政治・経済

頂門の一針

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頂門の一針4564号  2018・1・2(火)

2018/01/02



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わたなべ りやうじらうのメイ ル・マガジン「頂門の一針」4564号
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        2018(平成30)年1月2日(火)



            台湾民進黨の沈没?:Andy Chang

     戌年は大波乱、平成30年(2018年)予測:宮崎正弘
      
         今日一日をプラス思考で生きる:眞鍋峰松

                                              
                      話 の 福 袋
                       反     響
                       身 辺 雑 記


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第4564号
                             発行周期 不定期(原則毎日発行)
             
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 台湾民進黨の沈没?
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      Andy Chang

民主主義は独裁よりましと言うが、民主主義で自由があれば言論や主張が
多くなるので、俗に言う「百花斉放」となって政治が纏まりを失う。言論 主張には善いのも悪いのもある。メディアはどんな勝手な放言でも報道す るので、結果として民衆を惑わせ政治はサヨクに偏る。

台湾の民主主義はまだ初歩の段階で、言論が自由になったとは言え、国民
党の洗脳教育を受けた民衆は中国に対する認識が曖昧だ。在台中国人と
中国スパイの思想侵略が影響して打倒国民党の主張が空転している。

中央社が発表した調査によると、民意調査で民進黨の好感度は11月の
32.1%から12月の30.7%に下落し、反感度は45.3%から47.8%に上昇した。そ
して国民党の好感度は11月の26.5%から12月の3.6%に上昇し、反感度は
47.8%から12月の45.1%まで下がった。

両党の好感度はほぼ同じなのに、民進黨に対する反感度が国民党に対す
る反感度より高いとは驚くほかない。

この状態が続けば2018年の中間選挙で民進黨が敗北し、更に2020年の統
一選挙で国民党が政権を取り戻すかもしれない。

蔡英文総統が現状維持を厳守しているため外交、内政、ともに進展がない
のが人民の失望の主因だ。中国の爆撃機が毎日のように台湾の周囲を飛
行し、中南米でコスタリカとパナマが断交しても抗議できない。金融汚 職、海軍の軍艦汚職が起きても調査が有耶無耶でいずれ闇に葬られるかも しれない。

現政権の無能は国民党時代とあまり違わないと人民が思うようになった。
こんな時に民進黨は中間選挙の候補者が選挙運動に明け暮れている。民
進黨は政治よりも選挙を重視している。しかし民衆が離反すれば選挙は負
ける。中間選挙で国民党が勝てば2020年の総選挙に大きく影響する。

●失策が多すぎる民進黨政権

台湾人民は民進党政権が台湾に大きな変化を齎すことを期待していた。と
ころが新政権は外交面でも内政面でも失策や無策が多すぎ、民進黨を見
放すようになった。この2年間に起きた大きな事件が3つある。

2016年8月にパナマ文書が公開され、兆豊国際商業銀行のニューヨーク支
店が米当局から銀行秘密違反で1億8000ドルの罰金を課された事件が起
きた。台湾では台北地方法院検察署が調査に乗り出した。台湾の政界人物
や企業などが兆豊銀行を使ってマネーローンダリングでニューヨーク支店に
送金したあと世界各地のタックスヘイブンに秘密口座を作った事件である。
事件から一年半も過ぎたのに誰も処罰されていないし新聞も報道しなくなっ
た。汚職した金をタックスヘイブンに入れた人物の名前、金額などは発表さ
れていない。蔡政権は国民党の大物を処分する能力がないのだ。

今年秋の慶邦造船会社の掃雷艦汚職疑惑も2か月ほど騒いだ結果、海軍
は慶邦の契約を破棄しただけで、汚職に関わった人物の調査結果がわから
なくなった。立法院調査委員会の最新報道によると、委員会が海軍に掃雷
艦の資料を要求しても海軍側は「機密資料はみんな検察署が持って行っ
た」と答えたのみで、資料がないので委員会は調査報告も書けないと言う。
検察署は関係者を起訴せず闇に葬ってしまうかもしれない。この事件は海
軍(チンパン)の人物が絡んでいる事件で本気に調査すれば台湾海軍と中
国の秘密関係がハッキリするはずだが台湾の検察はやる気がない。

