政治・経済

頂門の一針

急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

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頂門の一針4608 号  2018・3・16(金)

2018/02/16

              
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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4608号
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        2018(平成30)年2月16日(金)



          これは断末魔ではないのか?:宮崎正弘

       度しがたい文在寅の対北融和姿勢:杉浦正章

       戦中世代の歴史証言を真摯に聞け:櫻井よしこ

           インスリン注射不要の夢:渡部亮次郎

                            
                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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第4608号
                             発行周期 不定期(原則毎日発行)
             
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これは断末魔ではないのか?
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)2月15日(木曜日)
         通巻第5615号 
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 これはどう客観的にみても、断末魔ではないのか?
  海航集団、香港の一等地をヘンダーソンランドに売却
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 最新の中国国家統計局公表の数字に拠れば、中国の「ジニ係数」は0・ 467である。

つまり中国の富の半分近くが僅か1%の特権階級によって独占されている 衝撃的データであり、中国政府がおおやけにこれを認めたということである。

ついでながら、この数字は控えめなもので、本当は0・6という統計が複 数の大学シンクタンクから提出されている。

一般概論として、ジニ係数が0・4を超えると、内乱か反政府活動が本格 化すると言われる。

中国の治安対策費は国防費よりも多額であり、そのうえ防犯カメラを全土 津々浦々に設置し、あげくにはビッグデータで国民1人ひとりを監視して いるため、反政府活動はしづらい。けれども国民の憤怒が爆発し、ローン ウルフ型テロ行為が頻発している。

習近平独裁体制は、「デジタル・レーニン主義」という譬喩が世界の常識 化している。

さて、中国のトップ企業が軒並み資金難に陥没し、保有資産の売却によっ て当座の運転資金を調達しているという現実がある。

トップの万達集団(王健林CEO)は世界的有名人だが、保有してきた自 慢のホテルチェーン、映画館チェーン、テーマパークの大半を売却した。 それでも有利子負債は14兆円、本格的償還はこれから始まる。

万達集団の窮状をみかねたのか、これぞチャンスと便乗したのか、テンセ ント、融創集団、蘇寧雲商集団など4社が合計5800億円の出資に応じた。 これで有利子負債を軽減し、不動産部門の子会社の上海株式以上への再上 場を狙うという。

王岐山との深い関係が取りざたされた「海航集団」も、海外企業の買収案 件はほとんどが頓挫した。いや、そればかりか、借入金の償還を間近にひ かえて資産売却を加速化させている。
 
海航集団は昨年購入したばかりの香港の一等地を、香港デベロッパー第2 位のヘンダーソンランドに売却する。

これは旧啓徳空港跡の宏大な土地を5区画に分けて、マンション群を建て るという香港の都市計画。海航集団は、このうちの4区画を購入していた。

今回、背に腹は代えられないとばかりに貴重な2区画を売却する。購入時 の価格は143億香港ドル。売却は160億香港ドル。売却益がでるが、この間 の利息支払いと差益への課税が控えている。

絶好調と言われ、日本のシャープを買収し、ついでにCEOの郭台銘が訪 米してトランプ大統領とも約束した鴻海工業とて、米国への大工場建設が 法螺話におわる可能性なきにしも非ず。

というのも鴻海の株安が止まらず年初来20%の値崩れを起こしている。

ネット動画配信の大手「樂視」の株安も止まらず、上場時の株価の3分の 1に陥没、米国のEV工場建設という強気の投資が裏目にでたといわれ、 主力部門の売却に迫られている。

ほかにも事例を挙げれば再現がないが、ことほど左様に中国の多くの新興 成金たちの壮大な夢も邯鄲の夢となりつつある。 
         
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之
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(読者の声1)宮崎さんと西部さんとの対談『日米安保年』(海竜 社) ですが、八年前の出版で、その後、絶版となっており、古本ルートで し か入手出来ない由です。そこでアマゾンで検索したら、なんと当該書籍 1 万500円ですよ!

これは一日も早く復刻されるか、文庫版になさるべきと思います。
   (CB生、浜松市)

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(読者の声2)貴誌前々号で先生と西部先生との対談共著のなかで、西部 氏が自己規定をされて、「アクティブ・ニヒリスト」と言われたそうで す。その場合の、ニヒリズムというのは、いったいどういう種類のニヒリ ズムなのでしょうか?(HG生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)現在、欧州取材旅行準備のため、このような重要 な質問にお答えする物理的時間がありません。

いずれ何かの機会に、この「アクティブ・ニヒリズム」に関して著述した いとは考えております。

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(読者の声3)貴誌で紹介された阿羅健一氏の『「南京事件」―日本人48 人の証言』(小学館文庫)」ですが、市民虐殺事件が無かったことは、物 的証拠が収容所から伝票1枚無いことから明らかです。

特に私が感銘を受けたのは、阿羅氏が述べた「日本人なら日本人の云うこ とを信じよう」です。 我々は戦後のNHKの「真相はかうだ」に騙されて きたのではないでしょうか。日本人はもっと自信を持ってよいのです。つ いでですが、NHKは占領時代の反日報道の罪を償っているのでしょうか (東海子)

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(読者の声4)バチカンの動きがヘンですね。どうやら中国に本格進出す るため台湾との関係を断絶する方向にあるとの観測があがっています。 (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)先週のニューヨークタイムズを滞在先のマニラで 読んだのですが、カソリック信徒は中国で800万から1200万人。対してプ ロテスタント系が、その5倍の信者と見られ、マーケット的に判断すれ ば、人口比が巨大な中国のほうがバチカンにとっては魅力ということで しょう。

中国が勝手に任命してきた地区の司祭を、従来バチカンは認めなかったの ですが、最近、中国に任命権を譲渡するなど、中国共産党へ急接近してい ることは事実です。

        

