政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針4620 号  2018・2・28(水)

2018/02/28

              
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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4620号
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        2018(平成30)年2月28日(水)



                眞子内親王殿下と秋篠宮家の蹉跌:加瀬英明

                      安邦保険を中国政府が救済:宮崎正弘

          予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦:櫻井よしこ

    金正恩は“国宝”核ミサイルを手放さない:杉浦正章
 
                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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第46120号
                             発行周期 不定期(原則毎日発行)
             
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眞子内親王殿下と秋篠宮家の蹉跌
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        加瀬 英明


      憲法第24条に従って

宮内庁が2月6日に、秋篠宮家の長女の眞子内親王殿下と、小室圭氏の婚 儀を2020年に延期すると唐突に発表して、国民を驚かせた時に、私は「や はり、そうなったのか」と、思った。

眞子内親王殿下と小室氏の一般なら結納に当たる「納采(のうさい)の儀」 が、1ヶ月にみたない翌月の4日に、予定されていた。まさに、悲喜劇 だった。

私は眞子内親王殿下が、小室氏と2人で昨年9月3日に記者会見を行われ た時に、日本と皇室の将来が危ふいと思って、暗然として、言葉を失った。

眞子内親王殿下が「婚約が内定いたしましたことを、誠にうれしく思って おります。(略)プロポーズは、その場でお受けしました」と述べられ、 小室氏が悪びれることなく、「2013年12月に、私から宮さまに『将来結婚 しましよう』というように申し上げました」と補足した時に、私は一瞬、 テレビの映像を信じることができなかった。

眞子内親王殿下と小室氏は、秋篠宮殿下にも、宮内庁にもはかることな く、あきらかに2人だけのあいだで、結婚を決めたのだった。

ひと昔、4、50年前だったとしたら、2人が駆け落ちしたのだった。

私はあってはならないことが、起ったと思って、強い衝撃を受けた。

現行憲法の第24条「【家族生活における個人の尊厳と両性の平等】」は、 第1項で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」(傍点筆者)と、規 定している。

内親王殿下と小室氏の若い2人は、憲法第24条に従って、行動したのだった。

これは、アメリカ占領軍が、家族制度が日本の危険な国家主義の基礎と なっていると信じて、日本の伝統社会をつくり変えようとして、家族制度 を破壊するために、定めたものだった。

私は昨年9月に、2人の記者会見の中で、小室氏が「(私の)好きな言葉 は、”Let it be”です」と述べたのにも、唖然とした。

英語で「レット・イット・ビー」というと、「なるように、なれ」とい う、自暴自棄な態度を意味している。

もっとも、小室氏の英語の能力が低く、英語がよく分からないことを、祈 りたい。

それに、メディアの報道によれば、小室氏は法律事務所の下働きをしてお り、年収が250万円というが、それに近いのだろう。真剣になって、皇 女 に求婚したととうてい思えない。

もっとも、今日、国民のあいだでも、家族の絆が弱まって、「家」の観念 が失われるようになっている。

やはり、天皇家も時代の高波によって、侵蝕されるようになっているのだ ろうか。

 家族の解体

皇室といえば、『君が代』を連想しよう。 

和歌君が代は、おそらく世界のなかで、今日まで歌い継がれている、もっ とも古い祝い歌であろう。

『君が代』の歌詞は、1000首以上を収録している、『古今和歌集』(西暦 905年)に載っているが、もとの歌は「わが君は千代に八千代に‥‥」と 始まっており、庶民を含めて、婚礼をはじめとする祝賀の宴で、祝われる 者の長寿を願って、朗唱されてきた。

