大学

Academia e-Network Letter

国立大学が独立行政法人化され公立大学の多くが後を追い、大学界全体への政・官・財の影響力が高まりつつあります。大学界における連帯形成の試みとして不定期に配信しています。

全て表示する >

[AcNet Letter 46 ] 国立大学事務官から法人化に賛成した学長へ

2003/12/31

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       Academia e-Network Letter No 46 (2003.12.27 Sat)
         http://letter.ac-net.org/03/12/27-46.php

━┫AcNet Letter 46 目次┣━━━━━━━━━ 2003.12.27 ━━━━

【1】意見広告の会ニュース77
       Date: Sat, 27 Dec 2003 02:04:23 +0900
       From: 「会」事務局 CXH02476@nifty.ne.jp
       http://ac-net.org/dgh/ikenkoukoku/77.php に転載

 【1-1】法人化に賛成した学長殿 
    http://ac-net.org/dgh/ikenkoukoku/77.php#1
    http://ac-net.org/blog/archives/000412.html

 【1-2】「東京都 産業科学技術振興・基本指針」へのコメント
          都立大理学部教員
    http://ac-net.org/blog/archives/000414.html

【2】都立大学・科学技大理工系教員有志110名の声明
   http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000408.html

【3】横浜市立大学でも役所が踏み絵を用意
   http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000404.html

 【3-1】横浜市大学改革推進本部本部長への緊急抗議声明(2003.12.23)
    横浜市立大学教員有志

 【3-2】藤山嘉夫氏から横浜市立大学学長への要請(2003.12.24)
    http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k031224-1.pdf

【4】自衛隊のイラク派遣に反対する研究者の声明
     ネット署名(2003.12.26-2004.1.10),意見表明への呼びかけ 
     http://poll.ac-net.org/3

【5】ウェブログ「15分間大学改革研究」最近のエントリー
     http://voice.kir.jp/kaikaku/

【6】ウェブログ「全国国公私立大学の事件簿」最近のエントリー(15件)
     http://university.main.jp/blog/


━ AcNet Letter 46 【1】━━━━━━━━━━ 2003.12.27 ━━━━━━
意見広告の会ニュース77
       Date: Sat, 27 Dec 2003 02:04:23 +0900
       From: 「会」事務局 CXH02476@nifty.ne.jp
       http://ac-net.org/dgh/ikenkoukoku/77.php に転載
───────────────────────────────
目次 2003.12.27
───────────────────────────────
1 法人化に賛成した学長に行動と謝罪と損害賠償を 読者からの手紙
2 自衛隊のイラク派遣に反対する署名
3 「東京都 基本指針」に対する都立大理学部教員のコメント
4 石原知事記者会見
5 都立法科大学院に関する「東京新聞」特集記事

───────────────────────────────
【1-1】法人化に賛成した学長殿 
                 山口大学事務職員50代掛長
───────────────────────────────

   数千人の意見広告の会や全大教や法人化反対の政党のいろいろ
  の行動が国会での法人化法案に付帯決議を生みました。

  微力ですが、私も意見の会に賛成しも数万円の広告費をカンパし
  ました。全国の同志結集で全国紙に数回にわたり、数千万円の経
  費を掛けて意見を述べました。

  付帯決議で、悪化の歯止めがつけられたかに見えましたが、財政
  面で政府与党・財務省の恒常的な予算削減計画は、財政の停滞状
  況に導き、大学が財源を集中したほんの一部の分野しか陽が当た
  らないこととなります。

  今までの国立大学では毎年の定員削減計画により大変苦しんだ計
  画に匹敵する最悪の恒常的な予算削減計画です。

  数大学の学長は、国大協で反対の意見を述べられ、危険であるこ
  との警鐘を鳴らし続けられたと報道されています。 

  法人化に賛成した学長又は、意見を述べなかった学長は、直ちに
  行動を起こすべきです。現在要望書を提出したとしていますが、
  この計画が決定されたら、長期にわたり各大学に数億円以上のの
  減額が予定されていると報道されています。

  民間会社なら社長の判断ミスで、組織に多大な損害を与えた場合
  は、辞職する例もあります。

  これは、恒常的な予算削減計画を乗り切るために収入減を授業料
  等の大幅値あげでカバーするするしか方法がなく、国民に対して
  国立大学の良さを捨てたに責任もその学長にはあると思います。

