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雲上マガジン vol_208

発行日:4/6

 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】「雲上の庭園」第2回募集 応募作品名・作者名 一覧
 【2】お気に入りの五作 一覧

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◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【1】「雲上の庭園」第2回募集
                       〜応募作品名・作者名 一覧
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 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐■ テーマ:「現実に溢れる虚構」

 01┠》 渡邊利道「洪水の前夜」
   新聞か何かで読んだ話である。ある時、夫が失踪して、二十年ほ …………

 02┠》 仲町六絵「幻の書物」
   扉を換えろと言っておいたのに、相変わらず鉄扉の表面には汚ら …………

 03┠》 伊藤鳥子「ある夜の東京タワー」
   明け方、尿意を感じて目が覚めた。ベッドから這い出そうとする …………

 04┠》 陸海恵三「忘却」
   少女を終えようとしている少女が、ぽつねんと佇んでいる。うら …………

 05┠》 Narihara Akira「インタビュー」
   新作のモデルはって……面と向かって訊いてきたのは、あなたが …………

 06┠》 海士街秋一「さようなら ムーンレイカーたち、さようなら」
   もう単なる白髪低頭の老人である彼はいつかは国賓とされたこと …………

 07┠》 武田若千「悲鳴」
   ある年、新入社員が入社したばかりの頃だった。社内で火災警報 …………

 08┠》 bothhands「鯨と漁師」
  「これが同じ人類とは信じ難い」と私は砂浜に打ち上げられた漂流 …………

 09┠》 小田牧央「騙し愛、殺し愛」
   雨に濡れる交差点をみつめ、俊夫が足をとめた。もう一年も経っ …………

 10┠》 加楽幽明「蓬莱飯店」
   呑み屋で意気投合した男に連れられ、僕はある店に足を運んだ。 …………

 11┠》 英資「石の物語」
   たとえば闇の残る夜明け前。きみは川べりの道など歩きながら、 …………

 12┠》 才式羊宣「夜の月を見ている」
   家に帰ると彼女がなにも映っていないテレビを見ていた。薄気味 …………

 13┠》 アトリエス「虚偽家族」
   これはとある一家の話。父母とその息子が一人。中流の核家族だ …………

 14┠》 井上五郎「窓」
   特に用も無くゲーム屋をぶらついていたら嫌な奴に会った。 …………

 15┠》 井上五郎「ツンデレコーダー」
  「バカバカバカーーーもうアンタなんか知らないんだからっ」 …………

 16┠》 仲町六絵「赤い棺」
   少女は地下街を歩いている。自分の背丈の半分もある、車輪付き …………

 17┠》 空虹桜「恋はいつも幻のように」
  「また会えるよね」 …………

 18┠》 高橋史絵「巡回使の告白」
   一、すべての女性を対象とすべし …………

 19┠》 小田牧央「夢子26才、好きな工具はニッパーです☆」
   あ、起きた? うふ、びっくりしてるね。大丈夫、初めから説明 …………

 20┠》 久尾貴奈「手を拾う」
   出勤途中の道端でなにやら怪しげな棒状のものを見つけた。僕は …………

 21┠》 塩山タカオ「時」
  「俺は時を止められる」 …………

 22┠》 金子みづは「言城ノ虜」
   堅牢にして荘厳な煉瓦の城を、タロウカードを積み上げたカラフ …………

 23┠》 園茅臣「顧みるには近すぎて」
   同窓会は、花見に決まった。母校の桜はやや満開の頃を過ぎ、そ …………

 24┠》 小田牧央「日本オワタwww\(^o^)/」
   目玉焼き、コーヒー、レトルトの野菜スープ、厚切り食パンに苺 …………

 25┠》 添田健一「蜃気楼」
   海沿いの土地に着いて三日目に、蜃気楼を見た。 …………

 26┠》 才式羊宣「禁則施術」
   気がつくと『詩人』になっていた。高円寺のライブハウスで感染 …………

 27┠》 駿河捷克「黒猫」
   黒い服を着た男が笑っている夢を見たようだが、よく憶えていな …………

 28┠》 丹酌「フィールドセオリー 1」
   巨大な魚の化石のからだがあらゆる壁や残骸の、上を優雅に泳い …………

 29┠》 丹酌「フィールドセオリー 2」
  「確かに見たんだ。はじめのうちは“それ”がズレているのだと …………

 30┠》 丹酌「フィールドセオリー 3」
  「それでは次は……アヤコの番ね?」 …………

 31┠》 蒼桐大紀「しおり」
  「ねえ、それ何?」 …………

 32┠》 渡邊利道「フォビア」
   蜘蛛のように憂鬱な空から、かぼそい雨がするする降りてくる四 …………

 33┠》 長屋言人「境界線上散歩」
   こうして、駅前の雑踏を泳いでいるとき、わたしはこちら側にい …………

 34┠》 蒼ノ下雷太郎「サンタクロースよりも偉大なモノ」
   子供達にプレゼントする虚構は、サンタクロースよりも神様の方 …………

 35┠》 蒼ノ下雷太郎「AくんとKくんの比較」
   Aくんは夢を叶えるために、必死に努力をしました。 …………