明治に入って、西洋に倣って、国歌が制定されると、「わが君」を「君が 代」に置き換えた。

同じ寿歌(ほぎうた)が1100年以上にもわたって、唄い続けられている国 は、世界のなかで日本しかない。古い伝統を大事にしてきた国柄を、示し ている。

おそらく人類の祝い事のなかで、世界のどこにおいても、結婚がもっとも 寿(ことほ)がれるものだろう。

結婚するから、家――あるいは家族(ファミリー)が絶えることなく、人類が 存続でき、未来を確かなものにすることができることを、理屈抜きで、 知っているからだろう。

ところが、今日では結婚は、男女2人の一過性の快楽を求めるために行わ れる、ごく軽い結びつきに、変わってしまっている。

現行憲法の規定によれば、親や兄弟や、一族は、2人の結婚とかかわりが なく、2人の結婚に干渉してはならないことと、されている。

2人が家を継いでゆくために、結ばれることが、なくなってしまった。

だが、家族(ファミリー)が解体してしまったら、国も崩壊してしまう。

もっとも、家族の解体は、日本だけの現象ではない。

同じ立憲君主制度をとっているイギリスの王室も、同じような状況に陥っ ている。

昨年11月に、イギリスのヘンリー王子(イギリスでは、ハリー王子の愛称 で呼ばれる)と、美しいアメリカ女優のメーガン・マークルさんの婚約が 発表され、日本のマスコミも騒がした。

マークルさんはカトリック(旧)教徒だが、2人の婚約はイギリスで王族 がカトリック教徒と結婚することを禁じた王位継承法が、5年前の2013年 に改正されたことによって、可能になった。イギリス国教会は中世にカト リック教会から独立して以来、激しく敵対していた。

マークルさんには、1回、離婚経験があり、前夫のハリウッド映画プロ デューサーが健在であることも、妨げにならなかった。

また、マークルさんの母親がアフリカ系の黒人であることも、ハリー王子 との婚約の障害にならなかった。だが、5、60年前のイギリスであった ら、考えられなかったことだった。

チャーチル元首相をはじめ、国民のほぼ全員が、白人の有色人種に対する 絶対的な優位を確信して、有色人種を動物のように見て、植民地支配を 行っていたことを、正当化していた。

日本が先の大戦によって、まずアジアを解放し、その高い波がアフリカ大 陸まで洗ったことによって、今日の人種平等が常識となった世界が、もた らされたのだった。

ハリー王子とマークルさんの2人の幸せを、祈りたい。

 王家の尊厳

私はイギリス発祥の『ブリタニカ(大英)百科事典』の最初の外国語版と なった、日本語版の初代編集長をつとめていたことから、エリザベス女王 の妹君のマーガレット王女が来日された時に、大使館主催の歓迎パーティ で、お話する役目を割り振られたことがあった。

だが、マークル妃と会っても、同じように敬意を払えないと思う。

エリザベス女王がフィリップ殿下と結婚された時には、王族が結婚できる ファミリーは、200あまりしかなかったろうが、この40年ほどのあいだ に、社会の大衆化が進んだことによって、社会規範が大きく変わった。

ハリー王子の父君のチャーチル皇太子が、ダイアナ妃と結婚したのは、 1981年だったが、ダイアナ妃は下級の貴族の出身だったから、国民を驚か せ、イギリス社会を“シンデレラ・ストーリー”として、沸かせた。