もう一つの事件は外交部が二日前に発表した新パスポート発行の失敗であ
る。新しいパスポートを作成したけれど、パスポート内のビザページに印 刷された桃園空港(第一ターミナル)の写真を間違えてワシントンのダレ ス空港の写真を使ったのだ。元を糺せばダレス空港をソックリ真似たター ミナルを作ったから間違いが起きたのだ。

パスポートのデザインは外交部の職員から主任、外交部長、印刷会社の責
任者などたくさんの人が審査したのに、誰も間違いに気付かなかったと言う。

政府は新パスポートを50万冊作り、すでに20万冊を発行したと言う。間違 いに気が付いた外交部長は既に発行した20万冊を全て取り返して再発行す
ると発表した。政府はこの事件で50億元(約150億円)の損失を計上した と言う。このようなことが起きるとはまったく呆れた政府だ。

●民衆の失望と彷徨

國民黨政権は無能で汚職が酷かったから民進黨政権になって民衆は大い
に期待した。ところが新政権が発足して2年経っても事件が続出し、転型 正義は口先だけである。こんな具合では国民党政府とあまり違わないと人 民が失望すれば再び政権交代が起きるかもしれない。

大部分の台湾人は国民党政権の再来を拒否するから失望しても国民党に
投票しないはずだが、民進黨に失望した人が多ければ政権を失うかもしれ
ない。そうなったら民進黨の沈没となる。

●民進黨の沈没?

民進黨の沈没は蔡英文の現状維持と民進黨員の責任である。中央社の民
意調査によると民衆は蔡英文と民進黨に失望して国民党に好意を持ち始
めている。更に今回の調査では若年層と高学歴の民進黨離れが起きている
ことがわかったと言う。国民党政権は台湾独立に絶対不利である。民進黨 に失望しても国民党を再起させてはならない。

これは中華民国を打倒するチャンスである。民進黨の沈没が独立運動を加
速する。民進黨の敗退で台湾独立に期待したい。

民進黨は中華民国制度を維持し2大政党政治を理想として国民党を温存
する政党だ。民進黨は台湾独立を阻む政党、政治より選挙を重視するだけ
の政党である。民進黨が敗退しても恐れることはない。

昔のことだが、2000年の総選挙で陳水扁が政権を取ったあと、アメリカ政 府が陳水扁に「四不一没有」で現状維持を強要したため陳水扁政権は困難 を極めた。私が「台湾丸の沈没?」を発表したのはその年の秋だった。今 の台湾は当時の状況と似ている。2020年の総統選挙で国民党が勝てば民進 黨は沈没する。その前に中華民国を倒して独立を達成すべきである。
(在米台湾人地球物理学者)



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戌年は大波乱、平成30年(2018年)予測
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)1月1日(月曜日)
        通巻第5563号   
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 戌年は大波乱、平成30年(2018年)予測
  トランプ中間選挙勝利、安倍首相悠々3選。朝鮮戦争の危機高まる
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新年は目出度くもあり、目出度くもなし。
 
戌年は歴史的にみても大変化が繰り返されてきました。とくに本年は戊 戌。国際情勢は大荒れになりそうです。

米国は利上げ観測が高まり、株価は低迷傾向が前半期から顕著となり、逆 に日本株は上昇機運、日経平均は2万6000円台をうかがう地合が形成され ています。

「安倍一強」は変わらず、おそらく戦後歴代首相の長期記録を塗り替える でしょう。

習近平は前半期までやや安泰かも知れませんが、後半、経済の直滑降大暴 落が始めれば、フルシチョク的解任へ向かって高層部の権力闘争が激化 し、暴走が始まる兆しも否定できず、したがって中国は対外矛盾に外交を 転回し、北朝鮮か、尖閣諸島を狙った「小さな戦争」をおっぱじめる危険 性があります。