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度しがたい文在寅の対北融和姿勢
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           杉浦 正章

日米韓の連携に亀裂の危険 米朝対話は当分困難
 
オリンピックを舞台に展開された日米韓首脳や北朝鮮代表らとの接触は、 厳しい極東情勢を反映して微妙な展開を見せた。1つの流れは韓国と北朝 鮮による一見融和に見える動きだ。

これはとりもなおさず朝鮮労働党委員長金正恩が韓国大統領文在寅を日米 と離反させる事に成功しつつあるかのように見える。金正恩は国連制裁決 議が目指す北朝鮮包囲網に突破口を明けつつあるように見える。

一方で米国は、副大統領ペンスが、あらゆる北との接触をさけ、近くさら なる制裁を打ち出す構えだ。米朝対話はそう簡単には実現しまい。文在寅 を挟んで日米対北朝鮮のせめぎ合いが今後さらに展開して、情勢は流動性 を秘めることになる。

まず、文の“度しがたさ”はまるで日本の民主党政権のルーピー首相と勝 るとも劣らない姿を鮮明にさせているかのようである。

首相・安倍晋三が「米韓合同演習ををさらに延期する段階ではない。予定 通り実施することが重要だ」とクギを刺したのに対して、文は、なんと 「これは我々の主権、内政に関する問題だ。首相が取り上げても困る」と 切り返したのだ。

この発言は朝鮮半島問題を近視眼的にしか見られない文の外交・安保観の 限界をいみじくも露呈させた。朝鮮半島問題はすぐれて極東安保情勢の枠 内の問題であり、半島有事の際には日本の米軍基地が活用されることは、 先の朝鮮戦争の例から見ても明白である。

また極端な例を挙げれば、北に追い詰められた場合、韓国政府や国民の逃 げ場は日本列島しかない。日本は地政学的に言って対岸の火災視出来ない のに、火元の韓国が「内政問題」というのは、聞いてあきれる判断力の欠 如だ。

さらに文は半島情勢を見誤って、米朝対話のアレンジをしようとして失 敗した。文はあらゆる機会を通じてペンスと金正恩の実妹の金与正との会 談を実現しようと試みた。

南北対話を米朝対話に直結させようとしたのだ。しかし、ペンスは訪韓前 の安倍との会談や米政府内での事前打ち合わせの結果、北側とは一切接触 しないとの決意を固めていた。

その結果ペンスは開会式に先立つレセプションで最高人民会議常任委員長 金永南との同席を拒否、また、開会式でも金与正との同列での着席を拒否 した。拒否したばかりかレセプションでは着席もせずに、5分で会場を離 れた。

胸がすくように、ことごとく接触を拒否したのであり、この米国の方針を 知らないか、知らされていない文だけが砂上の楼閣作りに専念したことに なる。

米国は北朝鮮と対話しないという立場表明と同時に韓国に対しても強い警 告を送ったと読み取ることができる。「独走を戒める」警告を送ったのだ。

そもそも文は北朝鮮から非核化に関するいかなる妥協策も聞いていないに もかかわらず、北と米国の接触を意図的に演出しようとしたのだ。核心の 問題に対する文の浅慮に対して、ペンスは行動で不快感を表明したのだ。

南北の和解と対話や北朝鮮の非核化問題は、韓米が確実な協力の中で推進 する場合に限り効力を発揮する構図である。このことへの文の理解度はゼ ロに等しいことが鮮明となった。

ペンスの警告を文が理解したかどうかは不明だ。どうも文在寅には同一民 族だから北は核ミサイルを韓国に対しては使わないし、核は米国と日本向 けだという考えが根底にあるような気がする。

これが北への融和路線の根底となっているようだ。ペンスは「北朝鮮が話 をしたいのなら話をする」と帰国後ワシントンポスト紙に語ったが、同時 に「非核化に向けた意味ある行動」も求めており、そう簡単には米朝対話 は実現すまい。

金正恩が国連の経済制裁によって、相当こたえていることは、状況証拠が 示すとおりだ。洋上での荷渡しで、しのごうとしているのがその顕著な現 れだ。

海上自衛隊のP3C哨戒機が1月20日、中国・上海沖の東シナ海の公海上 で、国連安全保障理事会の制裁対象になっている北朝鮮船籍のタンカーと ドミニカ船籍のタンカーによる積み荷の受け渡しを確認している。

ひしひしと国際包囲網が狭まるのを感じているからこそ、金正恩は、オリ ンピックを好機ととらえ、“甘ちゃん”の文をあの手この手で籠絡して、包 囲網の一角を崩す戦術を展開したのだ。

これを証明するかのように北の労働新聞は「内外の期待と関心を呼んだ今 回の訪問は、北南関係を改善し、朝鮮半島の平和的環境を整える上で、有 意義な契機になった」と代表団を褒め称えた。
 
さらに金正恩は金与正を通じて、「早い時期に面会する用意がある。都合 の良い時期に訪朝してほしい」と、南北首脳会談の考えを口頭で文在寅に 伝えた。

要請は、2007年10月以来3度目となる会談の開催を求めたものだが、文 は唯々諾々とこれに乗りそうだ。金正恩にしてみれば文の訪朝を実現させ れば、国際包囲網のみならず、日米韓の連携にもひびを入れさせることが 出来る絶好のチャンスとなる。

さらに米国の限定攻撃などを避けることも 狙っているのだろう。訪朝要 請は具体的な時期を示さず、口頭での要請に とどまった。国際社会の制 裁への一時しのぎとして、対話に前向きな文在 寅への大きな仕掛けをし たのだ。

 こうみてくると、まるで文在寅は、あの“ルーピー鳩山”をほうふつと させる。“ルーピー文”はまったく極東情勢をどこに持って行くか分からな い危険性がある。韓国政府内部には首相李洛淵のように「われわれは決し て(北朝鮮の)非核化を除いて対話をすることはあり得ない。

