政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針4644 号  2018・3・24(土)

2018/03/24

                          
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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4644号
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        2018(平成30)年3月24日(土)



          政治利用された平昌オリンピック:加瀬英明

         脳梗塞「 2時間59分だとOK!」:安井敏裕

         騙されるな、金正恩の瀬戸際外交:櫻井よしこ

       専守防衛の改定と改憲は並行すべし:宝珠山  昇                 

                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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第4644号
                             発行周期 不定期(原則毎日発行)
             
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政治利用された平昌オリンピック
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          加瀬 英明

政治利用された平昌オリンピック “平和”の意味するものとは?

北朝鮮がピョンチャン・オリンピック大会で、世界の注目を浴びたことに よって、金メダルを攫った。

本来、オリンピックの政治利用は、固く禁じられているはずだが、かつて オリンピックをいっぱいにまで政治目的に使ったのは、ヒトラーのナチ ス・ドイツだった。

今日まで、オリンピックのシンボルとなっている“聖火リレー”は、1936年 のベルリン大会に当たって、ナチスの宣伝省が考案したものだった。

1980年に、ブレジネフ書記長のソ連がモスクワ大会を主催したが、前年、 ソ連軍がアフガニスタンに侵攻したために、西側諸国や、日本がボイコッ トした。

 2008年の北京大会も、中国の全体主義体制を宣伝するために行われた が、世界は中国がチベット、新疆ウィグル、内モンゴルを侵略して支配し ていることに、目を瞑った。

もし、オリンピックが『平和の祭典』であるのならば、平和愛好国のみが 参加することを、許されるべきであろう。

北朝鮮は、核兵器とさまざまなミサイルを開発して、アメリカ、日本、韓 国に露骨な威嚇を加えているのにかかわらず、ピョンチャン・オリンピッ ク大会に、選手、美女応援団を派遣することを許され、韓国の文在寅大統 領が北朝鮮の最高位の代表たちを招いて、手厚く歓待した。

安倍首相が国内の一部の反対を押し切って、開会式に出席したのは、正解 だった。日本にとって韓国は日本に甘えてばかりいる、出来の悪い弟であ るが、弟の慶事に当たっては、兄が参加するのは当然のことだ。兄の言い 分をはっきりと伝えたのは、有益だった。

それにしても、北朝鮮による拉致問題は、解決の糸口も掴むことができな いでいる。

安倍政権の「無策」を非難する声も、あがっている。

それだったら、いったいどのような方策を講じたら、よいのだろうか。

拉致問題は、建国以来犯罪的な「ならず者国家」であってきた、北朝鮮の 責任である。

もう一つ、日本でまったく論じられないことがある。

拉致被害者たちは、日本国憲法の犠牲者である。

もし日本が講和条約によって、独立を回復してから、マッカーサー憲法を 十数年以内に改正して、イギリスか、フランス並みの軍事力を持っていた としたら、北朝鮮のようにみすぼらしい小国によって侮られて、多くの日 本国民が国内から次々と拉致されることは、ありえなかったことだ。

イギリスとフランスは、GDPがそれぞれ日本の半分しかないが、航空母 艦も、核ミサイルを搭載した原子力潜水艦も、保有している。両国は「専 守防衛」といった、阿呆らしい寝言をいっていないが、誰もが平和愛好国 だと認めている。

オリンピックが、けつして「平和の祭典」ではないことは、誰の目にも明 らかだ。

多くの日本国民が日本国憲法を、「平和憲法」と呼んでいる。だが、自国 の国民がそのために国内から拉致されても、「平和憲法」と呼び続けるこ とができるのだろうか。

拉致被害者が日本国憲法の被害者だということに、目を覚ますべきだ。

このままいけば、全国民がこの憲法の犠牲者になりかねない。



       
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脳梗塞「 2時間59分だとOK!」
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           安井 敏裕 