開かれた王室は、大衆の手の届くところに降りてくるから、大衆化して、 王室らしくなくなる。

王家という家を基準とせずに、自分本位の自由恋愛によって、配偶者を選 ぶことになると、王家を支える尊厳が失われてしまう。

その家にふさわしい配偶者ではなく、自分本位に自由に相手を選ぶことに よって、結婚と家が切り離された。

それに、ついこのあいだまで、世界はどこへ行っても、貧しかった。

そのために、家族や地域社会の人々が、生活を支え合った。

ところが、物質的な豊かさが、急速にもたらされたことによって、人類に とって当然のことだった、家族をはじめとする絆を弱めて、破壊してし まった。

子育て支援や、生活保護などの福祉制度も、このような傾向を助長している。

世界のどこへ行っても、結婚は今日のように一時的な快楽ではなく、家 や、社会に対する務めであって、神聖な行為だった。

結婚は責任をともない、自制と節度を必要とした。もちろん、人類を存続 させるためという、暗黙の了解があったにちがいない。

 皇室も、社会の一部だから、皇室が社会のなかで、孤立しているわけで はない。

 皇室も、王室も、その時々の社会のありかたを映す、鏡である。

 どの国も、皇太子をその時の男性の理想像に合わせて、教育する。

 昭和天皇はご幼少のころから、明治時代の日本の男性の理想像に合わせ た教育を、受けられた。そのために、ご生涯を通じて、国民の憧れの対象 となり、国民が熱い崇敬の念を捧げた。

 今上陛下も、東宮殿下も、日本国民がその時々にいだいていた、男性の 理想像を体現されていらっしゃる。

 眞子内親王殿下も、今日の日本国民の姿を映す鏡となって、いられるのだ。

 すると、いったい、私たちに眞子内親王殿下を批判する資格が、あるの だろうか。



        
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安邦保険を中国政府が救済
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)2月27日(火曜日)
         通巻第5620号 
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 安邦保険を中国政府が救済。CEOの呉小輝は監獄へ
  トウ小平一家の運命は、これからどうなる?
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トウ小平は遺言に「墓を造るな」とした。

海に遺灰を播いて、遺族の他に立ち会ったのは胡錦涛だった。後世の報復 を恐れたからで、中国では墓を暴くのは伝統である。

トウ小平の孫娘と再婚したのは、昇竜の勢いを見せていた温洲商人の呉小 暉だった。彼は温洲市の共産党委員会幹部に取り入って、地方閥として蓄 財し、2004年に資本金五億元の保険会社を立ち上げた。

当時の状況は、中国の存在しなかった生命保険という金融商品に人々の関 心が高まり、われもわれもと有利な保険を捜していた時期と重なる。だか らビジネスは当たった。

安邦保険は2016年までに7回も増資を繰り返し、2014年には投資家も注 目、一度の増資に500億元が集まったこともある。 

呉小暉はまたたくまに企業を肥大化させ、強気の海外企業の買収に乗り出す。

あげくはNYのウォルドルフアストリアホテルを買収し、トランプ一家に 食い入り、ニュージャージーに建設中だったトランプタワー分譲をまとめ 買いした。

「政治的コネ」の強さを見せつけ、米国の永住権取得に有利だというの が、クシュナーの親族が唱った宣伝文句だった。

 「大きすぎて潰せない」。

日本でも過去に山一救済があり、ダイエーは救済買収がなされた。官主導 でも、業界の再編が起こり、鉄鋼、造船ばかりか銀行、保険、証券業界も 完璧に再編された。

債務超過による安邦保険の経営危機は以前から言われた。

並んで噂されるのが王岐山のコネが深いとされる「海航集団」と、習近平 一族との関連が言われる「万達集団」だ。

いずれも天文学的な債務超過、有利子負債が12兆円から15兆円、孫正義率 いるソフトバンクのそれもおよそ同レベルである。

2月23日、安邦保険倒産の危機を回避させるため、とうとう中国政府が救 済に乗り出した。呉小暉は2017年6月9日に逮捕拘束され、現在は監獄で 裁判を待つ身、容疑は中国保険法違反だとか。

同社は米国との関連が深いため、ウォールストリートジャーナルなど米国 のメジャーなメディアは大書して報道している。
        
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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朝日の内側にいた人々が朝日批判の先頭に乗り出した

 朝日新聞は偽善と欺瞞の伏魔殿、その正体はいったい何か

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長谷川煕『偽りの報道』(ワック)
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評者(宮崎)は朝日新聞を読んでいない。かれこれ40年以上になる。
学生時代は毎日読んでいたし、そもそも評者は朝夕、朝日新聞を配達し、 集金し、拡張まで行って学資を得ていた。文芸時評は林房雄が書いていた し、左傾していたとはいえ、まだ良心があった。