 36┠》 水池亘「かわいいかわいいわたしのねこ」
   ごめんなさいね。折角うちのねこ見に来ていただいたのに。あの …………

 37┠》 小田牧央「あなたの真実の物語」
  (この小説は権利者の申し立てにより削除されました) …………

 38┠》 添田健一「猫とマオ老人」
   蔵書室に勤めている父のもとにお弁当を届けにゆく。父は書棚の …………

 39┠》 白縫いさや「I'm home」
   満月の晩、我々は一斉に舟を湖に出す。櫂で水を掻き、ぐんぐん …………

 40┠》 仲町六絵「模型職人」
   わたしの祖父は、小さな模型製作所を営んでいた。祖父は特に、 …………

 41┠》 侘助「嗤うな。」
   給料日前の寂しい懐を遣り繰りして、社員食堂でたぬきソバを …………

 42┠》 渡邊利道「夜の秘密」
   それは僕がもう寝ようかと思ったときのことで、「もう」と言っ …………

 43┠》 佐多椋「1.大学時代に取り組んだことを記入してください。」
   所属している幻術サークルでは幹事長を務め、いわゆる《第三存 …………

 44┠》 添田健一「旅の終わりに」
   隣の町にゆくのが大冒険だったのはうんと小さな子供のときの話。 …………

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 【2】「雲上の庭園」第2回募集
                       〜お気に入りの五作 一覧
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【選】蒼ノ下雷太郎

 手遅れかもしれない雷太郎です。すいません、樹海に行ってきます。
 一応、お気に入りの五作。よし、樹海に行こう。

  14┠》 窓
 最後が分かりにくい気がするのは、俺が馬鹿だからじゃないよな。
 でも、淡々として最後に隠し持ってたナイフでぶっ刺すようなのは好き。

  15┠》 ツンデレコーダー
 アイディアが好き。

  13┠》 虚偽家族
 今回のお題に、最も適していたような気がする。

  19┠》 夢子26才、好きな工具はニッパーです☆
 何回も展開して驚かされた。最後の威力もある方だと思う。

  26┠》 禁則施術
 詩人という病気がどういう症状なのか出てくれば、もっと面白かった気がする。


 何か以前と比べて文章力が高い作品が多くて驚きました。その中で稚拙な小説があった
んで、誰だこいつ恥ずかしいなと思ったら俺でした。
 そうだ。樹海に行ってみよう。



■☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆■
【選】白縫いさや

 全体として、面白かったです。
 44作もあればまさしく玉石混合なのですが、その中でも目を見張るものがいくつかあ
りました。
 評は固めに、感想はですます調で書きました。

  01┠》 洪水の前夜
 非常に書き慣れた印象。流れるような文体は作品の雰囲気と沿っていて、確かな力量を
感じる。
 作品全体に流れるどこか物憂げで気だるい雰囲気が根底にあるだけに、「洪水」という
言葉が持つ性質(視覚的な巨大さ、暴力性、自然的)が良く映えているように思う。非常
に良く計算された作品。質は高いと思う。
 完成度が高いあまりに、かえってつまらないように僕は感じてしまいました。なんだこ
れは、うますぎる。天邪鬼です、はい。現代は非常に素晴らしい作品が溢れており、そう
いうものと比べてしまうと、いささか新鮮味に欠けてしまう。そして何より残念だなあと
思ってしまうのは、この話に続きがないことです。おそらくこの話はこれでおしまい。時
間は止まったまま。もちろん書こうと思えばいくらでも書けるのでしょうが、話としては
正真正銘、ここで "おしまい" だと思うのですよね。もっと広がりが欲しい、というのが
読後の印象でした。なんて我侭。

  10┠》 蓬莱飯店
 1の作品同様、非常に書き慣れている印象で、安心して最後まで読むことができた。内
容についても「蓬莱飯店」の妖しさが存分に出ており、どこぞの注文の多い料理店とはま
た違った面白みがあった。
 作品の幅をひそかに広げているのは「小悪魔の卵」ではないかと思う。東洋を作品全体
の雰囲気に据えている一方で、小悪魔という西洋の概念が何の疑いもなく混じっているこ
とでより生々しいエスニックな雰囲気が醸し出されているように思われる。
 そんなわけで好きな作品です。

  18┠》 巡回使の告白
 アナザーストーリー。全体として淡々としている文章だが、巡回使の性質とあっている
ように思われ、かえって最後の彼の諦念等の想いが際立っている。
 個人的にだいぶ好みな話でして、感情のやりとりもさることながら色々な人がいたのが
いいなあと思います。

  25┠》 蜃気楼
 蜃気楼やまぼろしをテーマとした作品は今回の企画に限らず数多く見られるものである
が、この作品で特に良いと思ったのは、まぼろしの都の描写だった。第六段落目(不意に〜)
から突如始まる怒涛の都の描写、それらで一度も躓くことなく読めたのは作者の力量と言
うほかない。色彩の描写がないのに、おそらく色鮮やかなのだろうと思わせられる。
 そしてこの真昼に見た夢が醒める様子が素晴らしい。いつしかそれが蜃気楼であること
を忘れており、それを思い出させられるときの空疎な感じが良かった。
 今回の中でおそらく一番好きな作品だろうと思います。個人的に地味に良いなあとお
もったのは、「まぼろしの都」が幻の都と漢字ではなくひらがなで書かれていたことです。
都市モノが好きなのも評価に拍車がかかったことは否めません。