まさに非核 化のために対話はあるのだ」と訪韓した自民党幹部に説明す る向きもい る。しかし、これも甘い。核・ミサイル路線の追及はまさに金 正恩の存在 理由・レゾンデートルである。“核あるが故に我あり”の路線 で、軍部を 引っ張っているのであり、非核化などは北に政変が起きでも しない限りあ り得ない幻想なのだ。



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戦中世代の歴史証言を真摯に聞け
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          櫻井よしこ
 

 昨年10月の第19回中国共産党大会で習近平国家主席がとりわけ強調した のが国民教育の重要性である。中国での教育は、中国共産党が如何に優れ た愛国の党であるかを軸とし、中華民族の偉大さを徹底的に教える内容だ。

共産党に対する国民の忠誠と中華民族の誇り、そこに強い経済力と抜きん 出た軍事力を加えて国家の柱とする。こうして中国は21世紀中葉には世界 の諸民族の中にそびえ立つ存在になるという戦略だ。

このような中国の教育とは真逆の路線を歩んでいるのが、日本の教育現場 に根を張る日教組の教員たちだろう。2月4日付の「産経新聞」が、静岡県 で開催された日教組教研集会の様子を報じていた。

平和教育の実践例として、昭和6年の満州事変から20年の大東亜戦争終結 までを「15年戦争」として小学生に教える事例が報告されたそうだ。だ が、満州事変から15年間、ずっと戦争行為が継続されていた事実はない。 小学生にそのように教えるのは不適切であろう。

また、郷土愛を育むために郷土の英雄について教えることは、「現状肯定 の危険性」があり、「社会の矛盾や格差、搾取、支配者の狙いなど」にも 注意を向けさせるべきだとの指摘が相次いだという。

中国が、共産党統治の下で法治、公平性、人権など、大事な価値観の多く を欠落させていることは周知の事実だ。だが、彼らは13億の国民のみなら ず全世界に向けて中国が優れた国だと偽りの教育をする。対照的に日教組 は、中国より余程まともなわが国を相も変わらず批判し、反日教育を実践 する。こんな教育で育てられる子供たちは、どんな大人にされてしまうの だろうか。

これまで日本が中国や韓国から歴史問題で事実に反する非難を浴びせられ てきたのは周知のとおりだ。だが、「朝日新聞」の事例で明らかなよう に、日本に対する不条理な非難の殆んどは日本人が原因を作ってきたので ある。日本人が、日本の歴史を暗黒の侵略の歴史と見做して、捏造話も盛 り込んで、内外に広げてきた。

事実を発信

そのような考え方や精神を生み出す基盤となるのが教育である。教育現場 で使われる教科書に注目せざるを得ないゆえんだ。

たとえば、いま、中韓両国が日本糾弾の材料と見做している徴用工問題 を、各社の教科書はどう記述しているか。東京書籍は日本史Aで、「大東 亜共栄圏」として「約70万人が朝鮮総督府の行政機関や警察の圧迫などに よって日本本土に強制連行され」たと記述している。

実教出版は高校日本史Bで、「労働力不足を補うため、1939年からは集団 募集で、42年からは官斡旋で、44年からは国民徴用令によって約80万人の 朝鮮人を、日本内地や樺太、アジア太平洋地域などに強制連行した」とし ている。

山川出版社は「詳説日本史」「新日本史」「高校日本史」で各々、「数十 万人の朝鮮人や占領地域の中国人を日本本土などに強制連行し、鉱山や土 木工事現場などで働かせた」、「多数の朝鮮人や占領地域の中国人を、日 本に強制連行して鉱山などで働かせた」、「朝鮮人や占領下の中国人も日 本に連行されて労働を強制された」としている。

どの教科書も、徴用工は「強制連行」だったと教えている。これではこれ からの日本人が、韓国や中国の不条理な歴史非難に反論する正しい知識を 身につけることなどできないだろう。

中韓の主張をそのまま受け入れ、日 本を非難することが真に良心的なの だと考える若者が育ちかねない。日本 を貶めることを生き甲斐とするよ うな人々がふえて、負の連鎖の中に、日 本全体が落ち込んでいきかねない。

安倍晋三首相以前の日本の首相は歴史問題で事実を発信しようとしてこな かった。むしろ、政府は事実を押し隠して中国や韓国の主張を受け入れて きた。政治がそうであれば、役所はそれに従う。

三菱マテリアルが中国で 徴用工の件で訴えられた事例では、同社に、事 実を争うのではなく、中国 側の主張を呑んで賠償金を支払うように、外 務省が事実上指示した。「南 京大虐殺」や「慰安婦強制連行・性奴隷」 説についても、日本政府が事実 を示すことさえ憚った時代がずっと続い てきた。

だが、事実だけが中韓両国の歴史捏造戦略に勝つ唯一の道である。事実を 知っている世代は少なくなってしまったが、それでも貴重な証言をしてく れる人々はいる。

西川清氏は、昨年夏に102歳で亡くなった。氏は『朝鮮総督府官吏 最後 の証言』(桜の花出版編集部)の証言者である。氏は昭和8年に朝鮮総督 府江原道に任官し、朝鮮人の知事が統括する地方行政で内務課長を務め た。敗戦まで12年間、朝鮮人の知事を上司とし、日本人、朝鮮人両方を同 僚や部下に持って働いた。

日本人が必死に努力したこと

私は幸運にも生前の西川氏と直接会話し、多くを聞くことができた。氏の 証言は前述の書にも詳しいが、最も印象的だったのは「日本人も朝鮮人も 自然なこととして仲良く暮らしていました」という言葉である。