  この1月に恒常的な予算削減率計画が決定がされたら、学内外の
  反対を押し切り、賛成した学長として組織に対して謝罪と損害賠
  償を考えるべきです。

  各大学は、恒常的な予算削減計画が決定されると、血のにじむよ
  うな計画をこの4月から検討しなければなりません。

  教職員は、定員削減計画で教職員が減り恒常的な長時間勤務とな
  り体調を崩す教職員も増大しています。この悪夢を恒常的な予算
  削減計画が更に増幅させることは、間違いありません。

  法人化に賛成した学長、及び了解を与えた学長は、行動するべき
  です。

───────────────────────────────
【1-2】「東京都 産業科学技術振興・基本指針」へのコメント
       都立大理学部教員
     http://ac-net.org/blog/archives/000414.html
     http://ac-net.org/dgh/ikenkoukoku/77.php#3
───────────────────────────────

  1)「ナノテク」といって、すぐにでも実現しそうな明るい雰囲気
  がありますが、実はものごとはそう単純ではありません。たしかに
  我々も公的資金を申請するときは、いかにも実現性がありそうに作
  文はしますが、それは単に可能性であって、実現性が極めて難しい
  ものが多いことは現場の研究者が一番よく知っています。たとえば、
  話題性のあるーボン・ナノチューブですが100近い応用例が提案
  されてきましたが、市場原理を前提としてビジネスとして成立しそ
  うなのは(専門的になりますが)非線形光学素子としての応用くら
  いではないかと考えています。全国紙に掲載された我々の研究も基
  礎物性物理以外のなにものでもないのです。

  2)そう簡単に実現性がないことは企業がよく知っています。リス
  クの大きいテーマには思い切って投資していません。政府もこれを
  よく知っていて、科学技術基本計画(5年間で20兆円を越える公
  的資金の投入)の予算の約30%はナノテク関係かと思いますが、
  要するに大学とか公的研究機関のようにリスクを負担できるところ
  に投資できる枠組みを作っているのです。これはもちろん、リスク
  を負いたくない財界の強い要請が背景にあります。

  3)ましてや、リスクを負う余裕のない中小企業の再生のためにナ
  ノテクが役立つはずはありません。100の可能性のうち、数項目
  しかビジネスとして成立しないという現状では、中小企業は乗れる
  訳がありません。もし東京都が本気にナノテクを推進する気ならば、
  まずは市場原理を度外視して、基礎研究に投資する(対象は大学や
  公的研究機関でしょう)姿勢が必要でしょう。

  4)これと対照的なのは半導体の計画です。これは国際的にロード
  マップ(ITRS: International Roadmap for semiconductor)ができ
  ていて、2020年頃までには、シリコンを用いたクロック周波数
  の理論限界15GHzを実現するための、緻密な計画ができていま
  す。これはインテルも東芝も富士通もほとんど同じ戦略で、莫大な
  投資がなされています。どこに困難があり、それを克服するにはど
  うするか、どれだけの時間がかかるかを見積もったかなり説得力の
  あるものです。当然といえば当然で各社が数百億単位で投資するか
  らには実現性が問題なのです。

  5)バイオテクノロジーは中間的な位置にあります。実現性の見え
  ている場合もありますが、遺伝子が2カ所以上からんで発現する病
  気や異常などは、組み合わせの数が多すぎて、天文学的数字の実験
  が必要になってしまいます。製薬メーカなどが一定の投資をおこなっ
  ていますが、アメリカの政府の投資、アメリカ製薬会社の投資と比
  べれば微々たるものです。

  6)H2ロケットが失敗するのは、大企業がいわゆる経験ある人間
  の熟練性にたよるローテクを軽視したからです。たとえば三菱重工
  業は、20年前にはあった精密な溶接技術をもはやもちあわせてい
  ません。ローテクは中小企業の得意分野でしたが、どんどん倒産し
  大田区などでは悲惨な状態です。