  40┠》 模型職人
 模型の描き方はさることながら、この作品に深みを与えているものはわたしが見た夢だ
ろう。科学的な理屈が適用されないものを指してしばしば怪異という言葉が用いられるが、
作品中ではそれがやんわりと出現し、ほっこりするような味わいを演出している。
 やさしい作品だなあと思います。それだけに身構えることなく読めたのが良かったです。



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【選】井上五郎

  07┠》 悲鳴
 極めてシンプルでいて、底知れない

  10┠》 蓬莱飯店
 薬よりこっちのほうが好き

  19┠》 夢子26才、好きな工具はニッパーです☆
 密度がすごい

  26┠》 禁則施術
 最後が悲しい

  32┠》 フォビア
 現実と虚構との距離感が好き



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【選】久尾貴奈

 お気に入りの5作を順不同で挙げてみます。

  03┠》 ある夜の東京タワー

  10┠》 蓬莱飯店

  19┠》 夢子26才、好きな工具はニッパーです☆

  38┠》 猫とマオ老人

  41┠》 嗤うな。


 個性的な作品ばかりで選ぶのに苦労しましたが、自分の趣味に合うものを中心に選びま
した。詩的な作品への客観的評価は修行が足りないため難しく、どうしても自分の好みで
選んでしまいます。
 精進せねば。
 みなさま、お疲れ様でした。そして、数々の力作をありがとうございました。



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【選】水池亘

 正直に言って、不作だと思いました。
 面白かった順に書きます。

  01┠》 洪水の前夜
 千文字のほとんどをディティールに費やすことで明文化できない何事かを描き出そうと
している。そしてその試みはほとんど成功しているように思われます。個人的には「男」
→「あなた」、「〜た」→「〜る」の方がさらに良いと思いますが、好みの問題で片付け
られるたぐいのものでしょう。序文はいらないようでいて、あった方が全体が引き締まり
ます。そしてラストの一文。見事でした。

  40┠》 模型職人
 01もそうですが、まず文章の丁寧さに好感が持てます。特に今回は文章が良いと思える
作品が少なかったので……。
 最後一段落があまりにも完璧。核心を直接書かないこの余裕は見習いたいものです。

  43┠》 1.大学時代に取り組んだことを記入してください。
 今回、アイデアがアイデアのままに終始しているような失敗した作品が多い中、本作は
アイデアをきちんと作品としての面白さに昇華させているように思います。造語に一切説
明が無いのも良いです。ファンタジー用語もビジネス用語も意味不明さという点では同一
であるという対比が見事に決まっています。

  07┠》 悲鳴
 論理的に筋の通っていないと思われる部分もあり、あまり評価できないかなと思って読
んでいたのですが、全てがただの前振りでしかなかったとわかるラスト一行の素晴らしさ
で評価が一変しました。一発ネタとしてとても秀逸だと思います。

  32┠》 フォビア
 500文字の心臓で言うところの逆選枠です。「蜘蛛のように憂鬱な空」とか、ただ変
わった比喩使えばいいってもんじゃねえぞ村上春樹百回読み直せ、と言いたくなるような
出だしを代表に、文章の細かい点でかなり違和感を感じるのですが、しかししとしと雨が
降っているかのような薄暗い雰囲気が立ち上っているのは確かで、しかもラストできちん
と物語としてのツイストがある。レベルは高いと思うのです。でもやっぱり文章が……。
総合して、大変惜しいという印象です。



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【選】加楽幽明

 お気に入りの5作

  02┠》 幻の書物
 涙で錆びてしまった鉄扉がまず哀愁を感じさせます。
 この世から消えてしまう本が、この物語を紡いでいるというのもシニカルで好みでした。

  08┠》 鯨と漁師
 サイバーパンクっぽい設定ですが、けばけばしくなく地続きで続いてる感じがよかった
です。
 更に意識が内に入っていく描写が新たなる世界への拡がりを感じさせました。

  12┠》 夜の月を見ている
 短いながらも展開がはっきりしています。
 言葉の応酬が些細なことだからこそ面白かったです。
 最後は収まるところに収まって余韻を感じさせるのも、素晴らしいと思いました。

  38┠》 猫とマオ老人
 白昼夢のような物語に独特の空気を感じました。
 すごくシンプルに書かれているのですが、物語に深みを感じられるのがすごいと思いま
した。

  43┠》 1.大学時代に取り組んだことを記入してください。
 まず勢いを感じました。
 よく分からなくても有無を言わさない確固たる世界観を持っているように感じました。
 だからと言って、この感覚が共有できないというわけではなく、はったり的な部分を感
じながらも素直に面白いと思えるのがすごいと思いました。


 そのほか印象に残った作品

  11┠》 石の物語
 石ころに焦点を当てることで、日常の風景が色鮮やかに描かれていくのがいいと思いま
した。

  19┠》 夢子26才、好きな工具はニッパーです☆
 ハイなテンションで最後まで持っていったので、文章が頭に焼き付いて印象的でした。
 説明調でも長く感じなかったのが巧いと思いました。