大学入試に朝日からの出典が多いと聞いていたので、日本でいちばん良い 新聞と思っていたが、だんだん論調への疑問が生じ、いつのまにか「何を 書いているのだろう?この新聞は」と憤る日々が続いた。3年後に、同紙 が日本でいちばん悪質な新聞と分かり、それからしばらくは朝日新聞批判 も展開していた。

しかし批判も心臓に悪いうえ、精神衛生上、良くない。だから突然、朝日 購読を止めた。別に朝日新聞を読まなくても、何を書いているかは産経を 読んでいれば大枠が掴めるし、毎週の『週刊新潮』のコラムで高山正之氏 の朝日批判や『正論』『WILL』『hanada』を読んでいれば、ま とめて朝日の遣り方が了解できる。

今起きていることも小川榮太?氏らの健筆ぶりを見ていると了解できるこ とである。

以前の朝日批判の急先鋒と言えば、『諸君!』と『週刊文春』だったが、 前者は休刊、後者は朝日と共闘を組むようになって昔の面影はない。

 朝日新聞を毎日読まなくても、朝日の先行きは予測できる。

同紙は社内クーデターでも起こって、いきなり保守に転向し、産経の右を 走るか、それが出来なければ倒産するしかないだろう。いや、外国資本に 買収されるかもしれない。アメリカの主要メディアを豪のルパート・マー ドックや、中国系資産家や、メキシコの財閥が代理人を駆使して買収した ように。

そこで評者は、『朝日新聞のなくなる日』(2009年11月、ワック)を書い た。よく売れたけれども、もう絶版になった。

言いたいことはSNSの発達が、一方的な、身勝手な主張伝達という大所 高所のメディアの在り方を変質させ、異なった意見が、主要メディアをバ イパスして世論を形成してゆくだろうという予測だった。

事実、その通りになった。

米国ではトランプが当選し、欧州のほぼ全域でリベラルメディアの主張と 反対の政治的動きが主流となりつつある。

さて本書である。

著者の長谷川氏は朝日の内側にいた人で、永栄潔氏と同様に朝日批判の先 頭に乗り出した。その偽善と欺瞞の伏魔殿、その正体はいったい何かを内 側から鋭利に抉ったのが本書で、「安倍疑惑事件は冤罪」「安倍首相は報 道被害者」「夜郎自大の自画自賛」「陥穽に嵌った朝日記者の盲点」 「キャンペーンの歪曲性」など、小見出しを見ただけでも、その批判の激 しさが伝わってくる。        
 
   
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之
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(読者の声1)宮崎さんの新刊『米国衰退、中国膨張、かくも長き日本の 不在』(海竜社)をさっそく購入し、直ちに読破しました。

毎回、貴著はすぐさま全編読了を旨としております。今回も地図帳を机上 に拡げて入念に拝読いたしましたが、実に瞠目に値する実地調査の行動力 と、得られた情報の的確精密な処理とその表現力、総じていえば知的生産 力の旺盛に感嘆措くに能わず、おかげさまで老生も相応の知的興奮を経験 させていただきました。(KK生、世田谷)



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(読者の声2)文春文庫に『私の死亡記事』(2004年12月第1刷、単行本 は2000年12月刊)という書がある。

「はじめに」によると、「物故者の解説を、当のご本人その人に執筆して いただく」という趣旨で、2000年8月に編集部から発出した依頼状への回 答を集めたもの(102名が執筆、文庫で12名追加)ということである。

この102名中の一人が西部邁氏で、その現実の自死(2018年1月)の約17 年余前、61歳時に執筆されたものになる。お読みになっていない方もおら れると思うので、一部(冒頭と末尾)を紹介しておきたい。

 題は「自殺できて安堵しております」

(引用開始)「私儀、今からちょうど1年前に死去致しました。死因は薬 物による自殺であります。
・・・・・・
この死亡通知をたまたま読まれて、お前はそも何者だと尋ねたくなる読者 も多いことでしょう。私の履歴を簡単に述べておくのがこういう際の作法 だとは承知しているのですが、すでに生前において、自分のやったことに ついては忘れゆくばかりでした。