  7)以上のような現状を無視した東京都の計画は、中小企業を活性
  化するどころか、単に箱物をつくる建設業者をうるおすだけになる
  でしょう。臨海地区にさすがにいまさら箱物を建設できなくなった
  業者を救うために、ほかの地区で建設をすすめるねらいが見え見え
  です。南大沢の新しい建物の建設もこのような流れの一環かと見え
  ます。
───────────────────────────────
#(採算性の見込みがない研究は企業では担えないので国が投資を
するのは当然だ、ということを言うひともいるだろうが、その理屈
でいえば、採算性とは無関係の基盤研究の方が更に優先されるべき
であろう。嘘も方便ではないか、実用性があると嘘を言って世論や
政治家を騙して巨額の国家予算を科学技術に回すことで、学術界全
体の底上げになるーーという議論は危険である。ごく一部の分野が
研究費の洪水で溺れ、大多数の分野が研究費の干ばつで荒廃しつつ
あるーーまさに、学問世界を不毛な砂漠に化す「環境破壊」が引き
起こされつつある。)
───────────────────────────────



━ AcNet Letter 46 【2】━━━━━━━━━━ 2003.12.27 ━━━━━━

都立大学・科学技大理工系教員有志110名の声明
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000408.html
───────────────────────────────

  #(12月24日の記者会見で都知事が、人文系教員だけ東京都大
  学管理本部を批判している、と言い逃れをしていたが、それがきっ
  かけであろう、都立4大学全体に浸透していた批判が、理工系教員
  110名の強い声明として結晶した。大学の全構成員を屈服させよ
  うと躍起になっているのは、権力に恍惚となるタイプのつまらない
  政治家であることを自ら証明しているようなものである。しかし、
  良識であれ法律であれ道徳であれ憲法であれ、軍隊以外の何ものに
  も「屈しない」強い権力者に感動する人も少なくないのが日本の
  危機的状況を象徴している。)

───────────────────────────────

 声明

     東京都大学管理本部主導による一方的な「新大学設立」準備
     の早急な見直しと開かれた大学改革準備組織の再構築を求め
     る

      東京都立大学は50年を超える歴史と伝統を培っており,教
     育と研究の両面で,公立大学として多くの社会的責務を果た
     してきた.また,都立科学技術大学をはじめ他の都立の大学
     も首都の教育と研究を支える貴重な貢献をしてきた.しかし
     ながら,2年前,東京都は専らその財政的な理由に基づき都立
     の4大学の統合・改革を提起した.これに対して,4大学は
     多くの問題を抱えながらも当時の管理本部と共同して,新た
     な枠組みによる大学の設置の作業に取り組んできた.特に,
     教育を受ける現在と未来の学生達に不利益が生じないことを
     常に念頭に置き,教育・研究に携わる機関としての社会的責
     務を今まで以上に間断なく果たすことを目標として,平成1
     7年度の新たな枠組みによる大学の発足に向けて長時間にわ
     たる検討を進めてきた.ところが,本年8月1日に現大学管
     理本部が唐突に提出してきた「新大学構想案」は,これまで
     の検討結果を一方的に破棄したものであった.以来,大学の
     「現場の声」を無視して進められる「新大学構想」に対し,
     10月7日の都立大学総長声明(「新大学設立準備体制の速
     やかな再構築を求める」)をはじめ,教職員,学生,大学院
     生などからの多くの声明や抗議が出されてきているにもかか
     わらず,大学管理本部は全くこれらを無視し,その後も河合
     塾への作業の外注や教員の任期制度や年俸制の一方的公表な
     ど,大学運営の基本に関わる事項を大学との協議の姿勢を示
     すことなく押し進めている.

      大学の改革は時の行政が一方的に進めるべきではなく,大
     学を運営する大学の執行部,あるいは,法人化後であればそ
     の責任を専らに担うものが中心となり,行政と手を携えて進
     めるべきものである.この基本すら守られない状況において,
     これ以上管理本部がいうところの「大学改革」を認めること
     は,現大学で学ぶ学生・大学院生のみならず,大学の新たな
     出発を期待する高校生,受験生をはじめとする東京都民,国
     民に対する責務を大学自身が放棄することになりかねない.
     したがって,現在都立の大学で教育・研究に従事し,大学の
     運営に一半の責任を持つ大学人として,これを黙って見過ご
     すことは出来ない.

      私たちは,10月7日の都立大学総長声明で指摘されてい
     る内容を支持するとともに,現在進められている一方的で独
     断的な「新大学設立」準備を直ちに見直し,開かれた準備組
     織のもとでしっかりとした改革の方向を検討し,新しい大学
     を作っていくための取り組みを進めることを強く求める.