脳卒中とは、脳に酸素やブドウ糖などの栄養を送る血管が「詰まったり、 切れたり、破裂して」、にわかに倒れる病気の総称である。脳卒中には、 脳梗塞(詰まる)、脳出血(切れる)、くも膜下出血(破裂)の3
種類ある。

この病気の歴史は古く、「医学の父」と言われているヒポクラテスは既に 今から2400年前の紀元前400年頃に、この脳卒中の存在を認識し「急に起 こる麻痺」という表現で記載している。脳卒中による死亡率は日本では 癌、心臓病に次ぎ、第3位で、毎年15万人程度の人が亡くなっている。

しかし、本当に問題となるのは、脳卒中が原因で障害を持ち入院あるいは 通院している人たちが、その約10倍の150万人もいることである。現在、 脳卒中の中では、脳梗塞の発生頻度が突出して多い。2分20秒に一人が脳 梗塞になっていると言うデータもあり、全脳卒中の70%程度を占めている。

この最も多い脳卒中である「脳梗塞」について、大きな治療上の進歩が あったので紹介する。

脳梗塞は、脳の動脈が血栓や塞栓という血の固まりのために詰まることで 起こる。この血の固まりで閉塞された血管から血流を受けていた部分の脳 は、いきなり脳梗塞という不可逆的な状態になってしまうのではなく、数 時間の猶予があり、徐々に脳梗塞になる。

この数時間の間に血流を再開してやれば、再度、機能を回復できることに なる。いわば、「眠れる森の美女」のような状態で、医学的には、このよ うな状態の部分の脳を「ペナンブラ」と言う。見方を変えると、この部分 は、血流が再開しないと数時間後には脳梗塞という不可逆的な状態となっ てしまう訳である。

このペナンブラの部分に血流を再開する方法として、古くは開頭手術をし て、目的の血管を切開し、中に詰まっている血の固まりを取り除く方法を 行っていたこともあるが、それでは、多くの場合に時間がかかりすぎ、再 開通させた時には、ペナンブラの部分は既に脳梗塞になっている。また、 間に合わないばかりか、出血性梗塞というさらに悪い状況になってしまう ことさえある。

開頭術の次に登場した再開通法は、カテーテルという長い管を血管の中に 通し、その先端を詰まった部分にまで誘導して、血栓を溶かす薬を注入す る方法である。

この方法では開頭手術よりも早く、血管を再開通させることができるが、 この方法であっても、血管が閉塞してから6時間以内に再開通させないと ペナンブラが脳梗塞になってしまうことが防げないし、間に合わずに血流 を再開させた場合には、やはり脳出血が起こってしまう。

このようなことから、一時、我々脳卒中に関わる医師は、口には出さない が、最も理屈にあった治療法である「急性期に閉塞血管を再開通させて脳 梗塞になることを防ぐ」と言う治療を諦め、虚無的になっていた時期があ る。再開通させることを諦め、梗塞に陥ってしまった脳自体の治療とし て、脳保護薬や低体温療法へと興味が移行していた時期もあった。

しかし、米国で1996年から特別な手技や道具が不要で、ただ静脈内注射す るだけで詰まった血管の血栓を溶かしてくれるアルテプラーゼと言う薬の 使用が始まり、2002年にはヨーロッパ連合(EU)でもこの薬剤による血栓 溶解療法が認可された。

わが国でも日本脳卒中学会を中心にこの薬の早期承認を厚生労働省に求め たが、「日本人を対象とした治験で良い結果が出ない限り承認できない」 という厚生労働省の方針に答える準備のために時間がかかり(drug lag)、米国から遅れること約10年の2005年10月11日に漸く承認された。

