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物書きアフリカ研究者。南部アフリカのジンバブエ共和国に棲むくじら。アフリカのこと、日々のこと、いま考えることを手紙のように綴っていきます。南アフリカ生まれの作家ベッシー・ヘッドのこともときおり書いていきます。 

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『あふりかくじらの自由時間』【104】

発行日:11/19


 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++




          『あふりかくじらの自由時間』

                           【104】

                         http://africanwhale.net/

 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★


古臭いホテルの二階の奥まった場所に、その場所はある。
ちょっと気だるい空気が漂う廊下のいちばん端の部屋から聴こえてくる歓声は、
テレビのサッカー中継だったり、プール台のナイスショットだったり。

たばこ臭く、酔っ払った男たちがたむろする、カーペットの汚いその部屋は、
ハラレの街中にあって、いつも何だか怪しげな感じがした。
でも、とても陽気で熱いひとたちがあつまっていた。
いつも、酔っ払った男たちの笑い声が響いていた。


            ★         ★


・・・ということを最近の朝日新聞の連載「国を壊す」を読んで思い出しました。
これ、16回にわたるジンバブエ特集でした。

夜の空気が冷えこみ、頭のなかがしゃきっとして冬の感触を思い出させます。

いかがお過ごしですか。
またご無沙汰してしまいましたけれど。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


思い出したのは、あるホテルのバーである。
いろんな国の都市にもあると思われるが、いわゆるジャーナリストが
たむろする場所なのだ。たぶんその性格は国によって違うかもしれない。

ジンバブエは、メディアに対する規制が厳しい。
とくに、政府系のヘラルド紙はかなりコントロールされていて、
公正なメディアという性格をなくしてしまった単なるプロパガンダ紙である。
そこでは、政府のうたい文句どおり、ジンバブエの政治経済の混乱は
欧米の陰謀であり云々、といった文言が繰り返し登場する。

一方で、独立系の新聞やジャーナリストたちが活躍している。
かなり、政府に対して批判的な言葉を書く。
彼らがどうやって生き延びているのか不思議ではあるんだけれども、
たしかに政府に「つぶされた」(表向きはそうではないが)ような
ケースもあるため、生き残りは厳しいのであろう。

それでも、活動しているのが、彼ら独立系ジャーナリストなのである。

そして、その彼らが集まっているのが、このバー(ペンクラブ・・・というのは
ちょっと正確な表現ではない気がするけど)であった。
ここには、野党関係者も少なからずいたと思われる。

わたしは、友人に会いに何度もここを訪ねた。
(外国人の、しかも日本人女性がくるなんて珍しいのでちょっとした
 有名人になった)


            ★         ★


件の朝日新聞の連載は、ジンバブエの状況を特集したもので、10月17日から
16回にわたって掲載された、松本仁一氏の取材によるものである。

まずは、経済的混乱状態のジンバブエを脱出しようとする人々を描き、
それから政府による価格半減令後の物資不足によりすっかりからっぽになった
スーパーマーケットの様子、闇経済、ムガベの土地改革政策と続いて、
政府系の人間から白人農場主、一般市民に渡る人々のインタビューも
載せている。

どれもとても印象的だったが、わたしのこころにとりわけひっかかったのは
ネルソン・チャミサの顔だった。


            ★         ★


ネルソンは、野党MDCのメンバーである。
今年3月、ベルギーで開かれる国際会議に出席するために空港に向かい、
そこで男たちに囲まれて頭などを殴打された。

病院に運ばれ、集中治療室に入った。
頭蓋骨の陥没、顔面の怪我などのひどい状態で、命の危険があった。
彼の写真は、新聞の一面に載った。
顔から血を流し、目を閉じていた。

忘れることのできない、痛々しい写真だった。


            ★         ★

そのころ、野党MDCの党首チャンギライ氏をはじめ、多くの野党関係者や
活動家が暴力を受け逮捕された。
無差別発砲で、死んだ人間もいた。

(そのころに書いた記事はこちら:
 http://blog.livedoor.jp/africanwhale/archives/2007-03.html )

わたしは直接ネルソンを知らなかったけれど、彼はわたしの近い友人の
友人であった。
あの日からずいぶん取締りが厳しくなり、しばらくの間、わたしの足は
みんなの集まるあの場所から遠のいた。外国人とはいえ、巻き込まれたら
やっぱり危険だからだ。

でも、あのときの友人の表情を、わたしは忘れることができない。

これは、ほんとうに身近なところで起きている闘いなのだと思った。
あまりに痛々しくて、何も気の利いたことなどいえなかった。

外国人であることを、悔しくも思った。
でもそういうことを言ったら、きっと彼らはうれしくないだろうけれど。


            ★         ★


それぞれの立場、それぞれの事情がある。
でも、ここまでこじれてしまった状況をどう整理すれば良いのだろう。


アフリカにかかわり始めてずいぶん経つけれど、はじめて長期間滞在したのは
他でもないジンバブエだった。ほんの二年間だけで、わたしはまだきっと
何にもわかっちゃいないのだと思う。

そのことが、とても悔しい。


            ★         ★


大切なひとたちの生活がまともになり、国が再び豊かになってくれればいい。
狂気としか思えないインフレがなくなり、人々が国に戻ってくれるように
なるといい。

そのためには、血が流されなくてはいけないとは思わない。

どうか、もう誰も死にませんように。


            ★         ★


日本でこれほどたくさんの紙面を割いて記事を掲載した朝日新聞は素晴らしい。
いや、松本仁一さんが素晴らしいのだろうか。

とにかく、日本語でジンバブエをはじめアフリカ各国のことがどんどん
報道されるようになってくれるといいと思う。

わたしはわたしで、地道なブログとメルマガを続けていきながら、
とりあえずは来年のTICADに向けて活動している。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


また、発行の間が空いてしまいました。

ブログはけっこうたくさん書いておりますが、なかなかメルマガをまとまって
書くとなると心の準備がいるというか・・・(言い訳)

ブログのほうも、どうぞよろしく。http://blog.livedoor.jp/africanwhale


最近のわたしは、落ち込むこともいくつかありましたが、なんとか元気です。
とうとう無収入生活4ヶ月目ですけど。


読んでくださりありがとう。

                         あふりかくじら



 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★

     『あふりかくじらの自由時間』【104】2007年11月19日発行

 【発行者】 あふりかくじら
 【メール】 africanwhale@mail.goo.ne.jp
 【URL】 http://africanwhale.net/
 【ブログ】 http://blog.livedoor.jp/africanwhale 
 【エンピツ日記】 http://www.enpitu.ne.jp/usr1/10741/

 ★バックナンバー★ http://www.melma.com/backnumber_103336/

【あふりかくじら★カフェ】メールマガジン(週3回程度、軽く短め)
 http://africanwhale.net/cafe.htm
 深夜のラジオ的アフリカ物書き。
 日々の風景、思ったことなどを短く短くつづった15秒だけのお昼休みマガジン。
 ふとしたことばが誰かに届けばよいなと思います。

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 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++

*焦っても仕方ないけれど、でも開き直っても仕方がない。
 





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