     2003年12月26日

     東京都立大学理学研究科・工学研究科,東京都立科学技術大
     学工学研究科教員110名

     連絡先:東京都立大学理学研究科小柴共一(生物科学専攻), 
     神木正史(物理学専攻),三宅克哉(数学専攻)工学研究科渡辺恒
     雄(電気工学専攻)東京都立科学技術大学工学研究科山田雅
     弘(インテリジェントシステム専攻)

━ AcNet Letter 46 【3】━━━━━━━━━━ 2003.12.27 ━━━━━━

横浜市立大学でも役所が踏み絵を用意
URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000404.html
───────────────────────────────

8月に、東京都の役所が、石原都知事の改革案に協力することを約
束する文書への署名を各教員に個別に要求した。同じことを横浜市
が市立大学で行った。都立大学の場合は全学で問題となり学長が抗
議し、ほぼ全員がボイコットしたが、横浜市立大学では学長が役所
に取り込まれてしまっているので心配であるが、12月17日に教
職員組合が警告(*1)、横浜市立大学教員有志が12月23日に横浜市大
学改革推進本部本部長に抗議する緊急声明【3-1】を発表、12月24
日に藤山嘉夫氏が、小川学長に毅然とした態度で臨むことを要望し
た【3-2】。

 (*1)http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k031219-1.html

───────────────────────────────
【3-1】横浜市大学改革推進本部本部長への緊急抗議声明
    横浜市立大学教員有志(2003.12.23)
───────────────────────────────

    緊急抗議声明

    横浜市大学改革推進本部
    本部長 前田正子殿
    2003年12月23日
    横浜市立大学教員有志

     去る12月17日、貴職は「市立大学教員の皆様へ」と題す
    る文書を私どもに直接配布されました。その文書には大学が市
    に対して提出した「横浜市立大学の新たな大学像について(以
    下、大学像と略)」とこれを受けて市が発表した「市立大学改
    革案に対する設置者の基本的な考え方」に沿って新しい大学づ
    くりに参加・協力する教員を募集する旨が記載されています。
    しかしながら、この文書の意図するところには、憲法に保障さ
    れた学問の自由と基本的人権の観点から看過できない重大な問
    題が含まれています。

     まず第一にこの文書は、これからの大学における教育・研究
    の内容を大学自身ではなく外部組織である設置者が決定すると
    いうことを公言しているという点です。これは憲法で保障され
    た「学問の自由」と、それを担保する「大学の自治」を根底か
    ら否定するものであると言わざるを得ません。

     第二に、この文書が持つ「踏み絵」的性格です。文書では1
    2月24日までに参加・協力を申し出ること、また、期限後に
    ついても随時受けつけることとし、10名程度からなる「プロ
    ジェクト部会」のメンバーに採用された者の名前以外の応募者
    の名前は公表しないとしています。これは、これからの大学づ
    くりを「大学像」に賛成するものとそうでない者とを選別する
    ことにより、賛成するもののみにより、市主導で大学の研究教
    育の内容を決定しようとするものです。多くの人から、そして、
    直接の現場である現教員から広く意見を聞くことがよい大学を
    作るために必要なことは、7月に大学主催で行われたシンポジ
    ウムで清成法政大学理事長が強調したことでした。また、各教
    授会の決議等で示されているように、市大教員の大部分は新た
    な大学像に反対の意見を持っています。一方で、これからの大
    学改革に向けては自分の経験や専門知識を生かしたいと考えて
    います。教員個人個人に取って、この文書はまさに”踏み絵”
    です。

    私たちは横浜市立大学を心から愛し、今大学が置かれている現
    状を憂い、よりよい大学ができることを真に望むものです。改
    革自体に反対し、現状を維持すればそれでよい、と考えている
    ものでは決してありません。大学を愛すればこそ貴職が示され
    た民主主義の原則に反するやり方に断固反対するものです。

    即刻、「コース案等検討プロジェクト部会参加者申し込み書」
    (*3)    を白紙撤回することを要求します。
(*3)http://www.yokohama-cu.ac.jp/daigakukaikaku/daigaku/daigaku_kaikaku/dk1217Final.doc