不信に満ちた現在の両国国民の感情からは想像しにくいが、当時は現在よ りずっと良好な関係だった。

朝鮮総督府の基本方針は「内鮮一体」であり、「皇民化政策」とも言われ た。その意味を、西川氏は、日本と朝鮮の格差や差別をなくすことだと言 い切った。氏は、差別があったことは否定していない。しかし、その差別 をなくすように日本人が必死に努力したことを、現代の日本人にこそ、理 解してほしいと語った。

朝鮮総督府では仕事は全て厳格な程のルールに従って、透明な形で行われ た。徴用に関しては、まず総督府が各道(県)に人数を割当て、指示命令 は郡、邑(ゆう)、面(村)へと、下位の自治体に降りていく。それは 「強制」ではなく「説得」と「納得」の手続きだった、納得しない人は、 徴用に応じなかったと、氏は語った。

西川氏は労働条件などをきちんと説明した上で徴用工を日本に送り出した が、誰一人、強制した事例はないと、穏やかながらきっぱりと言い切った。

また慰安婦の強制連行も「絶対に」ないと断言した。仮にもし、軍が女性 を集めようとしたら、軍司令部は徴用工の場合と同じく、道→郡→面の順で 命令をおろしていく。その命令文書も多く残っているはずだ。だが、その ような文書はない。当時の実情を見れば、道の役所や警察には多くの朝鮮 人が働いていた。氏の上司の知事は朝鮮人だった。

上役にも下役にも多くの朝鮮人がいた。朝鮮の男性たちが、朝鮮の女性た ちの強制連行を指示する命令書に、大人しく従うなどあり得ない話だと、 氏は語った。こうした貴重な証言を、もっと教えていくことが大事である。
『週刊新潮』 2018年2月15日号 日本ルネッサンス 第790回


        
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インスリン注射不要の夢
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      渡部 亮次郎

2006年8月、京大の山中伸也教授が、人の皮膚から採った細胞に4つの遺伝 子を入れて培養したら、万能細胞ができた。iPS細胞=人工多能性幹細胞 と言うそうだ。

万能細胞から、神経細胞、心臓細胞、臓器細胞、血液細胞、軟骨などが作 られ糖尿病や心臓病に使えるとされている。

自分の皮膚から採った細胞だから、自分の体に入れても拒否反応が無い。 ノーベル賞だという声が上がって本当に受賞した。細胞や臓器の再生へ、 万能細胞の研究競争が激化するだろう。

山中教授は、何年かしたら、人工細胞ができると言う。激しい競争がある からだ。

しかし、4つの遺伝子は、癌細胞から採っているので、人に応用すると思 わぬ事故になる可能性があると言う。

山中氏は、神戸大→大阪市立大→カリフォルニア大と研究を続けて、世界初 の万能細胞を作った。

人工細胞は、糖尿病、心筋梗塞(しんきんこうそく)、脊髄損傷(せきず いそんしょう)などの治療に使える。
http://www2.ocn.ne.jp/~norikazu/Epageh3.htm

このうち糖尿病治療への展望について専門家に聞いて見ると、うまくすれ ばインスリン注射が要らなくなる可能性があるという明るい見通しがある らしい。

糖尿病は、食べたものを血肉にするホルモン「インスリン」が膵臓から十 分に出てこないため、溢れた栄養(ブドウ糖)が血管を内部から攻撃した 末に小便に混じって出る病気である。小便が甘くなるから糖尿病。

糖尿病それ自体ではなかなか死なないが、内部から血管を糖分で攻撃され ると、脳梗塞、心筋梗塞、盲目、足の切断、癌多発といった
「合併症」を招いて、寿命より10年は早く死ぬ。

栃木県にある自治医科大学内分泌代謝科の石橋俊教授によると、駄目に なった膵臓や膵頭を何らかの方法で丈夫なものを移植すれば問題は一挙に 解決し、インスリン注射も要らなくなる。

しかし日本ではドナーが不足し、膵頭を調整する試薬の供給がストップし たりして、こうした治療を受ける患者は2桁どまりだ。

そこで注目されたのが、インスリン「製造工場」ともいえる膵ベーター細 胞の再生治療だったがヒトの受精卵の仕様に付随する倫理的制約や拒否反 応が壁になって進んでいなかった。

そこへ登場したのが山中教授の万能細胞。ヒトES細胞から膵ベーター細胞 を作る研究は壁に突き当たったが、山中教授のiPS細胞なら、自分の皮膚 から出来た物だから拒否反応も倫理的な問題も起きない。

問題は今回できた4つの遺伝子が、がん細胞からとっているので、人に応 用すると思わぬ事故になる可能性があることだ。石橋教授は「この問題が 解消されれば、実用化は意外に早いかも知れない」と言っている。

資料:(社)日本糖尿病協会関東甲信越地方連絡協議会機関紙「糖友 ニュース」91号(2008・7・1)  執筆 08・06・28




     
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最 新 情 報
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 ◎「米国の存在が重要」、南シナ海に展開の米空母打撃群司令官が強調

【2月15日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領の政権によるアジア地域での関与が、北朝鮮によってかく乱されているとの批判が上がる中、南シナ海を航行中の米原子力空母カール・ビンソン(USS Carl Vinson)を中心とした空母打撃群司令官のジョン・フラー(John Fuller)少将は、この空母の存在は米国が同海域で影響力を依然保っている証拠だと述べた。

報道陣は14日、空路で同空母に乗艦。艦上でフラー少将は報道陣に対し「米国の存在が重要だ」「われわれが南シナ海にいることは非常に明らかだと思う。われわれは作戦行動を取っている」と述べた。

カール・ビンソンは現在、領有権争いが繰り広げられている南シナ海を、当局者によるところの通常任務に就いている。南シナ海では中国政府が領有権を主張し、軍事施設を建設。領有権を主張する他の国々の神経を逆なでしている。

