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Academia e-Network Letter

国立大学が独立行政法人化され公立大学の多くが後を追い、大学界全体への政・官・財の影響力が高まりつつあります。大学界における連帯形成の試みとして不定期に配信しています。

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[AcNet Letter 245 ] 佐藤清隆氏のメッセージ、他

2005/03/19

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       Academia e-Network Letter No 245 (2005.3.18 Fri)

━┫AcNet Letter 245目次┣━━━━━━━━━ 2005.3.18 ━━━━━━

【1】「広島大学学長選考における意向投票結果の詳細」
  http://ac-net.org/rss/item/46516

【2】「広島大学学長選挙規程に基づいて意向投票対象者
      佐藤清隆氏が投票有資格者に示した抱負」
  http://ac-net.org/rss/item/46233

【3】「広島大学学長選挙における教職員組合アンケートへの佐藤清隆候補の回答」
  http://ac-net.org/rss/item/46234

【4】全国国公私立大学の事件情報 より2005年03月08日取得
   中国新聞(3/06)「広島大学長選、意向投票が8日から」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/8_1.html

【5】全国国公私立大学の事件情報 より2005年03月13日取得
  大阪読売新聞(3/12)「広大学長選の第2次意向投票 牟田学長、再任の見通し」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_759.html

【6】全国国公私立大学の事件情報 より2005年03月15日取得
  中国新聞(3/15)「広島大学長選 牟田学長が再任」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_769.html

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【7】(45947) 全国国公私立大学の事件情報 より2005年03月14日取得
 「日本私大教連、『月報私学』掲載記事をめぐり、
    日本私立学校振興・共済事業団へ抗議・要請」
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_763.html

【8】壊れる前に... より2005年03月17日取得
 「法人化後の学長選考」
  http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2005/03/post_16.html

【9】アレゼール日本 研究会3月28日(月)
  http://ac-net.org/rss/item/45811

【10】マイケル・オークショット(桜井直文訳)
   「大学というものの観念」1950」
  http://ac-net.org/rss/item/46517

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【11】終刊のお知らせ

━ AcNet Letter 245【1】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

 広島大学学長選考における意向投票結果の詳細
  http://ac-net.org/rss/item/46516

  From:AcNet Letter ( http://ac-net.org/letter/ )
  取得時:2005年03月18日08時 URL: http://ac-net.org/rss/item/46516
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第1次意向投票:7名から上位3名を選挙
 (有資格者:助手以上の教員、および副課長以上の事務職員、
  総投票数1360票、投票率77.7%)

第2次意向投票
 (有資格者:講師以上の教員、および副課長以上の事務職員,
  総投票数1015票、投票率77.5%)

   牟田泰三(学長)  396票
   吉里勝利(副学長) 333票
   佐藤清隆      271票


━ AcNet Letter 245【2】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

 広島大学学長選挙規程に基づいて意向投票対象者
  佐藤清隆氏が投票有資格者に示した抱負
  http://ac-net.org/rss/item/46233

  From:AcNet Letter ( http://ac-net.org/letter/ )
  取得時:2005年03月15日22時 URL: http://ac-net.org/rss/item/46233
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#(管理者註:この文書は選考が終了する3月15日までは学外非公開とされて
いた。)

#(編集人註:広島大学の学長選挙規定では、部局推薦または30名以上の推
薦を受け、期限までに辞退しなかった人(今回は12名)から教育研究評議会が
意向投票対象者を選出することになっているが、佐藤教授は所属部局より推薦
され、評議会により意向投票対象者7名の一人に選出された。佐藤教授は教職員
組合の委員長であるが、組合は中立の立場をとって推薦等はせず、アンケート
の項目作成にも佐藤教授はかかわっていないとのことである。上記の結果は、
「抱負」やアンケート回答に記された佐藤教授のビジョンが広島大学の教職員
の間で幅広い支持を得たことを示唆しており、国立大学法人制度下でも大学ら
しさを失わない歩みを、今後の広島大学に希望できるように思われる。多くの
国立大学法人についても同じ希望を持てると感じる。)

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 広島大学学長選挙規程に基づいて意向投票対象者が投票有資格者に示す抱負

       意向投票対象者 佐藤清隆


  法人化してからの約1年は、本学執行部が選択した方針の問題点が明らかにな
  るために十分な期間である。残念ながら現在の本学には、法人化を見通した
  真の意味でのリーダーシップが見当たらない。そこで、まず現在の広島大学
  の問題点を指摘し、それに対する改善策を指摘しながら「抱負」としたい。

I. 現在の広島大学の問題点

  広島大学執行部は、「トップダウンによる大学経営」を基本とする国立大学
  法人化の理念を率先して取り入れたが、その内実は、「世界トップレベルの
  総合研究大学」の掛け声ばかりが上滑りし、副学長理事に直結する執行組織
  が、司令塔や横の意思疎通を欠いたままに、上意下達式の指揮を乱発すると
  いうものであった。その結果として、以下の問題点が露呈している。

1. ビジョンなき、場当たり的経営

  「天文台」や「広大跡地問題」など、広島大学の中・長期計画への位置づけ
  が不明な事業が打ち上げ花火のように行われ、後年度負担への不安を強めて
  いる。これは、役員会が大学の経営方針を決定する合議体として機能してい
  ないためである。