ニーチェを真似るわけではないのですが、何冊か本を書いたような気がす る、としかいえません。このことからも、「精神」は活きていてこその代 物だと、いわゆる彼岸にいるものとして、つくづく感じ入っております。 左様なら」(引用止め)(CAM)

(宮崎正弘のコメント)この文章、小生も記憶にありますが、周囲にはず うっと以前から自裁をほのめかされていました。

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(読者の声3)一部のメディアに「西部さんは三島が嫌いだった」などと のたまう人がいますが、西部邁先生には、平成21年11月の憂国忌に出席し ていただき、懇親会では「天皇陛下万歳」を三唱されています。過去のご 自分との完全決別だった瞬間でした。(HS生、杉並)



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(読者の声4)貴誌にかなり以前に、習近平の独裁居座りを予測されてい た記事を拝読した記憶があります。

もう一度、その予言的部分を再掲載願えませんか?(GH生、茨木)


(編集部から)小紙2月16日(5617号)に掲載の「習近平は定年を延長 し、四期連続、20年をトップに居座る腹積もり。モデルはプーチン、長期 政権の秘訣は周囲に優秀な部下を置かない」という記事です。
 本文は以下の通りです。

(引用開始)「歴史始まって以来、どの国でも独裁権力を持続させる秘訣 は、周りに潜在的ライバルを置かないことであり、団派のライジングス ターの一人だった孫政才の失脚が代弁するように潜在する「敵対者」は葬 り去り、政治局を忠誠心だけが突出したイエスマンで側近を固め、またボ ディガードは出自をよくよく吟味し、頭は空っぽでも肉体が強権であっ て、忠誠心がとびぬけて高いものを選ぶ。

さらに権力のボディガードである軍においては、敵対派閥の軍人はすべて 辺境に左遷するか、定年前でも引退に追いこみ、従順な軍人を高層部で固 めることである。そのうえ「うるさ型」の理論をこねまわす劉源(劉少奇 の息子)や劉亜州、羅媛らを勇退させた。

理論派軍人など不要というわけだ。太子党とて、煙たい存在は疎遠にし、 例えば胡耀邦の息子の胡徳平などは、日本向けの柔和な顔が必要な時だけ 利用する。江沢民の息子、李鵬の息子2人と娘、胡錦涛の息子などへの冷 遇ぶりを見ても、そのことは明白だろう。

したがって習近平は新しい軍事委員会をほぼ味方で固め、房峰輝(参謀 長)を更迭した。そのうえ、第2軍の「人民武装警察」の指揮権も中央軍 事委員会に一本化した。

 潜在的に敵対するとみられた軍人を片っ端から更迭し、とどめの人事が 氾長龍(前軍事委副主任)を逮捕・拘束し、汚職容疑で起訴することに表 れる。氾長龍は軍のボスだった徐才厚と郭伯雄(ともに江沢民派で元軍事 委副主任。徐は死亡)に近い軍人とされた。

軍人精神に富んで不正を嫌った張陽は自殺した。

次に習近平が着手したのは地方幹部の大幅な入れ替えである。大半を「習 近平派」と呼ばれる子分たちで固め、しかも特徴的なのは、習近平より一 世代以上若いことである。

将来の権力維持のために、この若き習近平派に徹底的な幹部教育をなし、 政治的実力をつけさせ、自分が居座る間に次の後継者をこの中から選抜す るのが基本方針だろう。

注目すべき「習近平派」の3段跳び人事で登場した若き新顔リストは下記 の通り。

名前    新ポジション    前職
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王東峰   河北省書記     天津市長
陳求発   遼寧省書記     遼寧省省長
李 強   上海市書記     江蘇省書記
楼勤検   江蘇省書記     陝西省書記
干偉国   福建省書記     福建省省長
李 希   広東省書記     遼寧省書記
胡和平   陝西省書記     陝西省省長
唐一軍   遼寧省省長     浙江省副書記
張国清   天津市長      重慶市長
唐良智   重慶市長      重慶副書記
劉国中   吉林省省長     陝西省省長