この薬は血管に詰まった血栓を溶かしてくれる血栓溶解剤で、発症後3時 間以内に静脈内注射するだけで良好な予後が得られる。

しかし、この薬剤は両刃の剣で、39項目に亘る使用基準を尊守しないと、 脳出血の危険性が著しく増大することが分かっている。従って、厚生労働 省も非常に厳しく市販後調査(2.5年間に3000例以上の全例調査)を課し ている。現在は、言わば試運転ないしは仮免状態と心得て、慎重に使用す る必要がある。

この薬剤を用いるためには、一定の講習を受ける必要があり、全国で130 回以上行われ、8000人以上が受講した。実際に、この薬剤を発症後3時間 以内に注射するには、患者さんには、遅くとも発症後2時間以内に病院へ 到着してもらう必要がある。

すなわち、病院へ到着しても、患者の診察、一般検査、脳のCT検査、家族 への説明など、最低1時間は必要であるためである。そのために、最初に この薬剤の使用を始めた米国では、脳梗塞を“ブレインアタック(brain attack)”と言い直し、社会全体に向かって、その緊急性を啓発した。

すなわち、“Time is brain. Time loss is brain loss.”などの標語で注 意を喚起した。日本においても脳梗塞を“ブレインアタック”という緊急を 要する疾患として一般の方々に認識していただくために、学会や医師会な どの啓発運動も行なわれるようになっている。

さらに、平成9年3月に創設された日本脳卒中協会においても、毎年5月25 日〜5月31日までの一週間を脳卒中週間と定め啓発運動に努めるように なっている。脳卒中週間をこの時期にしたのは、とかく脳卒中は冬に多い と思われがちであるが、脳卒中の中で最も多い脳梗塞は、最近の研究では 6−8月に増えだすため、脳卒中予防は夏から気をつけなければならないこ とを啓発するためである。

この週間で使用される標語も、昨年(2006年)はアルテプラーゼの使用が 認められたことを念頭において「一分が分ける運命、脳卒中」であった。 2001年の日本での脳梗塞急性期来院時間調査の結果では36.8%の患者が3時 間以内に来院している。この中の一部の方がアルテプラーゼ治療を受ける ことになるが、この割合をさらに増やして、本薬剤の恩恵を受ける人を増 やす必要がある。

この治療では10年の経験を持つ米国では、この治療を受けるためには、? 患者の知識、?救急車要請、?救急隊システム、?救急外来、?脳卒中専門 チーム、?脳卒中専門病棟、とういう6つの連鎖の充実と潤滑な流れを推 奨している。
 
一般市民への啓発や行政への働きかけなどが必要である。一方で、来院か ら治療までの時間も1時間以内にする努力が病院側に求められている。い つでも、3人程度の医師が対応できなければならないし、他職種(レント ゲン部門、検査部門、看護部門)の協力も不可欠である。(了)
(大阪市立総合医療センター・脳神経外医師)


 
          
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騙されるな、金正恩の瀬戸際外交
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        櫻井よしこ

ドナルド・トランプ、金正恩、文在寅――3人のユニークな国家指導者が繰 り広げる外交が米朝首脳会談に結びつき、朝鮮半島情勢が安定するとは思 えない。

3人の共通項は、早急に大きな果実を手にしたいという思惑だ。トランプ 大統領は秋の中間選挙を前に低いままの支持率を押し上げたい。

金朝鮮労働党委員長の足下では高齢者や子供たちの中から餓死者が出始め ている。正恩氏は困窮した経済を脱して生き残らなければならない。

文大統領は国民がその危険に気づく前に1日も早く憲法を改正し、韓国を 社会主義化してしまいたい。

三者三様の思惑が、急展開する外交の背景にある。3月5日、文大統領の特 使団として北朝鮮を訪れた鄭義溶国家安保室長及び徐薫国家情報院長は、 翌日韓国に戻り、北朝鮮の体制の安全が保障されれば核を保有する理由は ないという正恩氏の伝言を発表した。正恩氏はトランプ氏に「出来るだけ 早く会いたい」とも伝えてきたという。