2. 縦割り「お役所」の出現=副学長理事と「室」の弊害

  副学長理事に直結する執行組織が、教職員を含めた縦割り型行政機関となり、
  それぞれの機関が横の意思疎通を欠いたまま、各部局事務に重複した命令や
  不要不急の仕事を押し付けている。副学長理事配下の「室」担当を命じられ
  た教職員には、大学全体の運営との関わりが不明なまま仕事量が激増すると
  いう事態が、広範囲に生まれている。こうした大学運営が、構成員の士気の
  低下を招いている。

3. 不透明な予算配分

  本年度の運営費交付金の支給額は、昨年度の広島大学への政府予算配分実績
  と大きく変わらないと説明されたにもかかわらず、教育研究の現場への教育
  研究費配分額は大幅に落ち込んだ。基盤研究費の減少は、各分野の均衡の取
  れた形での研究水準の向上や、優秀な人材の確保に齟齬をきたしている。

4. 職員配置の不均衡とサービス残業の蔓延

  現場を軽視した仕事を部局に押し付けた結果、現場の職員はただこなすだけ
  の作業でパンク状態になっている。しかも部署、部門による差が大きく、作
  業量の不均衡を生んでいる。これに対して事務部門は適切な対処ができず、
  各副学長理事の下に縦割りになったこともあって、職員配置が不均衡なまま
  放置されている。これが職員の時間外労働の蔓延や過労の蓄積、非常勤職員
  の雇用不安の放置など、無視できない弊害を生んでいる。

5. 「平成18年度問題」への不安

  以上の4点に集約される問題点を放置したまま、平成18年度から「教育プロ
  グラム制」や「成果主義」が導入されようとしている(これを、「平成18年
  度問題」とする)。学生の個性を伸ばしうるかどうかに疑問のある「教育プ
  ログラム制」や、先行実施した民間企業ではすでに大幅に見直されている
  「成果主義賃金」に対して、現場では「このまま実行して大丈夫なのか」と
  いう懸念が広がっている。

  このような問題点は、法人化後に広島大学が独自に採用した執行組織と、そ
  の下で立案された経営方針とに多くが起因しており、学長を始めとする大学
  執行部が連帯して責任を負うべきものである。これらの問題は、このまま放
  置すれば高度な高等教育研究を支えるべき人的・物的な基盤を損ない、広島
  大学が、学生と社会に対する責務を果たすことが出来なくなると危惧される
  深刻な問題であり、直ちに大幅な方向転換が必要である。


II. 抱負

1. 法人化後も広島大学が「大学」であり続けるために

   大学とは真理が支配する場である。しかし法人化後の広島大学は、カネと
  それに伴う権力が支配する場所となってしまった。大学が大学であるために
  は、真理が探究され続けなければならず、それを可能とする環境を用意する
  ことが、学長の最大の責務であると考える。時々の「国策」や社会の短期的
  な要請に流されることなく、教員が各自の信念に従って真理を探究し、学生
  が真理を見極める目を養い、職員がそのような教育研究活動を支えるという
  「知の共同体の創造」が大学の使命である。本学がこの使命を果たすために、
  学長は大学の自治を掲げ、学問の自由を守ることが求められる。

2.大学のリーダーシップ

  広島大学長に求められるリーダーシップは、広島大学がおかれた状況を前提
  にして、独自の明確なビジョンを構成員に示し、それを達成するための具体
  的な道筋を提示することである。

  広島大学には研究ポテンシャルの高い教員が多数働いており、潜在的可能性
  を秘めた個性ある優れた学生を惹きつけている。そこで私は、広島大学が
  「基礎研究力の高い、人を育てる大学」というビジョンを掲げることを提案
  する。そのビジョンを生かすために学長は、大局を見失わない視野の広さを
  持ち、的確な状況判断によって各部局、各個人の持てる力量を引き出し、必
  要な場合には自らの責任を明確にしたうえで決断し、実行するというリーダー
  シップを発揮するべきである。

  一方で、学長のリーダーシップを独善に導かないために、「大学の主人公は、
  学生と教職員である」ことと、「教育と研究の現場である部局等を重視する」
  ことを、大学運営の基本精神に据える。学長の「決断」は、この基本精神に
  照らして評価されるべきであり、またそれには説明責任を課することとする。

3.教育の充実

3.1 個性豊かで優れた学生の獲得

  まず、教員が個性豊かで優れた研究を行える環境を整備し、それを通じて学
  生が広島大学を選ぶ魅力を高める。また、単なる知識の提供でなく、学生一
  人ひとりの個性と主体性を伸ばす教育を重視し、学生が広島大学の主人公で
  あることを明確にする。現在提案されている「教育プログラム制」では、学
  生の個性を伸ばすことが難しいので見直す。また、一定の範囲で、学生の創
  意による諸活動を緊急に支援できる財政的用意を行い、さらに、本学の教育
  研究上の魅力と目標をわかりやすく社会へ発信する。

3.2 教養的教育の充実

  教員数の削減によって、本学の優れた特色の一つである教養的教育が危機に
  瀕している。学生の視点に立って教養的教育の一層の充実を図るために、教
  養的教育の全学的実施体制を構築する。

3.3 現場を尊重する教育体制

  教育の実施に当たって、トップは大局的な方向を提示し、具体的な達成目標
  や実施計画の策定は教育組織の自主性を尊重する。全学の教育方針を審議・
  調整するために、部局の代表者によって構成する委員会を設置する。

