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中国スポーツ独白

中国の野球、サッカー、市民スポーツなど、スポーツのある風景を題材に、中国社会の変化や現状を紹介。北京在住で中国スポーツ事情を追いかける坪井信人がお届けします。

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「中国スポーツ独白」No.24(通巻70号)

2005/02/09

************************************* 2005/02/09 No.24(通巻70号)******

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--   中国スポーツ独白   -----------------------------------
  └───────────┘  〔発行・構成・執筆〕坪井信人(北京在住)

    〜スポーツから「中国の市民生活」や「等身大の中国」が見えてくる。

********************************* http://blog.melma.com/00103189/ ******

春節快楽。
昨晩は旧暦の大晦日でした。爆竹を盛大に鳴らして新年を迎える伝統のある中国で
すが、火事や怪我などを防ぐため、北京では郊外を除いて爆竹の使用が禁止されて
います。それでも例年通り、昨晩はかなりにぎやかでした。伝統を法律でコントロ
ールすることは難しい? 今回は、某メーリングリストで発言した内容を少し編集
して配信します。

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さあ、サッカー北朝鮮戦
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いよいよ、サッカードイツW杯アジア最終予選の日本代表対北朝鮮代表戦です。

中国代表は一次予選で姿を消したとはいえ、中国では最終予選の全試合を放送予定。
サッカーの影響力は、やはり絶大。中国サッカー関係者は、日本、イラン、韓国、
サウジアラビアが直接本選出場権を獲得、0.5枠を他の4チームが争うだろうと見
ています。

私は運良く、中国・海南島で行われた北朝鮮代表合宿(1月半ばから末)に、2週
間張り付いていました。某テレビ局の手伝いです。朝鮮語はできませんので、中国
のサッカー関係者経由での情報収集が役割でした。しかし、対象は一国のナショナ
ルチーム。合宿地の関係者にかん口令を発していたため、情報集めは困難を極めま
した。

日本では、海南島での合宿の様子が大量に伝えられたようですので、いまさら説明
の必要はないでしょうが、北朝鮮代表は取材に対して協力的ではなく、メディアと
の関係は良好とは言えませんでした。当然、選手や関係者も、カメラの前で笑顔を
見せることは少なかったため、2月7日にNHKでユン・ジョンス監督の笑顔の会見
が流れた際には、正直驚きました。朝鮮総連関係者が、日本での影響を考えた記者
会見のシミュレーションを行ったあと、ユン監督が会見場で質問に答える形を取っ
たのでしょう。

海南島でも、あのような笑顔で会見を開いていれば、日本の記者の気持ちを逆なで
せずに済んだのでしょうが、「記者会見なし」「(在日選手の)安英学選手、李漢
宰選手を除いては取材お断り」という状況だったため、スポーツ新聞を中心に、ゴ
シップ的な記事が並ぶ結果になったのだと思います。メディア対策を怠ることは、
様々なマイナス効果を生む好例です。

日本メディアは、「独自取材が無理なら」と、中国メディアとの協力関係構築に躍
起になりました。ただそれでも限界がありました。たとえば、中国では泣く子も黙
る影響力がある中国中央テレビ(CCTV)でさえ、グラウンド内でカメラを回すこと
は許されませんでしたし、中国一の影響力を誇るスポーツ新聞の記者が多くの情報
を持ってはいたものの、北朝鮮側との信頼関係を崩さないために、記事にもせずに
心の中にしまった話題が多い状態でした。練習自体は、金網の外から「丸見え」で
はあったのですが、コメントが取れないというもどかしい状況が、海南島の現実で
した。

とはいえ、日本メディアと北朝鮮代表チームの間には、緊張と弛緩の関係が交互に
やってきた状態。けっして、四六時中緊迫が続いたわけではありません。日本の記
者が「北朝鮮チームは非協力的」と感じたこと、それに日本と北朝鮮の今の関係が、
日本での報道の方向性を決めたといえます。某スポーツ紙のカメラマンは、「誇張
だよ、この扱いは」と、自分が撮影した写真に添えられた「厳戒態勢」という写真
説明を見ながら、現場と日本の編集担当との温度の差を嘆いていました。現場の空
気は、なかなか伝わりにくいものです。

ちなみに気になる北朝鮮代表の実力。素人目に見て、彼らの個人能力はかなり低い
です。日本代表が負けるようなことがあれば、北朝鮮が強いのではなく、日本が弱
いということでしょう。なにはともあれ、がんばれ、日本代表。

   *

(了)不定期配信

【読者のメール】
「2005/01/03 No.23(通巻69号)の内容が矛盾しているのではないか」とのメール
をいただいていました。回答が遅くなりました。

【質問】
荒川選手の演技に大きな拍手を送り、他の国際大会で日本選手にブーイングをしな
かった中国の観衆は、なぜサッカーだけで日本チームにブーイングを送ったのです
か。日本が「不満のはけ口」ならば、他の国際大会でもブーイングが起こったはず
です。単なるフーリガンがやったということなら、大した問題ではないでしょう。
しかしそれに留まらない問題を抱えているのなら、むしろ荒川選手になぜブーイン
グがなかったのかという角度から論ずるべきではないでしょうか。

【回答】
日本が「不満のはけ口」となる背景は複雑ですが、ブーイングを送るかどうかは、
「気まぐれなもの」だと思います。TPOがあると言えるでしょうか。残念ながら、
中国人なら誰でも、潜在意識の中で「日本嫌いの根」を持っていると思います。日
本人が心のどこかでアジアの仲間をさげすむ根があるのと同じでしょう。ですから、
ブーイングはフーリガンの仕業ではなく、「日本嫌いの根」がさせた極めて自然な
行動だったと思います。ただ、その「根」をあおったのはフーリガン的なリーダー
であり、お祭り的な雰囲気だったのではないでしょうか。

一方、テニスとフィギュアスケートの会場でブーイングが起こらなかったのは、観
客層の違いが影響したのだと思います。中国は極端な階層社会ですから、極端な方
法を取れば、社会的ポジションや学歴などにより、「自分の行動を律する人」「自
分勝手な行動を取る人」などのグループに分けることができると思います。

社会的地位のある人たちは、自分の体面を考えます。サッカーが庶民のスポーツと
すれば、テニスやフィギュアスケートはエリートのスポーツ。エリートはブーイン
グをすることは、控えるべきだと心をコントロールしたのではないでしょうか。

2月9日、日本での北朝鮮戦が、2004年のアジア杯のような品のないブーイングの
嵐にならないこと(品のあるブーイングは歓迎)を願って、回答とさせてください。

以上。

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〔発行・構成・執筆〕坪井信人 kikugawa@cocoa.freemail.ne.jp

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創刊日:2003-11-10  
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