フラー少将は「太平洋に位置するこうした国々は海洋国家だ」「こうした国々は安定に価値を置く……これこそがわれわれがここにいる目的だ。しっかりと目に見える実体的な存在だ。米国は再びここにいる」と述べた。

その一方で、空母打撃群がこの場所に存在するということは、米当局が認めようが認めまいが、中国に対する直接的なメッセージとなっている。

 中国について同長官は、「略奪的な経済政策で近隣諸国を威嚇しながら、南シナ海(South China Sea)の地形の軍事化を進める戦略的競合国である」と述べた。

【写真】南シナ海の洋上で、米原子力空母「カール・ビンソン」から飛び立つ準備をする戦闘機F18スーパーホーネット(2018年2月14日撮影)。(c)AFP PHOTO / AYEE MACARAIG  
<http://www.afpbb.com/articles/-/3162592?pid=19820915>http://www.afpbb.com/articles/-/3162592?pid=19820915
【AFP】 2018年2月15日 19:20 カール・ビンソン/洋上 〔情報収録 − 坂元 誠〕


  ◎トランプ氏は今は日本の事実を理解 河野外相、BBCに

平昌五輪開幕に先駆けて日本の河野太郎外相が、BBCのルーパート・ウィン グフィールド=ヘイズ東京特派員に、北朝鮮の「ほほ笑み外交」と核の脅 威や、中国の姿勢、さらにトランプ米政権と日本の関係などについて話した。

北朝鮮のほほ笑み外交は制裁の効果 河野外相、BBCに

ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮に限定的な先制攻撃を検討している とうわさされるなか、平昌冬季五輪を機に、北朝鮮は韓国大統領を平壌に 招待するなど、さかんに融和攻勢に出ている。

【動画】 日本語字幕付き
<http://www.bbc.com/japanese/video-43028789>http://www.bbc.com/japanese/video-43028789
<http://www.bbc.com/japanese/video-43027831>http://www.bbc.com/japanese/video-43027831
【BBC News Japan】 2018年02月12日 〔情報収録 − 坂元 誠


  ◎東洋ゴム「トーヨータイヤ」に 免震ゴム偽装で社名変更

東洋ゴム工業は15日、2019年1月1日から社名「TOYOTIRE(トー ヨータイヤ)」に変更すると発表した。免震ゴムの性能偽装事件を受け て、昨年末にタイヤと自動車部品以外の事業を売却していた。

 同日会見した清水隆史社長は、「自動車向け事業に集中する姿勢を内外 に示すため」としている。

 「トーヨータイヤ」のブランドで販売する自動車用のタイヤは、海外で の販売比率が高い。連結売上高とグループ従業員の過半数を海外が占める ようになったことも、社名変更の背景にあるという。
朝日新聞デジタル2/15(木) 13:04配信


 ◎<汚染廃>焼却処理ようやく始動 くすぶる反発、首長苦渋の決断

曲折をたどった汚染廃棄物の焼却処理が今春、ようやく始動する。他圏域 に先行し、仙南地域広域行政事務組合が試験焼却の開始方針を決めた14日 の理事会。焼却を懸念する住民の反発がくすぶる中、首長らは苦渋の判断 を迫られた。
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約30分間の会合後、記者会見した組合理事長の滝口茂柴田町長は「廃棄物 を保管する農家から『まだ決められないのか』との声も聞こえている。決 定を延ばして不信感を招きたくなかった」と説明した。

山田裕一白石市長は「不安だとの声がある一方、農家の心痛も聞いた。さ まざまな角度から住民の声を聞き、この結果に至った」と理解を求めた。

汚染廃棄物の処理方針は二転三転した。県は2016年11月、県内35市町村の 協力による一斉焼却を提案したが、一部自治体が反発。昨年7月、焼却を 計画する圏域が一斉に処理開始する方針でまとまった。

しかし、当初目指した試験焼却の年内開始は住民の反対で困難に。焼却予 定の大崎、石巻、黒川、仙南4事務組合と県は昨年12月、一斉開始の原則 を転換。今年2月上旬以降に順次進める方針を決めた。

仙南を除く3圏域の試験焼却は早くても4月以降になる見通しだ。黒川は建 設中の新焼却炉で試験焼却する方針を検討。事務組合への引き渡しが3月 20日に予定されており、3月中の開始は困難とみられる。

石巻圏域は、石巻市が18年度一般会計当初予算案に処理業務の委託料を盛 り込んだ。一方の大崎圏域は、大崎市が18年度予算案に試験焼却関連費用 の計上を見送り、対応が分かれた。

亀山紘石巻市長は「理解いただいていない住民もいるが、判断すべき時期 だ」と強調。大崎市長選(4月8日告示、15日投開票)で4選を目指す伊藤 康志市長は、市長選後にずれ込む可能性を示唆している。
河北新報2/15(木) 10:11配信


 ◎国境なき医師団、性的虐待などで職員19人解雇 昨年

【AFP=時事】仏パリを拠点とする国際医療支援団体「国境なき医師団 (MSF)」は14日、性的嫌がらせや性的虐待を理由に職員19人を昨年解雇 していたことを明らかにした。

MSFの声明によると、同団体に昨年届いた苦情・警告146件のうち40件が性 的嫌がらせまたは性的暴行の訴えだった。同団体はこのうち24件について 措置を取り、職員19人を解雇した。

MSFは世界中に4万人の人員を擁する世界最大規模の援助団体で、特に紛争 地帯における医療活動で知られる。

 国際援助団体をめぐっては現在、英国際NGO「オックスファム (Oxfam)」の職員が2010年のハイチ大地震後に同国で買春をしていたと の疑惑をめぐり、同団体が問題を隠蔽(いんぺい)したとの強い批判が起 こっている。