4.研究の充実

  多様な分野を包含する本学の文系・理系の基礎・応用科学分野の高い実績と
  ポテンシャルを洞察した、広島大学独自の主体的な研究領域を推進する視点
  が必要である。そのための最善の施策は、個人レベルの基盤的研究費の充実
  である。また、学術全体の水準向上を図るための財政基盤の確立を、政府に
  求める。重点施策に関する分野については、巨大資金を一点に集中するだけ
  ではなく、拠点形成と個別グループのネットワークを形成して、研究の発展
  を促すように工夫する。

5.職員の勤務問題

  研究者の社会的流動性を保証する環境がない状況下での教員の任期制は、若
  手研究者の身分の不安定化と長期的研究からの離反とを招くばかりであり、
  全面廃止の方向での見直しを行う。非常勤職員の均等待遇化、常勤化を進め、
  教育研究の持続的発展に資する。また、職員の仕事量を的確に把握し、適切
  な人員配置と、その前提としての正確な労働時間の把握を行う。


プロフィール:大学院生物圏科学研究科教授
(本学の職歴以外の活動)
受賞:アメリカ油化学会:Stephan S. Chang Award (2005年)、日本結晶成長学会
論文賞(2001年)など
編集委員等:Crystal Growth & Design, J. Crystal Growth, J. Am. Oil Chem.
Soc., Lipid Technology
その他: Thomson ISI Highly-Cited Researcher、東北大学金属材料研究所客員
教授(1992.10-1993.3)


━ AcNet Letter 245【3】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

 広島大学学長選挙における教職員組合アンケートへの佐藤清隆候補の回答
  http://ac-net.org/rss/item/46234
────────────────────────────────────
問1. 広島大学への入学志願者を増やすために、どのような方策をお考えでしょ
うか。とりわけ、授業料や教育環境の整備に言及してお答えください。

    まず、教員が個性豊かで優れた研究を行える環境を整備し、それを通じて
    学生が広島大学を選ぶ魅力を高めることです。また、単なる知識の提供で
    なく、学生一人ひとりの個性と主体性を伸ばす教育を重視し、学生が広島
    大学の主人公であることを明確にします。現在提案されている「教育プロ
    グラム制」では、学生の個性を伸ばすことが難しいので見直します。学生
    が自主的な活動のできるスペースを、全学、各部局に創ります。また、一
    定の範囲で、学生の創意による諸活動を緊急に支援できる財政的用意を行
    います。その上で、本学の教育研究上の魅力と目標をわかりやすく社会へ
    発信します。


問2 財政支出の透明性を実現するために、どのような方策をお考えでしょうか。

    現在、予算策定の不透明性が顕著ですので、抜本的な改革が必要です。ま
    ず、予算分配のルールが十分に議論されて決められたものになっていませ
    ん。たとえば部局長裁量経費(教育)が博士課程後期の志願者数や入学者
    数で決められていることを知っている人がどのくらいいるでしょう。また、
    各副学長と、その下に置かれた「室」にどの程度の予算が配分されている
    のかも、予算書からではよくわかりません。それゆえ、予算書を支出権限
    に応じて記載する形式に改め、また、予算案を審議する役員会は詳細な議
    事録を残し、基本的にこれを公開することとします。予算案に対しては、
    学内公聴会を開いて広く意見を述べていただけるようにします。決算につ
    いても、責任の所在を明確にしたうえで、構成員による事後評価を行う制
    度を作ります。


問3 法人化の中で、学問の自由や大学の自治をいかなる形で実現されるおつも
りなのか、お考えをお聞かせください。

    法人化後の広島大学は、「カネ集め」を至上の美徳とする「アカデミック
    ビジネス体」への道を歩み始めています。しかし、大学が大学であるため
    には、真理探究が最高の理念とされねばなりません。時流や経済的要請に
    流されることなく、真理にのみ仕え、教員が各自の信念に従って真理を探
    究し、学生が真理を見極める目を養う共同体が大学であり、そのための環
    境を用意することが、学長の最大の任務です。

    真理を最優先するために人類が到達した理念が「学問の自由」であり、そ
    れを守る制度的な保障が「大学の自治」です。この「大学の自治」は、単
    なる「教授会の自治」ではなく、大学を構成する全員による自治であり、
    あらゆる場面で教員のみならず、職員や学生の意見を聞き、参加を促すこ
    とを通じて実現されます。教授会はもちろん「大学の自治」の重要な担い
    手であり、教育研究に関わるあらゆる事柄は教授会の発案によるか、教授
    会の承認を得て遂行すべきものと考えます。しかし、「大学の自治」はそ
    れにとどまるべきではないと考えますので、教員以外の職員や学生による
    自治的組織に対しても、当然に大学運営への参加を促します。

    学長は、「全構成員自治」の結節点として、学内各層の意見を集約した形
    で大学としての意思決定を行い、学問の自由を全力で守るべき地位にある
    と思います。


問4 学長のリーダーシップをいかなる形で発揮したいとお考えでしょうか。そ
の際、いわゆる「ボトム・アップ」をどのような形で実現したいとお考えです
か。

    広島大学長に求められるリーダーシップは、広島大学がおかれた状況を前
    提にして、独自の明確なビジョンを構成員に与え、それを達成するための
    具体的な道筋を提示することです。抽象的な夢物語や、思いつきの個別策
    だけでは、リーダーへの信頼は生まれません。