鄭氏らは南北会談の内容を報告するために8日午前、ワシントンに到着、 午後にはホワイトハウスに招かれた。鄭氏はマクマスター国家安全保障問 題担当大統領補佐官に、徐氏はハスペルCIA副長官に直接報告した。

その後、右の4人にペンス副大統領、マティス国防長官、コーツ国家情報 長官、ダンフォード統合参謀本部議長、ケリー首席補佐官が合流、在米韓 国大使も参加した。

鄭氏らはトランプ大統領とは翌日、会談する予定だったが、韓国代表団が ホワイトハウスにいると知った大統領が待ちきれずに彼らを執務室に招き 入れた。

米朝首脳会談を望んでいるとの正恩氏の申し入れなどについて、トランプ 氏はすでにCIA情報で把握していたと「ニューヨーク・タイムズ」 (NYT)紙などが報じた。

外交素人のトランプ氏

トランプ氏は実は、韓国代表団がワシントンに到着する8日午前よりも前 の段階で、正恩氏の提案についてティラーソン国務長官に電話で伝えてい た。但し、最も重要なこと、正恩氏との首脳会談に応じるという結論は、 伝えていない。そのかわりに同日午後5時8分に「会談を計画中だ!」とツ イッターで発信したのである。外交を担うティラーソン氏はどんな気持 だったろうか。

さて、大統領執務室に招かれた鄭氏らはどうなったか。鄭氏の説明を聞く や否や、トランプ氏は正恩氏に4月にも会うと答えた。慌てたのは鄭氏で ある。文大統領の先を越されては困る。そこで南北会談の後がよい、5月 だということになった。

これだけでも前代未聞の即断即決、大国外交にあるまじき異常事態だが異 常はまだ続いた。トランプ氏は、米朝首脳会談実現へというニュースを、 そのまま、ホワイトハウスで発表することを提案したそうだ。

その性急さに驚いた鄭氏は、マクマスター補佐官の部屋に急ぎ、発表文作 成の共同作業に入った。それから、盗聴されない電話で、恐らく就寝中 だった文大統領に連絡して事の推移を説明し、了承を得たという(NYT 紙)。

その間にトランプ氏は何をしたか。普段は「フェイクニュースだ!」と忌 み嫌っているメディア各社が控える記者会見室に自ら足を運び、「鼻 高々」でこう予告した。

「間もなく重要発表があるぜ」

ティラーソン国務長官、マティス国防長官、マクマスター補佐官、ケリー 首席補佐官らトランプ氏の側近はいずれも、正恩氏からの首脳会談申し入 れへの対応について事前に大統領から意見を聞かれたりしていない。中国 が背後に控える北朝鮮政策で、アメリカは国家戦略を練るまでもなく外交 素人のトランプ氏の気まぐれに任せるしかないのか。

韓国政府代表団がホワイトハウスの会見室で発表することについても異論 が出た。結果として記者会見室ではなく、ホワイトハウスの敷地内の道路 上で青空会見を開くことになった。それでも、韓国政府要人が重要な外交 政策に関して、トランプ大統領の決定を発表した点において、同会見は歴 史に残る異例のものだった。

トランプ氏の決断の危うさは、しかし、翌日には早くも明らかにされた。 サンダース報道官が、米朝首脳会談開催には前提条件がある、「金正恩氏 が非核化の具体的かつ検証可能な行動をとらない限り、大統領は会わな い」と発表したのだ。前日の大統領発言を否定したのである。

9日午後の同会見では、トランプ氏の決断についての質問が繰り返され た。正恩氏の非核化の約束など信じられるのか、拘束されているアメリカ 人3人を取り戻すことも要求せず、なぜ会うのか、2か月の準備期間で正恩 氏の約束履行を確認できるのか、大統領は記者会見室ですごいニュースを 発表すると言ったが、中国など関係諸国に通知する前にマスコミに発表し てよいのか。