米国トランプ政権は日本のメディアが予測することとは逆に地盤が固まっ ており、共和党主流派も、彼を引きづり降ろそうとするより秋の中間選挙 勝利に向けて陣営の立て直しをやり始めるでしょう。

トランプの支持率は回復気味です。エルサレムへの米国大使館移転があた らしい波紋を呼ぶとはいえ、すでにイスラエル・パレスチナ紛争は地域限 定、世界史の視点からは大きく外れており、焦点はシリアからトルコ、レ バノン、イラク、そしてイランに移っています。

厄介なのはBREXIT以降のEU諸国の亀裂、その方向性が不明となり ました。

ドイツがいまだに連立政権を組めず、ひょっとして総選挙やり直しとなれ ばメルケル退陣が射程に入ってくる。

シリア難民は「ゲルマン民族の大移動」の如しであり、トルコが300万人 を引き受け、セルビア、ハンガリーなどが国境を封鎖したため下火とは いえ、こんどはアフリカからの難民が南欧に押し寄せており、引き続き EU諸国の難題であり続けるでしょう。
 

 ▼欧州の団結がささくれだってきた

住民投票で独立賛成が過半をしめたバルセロナ中心のカタロニアは、選挙 やり直しの結果、またも独立賛成が多数となり、スペイン政府はなす術も なく悄然となって、フランスもオーストリアも、イタリアも保守系政党が 大躍進、EU統合への亀裂がますます鮮明化しています。

オーストリアとオランドには保守政権が誕生し、ポーランド、ハンガリー は明確に移民政策でEU主要国と対決し、つぎにバルカン半島に目を転ず れば、セルビアとボスニアヘツェゴビナとの国境付近で停戦以来の「地域 独立」、もしくはセルビアへの編入をめぐる戦争が勃発する可能性がある とTIMEが予測しています。

ロシアはすでに有力な対立候補がなく、プーチンは大統領職にとどまるば かりか、シリアで確立された世界史的プレイヤーの位置をさらに強靱なも のとして、中東政治に介入してくるでしょう。

とりわけ、ロシアートルコーイラン枢軸の形成を政治的に留意すべきです し、サウジが呼びかける対イラン包囲作戦にエジプトとUAEがどの程度 関与するか。

かようにして欧州の団結がささくれだってきました。
 
朝鮮半島問題は日本の核武装議論を覚醒し、アメリカは日本に核保有を促 す人が増えており、日米安保条約の改定にむけての基盤醸成がなされそう です。

北朝鮮は挑発行為を止めない限り、いずれアメリカのミサイル攻撃を受け ることになりそうで、ここにロシアが絡み、中国が別のシナリオで行動す るとすれば、下手をすれば第二次朝鮮戦争への口火をきることになりかね ません。

ことほど左様に戊戌の年は、国際情勢波瀾万丈です。
         
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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 幕末維新から日清日露、日本のダイナミックな歴史を裁断しつつ
  自衛力のない日本外交は福沢諭吉の警告を忘れていないかを問う


渡邊利夫『決定版 脱亜論』(育鵬社)
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一年の計は元旦にあり、まさにそれを考えるにふさわしい書が、本書である。

題名から判断すると、一見、福沢の警告本『脱亜論』の現代訳と解題の本 かと誤解しそうである。

ところが本書はまったく異なっての戦略的思考書であり、福沢諭吉の思想 と、その執筆動機となった同時代の国際的状況を、現代日本の立ち位置を 対比されながら、渡邊氏は我が国の自立自尊の原則的なありかたを追求し ている。

同時にこの本は渡邊氏の現代史解釈であり、そのスピード感覚、パノラマ 的叙述の展開におけるダイナミズムもさりながら、基礎に横たわる確乎た る愛国心を読者は発見するだろう。