    広島大学は、研究ポテンシャルの高い教員を多く持ち、潜在的可能性を秘
    めた個性ある優れた学生を惹きつけています。したがって、広島大学は、
    「基礎研究力の高い、人を育てる大学」というビジョンを掲げるべきです。
    しかし、実際にこの理念を実行するのは各部局です。その中で学長は、大
    局を見失わない視野の広さを持ち、的確な状況判断によって各部局、各個
    人の活動を調整し、必要な場合には自らの責任を明確にしたうえで決断し、
    それを実行するべきでしょう。これが学長に求められるリーダーシップで
    あると思います。

    一方で、学長のリーダーシップを独善に導いてはなりません。そうしない
    保障は、「大学の主人公は、学生と教職員である」ことと、「教育と研究
    の現場である部局等を重視する」ことを、大学運営の基本精神に据えるこ
    とです。そして、学長の「決断」は、常にこの基本精神に照らして批判さ
    れるようにしておくことと、決定者に説明責任を課すことです。これがボ
    トムアップの本質であると思います。


問5 理事会の役割、理事会と副学長の関係をどのようにお考えでしょうか。さ
らに副学長の数はどの程度がのぞましいとお考えですか。また、副学長の権限
との関係で、事務局長の役割をどのようにお考えですか。

    法人化後の本学では、理事を兼ねた副学長が学長を取り巻くことによって、
    学長が大学全体を見渡せなくなったのではないかと思います。理事が学長
    の直属の部下であれば、そこから大学経営に関する建設的な意見が出てく
    ることは期待できません。副学長が理事を兼ねるということは、したがっ
    て役員会が建設的な場になりえないということを意味します。それゆえ、
    理事は副学長として執行権限を委嘱されるべきでなく、最終的な責任を負
    うのは学長であるにせよ、学長と対等な立場で経営にフルタイムで専念す
    べきものと考えます。また、理事の任命に当たっては、ブロック別意向投
    票等、学内の意向を反映した方法での任命が必要であると思います。

    これに対し、副学長は学長のブレーンとして、現在の半数以下の人員で十
    分機能すると思います。現在は、各副学長に直結する執行組織が、教員や
    事務職員を含めた縦割り型の行政機関となり、それぞれの機関が横の意思
    疎通を欠いたまま、各部局事務に重複した命令や不要不急の仕事を押し付
    ける形になっています。各副学長も、何かしなければ責任を問われるので、
    無理やり仕事を作っている、これが多くの教職員の印象です。

    事務部門については、法人化以前にもどし、事務部門の一体化を回復しま
    す。また、事務部門の長には、広島大学の事務組織を熟知した職員を就け
    ます。


問6 部局長支援グループ・教育研究活動支援グループ・学生支援グループなど
の括り方について、望ましいとお考えですか、あるいは望ましくないとお考え
ですか。

    このグルーピングは、部局長のリーダーシップを発揮させるために導入さ
    れたのでしょう。しかし、実際にはわずかな部局長裁量経費の下で、部局
    レベルの事務機構を細分化しただけに終わり、結果としてどの業務をどの
    グループが担当するのか、現場はおろか本部事務局ですら混乱したと聞い
    ています。現場を無視した事務機構再編の典型例の一つと思いますので、
    部局長支援グループと教育研究活動支援グループを統括するなど、事務機
    構全体の整合性に対応した、現場が働きやすい、そして聞けば誰でもその
    機能がわかる名称を持った組織に変更すべきであると思います。


問7 全教職員の3 割以上を非常勤職員が占め、雇用不安にさらされ、待遇面で
劣悪な状態におかれていますが、事務機構の中で非常勤職員が果たす役割につ
いて、どのようにお考えですか。また、非常勤職員の経験年数やキャリアップ
をどのように待遇に反映させようとお考えでしょうか。

    非常勤職員は、事務分野では全体の4割を占めるに至っており、全産業平
    均(約2割)と比較しても、非常勤職員なしには本学の運営は成り立たな
    い水準に達しています。それほど重要な役割を果たしているにもかかわら
    ず、一人ひとりの非常勤職員の方々は、毎年の雇用が更新されるか否かと
    いう不安を抱えておられます。近年ではいわゆる「日々雇用」の新規採用
    がなくなり、「時間雇用」の方々(パート職員)が増加しています。「時
    間雇用」の方々は、時間外労働・休日労働の対象にすらなっておらず、
    「不払い労働」の深刻な犠牲者になっておられるケースもしばしば見られ
    ます。

    非常勤職員の方々の多くは、異動がないため、仕事を熟知した、かけがえ
    のない職員です。広島大学の構成員全てが非常勤職員の方々に対して公正
    に接しなければなりません。また、常勤、非常勤を問わず、「同一価値労
    働・同一賃金」の原則に立った処遇を行い、経験年数の給与への反映、さ
    らには希望者には常勤化への道を広く開く必要があります。