     大学構成員一人一人の意見を尊重し、市民に対しても白日晴
    天のもとで大学改革が行われるのであれば、私たちは改革の主
    体としてその努力をいささかも惜しむものでないことを申し添
    えます。
───────────────────────────────
【3-2】藤山嘉夫氏から横浜市立大学学長への要請(2003.12.24)
http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k031224-1.pdf
───────────────────────────────

    横浜市立大学学長 小川恵一殿
    2003年12月24日
    横浜市立大学教員組合
    執行委員長 藤山嘉夫

    小川学長は、大学の自主性・自立性を守るべく、態度を今こそ
    鮮明にすべきである 

    12月17日、横浜市大学改革推進本部は「市立大学教員の皆様へ」
    を教員に配布した。横浜市の横浜市立大学改革推進本部に「コー
    ス案等検討プロジェクト部会」を設置し、これに教員が参加す
    ることを呼びかけ、「参加申込書」を添付している。「部会」
    員の構成の内3名は学長推薦とし、また、大学改革推進本部が
    選考する「公募」4名程度については、選考にあたっては学長
    の意見を聞くものとされている。このような形での学長の関与
    を前提とする「プロジェクト部会」の設置にもかかわらず、学
    長が評議会において「今日初めて聞いた」と発言しているよう
    に、学長への事前相談もないままに17日の評議会でこのことが
    報告された。このような推進本部のやり方自体が、行政権力が
    大学の自立性を不当に侵害・介入する異常な事態である。学長
    は、このような不当な介入に対して即刻に抗議すべき立場にあ
    るにも拘わらず、この点を曖昧にしていることは極めて遺憾で
    ある。

    また、「プロジェクト部会」が案を作りそれを「横浜市として
    の意志決定を行ないます」としていることは、本来大学が自主
    的自立的に具体化すべき教育・研究の構想を、学外の設置者が
    決定することになる。これは、「教育は、不当な支配に服する
    ことなく、国民全体に対し直接に責任を負って行なわれるべき
    ものである」とする教育基本法第10条に違反する。文部科学省
    が、法人化に際しては「大学の教育・研究の自主性を配慮して
    いるかを、細に渡って聴取する」とし、「大学の自主性・自律
    性に十分に配慮されておらず、また、大学関係者と合意を得ら
    れずに地方公共団体から一方的に申請されたものであれば認可
    できない。審議された経過についても、聴取したい」(全大教
    と文部科学省との公立大学法人化問題での会見。2003年11月13
    日)としているのもこのことを根拠としている。

    さらに、「参加申込書」には、「平成15年12月1日発表の『市
    立大学改革案に対する設置者の基本的な考え方』に沿って、新
    しい大学づくりに参加・協力します」と記されている。「申込」
    に際してこのような前提を立てることは、「設置者の基本的な
    考え方」についての<踏み絵>を教員に対して設定するものと
    なっている。本「参加申込書」は大学のあり方を根底から破壊
    する異常な性格のものである。

    さらに注意したいことは、「横浜市大学改革推進本部 コース
    案等検討プロジェクト部会設置要領(要旨)」があくまでも
    「要旨」であり、「設置要領」自体は公表されていないことで
    ある。従って、「要旨」には記載されずに「設置要領」には記
    載されているはずの内容が全く知らされていないのである。何
    を課題とするいかなる組織形態であるかを詳細に明確にせぬま
    まに教員に参加を求め、このような組織で改革案の具体化を進
    めることは、あらゆる恣意的な案の具体化が可能となる余地が
    ある。このことが杞憂ではないであろうことは以下のことから
    も明確であろう。1)「コース案等検討プロジェクト」とされ
    ていてこの「等」の示す内容がいかようにも解釈されうる余地
    を残している。2)さらにまた、「設置要領(要旨)」の「2 
    検討内容及び検討体制」においては「国際総合科学部(仮称)
    を構成するコースや大学院の専攻、コース、文系博士後期課程
    などについて検討を行ないます」とされているにも拘わらず、
    「参加申込書」を含む関連書類が医学部、看護短期大学部の教
    員にも配布されていること。3)「設置要領」それ自体を公表
    しないいかなる理由がないであろうにも拘わらず、これが公表
    されていない事実こそその意図が詮索されざるを得ない根拠で
    ある。このような不明瞭な組織への教員の参加を求めること自
    体きわめて不当である。