主眼は下記の訴えである。
 
「外交が重要であるのはいうまでもないが、弓を『引て放たず満を持する の勢いを張る』(福沢諭吉『脱亜論』)、国民の気力と兵力を後ろ盾にも たない政府が、交渉を通じて外交を決することなどできはしない、と福沢 はいう。極東アジアの地政学的リスクが、開国・維新期のそれに酷似する 極度の緊迫状況にあることに思いをいたし、往時の最高の知識人が、何を もって国を護ろうと語ったのか、真剣な眼差しでこのことを振り返る必要 がある」。

しかし。

現代の状況を見渡せば、日本は国家安全保障を日米同盟に好むと好まざる とに関わらず依拠し、しかも歴代自民党が、あまりに依存度を深くしすぎ て独立の気概を忘却の彼方に置き去りにしたが、本質的な情勢把握ができ ている中国は、この日本の脆弱性がどこにあるかを知悉している。

だからこそ、と渡邊氏は続ける。

「中国が、東アジアにおいて覇権を掌握するための障害が日米同盟であ る。中国は、みずからの主導により東アジア秩序を形成し、日本の外交ベ クトルを東アジアに向かわせ、そうして日米離間を謀るというのが中国の 戦略である。日本が大陸勢力と連携し海洋勢力との距離を遠くすれば、日 本の近代史の失敗を繰り返すことになる」(236p)。

たしかに外交の裏付けは軍事力、情報力だ。
 
この2つを欠如する日本が、アジアの暴力国家群と渡り合えることはあり 得ず、北朝鮮の挑発、韓国の暴発、中国の『アジア的暴力』に対抗するに はどうしたらよいのか、自ずと結論は見えている。

渡邊氏はアジア全般の経済に関して造詣が深い学者であるが、いまの中国 を、次のように簡潔に概括されている箇所があり、大いに参考になった。

「古来、中国に存在したのは封建制ではなく、郡県制である。全土をいく つもの郡にわけ、郡の下に県をおき、それぞれの郡と県を中央の直下にお いて、その統治は中央から地方に派遣された官僚によって一元的になされ るという、皇帝を頂点とする古代的な官僚政治体制が一貫して踏襲されて きた。朝鮮の王朝は中国のコピーだといっていい。郡県制は、封建制とは 対照的な中央集権的で専制的な統治機構にほかならない」(12p)

まさに中国の政治体制は、いまもこの原則が機能しているばかりか、じつ は中国の軍隊制度も同じなのである。すべての軍区が中央軍事委員会直轄 となって、習近平皇帝直属の軍隊と組織図的には編成替えされているので ある。

とはいえ、地域的軍閥がなぜ危機になると生まれるかは、じつはその弊害 の反作用であり、中央の強圧的求心力が弱まると、自らが遠心力に便乗し 得独自的行動を開始する特徴がある。
 念頭に読んで、大いに参考となった。

      
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之
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(読者の声1)老生は日本経済新聞の愛読者で、その広い情報のカバレジ を大いに評価してきたのですが、唯一の不満が中国に甘いことでした。
 この弱点をカバーするに格好の書物が宮崎正弘先生の一連の中国批判シ リーズで、最近も上梓された二冊を拝読しております。ともかく日経のイ ケイケどんどん、中国経済大丈夫だぁの太鼓にはいささかうんざり、宮崎 さんの本は正反対。
それにしても、日経のみならず朝日も毎日も東京も、北京寄りですね。な んとかならないものでしょうか?
   (HI生、元大手町勤務)


(宮崎正弘のコメント)2015年6月のトランプ立候補表明記者会見か ら、2016年11月の大統領選挙本番まで、メディアはトランプは乱暴 者、ポピュリスト、こちこちの保守。ヒラリーに勝てるはずがないと書き 殴っていました。欧米ばかりか、その翻訳紹介メディアかと思われる邦字 紙が、なべてそうでした。