ペニー・モーダント(Penny Mordaunt)英国際開発相は14日、性スキャン ダルを隠蔽した国際援助団体との関係を断つと警告し、これは「英国の支 援を受けるあらゆる団体や協力先」に当てはまると言明。問題が広がりを 見せている。【翻訳編集】 AFPBB News
AFP=時事2/15(木) 6:37配信


  ◎盗み繰り返してしまう ある男性の苦悩 本当の更生「社会とつな がれたら」

国内で起きる犯罪のうちおよそ半数は再犯事件と言われている。更生支援 は社会が直面する課題だ。窃盗などで4度逮捕され、2度目の服役を終えた ばかりという50代男性に話を聞いた。なぜ罪を重ねてしまったのですか−。

待ち合わせ場所のJR博多駅(福岡市)。大勢の利用客が行き交う中、頭を そり上げた男性がやって来た。強烈な第一印象だ。2年前、記者の記事を 読み獄中から手紙をくれた。会うのは初めて。仮釈放で出所したばかりと いう。

最初は支えてくれた家族も、疎遠になった。帰る場所がない人を一定期間 受け入れる更生保護施設で生活しながら、ハローワークで紹介された建設 会社で働く。

現場で軽々と資材を持ち上げる若者を見ると、老いとともに無駄にした時 間を感じる。日当は7千円。つつましく暮らせば施設を出ても生活できる が、「体力勝負なのでいつまで働けるか…」と不安も漏らした。
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200件以上の事務所荒らし繰り返す

罪を犯すきっかけはふとしたことだった。建設会社を経営し、順風満帆 だった30代後半。取引相手と酒を飲んだ帰り道に、不動産店の窓が開いて いるのが目に留まった。「不用心だなぁ」と思って眺めていると、高校時 代に度胸試しで行った万引を思い出した。

 「あのときのドキドキやスリルがよみがえって、衝動を抑えられなく なった。酔った勢いもあると思う」。一晩で3件侵入し、その日のうちに 逮捕された。

 このときは示談が成立して不起訴。後悔も反省もした、と当時は思って いたが、2年後に再び3件の窃盗事件を起こした。執行猶予付きの有罪判決 を言い渡された後、犯行はさらに大胆になった。200件以上の事務所荒ら しを繰り返し、約4千万円を得た。逮捕されて約5年服役したが、刑務所で 知り合った男に犯行を持ちかけられ、出所後わずか10カ月で再犯した。

 なぜ止められなかったのだろう。女性を口説く場合を例に挙げた。「自 分なりに考えて落とせたらうれしいじゃないですか。侵入方法や現金の場 所を想定し、その通りにできると何ともいえない達成感があった」

 犯行時に金に困っていたことは一度もない。仕事も常にあった。気付け ば、盗みが日々のストレスのはけ口になっていたという。
西日本新聞2/15(木) 9:36配信


 ◎トランプ氏は今は日本の事実を理解 河野外相、BBCに

平昌五輪開幕に先駆けて日本の河野太郎外相が、BBCのルーパート・ウィン グフィールド=ヘイズ東京特派員に、北朝鮮の「ほほ笑み外交」と核の脅 威や、中国の姿勢、さらにトランプ米政権と日本の関係などについて話した。

北朝鮮のほほ笑み外交は制裁の効果 河野外相、BBCに

ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮に限定的な先制攻撃を検討している とうわさされるなか、平昌冬季五輪を機に、北朝鮮は韓国大統領を平壌に 招待するなど、さかんに融和攻勢に出ている。

【動画】 日本語字幕付き
<http://www.bbc.com/japanese/video-43028789>http://www.bbc.com/japanese/video-43028789
<http://www.bbc.com/japanese/video-43027831>http://www.bbc.com/japanese/video-43027831
【BBC News Japan】 2018年02月12日 〔情報収録 − 坂元 誠〕


 ◎中国が技術移転強要、WTO提訴検討…日米EU

日本と米国、欧州連合(EU)が、中国政府が外国企業に技術移転を事実 上、強要しているのは問題だとして、世界貿易機関(WTO)への共同提 訴を検討していることが分かった。

 中国に進出する企業が持つ技術などの知的財産を保護する狙い。巨大な 国内市場を抱え、自国に有利な政策を打ち出す中国に対し、日米欧が連携 してけん制する。

 今年1月から協議を本格化させており、早ければ3月中に共同提訴する 方向だ。日米欧は2012年、レアアース(希土類)などの輸出規制措置 を巡って中国を共同提訴したが、技術移転問題では初めてとなる。
読売新聞 2/15(木) 7:46配信


 ◎仲々成功しない白人世界への切り込み:前田正晶

14日の夕方、日テレのニュースを見ていたら、我が代表が朝鮮半島南北合 同テイ― ムと対戦する女子のアイスホッケーの試合に切り替わってしまった。

主宰者はオリ ンピックは見ないと言っていたが、私はサッカーという団 体競技で育った ので、スキーやスケート等の個人種目には余り関心も知 識もないが、アイ スホッケーはサッカーに通じるパスの組み立てがある ので、最後まで見て しまった。世界の序列では我が代表が9位で、韓国が 22位だったはずだか ら、言うまでもなく勝って当たり前だと思っていた。

結果は合同テイ―ムが第3ピリオドにGKを抜いた6人攻撃を仕掛けてくれた 際に追加点が取れたので、4対1でオリンピック参加史上初の勝利にはなっ たが、不満が残る勝ち方だった。

それは鍛え方によると思うが、我が方の攻撃の形は寧ろバスケットボール
にも似た形で5人が忠実にポジション取りをして、後陣に言わばポイント ガードが控えて横のパス交換をするか前方の空いているFWにパスを出すと いう型通りの攻め方をしているとみた。