北朝鮮の狙い

ホワイトハウスも国防総省も突然の発表に驚いている、彼らはマスコミ報 道で大統領の決断を知った、そのような外交は危険ではないか、などと、 質問は果てしなく続いた。

サンダース氏は、北朝鮮の核廃棄など具体的行動があって、初めて首脳会 談が行われる、具体的行動なくして首脳会談はないと繰り返した。

トランプ氏は恐らく米朝外交の詳しい歴史も複雑な内容も、北朝鮮の嘘に まみれた厚かましい外交手法も、十分に知らないに違いない。「ぶれずに 圧力をかけたのは自分だ。自分に正恩氏はかなわない」と過信しているの ではないか。圧力の効果はそのとおりだが、それでも余りにも拙速なトラ ンプ外交への揺り戻しが政権内から出たに違いない。

北朝鮮の主張する非核化と、日本やアメリカが主張してきた非核化は、言 葉は同じでも意味は全く異なる。

日米を含む世界が主張する非核化は北朝鮮の保有する全核物質、核関連施 設、核兵器開発計画そのものを、「完全に」「検証可能な」「不可逆的 な」方法で「解体」するというものだ。これは通常「CVID」 (Complete, Verifiable, and Irreversible Dismantlement)と呼ばれる。

他方、北朝鮮の主張する非核化は「自衛用の北朝鮮の核を廃棄する前に、 北朝鮮に核武装を迫った原因、つまりアメリカの核の脅威を取り除くこと が必要だ。アメリカが朝鮮半島から核を撤去すれば北朝鮮も核を放棄す る。結果として、朝鮮半島の非核化が実現する」というものだ。

北朝鮮の主張はさらに続く可能性もある。たとえば、朝鮮半島に核を置か なくても、ミサイルに搭載して攻撃できる。それを確実に避けるために、 米韓同盟も解消して米軍は撤退してほしいというようなことだ。とどのつ まり、北朝鮮の狙いは米韓や日米の切り離しであることを忘れてはならない。
『週刊新潮』 2018年3月22日号 日本ルネッサンス 第795回




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専守防衛の改定と改憲は並行すべし
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         宝珠山  昇

〇 北岡伸一東大名誉教授は、読売新聞2018・3・18付の第一面で「専守 防衛は国是なのか、反撃力明確化、改憲に優先」などと題して、次の趣旨 の提案をされている。

△「専守防衛」の範囲は、鳩山見解(注)および国際法の常識よりはるか に狭い。国是だという言い方もされるが、国是とは何かについて明確な規 定はない。国是といえども政策的な選択であり、国家の最高法規である憲 法よりは下に位置づけられよう。憲法のように改定規定はないが、改めら れないものではあるまい。

鳩山見解が提示されたとき、日本の周囲にはさしたる脅威は存在しなかっ た。今では、北朝鮮は核、ミサイルを保有し、しかも日本に対して脅迫的 な言辞を弄している。しかし、日本は敵基地攻撃能力などを持たず、これ らを米国の反撃に期待したり、ミサイル防衛で対処しようとしている。

が、いずれもその確実度は劣る。故に、専守防衛の改定―専守防衛を、鳩 山首相の見解に近いラインで明確化することを提案する。

現在安倍政権で検討されている自衛隊加憲案では「自衛隊の行動範囲や権 限は拡大しない。他方で、この専守防衛の改定では、自衛隊の行動範囲は はるかに広がる。憲法も専守防衛の見直しもできればよいが、どちらか一 つなら、こちら(専守防衛の改定)に政治資源を投入すべきだと考える。

〇老生は、どちらか一つを選択する課題ではなく、並行して進められるべ きものと考える。

理由の一つは、専守防衛は、固定概念ではなく、保有する自衛権行使能力 と防衛環境の従属変数であり、現在の安全保障環境は、鳩山見解も包含し 得るもの、国際法に基づく自衛権行使の範囲内にあるもの、と解し得る状 況に至っていると解するからである。