    都立大学総長の茂木俊彦氏は、日本の大学の歴史に後世語り継
    がれるであろう歴史的文書において次のように述べている。
    「教員組織は、単に抽象化された員数の集団にすぎないのでは
    ない。それは、憲法・教育基本法をはじめとする関係法規に従
    い、学生ないし都民に対し直接に責任を負って大学教育サービ
    スを提供することを責務とする主体の集団であり、また長年に
    わたって研究を推進し、今後それをさらに発展させようとする
    主体の集団である。それゆえ既存大学からの移行、新大学設置
    を実りあるものにするには、教員がその基本構想の策定から詳
    細設計にいたるまで、その知識と経験を生かし、自らの責任を
    自覚しつつ、自由に意見を述べる機会が保障されなければなら
    ない」(「大学設置準備体制の速やかな再構築を求める」2003
    年10月7 日)。このように述べて茂木氏は、都の大学管理本部
    が詳細設計への教員の参加を求めた「同意書」の撤回を管理本
    部に対して毅然として要求している。

    このような態度こそが、今こそ小川学長に求められる大学人と
    しての歴史的な責務であると考える。具体的に以下の事項を小
    川学長に要望する。

    1 横浜市大学改革推進本部に対して「プロジェクト部会設置要
    領」「プロジェクト部会設置要項(要旨)」「市立大学教員の
    皆様へ」「参加申込書」の撤回を直ちに要請すること。

    2 横浜市大学改革推進本に対して「コース案等検討プロジェク
    ト部会設置要領」そのものの公開を要求すること。

    3 「プロジェクト部会」の部会員について、学長の推薦を行な
    わないこと。

    4 「参加申込書」を提出した教員と提出しない教員を不当に差
    別的な処遇をしないこと。

    5 コースやカリキュラム案に関する学内組織を直ちに立ち上げ
    てその具体化を急ぐこと。

    6 コースやカリキュラム案の具体化にあたっては、現職の全教
    員がきちんと位置づけられるように設定すること。

━ AcNet Letter 46 【4】━━━━━━━━━━ 2003.12.27 ━━━━━━

  イラクへの自衛隊派遣反対の大学界有志によるネット意見表明
       http://poll.ac-net.org/3
───────────────────────────────

                                       2003年12月26日(金)
大学関係者の皆様

イラク問題に関連して、日本が大きな岐路に立っています。大学界
でも主に人文社会科学分野の研究者の方が少なからず市民運動の中
心となって活動されておられますが、大学界からの声としてはイラ
ク派遣への危惧は日本社会に十分には届いていないように思います。

そこで、東京都議会と横浜市議会への要請書(*1) 、京都地裁への
要望書(*2) と同様の形式でネット署名を行い、問題分析や提案等
を含め、メッセージをいただいて、大学界の思いをさらに少しでも
日本社会に伝えられれば、と思います。

場所は、http://poll.ac-net.org/3/ です。署名受付窓口はこのペー
ジのみです。インターネットによる省力化を活用する短期集中型署
名運動ですので、ご理解ください。

  (*1) http://poll.ac-net.org/1a/ 
  (*2) http://poll.ac-net.org/2/

辻下 徹

------------------------------------------------------------
自衛隊のイラク派遣に反対する研究者の声明へのネット署名の呼びかけ

     現在、小泉政権は自衛隊をイラクに派遣しつつあります。たとえ
    一国平和主義といわれようとも、第2次世界大戦以後、国家の行為
    として他国民を殺傷したことがなかったことは、我々日本人の誇り
    だったはずです。日本はいつから、為政者の思いつきで憲法を無視
    できる無法国家になったのでしょうか。自衛隊のイラクへの派遣を
    即刻中止することを政府に要求する呼びかけに賛同してくださるよ
    う、全国の研究者の皆様に訴えます。なお、この署名は1月11日
    東京で開かれる派兵反対集会において紹介いたします。