  23┠》 顧みるには近すぎて
 展開としては割とお約束だと思いますが、主人公の独白部分が感情移入できて好印象で
した。



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【選】駿河捷克

  01┠》 洪水の前夜
 綺麗な文章です。真似したくなる。

  16┠》 赤い棺
 非現実と現実のバランスをうまくとっている作品だと思います。

  18┠》 巡回使の告白
 単純にいい話だと思ってしまいました。

  39┠》 I'm home



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【選】武田若千

 どれもこれも面白くて完成度が高くて、五つにしぼるのが難しかったです。好み丸出し
で選んでみました。

  40┠》 模型職人
 模型というのは神様の視点になれるもので、このモチーフを題材にした小説や、模型や
ジオラマという物体そのものにも、とてもそそられます。模型とは虚構のことなのですよ
ね。文体も好きです。

  31┠》 しおり
 もっと長く長く読んでみたいなと思った物語。近未来なアイテムがたくさん出て来るの
に、紙媒体で読書する主人公に魅かれました。ノスタルジック。

  11┠》 石の物語
 > たとえば闇の残る夜明け前。
 書き出しがとても好き。そこから連なるストイックな語りかけ。何も起こらないのに、
とても楽しませてくれる展開。そして、夜明けで終わるゆえに、眼前に鮮やかな夜明けの
川縁が見えるようです。

  18┠》 巡回使の告白
 一読目は「現実に溢れる虚構」ではないような気がしましたが、そもそも「現実に溢れ
る虚構」」って「おとぎ話」のことか!と思い至りまして。
 巡回使を主人公にするなんて面白すぎる。一抹の切なさ。完成度の高さ。他のおとぎ話
でも書いてほしいなあ、こういうの。

  20┠》 手を拾う
 自分の大事なパーツをぽろぽろ落としちゃう世界。
 最初は、なんだなんだ、警察に腕なんて届けて大丈夫なのか何かの犯人とかにされちゃ
わないのかと、思ったものですが。
 左目なんて落としたら、遠近感が狂って大変。



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【選】渡邊利道

  07┠》 悲鳴
 何気ないアイディアが良かったです。日常奇譚というか。

  27┠》 黒猫
 猫になってるのを簡単に受け入れてそのオチか、と(笑)

  37┠》 あなたの真実の物語
 アイディアですね。どことなく本当(事故)っぽいのがいいです。

  38┠》 猫とマオ老人
 ペダンチックな感じが嫌味じゃなくて良かったです。

  40┠》 模型職人
 江戸小説等にありそうな夢の小咄ですね。ほのぼのしました。



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【選】添田健一

 全作品を通してテーマである「現実に溢れる虚構」に、まさしくぴったりというほど秀
逸な作品を見受けなかった印象があります。もちろん、自作もふくめて、ですが。

  11┠》 石の物語
 河べりの石なんて、ありふれているけれども、それぞれが気の遠くなるくらいに長い歳
月を経ていて、物語を内在している。
 そこにロマンを見出すことによって、ありふれたものも物語に変わる。人も石も変わり
はなく。

 石の声に耳を澄ませるイメージ。
 語りかけてくる文体も効果をあげています。

  12┠》 夜の月を見ている
 全作品のなかで、もっともこれが好きです。

 ただ、細部の言葉が粗いのと、ありふれた表現が多いのが残念。もう少し工夫したり
練ったりして欲しかった。

 ラストシーンの情景がきれい。

  32┠》 フォビア
 まず、「ことも」「テキストディター」などの誤字が残念。これらが、作者のミスでは
なかったとしたら失礼。
 冒頭の「蜘蛛のように」は、どこにかかるのかも不明。
 作品上の閉塞感、陰鬱なイメージは喚起力があります。

  33┠》 境界線上散歩
 この作品も閉塞感や帰る場所をもとめて、さまよい続けている苦悩や窒息感が、読み手
の心に訴えかけてくるものがあります。
 とはいうものの、この結末にいたるまでの切迫感はなく、もう少し前の段階でとめてい
てもよかったのでは、と思います。

 あと、「アイコン化した女子高生」という表現がよくわからなかったです。

  40┠》 模型職人
 祖父との交流を描いた作品。孫の夢と祖父の思いが同調して、古い時代の家屋の模型へ
と結晶するという構図に深い共感をおぼえました。



■☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆■
【選】小田牧央

 五作は木を切るヘイヘイホー

  06┠》 さようなら ムーンレイカーたち、さようなら
 SF短編に匹敵しそうな設定と展開を、手際よく千文字に納めた手腕が見事でした。

  12┠》 夜の月を見ている
 長すぎず、短すぎず、愛らしい小品です。
 最後がきれいな絵になるのが素敵。

  18┠》 巡回使の告白
 有名な童話を解像度の高いカメラで撮り直すことで、虚構と現実の狭間を巧みにすりぬ
けてゆく感覚が生まれています。
 描写の細かさ、セリフ回しなど、文章の丁寧さが伝わってきました。

  43┠》 1.大学時代に取り組んだことを記入してください。
 ヌガー!
 くやしいけど、面白かったよ!