このほか、31の行政区の副書記、副省長クラスのどこかのポストに習近平 の子飼いが就任した。特色は、これら若いリーダーのほとんどが習近平の 福建省時代(1985−2002)、浙江省時代(2002−2007)時代の部下である こと。

また特別な配慮がされたのは下方されていた陝西省時代の同僚や部下、そ して清華大学閥からは有能なエンジニア出身組をすくいあげて上位に配置 した。

「中でも上海特別市書記に任命された李強である」と世界的なチャイナ・ ウォッチャーとして知られるウィリー・ラムが言う(米国ジェイズタウン 財団『チャイナ・ブリーフ』、年2月13日号)。李強は1959年生ま れ、 習が浙江省書記時代に温州市書記を務めた。温州といえば「中国のユ ダ ヤ人」と言われるがめつい商人の町だ。

 ¥上海は中国経済の象徴であり、金融のセンターでもある。
次いで李希である。彼も李強と並んで政治局入りしている。
 中国最大のリッチ地区は広東省。第19回党大会までは『団派』のホー プといわれた胡春華が書記だったが、李希と入れ替わった。

李希は1956年生まれ。陝西省出身で、習近平の信頼が厚いとされる。
 ダークホウスは唐良智である。唐は1961年生まれ、ほとんどのキャ リ アを浙江省で過ごしたが、党大会前に浙江省副書記となり寧波市長を兼 ねた。寧波は上海の南対岸にある重要な港町、秀吉の時代は、この寧波が 貿易の拠点として栄え、また倭寇の本場、出撃拠点とも言われた。
 次に注目は『国防技術』分野からの大抜擢3人組である。

 胡和平は流体力学専門家で精華大学閥(1962年生まれ)、張国清 (1964)は電気技師出身で国防技術畑からの抜擢。超求発 (1954)は宇宙航空専門家で、国防大学出身。

 いずれにしても多くが第六世代に属し、習近平の後継世代となる可能性 を秘めているが、問題は誰も政治的力量をもって評価されたわけではない こと、修羅場を潜り抜けた革命世代とは、その血を血で洗う凄絶な闘争心 を欠落させており、骨太どころか、線の細さが気になるところだろう。だ が、皇帝側近とはツワモノではなく、ごますりというのが、中国史の特質 である」(引用止め)

 なお昨日付け小紙の『2013年』は、明らかに「2023年」の間違 いで す。訂正します。



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予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦
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            櫻井よしこ

「予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦 日本は憲法改正の一日も早い 発議を」

北朝鮮の独裁専制君主、金正恩氏の妹の金与正氏は「氷のような女性」 だった。アゴを上向きにし、人を見下すような目線が目立った。金王朝支 配の死臭の漂うような北朝鮮では、人々は高官も含めて、一人の若い女性 のこのような目線に怯えるのであろうか。

2月9日の韓国入りから滞在3日間で、彼女は文在寅韓国大統領の心を ぎゅっと鷲掴みにしたと見てよいだろう。なんと言っても文氏は3日間に4 回も与正氏に会った。初日からの映像を時系列で見ると、与正氏の表情に 余裕が生まれている。

文大統領も韓国世論も彼女の微笑外交に屈しつつある感触を得たからであ ろう。韓国紙には与正氏の力を、「微笑の核爆弾」と形容した記事もあっ た。マイク・ペンス米副大統領は「北朝鮮が平昌五輪をハイジャックしよ うとしている」と警告、微笑攻勢で北朝鮮の残虐さが覆い隠されてはなら ないと語った。オットー・ワームビア氏の父親を平昌に招き、現地で脱北 者らと会うなど北朝鮮の非人道的行為は許さないとの米国の姿勢を強調した。