だが、如何なる指導があったかなど知らないが、綺麗にパスを回すための 後陣へのバックワードパスか、相手がゴール前を密集して固めている言わ ば壁のような守備陣に向かって無謀とも言えるロングシュートを多発して いる嫌いがあった。

あれでは最初からひいて守っている合同テイームから はそう簡単に点が 取れなかったのも当然だと思った。それにシュートその ものが不安定と いうか不正確で、何度も好機を逃していた。

私には「フォーメーションさえ守っていれば良い」とでも考えているのか と思わせられたほど、強引に自分で突破して点を取って見せようとの意欲 が希薄に見えたのが残念だった。全般的にはパックの扱いも上手く、良く 訓練されていたと思わせてくれた。

残すは欧米人と当たった場合の体格と 体力と身体能力の差を如何にして 克服すべき点だと思う。この辺りは我が 国のサッカーの問題点にも共通 するものがありはしないか。

女子の1,000 mのレースも見ていた。小平と高木は持てる力を出し尽くし ても、オランダ勢に1秒の何分のいくつかの差で勝ちきれなかった。これ までの精進と努力は賞賛に値すると、心から褒めてあげたい。立派な成績 である。持てる力を出し切って2位が限界だったというのは残酷だったと 思わざるを得なかった。

話は変わるが、私はこれまでに何度も「我々日本人がアメリカ(欧州でも 良いが)の会社で彼らの中に入って彼らと同等乃至はそれ以上に(物理的 にも)働くのは非常に不利な場合がある」と言ってきた。

それは彼らの会社のシステムは「彼らの体の大きさ、骨格、身体能力、持 続力に基づいて設計されているので、彼らよりもこれらの点で劣るとまで は言わないが、及ばない諸々の点があるので、頭脳という価値的水準では 負けていない」と思っている。

だが、こういう現実は実際に経験してみなければ解らないのだ。換言すれ ば、外から見ていては分かり得ないのだ。だからこそ、何度も「こういう 不利な点を乗り越えて、初期の成績を残すのは容易でなないことが言え る」と指摘してきた。

今回の平昌オリンピックを見ていると我が国の代表選手たちが僅差で2位 になってしまった種目を見ていれば、皆彼らの世界で彼らの身体能力と体 力と(脚の長さも?)を基準にして開発され普及してきた個人種目であ る。

そこに我が国の相対的に小柄で身体能力的にも劣勢に見える若者たち が 果敢に挑んでいって、あそこまでの成績を挙げたのは、マスコミ共が大 騒ぎする以上の偉業だろうと私は考えている。

私が言っていることの意味が解らないと言いたい方には「一度で良いから 試しに外資系ではなくて、アメリカの会社そのもの、それも大手製造業に 高給で迎えられてみて、彼らの中で夜を日に次いで時差などは頭からない ものと思って、早朝から深夜まで国の内外を移動しても、上から期待さ れ、達成すると確約した成績を挙げる為に働き且つ移動し続ければ、どれ ほどの負担になるかが解る」と申し上げてみたい。オランダの強力な女子 スケーターたちは、そういう環境が生みだした強豪なのだと思う。

大谷翔平も知ってか知らずにか、そういう世界に入っていこうとしてい る。彼らの生まれ持った強靱なというか、並外れた体力の恐ろしさは、彼 らに対抗せねばならない立場に追い込まれて初めて判るものだ。

私は在職中に火曜日に米国から帰ってきて出社したところ、木曜日から急 に 本社を訪問したいと欧州から回ってこられたお客様のアテンドに一泊 で来 いと言われて、また飛び立ったことがあった。ここで時差がどうの などと 言っているようでは使い物にならない世界だ。

そういう基準の世界で好成績を残したあの高木、小平、原、高梨、渡部、 平野という人たちは、ただ単にメダルとやらを獲っただけが立派だったと 褒め称えるのでは片手落ちだと思う。




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身 辺 雑 記
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15日は友人の訃報が2件相次いだ。老人だから友人も老人。1人は元農林大 臣秘書官89歳。もう一人は高校の同期生、82歳。


高校時代からの親友が脳梗塞で大学病院に入院したという言うので15日午 後、家人共々見舞いに行ってきた。退院したら快帰祝いを盛大にやろうと 励ましてきた。


15日の東京は暖かかった。春がすぐそこまで来ているのだ。わがPCの師匠 が15日ヴェトナムから一時帰国される。生ビール大好きの御主人を囲んで 向島の洋食屋『あきら』で一献傾けるとしよう。

                          読者:5576人

                     

渡部 亮次郎 <ryochan@polka.plala.or.jp>










 ◎母の自己犠牲を描くとなぜ炎上するのか のぶみ作詞「あたしおかあ さんだから」 を認知的不協和から考える


絵本作家ののぶみさんが、おかあさんといっしょの歌のお兄さんだった横 山だいすけさんに提供した曲「あたしおかあさんだから」にTwitterなど で子育て中の母親父親、そして独身女性などからも批判が集まり、炎上し ているようです。詳しくはこちらのtogetterなどをご覧ください。

歌詞を見ると、母親が子どもを産み育てるうえで、様々なことを我慢して いることを書き連ね、でも「おかあさんになれてよかった」とまとめてい ます。批判の主なポイントは、【1】そんなに母親たちは我慢や自己犠牲 ばかりしていないというもの、【2】これまでののぶみさんの絵本の作風 などとも相まって、母親だけに我慢や自己犠牲を礼賛しているようで「呪 い」に感じられるというもの、【3】母親になる前の女性のこともばかに しているように聞こえるというもの の3点に分けられそうです。

このうち、【1】についてはTwitter上で、「#あたしおかあさんだけど 」や「おとうさんだから」など様々な親の在り方が発信され、かえって従 来型の規範に捉われない人たちがたくさん居て発信してくれる世の中に 「いい時代になってきた」感を覚えました。

