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『あふりかくじらの自由時間』

物書きアフリカ研究者。南部アフリカのジンバブエ共和国に棲むくじら。アフリカのこと、日々のこと、いま考えることを手紙のように綴っていきます。南アフリカ生まれの作家ベッシー・ヘッドのこともときおり書いていきます。

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『あふりかくじらの自由時間』【95】

2006/12/28


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          『あふりかくじらの自由時間』

                           【96】

                         http://africanwhale.net/

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クリスマスとか年末とか、日本だと静かだなんて思ったことなんて
あまりなかったかもしれない。

このヴィレッジの夜はそれでも、とっても澄んでいて静かだと思う。
そして、温かでなつかしい。


            ★         ★


クリスマスが過ぎ、もう今年も終わりですね。
いかがお過ごしですか。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


またもうひとつの年末がやってくる。

ヴィレッジに住むひとたちはほとんどが白人で、そして古き良きローデシアの
思い出を胸に抱くひとたちである。

ときどき、コンプレックスの真ん中にあるパブに行き、やわらかな光の中で
キャッスル・ビールをいただく。そして、40歳以上も年上の「お友だち」と
色んなお話をする。軽口もたたく。

思うのだが、彼らの多くは伴侶を亡くした独身。
けっこう自由な生き方をしているのだ。
だから同じく独身なわたしとおしゃべりしていても案外楽しい。
もちろん、恋愛沙汰なんかもここではたくさんある。


            ★         ★


金曜日にはパブのとなりのレストランで軽く食事をし、赤ワイン。
予約を入れたひとしか入れないレストランではあるが、たいした食事はない。
フィッシュ・アンド・チップスくらいなものだ。それもなかなか良い。
そして住民ボランティアの奏でる演奏に耳を傾ける。

アコーディオンの音色って、なんて赤ワインと似合うんだろう。

自由で、温かくて、そしてささやかな夜は、このところあまりにも
たくさんのことがありすぎた自分の心をほんわり包んでくれた気がする。


            ★         ★


今年、またジンバブエは食糧不足だ。
こんなに気候が良くて豊かな土壌の農業国が、人為的な理由で。
そして政府はまた、WFPの食糧配布に制限をかけているらしい。

2010年まで、ムガベ大統領が任期を延ばす可能性が高くなってきた。
本来2008年に実施されるはずであった大統領選挙を、政府はコスト削減
ということで2010年の議会選挙と同じにするという説明をしている。

もちろん、これは建前である。

もっとも、ムガベ大統領が職を辞したところでなにがどう変わるのだろう。
この国の腐敗構造は根深いものがある。
インフレ率は変わらず年率1,100%近くを推移している。

現在のジンバブエ政府を呪ったところで何にもならない。
でも、このヴィレッジに住むわたしの「お友だち」には、他に呪うべき
ものがない。もう、何十年と暮らしてしまったこの国以外に、帰るところは
ないのである。懐かしいローデシアの思い出に浸りながら。


            ★         ★


そんなことをぼんやり考えているうちに夜は更けた。
わたしもちょっと、ワインを呑んでしまって勢いづき、ピアノを弾いてしまった。
温かい拍手につつまれた。

その後、ひとりの女性のお宅に集まりウィスキーをちょうだいした。
家族の写真と一緒に、三年前に再婚し、その9ヵ月後に亡くなったという
パートナーの写真もあった。
人生ってなんてせつなくて、そしてうつくしいんだろうと思った。
70歳を過ぎてから再婚、そしてまた死がある。


星空があまりにきれいで。

そしてわたしは、こうしてジンバブエという国に来て、このひとたちと一緒に
暮らしていることを幸せに思った。
こういう偶然も、悪くない。


            ★         ★


静かに年が暮れていく音がする。
空気が澄んでいて、星が数え切れないほど輝く。

車が少なくなって店が閉まる。
なんだか時間の流れがどんどん収束して、2006年という一年をきゅっと
文字通り締めくくるような感じがしている。

ジンバブエは雨季だ。

スコールのような雨が降り、太陽が注ぐ。


何年も、何十年もそうしてきたように。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆



読んでくださりありがとう。
2006年は、これを読んでくださる方にも支えられました。

来年は大きく動く年になりそうです。
あなたの一年が幸福に満ちたものでありますよう。


これからもどうぞ、よろしくおつきあいください。


                 雷の鳴り響くハラレにて

                         あふりかくじら


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     『あふりかくじらの自由時間』【95】2006年12月28日発行

 【発行者】 あふりかくじら
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*13日で三十路になりました。どうぞよろしく。これからが愉しみ!
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創刊日:2003-11-12  
最終発行日:  
発行周期:月2回程度  
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