しかし、蓋を開けてみれば、与正氏は韓国メディアに大きく報じられ、美 女軍団には無数の人が群がり、文大統領は締まりの無い顔で平壌に行きた くて仕方ない心を見透かされた。

史上最悪の政治五輪になったが、近未来の光景も見えてくる。南北朝鮮が 北朝鮮を盟主とするような形で会談し、日米が対応を誤ればその先に北朝 鮮主導の連邦政府が生まれるだろう。

今回、なぜ、90歳の金永南氏が韓国を訪れたのか。2000年6月の金大中大 統領平壌訪問を思い出せば、疑問は解ける。大中氏は4.5億ドル(約500億 円)の秘密資金を金正日総書記に送金して南北首脳会談を開催してもらっ た。6月13日、平壌に到着したとき正日氏が出迎えた。思いがけない主役 の出現に、韓国国民は熱狂した。

だがその後、北朝鮮側の主役は正日氏から、一応国家元首の永南氏に交替 した。当日の晩餐会は永南氏が主催し正日氏は姿を見せなかった。2日目 の晩餐会は大中氏が答礼で主催したが、このときも正日氏は現れなかった。

客観的に見れば、北朝鮮元首の永南氏と韓国元首の大中氏が外交儀礼に基 づいて接遇しているのであり、形は整っている。

では、正日氏はどうしたか。大中氏訪問3日目の昼食会を主催し大中氏と 永南氏の両方を招いたのだ。中国共産党が中華人民共和国政府の上位にあ るように、北朝鮮労働党も北朝鮮政府の上にある。永南氏は正日氏には平 身低頭する存在だ。大中氏はその人物と、同列に位置づけられた上で、正 日氏に招待された。

正日氏は永南氏の上に立つのと同様の形で、大中氏の上にも立ったという ことだ。こうして正日氏は南北両朝鮮の代表の上に立つ形を世界に示し た。文氏の北朝鮮訪問も、同じ形に嵌まるだろう。このような事態を見越 して、正恩氏は永南氏を訪韓させたと見てよいのではないか。

北朝鮮に前のめりの文大統領とは対照的に、安倍晋三首相は日本の立場を 永南氏にはっきり伝えた。ペンス氏が五分しかとどまらなかった文大統領 主催の歓迎宴に、安倍首相は最後までとどまった。終わり近くにさっと永 南氏に接近して要求した。拉致被害者全員の早期帰国を日本政府は強く求 めると、強い口調で述べたのだ。

永南氏は儀礼上の元首であり、決定する権利はないのであるから、返事な ど問題ではない。大事なことは永南氏に日本国政府の固い意思を伝えたと いうことだ。それを氏は忠実に正恩氏に伝えるであろう。

正恩、与正兄妹が韓国呑み込み作戦に成功するのかは、予測できない。日 本は米国と共に韓国の対北宥和策を牽制し国防力の強化を急ぎ、憲法改正 を一日も早く発議することだ。
『週刊ダイヤモンド』 2018年2月24日号
 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1220

 

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金正恩は“国宝”核ミサイルを手放さない
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             杉浦 正章

  「ICBM発射凍結」の欺瞞(ぎまん)性

韓国大統領文在寅の対北融和姿勢がもたらすものは、はっきり言って金正 恩による“やらずぶったくり” に遭遇するだけだろう。国連の経済制裁が 効き始めたのか金正恩は、苦し紛れに南北首脳会談という呼び水をまい て、9月の建国70周年に向けて、核・ミサイルの完成を喧伝、経済の悪化を 回避したいのだ。

まさに北の手の内で踊らされているのが文在寅だ。一方で米国が文のペー スに乗って、大陸間弾道弾(ICBM)実験凍結と引き換えに妥協路線に移行 すれば、ノドン200発を向けられている日本は置いてけぼりを食らう可能 性がある。