  44┠》 旅の終わりに
 初読時はありきたりに感じました。読み直してみると、慎重に計算され積み重ねられた
エピソードから、じわじわと実感がこみあげてきました。
 小説の力を感じさせられる一品でした。



■☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆■
【選】侘助

 こちらでは初めまして。侘助と申します。
 私には書き得ない全ての作品に敬意を抱く訳ですが,“お気に入りの五作”という規定
ですので,私の琴線に触れた作品から,泣く泣く五作に絞ることに致しました。
 なお,“寸評”とは“感想”と違い,あくまで“評”する観点から発するべきだと考え
ましたので,多少言葉が過ぎる所もあるのではないかとは思いますが,その点御寛怒下さ
いましたら幸いです。

  12┠》 夜の月を見ている
“冗談”の通じる間柄というのは,実は絶妙な距離感を保っている間柄だと思います。
 自分ではなく,かといって完全に他人ではない。気が置けないにも拘わらず,互いに,
ある一線は決して譲らない。
 そんな心地良い距離感が「僕」と「彼女」の間には存在していて,お互いの意地の張り
様の応酬が微笑ましく感じられます。
 恐らく文中に一箇所“と”の一文字が欠けていると思われますが,それは作品世界に対
する瑕疵とはならないでしょう。
 あくまで仮定の話ですが,タイトルは「夜の」ではなく“同じ”であったなら,より余
韻が深まったのではないかと思います。

  19┠》 夢子26才、好きな工具はニッパーです☆
 一見説明が長すぎる様に感じられるとも思うのですが,“虚構”と“現実”の対比に置
いては,この饒舌さはむしろ好印象です。
 作品世界に読者を否応なく引きずり込む力があります。説得力とか論理的妥当性などと
いうちっぽけな価値観など無意味に思わせてくれます。
「バグつき」の「ノベルゲーム」という世界観は,人によってはありきたりなのかも知れ
ませんが,私には久々に新鮮でした。
 ただ,「ニッパー」には,どうしても細い線を切断する工具としての固定観念がありま
したので,「好きな工具は“万力”です☆」として,丁寧に指を一本一本,ぐりぐりぷち
ん,とするか,「好きな工具は“半田ごて”です☆」として,「ハル君」の身体に“らぶ”
とか相合い傘をじじじじゅわわと刻みつける吹っ飛び方があっても良かった様な気がしま
す。

  24┠》 日本オワタwww\(^o^)/
 時代を映し出す鏡には色々な種類がありますが,この作品も正にその一つであると言え
るでしょう。
 深く静かに侵攻する“現実”の崩壊が,何気ない朝の風景に覆い被さっています。
「きょうのわんこ」が「四時間たっぷり」の「総集編スペシャル」という状況が,ある種
切迫感を持ってこちら側に迫ってきます。
 しかし,“その”時代を映し出す鏡は時代の変化と共にセピア色に色褪せてしまうもの
です。
「マイミク」「2ch」「ニコ動」「ブログ」「Twitter」といったガジェットが,ポケベル
とかPHSとかPC-9800シリーズとかの様に,時代の変遷と共に過去の遺物となることは想像
に難くありません。本作は謂わば時代の徒花としての運命を持っていることが惜しまれま
す。
 タイトルが横書き表記前提であることも,媒体を限定し,後世に残りにくい仕様である
のが残念です。

  26┠》 禁則施術
 第一段落のたった三文で脳天にガツンと一撃を食らいました。有無を言わさぬ説得力と
はこのことでしょう。
 確かに「詩人」は厄介な存在です。感染力は比較的低いと思われますが,免疫力の低い
人には忽ち猛威を振るい,「詩想」という害毒を社会に撒き散らしながらじりじりと罹患
者を死に至らしめるという恐ろしい「病」です。警官に「手術は成功しましたが、患者は
死にました」と言われ,強行処置を執行されても文句は言えません。
 在野で物書きなどという社会不適応者の私も,似た様な病に罹っている訳ですから,他
人事ではありません。恐ろしい。誠に恐ろしい作品です。
 しかし薬剤師である筈の「薬局のおやじ」が,「鬱病」=「かまってちゃん」という,
無知で浅薄でステレオタイプな物言いをするとは驚きです。できれば,「オヤジ」には後
学のために,デパスとかパキシルとかトレドミンとかドラールとかアモバンとかいった薬
を実際に服用せざるを得ないという経験を是非ともさせたい所です(大丈夫です。“自死”
しない限り死にはしませんから,何の心配もありません)。

  36┠》 かわいいかわいいわたしのねこ
 愛は盲目と言いますが,「かわいいかわいいわたしのねこ」と表されている通り,「わ
たし」は「ねこ」の愛らしさにもう首っ丈なのですね。もう「ねこ」の事しか考えられな
い溺愛ぶりに感嘆します。
 どういう経緯で知り合ったのかは分かりませんが,“猫”好きの「あなた」にとっては
「わたし」の家を訪問したことは,実に災難でご愁傷様としか言えません。
 ただ,実際に身内が“野良猫”に引っかかれて,炎症を起こして腕が腫れたりとか,喧
嘩中の“猫”が「がぎゃご」と鳴く姿を目撃したことのある私にとっては,「わたし」の
溺愛する「ねこ」と“猫”の区別が今一つはっきりしない部分があるのです。この世には
実際に“翼のある(と思われる)猫”がいるくらいですから,「ツノ」があってもあまり
不思議ではありません。
“現実”と“虚構”の捻れ合わさり方から言えば,「ねこ」には是非“ぬむぶぁあ”とか
“あはぁどぉお”と鳴いて,シュールストレミングの缶詰や5センチ大のウシガエルのオ
タマジャクシを皿一杯生きたまま貪り食ってもらいたいなと思います。



■☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆■
【選】いも

  06┠》 さようなら ムーンレイカーたち、さようなら
 世界がシェルターに覆われたという背景と、月に行った老人との組み合わせがよかった
と思いました。

  11┠》 石の物語
 石の数だけ物語がある、というのはとてもロマンティックで、この作品の文体に置かれ
た余白が想像を更に広げさせてくれました。

  12┠》 夜の月を見ている
 ほほえましかったです。字数を考えると他の落とし方も出来るのに、同じものを見て寝
てしまうというのが却って余韻を感じさせられました。

  26┠》 禁則施術
 とても面白かったです。死に至ってもいいから詩人になりたいと思いました。

  43┠》 1.大学時代に取り組んだことを記入してください。
 こういうの、とても好きです。しかも、隙がありませんでした。よかったです。


 字数制限があるなかで、物語をのびのびと収められている作品は広がりが感じられ、読
んでいて心地よかったです。
 楽しい読書をさせて頂きまして、ありがとうございました。



■☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆■
【選】空虹桜

  07┠》 悲鳴
 安心して読めて良かったです。オチの処理もなかなかのモノ。
 でも、家族関係というか夫婦関係としては、そんなアレな話でもした方がいいんじゃな
いかなぁとか。
 余計なお世話?独身のクセに?ごめんなさい。ごめんなさい。

  12┠》 夜の月を見ている
 あはははは。無条件で好き。
 よもやここでこんな物語と出会えるとは!
 瑕疵が無いではないけど、タイトルも決まっていて素晴らしいです。
 だからお願い。手をつないでアタシと眠ってください。

  23┠》 顧みるには近すぎて
 ヤヴァ!拙作と微妙にネタが被ってる!!
 突拍子も無さではこっちのが数段上だけに若干悔しくもあり。

  24┠》 日本オワタwww\(^o^)/
 タイトルや中身の俗っぽさに引っかかって舐めて読んで、痛い目にあいました。
 いや、俗っぽい話ばっか書いてるアタシが言えた義理じゃないのは重々承知ですが。
 正統派SFをオンタイムに当てはめていくとたしかにこうなるような。素晴らしい。
 ただいかんせん、「雲上の楽園」が同人誌であっても商業誌であるなら、この物語は著
作権とか商標権的にかなりグレイから黒じゃないかと。

  44┠》 旅の終わりに
 王道。まさしく王道。
 それ以上の言葉入らないかと思うし、ある程度の年齢を数えた人間として、この物語を
素通りすることはできません。
 王道すぎて陳腐化していると思うかもしれないけれど、陳腐であることは決して悪いこ
とではないとアタシは思います。
 むしろ、スタンダードであると置き直すべきかと。



■☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆■
【選】アトリエス

 09┠》 騙し愛、殺し愛

 16┠》 赤い棺

 18┠》 巡回使の告白

 34┠》 サンタクロースよりも偉大なモノ

 40┠》 模型職人


 何となくで選びました。小難しい文学論のようなものは語れないし、その気もないので。
 上記5作は1000字という掌編小説でありながらきっちりと話を終わらせ、内容が分かり
易く、テーマに沿い、その人の個性が見える秀作だと思います。
 まあ、他にも素晴らしい作品はあるでしょうが、そこんところはインスピレーションな
んでご勘弁を。



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【選】園茅臣

 全編を通じて、文字化けが気になりました。どうも全角のダッシュは半角の?になって
しまったようです。半角の—も、何かが化けているのでしょう。

  12┠》 夜の月を見ている
 なんて贅沢な感性。テーマの解釈といい、ラスト一文の満ち足りた感じといい、短くさ
らりと切り上げるところも含め、その気負いの無さが羨ましい。

  22┠》 言城ノ虜
 No.12とは対極の重厚さ。に見えるが、それもまた虚構なのだろう。古い異国の唄とし
て、意味もわからずに聴いてみたい。

  24┠》 日本オワタwww\(^o^)/
 テーマのとらえ方は、自分と似ていると思う。人は日々成長するけれど、老成した価値
観ばかりが真実を見抜くとは限らない。終盤まで完全に大人目線で読んでしまったのは、
筆者の力量に由る処と信じたい。

  32┠》 フォビア
 純然たる旨さに感服。同じ千文字のはずなのに悔しいなあ。この臨場感がどうやって生
み出されるのか、勉強したい。雨が印象的。

  36┠》 かわいいかわいいわたしのねこ
 嬉々として喋り続けるご婦人特有の迫力がリアル。No.05と迷いましたが、こちらをチョ
イス。がぎゃご。



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【選】陸海恵三

  01┠》 洪水の前夜
 安部公房を髣髴とさせる語り口と状況設定。重苦しく気怠い緊張感が全体を覆い、最後
の一文でそれらが急に霧散してしまうのが、大津波の前の引き潮を想起させます。見事な
イントロダクションでした。