    呼びかけ人代表 山口二郎 北海道大学

    赤井 純治(新潟大学),在田 一則(北海道大学),五十嵐 尤二
    (新潟大学),池内 了(名古屋大学),石川 濶(帯広畜産大学),
    伊豆 利彦(元横浜市立大学),出水 薫(九州大学),一楽 重雄
    (横浜市立大学),一條 眞古人(北海道大学),岩永 定(鳴門教
    育大学),宇野 忠義(弘前大学),梅津 清二(大分工業高等専門
    学校),浦辺 徹郎(東京大学),大谷 尚子(茨城大学),大野 裕
    (名古屋大学),神沼 公三郎(北海道大学),兼岩 龍二(小樽商
    科大学),神山 勉(名古屋大学),河合 崇欣(名古屋大学) ,
    北川 勝弘(名古屋大学),栗山 次郎(九州工業大学),小島 純一
    (茨城大学),小林 邦彦(名古屋大学),駒田 聡(京都教育大
    学),近藤 義臣(群馬大学),後藤 仁敏(鶴見大学),斎藤 周
    (群馬大学),酒井 はるみ(茨城大学),佐久間 正(長崎大学),
    笹沼 弘志(静岡大学),真田哲也(福島大学経済学部),志賀 徳造
    (東京工業大学),清水 肇(東北大学),庄司 惠雄(お茶の水
    女子大学),白井 浩子(岡山大学),白井 深雪(東京大学),
    鈴木 恒雄(金沢大学),竹浪 聰(富山大学),田澤 紘一郎(信州
    大学),谷本 盛光(新潟大学),多羅尾 光徳(東京農工大学),
    塚本 次郎(高知大学),辻下 徹(北海道大学),豊島 耕一(佐
    賀大学),中川 弘毅(千葉大学),中村 郁(北海道大学),
    仲尾 善勝(琉球大学),永井 實(琉球大学),永岑 三千輝
    (横浜市立大学),根森 健(新潟大学),能條 歩(北海道教育大学),
    野田隆三郎(元岡山大学),橋本 満(電気通信大学),長谷川 浩司
    (東北大学),服部 昭仁(北海道大学),浜本 伸治(富山大学),
    濱田 武士(東京海洋大学),早川 洋行(滋賀大学),廣吉勝治
    (北海道大学),福島 和夫(信州大学),藤田 詠司(高知大学),
    藤本 光一郎(東京学芸大学),保谷 徹(東京大学),本田 勝也
    (信州大学),前田 靖男(東北大学),増子 捷二(北海道大学),
    間嶋 隆一(横浜国立大学),松田 彊(北海道大学),松尾 孝美
    (大分大学),松方 冬子(東京大学),三島 徳三(北海道大学),
    宮本 孝甫(琉球大学),森 英樹(名古屋大学),森本 淳生(京
    都大学),山形 定(北海道大学),山口 和秀(岡山大学),
    山根 正気(鹿児島大学),吉岡 直人(横浜市立大学),吉田 正章
    (九州大学),渡辺 信二(立教大学),渡辺 明日香(北海道大学),
    渡辺 勇一(新潟大学),渡邉 信久(北海道大学)


------------------------------------------------------------

             自衛隊のイラク派遣に反対する研究者の声明

     現在、小泉政権はアメリカの求めに従って自衛隊をイラクに派遣
    しようとしている。現地には、イラク特措法でいう安全な場所は存
    在しないことは明らかであり、また自衛隊はイラク国民の切望する
    平和や復興のためよりも、アメリカ軍によるイラク支配を支援しに
    行くことも明白である。このまま自衛隊が派遣されれば、それはア
    メリカ軍と一体の軍事組織とみなされることは不可避である。そし
    て、自衛隊はアメリカ軍支配に反発するさまざまな勢力による武力
    攻撃の標的となる危険性はきわめて高い。また、それに対する自衛
    手段とはいえ、自衛隊が現地の人々を殺傷する可能性も大きい。

    日本国憲法制定以来、憲法第9条のもと、国家の行為として他国民
    を殺傷したことがなかったことこそ、日本人の誇りだったはずであ
    る。この誇りがいまや打ち捨てられようとしている。小泉政権は、
    国民の反対を無視し、国民に対する十分な説明もなしに、憲法を踏
    みにじろうとしているのである。