ですからヒラリー落選はかれらにも大きな衝撃であった筈です。
小生は現地取材をして、トランプの演説会場が立錐の余地がないのに、ヒ ラリーの会場はがらんどう。なのにテレビはトランプの失言だけを報じ、 ヒラリーは会場の空席を報じないという印象操作を展開していたのです。 日本のテレビがよく使う手口です。

れは可笑しい、実態とは乖離があると思い、すぐに『トランプ熱狂、ア メリカの反知性主義』と『トランプノミクス』の2冊を上梓して、実情を 書いております。投票日直前には小誌で「トランプ、9回裏2死満塁、逆 転満塁さよならホームランの可能性高まる」と予測し、その通りになりま した。

いま、日本のメディアは中国経済の錯乱ぶりを僅かには報じております ものの、不動産暴落、株価暴落予測は禁句のようですね。大丈夫、大丈夫 と叫ぶのは中国共産党の宣伝であり、それと同様なことを繰り返すのは代 理人に成り下がっているのか、それとも独自取材をしていないのか。

いずれ、結論がみえてきます。


             
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今日一日をプラス思考で生きる
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        眞鍋 峰松

最近になって、情報化社会がいよいよここまで進展してきたのか、と強く 感じさせられる社会現象が多く見受けられるようになった。  

何よりも情報化の進展は、個人レベルの社会生活の中では、その人のアイ デンティティの組織離れということに大いに関係してきているような気が する。
   
かつて、サラリーマンが企業戦士として高度成長を支えてきた時代には、 個よりも役割を優先する日本的意識はそれなりに機能してきた。だが、こ うした肩書き優先社会では、退職や失業などにより組織を失うと、個人の アイデンティティも失われ、ヘタをすると人間としての存在価値そのもの が奪われる結果となる。

ここにきて、一挙に増加傾向を示しつつある中高年男性の自殺や熟年離婚 のなども、役割と人格を混同し社会や配偶者などと個として向き合うこと が少なかったことの裏返しの現象の一つ、ということだろう。
   
情報化の進展とともに、個々人が容易に色々な情報に接し得る機会が多く なり、各人のライフスタイルも多様化しつつある現在では、かっての組織 優先の人間観・人生観は個人にも社会へも大きい軋轢と落差をもたらす。 

個人にとって、従来の日本型の自意識のままでは、情報化、多様化してい る社会を生き抜くのは非常に難しい時代に直面しているのは確かだ。
   
そこで求められる生き方は、ということになると、やはり肩書き抜き、組 織とは距離を置いた自己意識を持ち、長寿社会を迎えて多趣味を生かしな がら生き抜いていくことだろう。 

そのためには、好奇心をいつまでも強く持ち、新しいものをどんどん受け 入れ、それらを積極的に活用していこうという気構えを常に忘れないこ と、これはつまり、進取の気性を持つということだ。 

この進取の気性こそ生きがいを見つける最大の武器の一つでもある。 

もう一つは、徒に明日を思い煩うな、ということ。 明日のことは明日の ことで、今日思い煩うことはない。いずれにしても、座して待つのでな く、これぞと思った時には、すぐさま行動に移すぐらいの勇気と機敏さを いつまでも忘れないことだろう。 

ここで動いて明日はどうなるだろう、なんて思い悩んでしまったらどうだ ろう。 要は、明日を思い煩うことなく、今日一日をプラス思考でことに 当たることが肝要、ということになろう。
 
もう一度少年のような冒険心と好奇心を持って、一日一日を過ごし、充電 してゆくことが、花も実もある生き方につながるのではないか。 

シェークスピア風にいえば、退職後も自分に与えられた「劇場」の中で、 しっかりと「主役」を演じることはとても楽しいことである。(完)
         
   
      
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最 新 情 報
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 ◎南極の巨大氷河が急速に解けている理由は気温上昇だけではない その原因は「西風」にあった