  16┠》 赤い棺
 蝶が少女になった夢を見ていたのか、少女が蝶になった夢を見ていたのか。開けた箱に
入っていたのは、青年の希望か絶望か。少ない紙幅の中で、入り乱れる幻想と現実を見事
に表現しきった構成力に脱帽です。

  24┠》 日本オワタwww\(^o^)/
 テーマの抽出に関しては圧巻の出来。現実をとりまく虚構に、翻弄される家族の哀しさ
が、簡素な文体の裏からにじみ出てきます。始めと終わりに出てくる食事の描写が、現実
の持つほのかな温かみを感じさせるのもよかったと思います。

  37┠》 あなたの真実の物語
「答え消されてる───!」────うすた京介『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!
マサルさん』より

  44┠》 旅の終わりに
 掲載位置が反則。編者の贔屓を感じます。ですが、それも宜なるかな。色彩豊かな描写
に、爽やかな余韻を残す幕引き。単体としての素晴らしさもさることながら、個性溢れる
他の掲載作品達を一つの世界としてまとめてしまうような包容力を持っていて、掉尾を飾
るにふさわしい作品だったと思います。



■☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆■
【選】英資

 赤き血のイレブン

 上から目線のそしりは読み手のしての傲慢さとして甘んじて受けましょう。

 最初の一読ではそのレベルの高さゆえに順列をつけられるのかと大いに悩み、二回目に
一つずつの作品にコメントを入れていって、無理やり11作品に絞込み三回目の読み込み
で最後に5作品に絞込みました。その基準として1)物語世界は構築されているか2)そ
の世界で最後まで遊ばせてくれるか3)虚構は満ちているかを中心に選びました。
 それでは結果を。順番もあえてこの順でマイベスト5です。わたしはこの作品をNo.1
に選びました。

  19┠》 夢子26才、好きな工具はニッパーです☆
 爪先一つの振る舞いさえ気を使う新体操の演技のように掌編では特にタイトルにまで気
を使うべきなのでしょう。そういった意味でまさにその見本のような読み手を惹きつける
タイトル。ニッパーだよ、ニッパー(笑)タイトルに対抗できる内容とまでは言わないが
段落なしで綴られる一人語りも文章や文体に自覚的でいい。
 説明が長すぎて全体のバランスが崩れてしまったのは残念だったがラスト一段落、書き
手としての性格の悪さが滲み出てこの作品になんとも魅力を与えている。ええ、最高の褒
め言葉です。

  22┠》 言城ノ虜
 まさに溢れる虚構。これほどまでに意味ありげで実のところ無意味な言葉を書き連ねた
のが偉い。やってみればわかるがこれほどまでに衒学的に言葉を綴ろうとしても書けるも
のではない。
 最後の一文の処理が甘く次席にしました。

  26┠》 禁則施術
 22〉〉とは逆に途中までは書き手はまだ若いのだろうなと思いつつ最後の一行でやら
れた。発想も「詩想」と「妥協」の使い方も実にいい。
 ただ全体としてはこの物語はこの文体で語られるべきではないのだろうなという違和感
を拭いきれず三席としました。せめて地の文でもう少し語るのかあるいは会話文を地に取
り込んだほうが締まったかな。

  43┠》 1.大学時代に取り組んだことを記入してください。
 いい。すごくいい。(笑)いや、人事面接などすることあるがこんなエントリーシート
出されたらAプラスに花丸つけて上に上げるよ。Win−Winあたりからの畳みかける
ようなアピールは見事としかいいようがない。
 でもね、この活動は「幻術」サークルでやるものではないな。いっそ「出会い系イベン
ト」サークルだったらもっと上位に評価しました。

  38┠》 猫とマオ老人
 派手さはないが安定した手馴れた文章。志怪もの、猫、マオとわたしが個人的に引っ掛
かるところを突いてくる(笑)中華物やし多分あの人の作品やろなと思いながらもベスト
5に入るのはやむなしかな、と。
 やっぱりうまいわ。


 以下掟破りながらも気分が少し違っていたらベスト5に推薦したかもしれない作品に少
し言及します。

  01┠》 洪水の前夜
 もう一行「現在」に戻る描写が欲しかった。

  09┠》 騙し愛、殺し愛
 タイトルでおおきく減点(笑)あと
 >「思い出したんですね」俊夫が、薄く笑った。
 のとこ、このあとの彼の崩れ方からいって「薄く」はないはず。最後の一文が格好ええ
だけに残念。

  10┠》 蓬莱飯店
 筒井さんの短編を思わせるタイトル、そして中身も。発想はいいのだけれど全体に未消
化な感じ。文章もこなれてない。この物語なら人魚食うころには気負ってないと思うよ。