問8 教員研究費の配分方式について率直なご意見をお聞かせください。

    多様な分野を包含する本学の文系・理系の基礎科学分野の高い実績とポテ
    ンシャルを洞察した、広島大学独自の主体的な研究領域を推進することは、
    次代の新しい重点研究分野を用意するために不可欠な研究戦略です。それ
    を実現するための最善の施策は、個人レベルの基盤的研究費の充実です。
    現行の教員の基盤的研究費はあまりにも少額すぎるために、分野ごとの均
    衡の取れた形での研究水準の向上や、優秀な人材の確保に齟齬をきたし始
    めています。同時に、過度に大学院生数に依拠する教育費配分制度では、
    院生を確保するための教員間の競争やそれに伴うハラスメント、院生の集
    め過ぎによる研究指導の不足や不十分な就職保証などのマイナス面が生じ
    ています。学長がヒモ付きでない研究費を確保し、十分な基盤的研究費を
    保障するべきであると考えます。

    そのためには、学術全体の水準向上を図るための財政基盤の確立を政府に
    求めると同時に、外部資金の獲得のために、本学の研究者・グループ等が、
    その特長を生かして主体性をもって獲得できる体制を整備します。ただし、
    外部資金への過度の依存には注意が必要です。なぜなら、外部資金は文字
    通り広島大学の外部の判断によって与えられる資金であり、そこには広島
    大学による研究の評価(ピア・レビュー)の余地がないために、場合によっ
    ては、「学問の自由」に対する介入を制度的に許容する一穴としてすら機
    能する危険があります。


問9 給与水準や給与体系についてどのようにお考えでしょうか。また、いわゆ
る「成果主義賃金」の導入についてはどのようにお考えでしょうか。

    国立大学法人の教職員の給与は、私立大学と比べても高い水準にはありま
    せん。また、近々予定される公務員給与の5%低下に連動して、国立大学法
    人の職員の賃金にも引き下げ圧力がかかるでしょう。

    その中で平成18 年度からの導入が予定されている「成果主義賃金」とは、
    教育活動や事務の職務遂行に対する評価結果を給与に反映するシステムで
    すが、その導入には以下の理由で反対します。

    第1に、優れた学生を育てるために多くの教員による協力と相互援助でな
    し得る高等教育を、根底から崩壊させる危険があります。第2に、公平性
    を期するために行う評価者の膨大な作業実務と、それに伴う精神的苦痛は、
    数値で表すことは出来ません。同僚による評価は、それが学問のレベルに
    とどまらないならば、無用な混乱と軋轢を生じさせ、かつ公正を期すため
    には多大の労力・時間を要するのではないでしょうか。第3に、上からの
    一方向評価では、評価されるものが同僚や下部組織とは協力せずに、上司
    に気に入られるため点数を上げることに専念する事態が懸念されます。第
    4に、限られた財源で、昇給と賞与で厚遇する人を作るためには、多くの
    冷遇者が必要となり(ゼロサム・ルール)、全体として士気が低下するに
    違いありません。第5に、教員以外の職員については、サービス残業の根
    絶が達成されておらず、このような状況で成果主義賃金を導入すると、無
    限のサービス残業競争に陥ってしまう危険性があります。

    教職員の業績の反映は、基本的にはサバテイカル待遇や研究教育費の上積
    み、業務効率改善のための研修者の選定などの範囲にとどめるべきです。
    また、誰の目にも明らかな優秀者には、昇進で応えるべきで、現行の、地
    元採用職員の昇進に事実上の限界があるような慣行こそ、直ちに止めるべ
    きです。


問10 いわゆる「サービス残業」について、それを生む原因とそれへの対策を、
どのようにお考えですか。

    法人化後の混乱時期が終わっても、多くの職場で長時間残業が続いていま
    すが、「手当てを丸ごと要求すると、大学がパンクする」という気兼ねか
    ら、ほとんどの職員がやむなくサービス残業を受け入れている実態が解消
    されていません。私は本学の教職員組合執行委員長として、この問題に真
    剣に取り組んできましたが、ここでは、改めて以下の3原則を表明いたし
    ます。

        (1) 残業なしでもこなせる仕事と、生活できる給与を保障すること
        が経営の基本である。この観点から、仕事の無原則な創出は慎まれね
        ばならない。仕事を創出する場合、実際に現行の人員でこなせるかど
        うか、十分な検討を行う。

        (2) 残業を含む労働には必ず対価が支払われるべきこと。財源のあ
        てのない残業は行わせない。仕事は労働時間管理者が基本的に把握し、
        各職員に命じるという形態をとる。職員に仕事を「請け負わせる」よ
        うな形は早急に解消する。

        (3) 残業を認める前に、残業をなくす、あるいは減らすために必要
        な人員配置を速やかに行うこと

    現行では、あふれかえる仕事をどうにか「こなす」ことに職員は「働きが
    い」を求めざるを得ない、いわゆる「ワーカホリック」状態になっていま
    す。そうではなく、上司による仕事の全体としての把握、その各職員への
    伝達を通じ、広島大学を自分がどのように機能させているか、どうすれば
    もっと機能させられるか、が考えられる、もっと高い水準の「働きがい」
    を一人ひとりの職員がもつことができるように、そのために、メリハリの
    ついた労働と勤務時間管理が行われるべきであると考えます。

━ AcNet Letter 245【4】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

  中国新聞(3/06)
 広島大学長選、意向投票が8日から
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/8_1.html

  From:全国国公私立大学の事件情報 ( http://university.main.jp/blog/ )
  取得時:2005年03月08日07時 URL: http://ac-net.org/rss/item/45015