二つは、専守防衛の改定の実質である敵基地攻撃・反撃の能力は、一朝一 夕に保有できるものではなく、十年単位での装備、基地等の取得、要員の 教育訓練、などの自助努力を要するものであるからである。

三つは、専守防衛の改定を優先すべきとの主張は、戦後左翼などの反対勢 力の常套戦術に嵌る可能性が大きいからである。

専守防衛の改定=敵基地攻撃・反撃能力の充実は、強力な関心者などの賛 同により達成できる。だが、憲法改正は、通常は関心を持たない国民も含 めて多数の賛成を得なければ成就できないものである。衆参両院の3分の2 の賛同がなければ「発議」さえできない。

戦後左翼勢力などは、これらを利用して、国益軽視の不毛の九条論議など を繰り返し、国権の最高機関の不作為を導き、日本の独立度の向上を阻害 しているとも言える。

このような戦後左翼などの反対勢力にとって、憲法改正は全面戦であり、 専守防衛の改定は局地戦である、局地戦では妥協できても、全面戦では妥 協できまい。

専守防衛の改定を優先すべきとの主張は、大衆の焦点を局地戦に絞らせ て、全面戦を遅延させたり、全面戦も局地戦も有利にしたり、する彼らの 常套戦術に乗せられる可能性が大きい。
 
自衛隊加憲は、憲法を盾にして、専守防衛の改定などの独立国に相応しい 論議を妨害などする力を未来永劫に削減させることができるものである。

なお、北岡名誉教授の「反撃能力があると、先制攻撃に使う恐れがある、 という主張は杞憂」は全く同意見である。わが国には、大量の核兵器、 ICBM等を装備している諸国に対して、そんな軍事行動を仕掛ける指導 者などはいない。万一にも、そんな選択をしようとする指導者などがいて も、今日の日本の国権の最高機関はこれを排除し得ると確信している。

(注:1956年2月の鳩山一郎首相の見解は、衆議院内閣委員会で、日本の 攻撃能力の法的限界について「わが国土に対し、誘導弾などによる攻撃が 行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは考えら れない」と述べた。

「誘導弾などによる攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限 り、誘導弾などの基地をたたくことは、法理的に自衛の範囲に含まれ、可 能である」とも語っている。この見解は今日も踏襲されている。)  

〇慶大教授 添谷芳秀氏は、2018年3月20日の読売新聞13面で「憲法改正 は国の戦略を固めて、それに基づいて議論をすべきだ。私の主張は、国際 主義を哲学とする9条の改正だ。9条は戦後一貫して日本の国際貢献の障害 となってきた。全面的な集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障への自 衛隊の参加を可能にすることが、国際国家である日本の安全保障政策に とって重要だ。―――憲法改正は国家的大事業だ。政治が国民に9条改正を働 きかけ、世論を醸成しようとしないまま、中途半端な改憲を試みるのは本 末転倒だ。」などと述べている。

これは、先人が、対日講和交渉以来、国防環境の激化などに対応して、自 衛権行使体制の整備に努め、国際貢献体制を整える等してきた歴史を、理 解できないか、無視し、先人を愚弄する、思い上がりも甚だしい、「自衛 隊加憲」の意義を理解しないか、理解できない、戦後左翼の憲法改正妨害 論と異ならない、主張である、等と老生には見えて、悲しくさせるもので ある。

上述の「私の主張」などは、戦後の国防政策に関わる人々にとっては常識 である。自衛隊創設後も、同様の主張は、特に、旧日本軍人から強力に繰 り返しなされている。

しかし、これらの主張は、「目標論」として異存は少ないものの、彼らに は、これを達成する「方法論」のない、無責任なものであった。戦後左翼 勢力の妨害を排除し、所要の予算を確保し、防衛力の6要素(知力、人 力、装備力、補給力、施設力、訓練力)を整備し、諸国の誤解を解消など できる現実的・具体的な手段・方策などは提示できなかった。