ただ、【2】については、昨年オムツのCMで炎上したデジャヴ感があり、 「またこの手の炎上か」という感覚もあります。のぶみさんは実際のお母 さんたちの声を集めて作詞したやに発信されていますが、どうしてこう やってある種のマーケティングリサーチをしたはずのものがここまで批判 されてしまうのでしょうか。

どうして現実を描いても「炎上」するのか

私は、のぶみさんやオムツCMが描いた世界というのは、一定程度「現実」 であり、「事実」でもあると思います。母親がワンオペで四苦八苦し、我 慢も自己犠牲もたくさんしている。ここまではもちろん現実としてあるこ とですし、加えて、そのあと、「でも振り返ってみれば、あの日々も宝 物」「それでもあなたを産んでよかった」「母になれてよかった」のよう に思う母親たちがいるということも、事実だと思います。

でも、それをありのままに描くと炎上するのはなぜか。見聞きした人が、 押し付けられているように感じられる、だからあなたも頑張ってね、母親 だったらそのようにして当然でしょ、というメッセージを受け止ってしま うということもあると思います。特に今回、絵本や元うたのおにいさんの 歌ということですので、子どもに「あなたのためにこんなに犠牲になって るのよ」と恨み節を聞かせたくないという観点からも批判されているよう です。

「認知的不協和」と酸っぱい葡萄

それに加えて、私がおぼろげながら感じたのは、「現実」「事実」のほう が歪んでいるから、みんな反発するんだろうなぁということです。絵本作 家さんの話だからというわけではありませんが、「すっぱいぶどう」とい うイソップ寓話を皆さんご存知ではないでしょうか。キツネが美味しそう なブドウを見つけるのですが、どうやっても手に入らないとわかると「あ れは酸っぱかったに違いない」と思い込むという話です。こういった認知 のゆがみを、心理学では「認知的不協和」と言います。

認知的不協和というのは、(1)自分の信念やそれまでの行動と(2)矛 盾した事実が出てきた(状態に陥った)とき、非常に不快感を覚えるとい うもの。この解決策は(1)の信念や行動を変えるか、(2)の事実に対 する認識をねじまげるかということになります。

母親たちが、自己犠牲を強いられているとき、私はこれに近いことが起 こっているのではないかと思うのです。本当はここまで我慢しないといけ ないのはおかしいと思ってる。どうして母親ばかりが、と思ってる。私 だって母親になってからも自分らしく認められたい、と。それで、実際に 【1】であげたように、「おかあさんだけど」色々な自由を持てるひとは いいわけですが、持てない場合、あまりにもその状況が理不尽すぎると、 「すっぱいぶどう」の逆のことが起こるのではないでしょうか。つまり、 「この自己犠牲こそ、素晴らしい」「母の我慢は愛であり、美しい」と思 おうとしてしまう。

「呪い」の正体

これが、ネット上で皆さんがおっしゃっている「呪い」の正体ではないか と思うのです。つまり、仮にそれが確かに何人かの(おそらく本当に大変 な時期を終えた)母親の認知的な現実だとしても、非常に不快感を覚える 解決策として何とか認知が生み出した「いや、でもこれでよかったんだ」 (あのブドウは酸っぱかったんだの逆)が、他人(とりわけ今回、子育て を終えた女性どころか、子育て関係の渦中にいる男性)によりスルッと描 かれてしまうと、特にその認知の調整がまだ済んでいない人にとっては 「非常に不快感」だけが残る。

「あなたを産んでよかった」まで歪んでいるとは言いませんが、でもそこ まで我慢しないでそこまで自己犠牲しないで済んだほうがもっと「振り返 れば宝物」になったかもしれないし、母ばかりが苦労しなくても「あなた を産んでよかった」ことには変わりはないはず。なのに、あたかも苦労し 我慢していることがお母さんであり愛であるかのような、不協和を調整後 の認知が(仮に実際にそういう認知が実際のお母さんたちの声の中にあっ たとしても)広められてしまうことに、皆さん抵抗をしているのではない かなと思います。

チェック体制は機能しないのか

まぁそこまで難しい概念を持ち出さなくても、もう母親役割を強調する トーンは時代錯誤でNGですね。【3】の表現も含めて、絵本作家さん個人 攻撃をしたいというよりは、様々な炎上CMのときと同じように、おそらく 何人もこれをチェックできる立場の人はいたはずなのに、誰も何も思わな かったんだろうか…と、日本企業の意思決定の場面でのある意味での認知 の偏りを非常に感じ、そちらのほうが深刻な問題だとは思いました。

ただ「ちゃんと本人たちにヒアリングしたのになんで炎上するんだよ」と 思っている制作側の方がいたら、本人たちが言ったことをそのまま描けば いいかというとそういうわけではないということにも意識を向けてもらえ たらと思います。
2/5(月) 6:30  中野円佳  | ジャーナリスト/研究者



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身 辺 雑 記
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8日の東京湾岸は快晴、爽快。


散歩する自宅近くの都立猿江恩賜公園では水仙は咲いてはいるが梅はまだ 咲 かない。第3亀戸中学校の近くの小公園では咲いているが。

散歩の後、翌日のメルマガの編集も終え、手持ちぶさに死んでも聴ききれ ないCDの中から俳優鶴田浩二のそれを引き出して聴いた。本名小野栄一と いった彼の幼少は極貧で盲目の祖母と暮らし、洗面器で飯を炊いたもの だったという。母の許【もと】を訪ねると、客商売中の母は彼を追い返し たという。だから彼の嫌いなものは「夕日」だったという。人間、美男 子でなくとも幸せならよろしいのだ。

                           読者:5576人

                     

渡部 亮次郎 <ryochan@polka.plala.or.jp>








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