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(抜粋)学長選考と広島大
 
国立大学法人法は学長の選考を「学長選考会議により行う」と定める。広島大
は、学外有識者でつくる経営協議会と大学院研究科長・学部長らの教育研究評議
会から選出された委員10人で構成。議長は元立命館総長の大南正瑛氏。今回は
候補7人を対象に、8日の第1次意向投票で3人に絞り、10日に第2次投票。
14日の学長選考会議で結果を踏まえて最終決定する。投票の有資格者は副課長
相当職以上の事務職員らが加わり、1次は1799人、2次は助手を除く
1321人。任期は1期目は4年、再任時は2年。


━ AcNet Letter 245【5】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

  大阪読売新聞(3/12)
 広大学長選の第2次意向投票 牟田学長、再任の見通し
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_759.html

  From:全国国公私立大学の事件情報 ( http://university.main.jp/blog/ )
  取得時:2005年03月13日07時 URL: http://ac-net.org/rss/item/45813
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5月に任期満了を迎える広島大の牟田泰三学長(64)の後任を決める学長選考
の第2次意向投票の開票が11日、同大で行われ、投票結果は公開されていない
が、現職の牟田学長が最多の約400票を獲得。吉里勝利・副学長(研究・国際
担当)(61)を数十票、同大教職員組合委員長の佐藤清隆・大学院生物圏科学
研究科教授(58)を100票以上引き離して、14日に開かれる学長選考会議
(大南正瑛議長、10人)で正式に再任される見通しになった。

前回までは、教員の投票で学長を決定していたが、大学法人化により今回から
は、副課長相当職以上の事務職員も加えた2次の投票の後、学長選考会議が最終
決定する方式に変更。各部局の推薦者から、7人の候補に絞り込んだ1次投票が
8日に行われ、上位3人で10日、2次投票が行われた。

正式決定権は学長選考会議にあるが、得票トップの牟田学長が再選されると見ら
れる。再選の場合、任期は2007年3月末までの約2年間。

━ AcNet Letter 245【6】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

  中国新聞(3/15)
 広島大学長選 牟田学長が再任
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_769.html

  From:全国国公私立大学の事件情報 ( http://university.main.jp/blog/ )
  取得時:2005年03月15日07時 URL: http://ac-net.org/rss/item/46065
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(抜粋)「五月の任期満了に伴う広島大の学長選考会議(議長・大南正瑛元立命
館総長、十人)が十四日、広島市のホテルで開かれ、現職の牟田泰三氏(67)
の再任が決まった。牟田氏は国立大法人化に挑んだ一期目に続き、二〇〇七年三
月までかじ取りを担う。

昨年四月の国立大法人移行後初の学長選出は、従来の教員たちによる選挙ではな
く、教職員の意向を参考に会議で総合評価して決める「選考」に形を変えて実
施。牟田氏は七人から三人に絞り込まれた二次の意向投票で最多得票したうえ、
法人化を乗り切った手堅い手腕などが評価された。 」


━ AcNet Letter 245【7】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

 法人化後の学長選考
  http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2005/03/post_16.html

  From:壊れる前に... ( http://eunheui.cocolog-nifty.com )
  取得時:2005年03月17日07時 URL: http://ac-net.org/rss/item/46373
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  岡山大学に勤める友人から電話があった。岡山大学では、3月15日に次期学長選
  考のための学内意向聴取(投票)が行なわれ、16日に学長選考会議が「学長適
  任者」を決定したが、そこでは投票の最多得票者ではなく、2位の現職の理事
  (副学長)が選ばれたらしい。

  私は各候補の主張を知らないので、どんな人が選ばれたのか、選ばれなかった
  のかについては何も言うことはない。私の友人はよくも悪くも「ノンポリ」な
  のだけれど、現在の体制に対する批判票のほうが多かったにも関わらず、現執
  行部の中から新学長が選ばれたことにかなりの落胆を感じているようだった。

  東北大学が学長選を廃止した(*)のに続く大きなショック、ただし国立大学の法
  人化と真剣に闘った人々にとっては、どちらも予想通りの出来事である。
  (*)http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_441.html

  私が今いる名古屋大学では、法人化直前に総長選考があり、その時用いられた
  暫定的なルールでは投票の有資格者が教授のみにされてしまったため、助教授、
  講師、助手の有志で自主投票を実施し、抗議を表明した。やっている時には、
  こんなことやって本当に意味があるのかなぁ、とかなり懐疑的だった(呼びか
  け人がそんなことでいいのかというツッコミは甘んじて受けよう)のだが、ご
  く最近、あらためて法人化後の体制に沿った選考のルールが決められた際、助
  教授以下の教員は再び投票に参加できるようになった。そして、名大の新しい
  規定では、総長選考会議は投票の結果をもとに総長候補者を決定することを明
  記している。あの時、はっきりと意思表示をしたことが実を結んだのである。

  ここで述べてきたことは、無味乾燥な標語にしてしまえば、ずっと簡潔に表現
  できる。曰く、「法人化によって経営の圧力が強まり、自治が脅かされる」、
  「あきらめずに闘うことが大切だ」、等々。しかし、そういった標語だけでは
  運動は広がらない。それは大学のことであれ、広く社会のことであれ、同じだ。
  私は幸いなことに、それらの標語の意味するところを身体化することができた。
  と同時に、それを効果的に伝えていかなくてはいけないという責任を私は負っ
  たことになる。