日本を離反させて米極東戦略は成り立たない。金正恩みずからが苦し紛れ に重要な戦略的な転換をしようとしているかに見えるが、その実は父親と 同様にいつか来た道、すなわち国際社会を欺く路線を歩むだけだろう。

しかし、米国がそこを読んでいないはずはない。トランプの長女イバンカ は文在寅との晩餐会の席上、融和ムードにクギを刺している。「朝鮮半島 が非核化されるまで最大限の圧力をかけ続けることを改めて確認したい」 と文に迫ったのだ。文は「非核化と南北対話を別々に進めることはない。

2つの対話は並行して進めなければならない」と約束した。どうも文とい う人物は両方に“いい顔”をする癖が抜けないようだが、その真の狙いは南 北首脳会談の実現にあり、北のペースにはまりかねない姿勢と言える。

 北の外交は一見巧みに見えるが、常に馬脚が現れる。妹金与正を派遣し たことは、肉親を外交に使わなければならない切羽詰まった状況を反映し たものだろう。なぜなら、北は文に“本気度”を示す必要に迫られたから だ。与正のほほえみ外交の影に“氷のような微笑”を感ずるのは筆者だけで はあるまい。文を手玉に取った与正は帰国して金正恩に報告。金正恩は、 南北関係をさらに発展させるための具体的な方途を指示したとみられている。
 その内容の一つが「ICBM発射凍結」のカードだ。日本上空を飛ぶICBM実 験を中止して、国際社会の関心を呼び、アメリカを乗せようとしているの だ。もちろん国内向けにはミサイル開発を放棄しないし、開発はどんどん 進めることができる。

こうした北の“疑似”緊張緩和攻勢の背景には国連による制裁決議の影響が 徐々に生じ始めている実情がある。政府は、東シナ海の公海上で北朝鮮船 籍のタンカーとドミニカ船籍のタンカーによる積み荷の受け渡し「瀬取 り」を確認している。

苦し紛れに抜け道の対応が始まっているのであり、国連決議の影響は今年 後半にはもっと鮮鋭に生じることが予想される。

 しかし金正恩は、この影響をなんとしてでも回避したいのだ。最重要行 事である9月9日の建国70周年に向けて、経済の困窮は、自身の権威維持の 上で最も得策でないことなのだ。このためのとっかかりが文の融和姿勢に あるのだ。

おそらく北の狙いは70周年に先だって、南北首脳会談を実現して、経済支 援を取り付けたいのであろう。最終的には米朝接触を実現するところにあ るのは言うまでもない。すでに韓国は統一省報道官が「適切な機会に北朝 鮮と米国が建設的な話し合いに入ることを期待する」と、なりふり構わず 米朝対話を推進しようとしている。

日米はこの金正恩が掘った蟻地獄に文在寅がはまりつつあることを、傍観 することは出来まい。

 北朝鮮との交渉は歴史的に見て、ワンパターンである。約束をして経済 援助を獲得すれば、臆面もなく反故にする。2012年に、米朝間で合意した 核兵器と長距離弾道ミサイルの実験の凍結、国際監視下での寧辺(ヨン ビョン)核関連施設におけるウラン濃縮の一時停止という約束はとっくに 反故にされており、何かの一つ覚えのごとく同じ手口を今回も通用させよ うとしているかに見える。

全ての問題は北が核ミサイル開発を放棄するかどうかに絞られる。放棄し なければ極東情勢は“気違いに刃物”の状況にさらされ続ける。しかし、北 がこの核ミサイル開発を放棄することはあり得ないだろう。

従って米朝会談が実現しても、妥協の構図は描けないのが実情だ。妥協ど ころか物別れの連続となるのは必至だろう。なぜなら金正恩にとって核ミ サイルは、珠玉の“国宝”そのものであり、手放せばそれこそ体制崩壊につ ながりかねないからである。文在寅が開けられた日米韓連携弱体化の穴 を、日米が協調して塞ぐ方向へ持って行かなければなるまい。
   

  

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創刊日:2004-01-18  
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