     イラクの復興のために日本が協力することは当然であるにしても、
    それはあくまでイラク人の願いに沿った協力であるべきである。ま
    た、イラクの復興は国連を中心とする国際社会の協力によって達成
    すべきものである。イラクの地に軍靴の足跡をつけるためだけの自
    衛隊派遣は、真の平和と復興をもたらすことにもつながらない。

     我々は政府の暴挙を座視することはできない。小泉政権による憲
    法9条の実質的な廃棄を許すことはできない。また、権力保持に汲々
    とする為政者の都合で自衛隊員を危険にさらすことも看過できない。
    我々は政府に対し、自衛隊のイラク派遣決定を撤回するよう要求す
    る。

2004年1月

イラク派兵に反対する研究者の会

━ AcNet Letter 46 【5】━━━━━━━━━━ 2003.12.27 ━━━━━━
ウェブログ
    「15分間大学改革研究」最近のエントリー
     http://voice.kir.jp/kaikaku/
───────────────────────────────

12/25 国立大学法人評価委員会総会(第2回)配付資料
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000266.html

12/25 国公私立を通じた競争的な大学支援
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000265.html

12/23 東大の信じがたい就業規則
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000264.html

12/22 鹿児島大が国立大初のISO取得
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000263.html

12/21 そら恐ろしい数字
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000262.html

12/21 教員養成大学・学部卒業者の就職状況
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000261.html

12/21 特色教育予算、来年度財務省原案ではゼロ査定
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000260.html

12/21 国立大学法人評価委員会  総会(第1回)議事録
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000259.html

12/16 シラバスを授業に生かす
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000258.html

12/13 大学改革と外国人教師
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000256.html

12/13 学長の辞任
http://voice.kir.jp/kaikaku/archives/000255.html


━ AcNet Letter 46 【6】━━━━━━━━━━ 2003.12.27 ━━━━━━
ウェブログ
    「全国国公私立大学の事件簿」最近のエントリー(15件)
     http://university.main.jp/blog/
───────────────────────────────

■敦賀短大、2学科統合の収支算出−2003年12月27日
http://university.main.jp/blog/archives/000162.html

■厚生労働省、10―20歳代の若者を対象に職場で必要とされる「基礎能力」の
認証制度を創設 −2003年12月27日
http://university.main.jp/blog/archives/000161.html

■鹿児島国際大学解雇事件−2003年12月26日
http://university.main.jp/blog/archives/000160.html

■九州私大教連、第3回秋季私大フォーラムを開催−2003年12月26日
http://university.main.jp/blog/archives/000159.html

■山梨学院、UFJ信託銀行から約13億円の損賠を提訴される−2003年12月26日
http://university.main.jp/blog/archives/000158.html

■司法制度改革、敗訴者負担制を限定導入へ 双方合意が条件−2003年12月26日
http://university.main.jp/blog/archives/000157.html

■厚生労働省労働政策審議会、「労働委員会の審査迅速化等を図るための方策に
ついて」(建議)−2003年12月25日
http://university.main.jp/blog/archives/000156.html

■国労北海道事件、最高裁判決−2003年12月25日
http://university.main.jp/blog/archives/000155.html

■東亜大学  支払い賞与請求訴訟、地位保全等仮処分裁判の進展状況−2003年12
月25日 http://university.main.jp/blog/archives/000149.html

■JR訴訟、最高裁不当判決問題−2003年12月24日
http://university.main.jp/blog/archives/000148.html

■鹿児島国際大学 懲戒解雇事件−2003年12月24日
http://university.main.jp/blog/archives/000147.html

■文科省「教職員の組織する教職員団体に関する調査結果」発表−2003年12月23日
http://university.main.jp/blog/archives/000146.html

■鹿児島国際大学解雇事件仮処分再申立裁判 第3回審尋の結果報告−2003年12月
23日 http://university.main.jp/blog/archives/000145.html

■JR訴訟、最高裁は一、二審判決を支持し、中労委のいずれの上告も棄却−2003年
12月23日 http://university.main.jp/blog/archives/000144.html

■鹿児島国際大学 懲戒解雇事件−2003年12月22日
http://university.main.jp/blog/archives/000139.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集発行人:辻下 徹 admin@letter.ac-net.org
ログ:http://letter.ac-net.org/log.php
趣旨:http://letter.ac-net.org/index.php
関連ウェブログ:http://ac-net.org/dgh/blog
#( )の中は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-05-03  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。