━ AcNet Letter 245【7】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

  日本私大教連、『月報私学』掲載記事をめぐり、
  日本私立学校振興・共済事業団へ抗議・要請
  http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_763.html

  From : 全国国公私立大学の事件情報 ( http://university.main.jp/blog/
  取得時:2005年03月14日13時 URL: http://ac-net.org/rss/item/45947
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『月報私学』掲載記事をめぐり、日本私立学校振興・共済事業団へ抗議・要請

『月報私学』2005年1月1日号に掲載された「新春座談会・スクールガバナ
ンスの新時代」において、同事業団理事長の鳥居泰彦氏が、私立学校法の改正内
容や改正趣旨について事実に反することを述べていることに対して、日本私大教
連は理事長宛の「抗議並びに公開質問」(下に全文掲載)を発表するとともに、
3月9日、事業団に対して抗議・要請を行いました。これに対して事業団は、検
討することを約しました。

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日本私立学校振興・共済事業団
理事長  鳥 居 泰 彦  様

日本私立大学教職員組合連合
中央執行委員長 今井 証三

抗議並びに公開質問

  貴殿は、日本私立学校振興・共済事業団という私学行政に関わる公的機関の
  理事長という要職にありながら、貴事業団発行による平成17年1月1日付『月
  報私学』第85号「新春座談会 スクールガバナンスの新時代 〜私立学校法
  の改正と私学経営課題〜」の記事中、見過ごすことのできない誤った主張を
  繰り返され、私立学校法の改正趣旨を誤って読者に伝えています。

  その点を以下に指摘いたしますとともに、質問と要求をいたしますので、当
  連合へ可及的速やかにご回答いただきたいと存じます。なお、いただいた回
  答は、当連合機関紙等に掲載するなど適切な方法で、組合員はじめ教職員に
  公開いたしますので、あらかじめご承知おきください。


1、「理事会が最高の意思決定機関となった」との誤った発言の繰り返し

  貴殿は、今次改正によって「理事会が最高の意思決定機関」となったかのごと
  く、誤った発言を繰り返されています。

  第85号の記事中、どこに書かれているかはいちいち指摘いたしませんが、同5ペー
  ジの「意思決定の中心は誰か」との小見出しのある部分で、「理事会が最高の
  意思決定機関であることが、法律上、明確に定められた」と述べ、数ヶ所繰り
  返し「最高の意思決定機関」と発言されています。その発言を受けて、次の見
  出しがわざわざ「理事会が最高の意思決定機関に」(同6ページ)とあり、ミス
  リードされています。

  今次改正は、一部の学校法人理事会の専断的大学運営による不祥事の続くなか、
  私学の公共性を高めるために、責任の所在が理事会・理事長にあることを明確
  にしたものであって、理事会に特別な権限を付与するためになされたものでは
  ありません。理事会を「最終的な」意思決定機関ではなく、「最高の」意思決
  定機関であるとみなすのは、法改正の内容・趣旨に反した完全な誤りです。

  この点は、国会審議のなかで政府から明確に述べられ、また両院の附帯決議に
  もその趣旨は明らかとなっています。具体的に政府は、「(理事会と)教学サ
  イド、例えば教授会との関係、評議員会等との関係が問題になるわけでござい
  ますけれども、今回の改正では、こういった両者との関係で、理事会に対し、
  特別の権限を与えるようなことは内容としてございません。従来の制度、現行
  制度が維持されてございまして、教学サイドの意見が改正によって反映されな
  くなるおそれはないものと考えておるところでございます」(「第159回国会衆
  議院文部科学委員会議録」より、文部科学委員会04年4月7日)と、明確に答
  弁しています。この点は、改正後におこなわれた

  日本私大教連と文科省との折衝においても再確認されております。

  以上、貴殿の発言は明らかに誤りであると断じることができます。


2、以下の2点につき可及的すみやかにご回答されたい

  (i) 貴殿はいかなる意図を持って、このような発言を繰り返されたのか明らか
  にされたい。国会審議や改正趣旨について、承知されていなかったとするなら
  その旨、ご回答いただきたい。

  (ii) 誤った記事を掲載されたわけですから、『月報私学』の直近発行号で訂正
  記事の掲載を要求いたします。

以 上

━ AcNet Letter 245【9】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

 アレゼール日本 研究会3月28日(月)
  http://ac-net.org/rss/item/45811

  From:アレゼール日本 ( http://areserjp.org/ )
  取得時:2005年03月12日23時 URL: http://ac-net.org/rss/item/45811
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    アレゼール日本は下記の要領で春の研究会を開催します。
    ご参加いただけると幸いです。

    日時:3月28日(月)、15時30分−18時30分
    場所:日仏会館 509会議室
    東京都渋谷区恵比寿3−9−25
    Tel: 03-5424-1141
    URL:http://www.mfjtokyo.or.jp

    研究会発表

    1、柿原泰・大前敦巳:「国立大学法人化後の1年」
    2、隠岐さや香・中村征樹:「中教審答申をどう読むか」
    3、岡山茂・櫻本陽一:「ジュネーブ・コロック報告」