先人は、これらを総合的に勘案しながら、昭和32年(1957年)5月20日閣 議決定の「国防の基本方針」などに示されているように、「国力国情に応 じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備」する とともに、安全保障環境の激化などに対応して国際貢献体制を整える等し てきたのである。

自衛隊加憲は、「私の主張」を論議することを、これまでと同様全く排除 しないし、普通の独立国に相応しい国防・安全保障論議を促進できるもの である。「中途半端な改憲を試みる」ものではない。

また、「私の主張」は、現行の憲法の下でも、法律の制定によって実行で きる可能性があるものであり、憲法の中に明記されなければできないもの ではない。

論議されている改憲案に不満があるなら、「私の主張」などを憲法に盛り 込み、「国会の発議」可能性がある改憲案を提示して発言してほしい。少 なくとも自衛隊加憲を妨害しないでほしい。 (2018年3月23日 .記)

〇以上の老生の呟きについてご興味をお持ちいただける方は、2017年6月 19日以降の「頂門の一針」、「国際平和戦略研究所」(CISS)のHP の「提言」欄や、老生のHP[ http://natdef.exblog.jp ]の憲法改正 の項などを参照いただければ幸いです。またこれまでに掲載されたものと 重複があることをお許し願います。(老生の呟き)



         
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最 新 情 報
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 ◎米上院、18年度の大型歳出法案を可決 136兆円規模

【3月23日 AFP】(更新)米上院は23日、2018会計年度の歳出法案を65対 32の賛成多数で可決した。現行のつなぎ予算の期限が迫るなか、今年3度 目の政府機関の閉鎖を回避した。

今回の1兆3000億ドル(約136兆円)規模の歳出法案は、22日に下院でも可 決されている。ホワイトハウス(White House)へと送られ、同法案への 支持を表明しているドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の署名 を経て成立する。

法案では国防予算や国内予算の拡大、国境警備の強化、インフラ整備と学 生ローン事業への資金供給などが盛り込まれている。一方で、不法移民の 保護や健康保険の価格維持に向けた取り組みについては触れられていない。

今年9月30日までの18年度の国防予算はおよそ7000億ドル(約73兆4000億 円)に上り、前年度比で610億ドル(約6兆4000億円)増。国防予算をのぞ いた国内予算は、前年度比およそ10%増の5910億ドル(約62兆円)となる 見込み。

【写真】 米首都ワシントンの連邦議会議事堂(2018年2月28日撮影)。 (c)AFP PHOTO / Alex Edelman
<http://www.afpbb.com/articles/-/3168510?cx_position=7>http://www.afpbb.com/articles/-/3168510?cx_position=7
【AFP】 2018年3月23日 15:14 〔情報収録 − 坂元 誠〕


 ◎寒さと雪に閉じ込められて:前田正晶

21日は春分だったとそうだが、寒さに加えて午後からは雨が雪に変わって しまう始末。そもそも気象病を抱えている身にとっては最悪だった。朝か ら即ち、体調が整わず言うなれば気力だけで何とか過ごしていた。

家の中でジッとしている以外に対処の方法がなく、テレビを見れば各局は ここを先途と安倍政権を貶める「文書書き換え問題」の揚げ足取りばか り。そうでなければ、愚にもつかない貴乃花部屋の力士が付き人を殴った 話について、偉そうに「暴力排除」と講釈。

マスメディアと野党連合は何が何でも安倍総理夫妻が近畿財務局に圧力を 加えて国有財産を廉売させたと言いたいようだ。さもなければ、佐川前理 財局長が文書書き換えをさせたと証言させたいようで、暇さえあれば「証 人喚問せよ」と騒ぎ立てている。

