京大使館の防 諜 対策ぶりを見せられて興味深かった。ソヴィエトは電話線を鉄筋
コンクリートで囲うがアメリカは裸線をさらしたまま。盗聴線をつながれ たらすぐわかるようにという。アメリカ人とロシア人の物の考え方を示 すようで面白かった。
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創刊日:2004-01-18  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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