  17┠》 恋はいつも幻のように
 朝露のようないい短編。「引きの強さが」と「諭されてしまったのか」が言葉の選び方
としてどうなんやろと?をつけました。

  37┠》 あなたの真実の物語
 タイトルが「ある真実の物語」で(この小説はある筋の圧力により掲載を断念いたしま
した)だったらベスト5に入れていました。

  42┠》 夜の秘密
 人をなめた物語がそれにふさわしい文体で語られている。それゆえ最初の「逢う魔が時」
だけ浮いている気がする。最後の落ちも効いていない。


 しかしいいのか?これだけ好き勝手言って。まあ怒られたら謝ったらしまいや。ごめん
ちゃい。



■☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆■
【選】蒼桐大紀

  04┠》 忘却
 最後の「ごもっともで」は全体の印象にそぐわない思った。
 ここで作品の世界が壊れてしまったのが非常に残念だった。
 それさえなければ(あるいは違った表現を用いていれば)、よくまとまった独特の世界
を描けていたと思う。
 返す返すも「ごもっともで」が残念。
 ここで妙にフランクになってしまい最終的に全体の印象が薄っぺらになってしまってい
る。また女性らしさを感じられないため、あえて「少女」と「男女関係」を強調していた
部分が台無しになっている。
 最後でそれまでの描写が過去の映像であることの知らせ方が面白く、場面転換というよ
り作品世界が転換したとまで感じた。

  16┠》 赤い棺
 漫画のネームみたいだと思った。
 とりあえず感じるのは、小説をあまり読まないひとが書いたではないか、ということ。
 日本語としては間違いではないけれど、何カ所か文章に不自然な部分があった。
 視点が中間で少女から青年に入れ替わるので、そこのフォローは欲しかった。少女に対
する青年の返答がないままいきなり地下鉄に乗ってすぐ下りているので、混乱しかけた。
 話としては、まとめ方がよく面白い。

  31┠》 しおり
 最小の文章で、独自の世界を構成している。
 惜しむらくは少女についてもう少し語って欲しいところか。
 少女が名乗る下りが蛇足と捉えるかどうかが悩ましいところである。

  32┠》 フォビア
 つかみ所がない。それが魅力と言える。
 団地暮らしについてのあれこれを語るより、雨についての描写をもっと入れておくと良
かったと思う。
 そのため全体の完成度を落としている。
 場の雰囲気がキーになる物語なので、そこが惜しい。

  40┠》 模型職人
 正直これといって、特別な印象は受けなかった。
 しかし今回のテーマと1000字小説という括りで見れば、非常に完成度が高い。なん
とはなしに恩田陸の影を感じた。
 冒頭でもう少し祖父の人柄がにじむようなセリフを入れると、最後の一言が生きてくる
と思う。



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【選】才式羊宣

  10┠》 蓬莱飯店
 料理を食べると物語をしゃべりだすというアイデアがおもしろかったです。

  40┠》 模型職人
 不思議な雰囲気を楽しめました。おそらく、同じアイデアでも、他の人だと全く違う印
象になったような気がします。この作者ならではの雰囲気だと思います。

  01┠》 洪水の前夜
 こういう展開と文章好きです。

  43┠》 1.大学時代に取り組んだことを記入してください。
 こういう遊びは大好きです。読んでいて楽しかったです。

  08┠》 鯨と漁師
 意味はよくわからないけど、なんとなくおもしろかったです。



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【選】仲町六絵

  18┠》 巡回使の告白
 老婦人の狂いっぷりと、靴のデザインがまず良いですね。絵本にあるような、のっぺり
したガラスじゃないんだ。そりゃあ、履けないわ。小指もポロリと落ちるのに納得。
 幸せの到来を信じられない少女と、その不安を受け止める巡回使がけなげです。こうい
う登場人物に弱いです。
「お前も幸せになれよぉー!」と巡回使に肩入れしてしまいます。

  22┠》 言城ノ虜
 掌編にしかできないであろう、極限まで凝縮されたイメージの奔流を追っているうちに、
「なぜそれを知っている」と言いたくなってきました。成長する為の必要量以上に本を読
み、書かれた言葉に侵食されて大人になった人間が、古今東西にあふれている。そう思え
て、懐かしいような、苦いような、恐ろしいような。

  23┠》 顧みるには近すぎて
 怖い話も好きですが、ハッピーエンドも好きです。どこかの学校にありそうな苦いエピ
ソードと思っていたら、嬉しいどんでん返しが待っていました。校庭で桜が舞う日本的な
光景と、宇宙船から降りてくる少女という組み合わせは、ミスマッチぶりがかえって美し
い。晴れやかです。

  38┠》 猫とマオ老人
 猫だまりにも、弱いです。猫のゆったりとした生態が描かれて、読んでいて口許が緩み
ます。最後の一段落は、ていねいな描写が映えます。猫が集団で座ってるだけなのに、雰
囲気あるなあ。蛇足ですが、最後の一文で「作者はあのひとだ」と思いました。

  44┠》 旅の終わりに
 最後の夕日の場面が、胸に迫ってきます。砂漠の住人たちは何食わぬ顔で行きかうけれ
ど、語り手はひとり立ち尽くしている、というのが、旅の情景として説得力があります。
 おそらくは満ち足りているであろう、語り手に感情移入しているうちに、「普通のひ
とって、いとおしいなあ」という感慨がこみあげてきました。


 最初にお気に入りを選んだ時点では、8作以上ありました。
『黒猫』の最後の一行はピタッと着地が決まった印象、『禁則施術』は軽やかな皮肉が効
き、『日本オワタwww\(^o^)/』のきょうのわんこ四時間スペシャルは狂気に満ちて、お
気に入りに入れたかったです。

 お粗末さまでした、好きなものを語ると、ついつい長くなります。


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