    問い合わせ先:アレゼール日本事務局
    早稲田大学政治経済学部 岡山茂研究室気付
    169-8050東京都新宿区西早稲田1−6−1
    tel: 03-5286-9723 fax: 03-3203-9816
    e-mail: office at areserjp.org

━ AcNet Letter 245【10】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━

 マイケル・オークショット(桜井直文訳)「大学というものの観念」1950
 「明治大学教養論集」通巻391号(2005.1)pp.1-20.
  http://ac-net.org/doc/05/318-oakeshott.pdf

  取得時:2005年03月18日11時 URL: http://ac-net.org/rss/item/46517
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#(編註:マイケル・オークショット(1901-1990)はイギリスの政治哲学者。

  原論文
  Michael Oakeshott, The idea of University, in The Listnener 43,pp.424-6,(1950).
  再録:Micael Oakeshott, The Voice of Liberal Learning, Yale University Press, 1989; 
  repr. Liberty Fund, 2001 収録 
  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0865973237/  )

    抜書 p19「大学は、他のすべてのものと同様、それが属している社会のな
    かにある場所をもっています。しかし、その場所は、その社会におけるあ
    る他の種類の活動に貢献するということをその機能[職務]としているので
    はなく、それ自身であること、そして、それ以外のものになってはならな
    いことをその機能[職務]としているのです。その仕事の第一は、学びをも
    とめることです。大学において、その不在を埋め合わせるようになるよう
    なものはなにもありません。その仕事の第二は、この[学びをもとめるとい
    う]活動の過程で生じてくることが[はっきりと]認められるような種類の教
    育です。[したがって]大学が大学でなくなるのはつぎのようなときです。
    すなわち、大学の学び[学問]が、今日リサーチと呼ばれるようなものに堕
    落してしまったとき、そして、大学の教育(teaching)がたんなる教習[知識
    としての知識の伝達](instruction)になり、しかもそれが、学生の時間の
    全部を占めてしまうとき、そして最後に、教えられるためにやってくる者
    たちが、かれらの知的なたからものをもとめてやってくるのではなく、す
    でにあまりにも活力をうしない疲れはてているので、かれらがもとめるの
    はただ、すぐに役に立つ知的・道徳的な道具一式を身につけることだけ、
    といったありさまになったとき、すなわち、かれらが、会話の作法をまっ
    たく理解せずにやってきて、しかし、生計をかせぐための資格や、かれら
    を世界の収奪にむけてときはなつための卒業証書だけはほしがるようになっ
    たときなのです。」

━ AcNet Letter 245 【11】━━━━━━━━━━ 2005.3.18━━━━━━━━━

  終刊のお知らせ

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多くの団体や個人による精力的な情報発信と、RSS Reader の普及により、イン
ターネット上で大学界全体の変動を詳しくリアルタイムに知ることが容易とな
りましたので、この号をもちまして発行を終了します。

                 ────────────────

2000年3月にメールマガジン「国立大学独立行政法人化問題週報」を発刊して5
年が経過しました。高等教育の新しい法体系における微小な違いが将来の大学
全体のありかたを大きく左右すると考え、大学の教育と研究の現場で情報を共
有し、独立行政法人化のもつ諸問題についての共通認識を拡げることにより事
態を少しでも好転できないかという思いからでした。

しかし、2002年4月には旧国立大学協会が独立行政法人化を「賛成多数」で了承
したことにより、国立大学法人法が2003 年7月に成立し、国立大学制度は2004
年3月で廃止となりました。2004年4月より、国立大学制度とは名称以外には法
的共通点のない国立大学法人制度が動きだし、各国立大学法人の多彩な試み、
種々の混乱、そして危惧されていた行政側の「背信行為」が伝わってきます。

また、公立大学を独立行政法人化する検討を進める地方自治体も増え、独立行
政法人制度を大学に適用することについて危惧されていた構造的問題点がその
まま現実となる事例もあります。私立大学の経営者も、国立大学法人の企業に
匹敵する機動的で全権的な役員組織に危機感を持って、同様のものを実現しよう
としているようです。

全大学関係者で共に取りくむことが可能であった法的制度設計段階から、新し
い歪の多い法的枠組を運用する段階に移り、国公私を問わず、具体的状況にお
ける「仁義なき」試行錯誤が満ちあふれる時が来たように感じられます。しか
し、その中で、大学全体の未来を視野においた冷静な努力もボトムアップに真
剣に行われてもいるようです。佐藤清隆氏の取りくみはそれを象徴するものと
感じます。

                 ────────────────

これまで「大学界の緊急事態」と考え、配信拒否がない場合は配信をするオプ
トアウト形式をとってきました。無断配信に不快な思いをされたかたが多いと
思いますが、どうぞお許しください。

一方、いろいろな方々からの情報提供や励ましのメールと、日々情報発信を続
けるウェブサイト・ブログ群に支えられてきました。メール送信者およびサイ
ト管理者の方々に深く感謝いたします。

国立大学制度が廃止されるまでに収集した資料等は、「国立大学独立行政法人
化の諸問題のページ」 http://ac-net.org/dgh (1999.10 -2003.9)に保存して
います。国立大学独法化阻止全国ネットワーク(2001.6-2004.6)のサイト
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html には、重要文書が整理保存され
ています。

                                   Academia e-Network Letter 編集発行人
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
配信ログ:http://ac-net.org/letter/log.php 

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