私は与党も安倍内閣も何時かは折れる以外に決着がつかないと思っていた が、結果的には無用に事を引っ張り過ぎた感が否めない。佐川氏が「刑事 訴追を受ける恐れあり」と逃げるだろう事は私にも予期できる程度の案件 ではないのか。

現時点までのところではマスメディアと野党連合の安倍内閣の印象を悪化 させる(カタカナ語にすれば「イメージダウン」か)プロジェクトは目出 度く成功したかのようで、世論調査では支持率を軒並み30%台にまで落ち 込ませたのだった。ここまで来ればあと一息で退陣に追い込めるか、9月 の選挙で3選を阻止してて憲法改正をも阻止と行きたいのだろう。だが、 果たして国民はそこまでアホばかりだろうか。

野党の連中は何かと言えば「国民は首相と麻生氏の説明に納得していな い」とほざくが、私は現在まで約85年ほど国民をやっているから言うのだ が、野党の連中の言うことの方が余程納得しがたいし、安倍政権の言うこ とはチャンと納得している。

もしも安倍総理にこれまでのところで瑕疵があったとすれば、それはあの 昭恵夫人の監督不行き届きだった点だろう。あれは明らかな過失でマスメ ディアと野党連合に付け込む隙を与える結果となった。

この文書書き換え問題でのマスメディアと野党連合の騒ぎ立ては極めて不 愉快な一件だが、その他にも前川元だが前だか知らぬが文科事務次官を巡 る案件も不愉快極まりない。あれほどのインチキな人物が何時まで経って も偉そうに語るだけではなく、解任された恨みでも晴らそうという気か、 安倍内閣の支持率が落ちそうな行動ばかり取って見せている。そこにそれ に乗せられて文科省に要らざるちょっかいを出した自民党の質の低い衆参 両議員がいたことも情けなかった。

私は何度でも同じ主張をしたいのだが、今やこんな枝葉末節というか些末 な揚げ足取りを国会で展開している時期ではないのだ。トランプ大統領対 金正恩の会談の下準備の協議が北欧で進行中だが、我が国がお呼びではな い立場は不変だ。中国とロシアには半永久政権が誕生し虎視眈々と四方八 方への進出が企図されている。韓国では北にただひたすら阿る大統領の作 戦が着々と軌道に乗りそうな事態だ。こういう時に何が文書書き換えで、 何が前川だと言いたいのだ。

安倍総理の盟友であるはずのトランプ大統領は「アメリカファースト」の 旗印の下に保護貿易主義を相変わらず真っ向から打ち出しているのだが、 我が国では総理も麻生財務相も河野外相も国内に閉じ込められて、一向に 激変の世界情勢に対する適切な手を打つというか、諸外国の首脳に会いに 行く暇がないのは大きなマイナスではないのか。その点を指摘すべきマス コミは、やれ支持率が最低に落ちたの何のと、私に言わせれば空疎な「手 柄話」としか思えない報道ばかり。

彼らマスメディアと野党連合は何としても安倍総理の三選と憲法改正を 阻止したいのであって、その大目的の為には手段を選ばずというか、次か ら次へと安倍内閣にとって不利となる材料を見つけてくるか、あるいは でっち上げに奔走しているのだ。

彼らの大合唱の前に会えば、時には私のような純真無垢な高齢者は「もし かして安倍内閣も与党も怪しからん連中なのか」と、ふと錯覚に陥ること すらある。

そういう不穏な連中が蔓延っている状況下では、罪なき一般の国民は「不 正を働く安倍政権降ろすべし」と思わせられ、且つ言わされても不思議で はないだろうと危惧するものだ。そういう状況にあるから、春分の日に雪 が降ったりして私の体調を乱すのだ。あれもこれも皆マスメディアと野党 連合が悪いのだ。アーア。



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身 辺 雑 記
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24 日の東京湾岸は快晴、爽快。

枯れ木色一色だった公園も桜が咲いて急ににぎやかになった。土曜日曜は

花見客で混むだろう。



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