南極大陸東部で最も大きいトッテン氷河。上空から見ると、過去何千年にわたる姿と同様に巨大で安定し、まばゆい白さで輝いている。しかし、その表面下で起きていることとなると、話はまったく別である。トッテン氷河は、下のほうから急速に解けつつあるのだ。

温かい海水の湧昇が、場所によっては1秒あたり22万立方メートルというペースで氷河に流れ込むことにより、氷(が解けた真水)が毎年630億から800億トンも減少しているのだ。

この現象が問題になるのは、トッテン氷河とその棚氷(氷河から押し出されて洋上にある氷)が、南極にあるカリフォルニア州よりも広い面積の氷が分離しないように支えている唯一の部分であるからだ。

氷のすべてが海に流出すると、海面は約3〜6mも上昇する。そうなれば、サンフランシスコのシンボルであるフェリービルディングや、マンハッタンのロウワー・イースト・サイドの大部分、ワシントンD.C.にあるリンカーン記念堂などが浸水すると考えられている。

ある意味で、このような状況は驚くにあたらない。研究者たちは何十年も前から、温暖化とともに地球の極氷の量が減少すると予想してきたからだ。

ところが、近年の衛星データやモデル、現地調査などにより、その減少がどの予想よりも速く進んでいることが明らかになった。さらに、南極で氷の減少が加速している原因が、気候変動のなかでもあまり注目されていなかった「風」にあるとする証拠が次々に見つかっている。

この西風は、世の終わりを感じさせる

16年には米国とオーストラリアの研究者たちが、深海の峡谷から上昇する海流によってトッテン氷河の下側が、氷が解けるほど温かい水にさらされていることを発見した。その仕組みは謎だったが、17年11月1日付で発表されたその後の研究によると、南極沖から吹いてくる西風によって湧昇が発生し、氷河の氷の流れが速くなっていることが示された。

この現象が正常ではない理由を感覚的につかむには、海水と氷の接触面で何が起きているかを理解するとわかりやすい。氷河や棚氷が解けるときには、冷たい真水が海の表面に放出され、それよりも温度、塩分、および濃度が高い海水の上に溜まっていく。その境界は段階的ではなく、はっきりしている。冷蔵庫に入れておいたドレッシングが瓶の中で分離し、使う前に再び振らなければならないのと同じだ。

この境界はサーモクライン(水温躍層)と呼ばれ、それが海のどの深さにあるかは正確に測定できる。そして、サーモクラインが氷河のところまで上昇した場合に融解が起きる。

研究チームは海洋風の記録と、近くに浮かせたセンサーから得られた水温および塩分のストリーミングデータを衛星画像と比較することにより、トッテン氷河地点のサーモクラインを長期にわたって追跡した。その結果、西からの風が強いときは、温度の高い水が勢いよく氷河に流れ込むことがわかった。風が東から吹くと、サーモクラインが再び沈み込み、融解は止まった。

「地球温暖化による海面上昇が空気を直接温めて上から氷河を融かすだけでなく、風によって海の各所で熱が移動するだけで氷河が下から解けることもあるというのは、実に興味深いものです」と、テキサス大学に在籍する科学研究員で、今回の研究のリーダーを務めたチャド・グリーンは述べる。

「一方で、この発見には絶望的な、この世の終わりを感じさせる要素もあります」。グリーンがこのように述べるのは、東南極大陸の沿岸に沿って吹きつける西風が、今後100年にわたってかなり強くなると予想されているからだ。

米国大気宇宙センターのシニアサイエンティストであるジェラルド・ミールによると、温室効果ガスの濃度が高くなることによって気温全体が上昇しているだけでなく、南極上空を巡る西風帯が変化し、強くなっているというのだ。「今後の気象予想では、南極振動(南極上空にできる大規模な気流の渦)の正の相がさらに強力になることが示されています。つまり、海面の西風がさらに強くなり、現在より南方で発生するということです。その結果、これらの風が南極に近づいてより多くの氷を解かし、さらに大きな海面上昇をもたらす構図が続くのです」

しかも、解ける氷の増加は、わずかどころか大量だ。これは南極特有の地形上の特徴によるものである。大陸の南端にある岩盤は、沿岸部から内陸部に進むにつれて、山のように上り坂にはなっていない。下り坂であり、場所によっては、海水面から最大で数km落ち込んでいることもある。つまり、侵入した水はすぐに坂を下り落ちてさらに内陸の奥深くまでしみ込み、これまでになく巨大な氷の塊が、より速く海に流れ出すことになる。

「これが何を意味するかと言えば、温かい水が押し寄せて沿岸部がほんの少しでも解けると、手に負えない状況がかなり早く訪れるということです」と述べるのは、オーストラリアにあるニューサウスウェールズ大学の海洋学者、ポール・スペンスだ。スペンスが17年7月に『Nature Climate Change』に発表した研究では、同様の湧昇パターンが原因で、ほとんどの氷床や氷河の基部が海面より低い位置にある西南極大陸で急速な融解が起きていることに注目している。

「この現象は、これまで非常に速いペースで起きています。氷河が形成されるまでには数千年もの時間がかかりますが、わずか数年で完全に崩壊する可能性があるのです。それはわたしたちが最も懸念していることです」

「風」と海面上昇の研究はこれから

すでに海水はトッテン氷河の棚氷の端から、その岩盤を約125kmも内陸に進んだ地点まで等高線沿いに谷を刻んでおり、その深さは海面下3km以上に及ぶ。トッテン氷河が融解すると、西南極大陸全体が融解した場合と同じくらい海水面が上昇する可能性がある。約300万年前にトッテン氷河が崩壊して海に流れ込んだときは、世界中の水面が6〜9mも上昇した。

同じ現象が再び起きる可能性を検討するには、スーパーコンピューターによる本格的な分析が必要だ。しかし、南極における風や水、氷の相互作用が世界的な海面上昇に組み込まれるようになったのは、ごく最近のことである。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が13年に発表した最新の報告[PDFファイル]に、南極における氷床融解の変化についての情報は一切含まれていない。これは、当時はその仕組みを十分に理解している研究者がいなかったことと、コンピューターの性能が不足していたことなどが原因だ。

IPCCでは当時、海水面の上昇は2100年には約1mになると推定していた。しかし現在では、その数を倍にすべきだと考える科学者もいる。16年に『Nature』オンライン版に発表された論文では、これまで過小評価されていた局所的な氷床のダイナミクスを、世界的な気象データと合わせて分析した結果、今世紀が終わるまでに南極大陸だけでもさらに1mの水面上昇の一因となる可能性があることが判明した。

風の影響に関する研究は、まだ始まったばかりだ。風が南極でどのように変化するのか、あるいはほかのどこかで変化するのかについては、まだ知られていないことが膨大に残っている。

しかし科学者たちは風について、非常に複雑な海面上昇予測の計算における未知の要素のなかでは、単一では最も重要なものだと考えている。ブラジルでの蝶の羽ばたきは、南極大陸のたくさんの氷が崩れ落ちるきっかけとなるのだろうか? 西から吹いた場合にはそうなのかもしれない.。

【写真】
・ 南極の氷山(資料写真−GETTY IMAGES)
http://www.sankei.com/wired/photos/180101/wir1801010001-p1.html
・ トッテン氷河(Google)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%B3%E6%B0%B7%E6%B2%B3&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiOypqj-LbYAhVFi7wKHQCBAaAQ_AUICigB&biw=1075&bih=245&dpr=1.5#imgrc=fJrCV-8Rqkz6kM:
【産經ニュース】 2018.1.1 18:20 〔情報収録 − 坂元 誠〕



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身 辺 雑 記
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2日の東京湾岸は快晴、爽快。

東京都江東区亀戸1丁目。元日午後4時半、東の空に満月のような月が出た。


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渡部 亮次郎 <ryochan@polka.plala.or.jp>








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創刊日:2004-01-18  
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