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雲上マガジン vol_186

発行日:9/25

 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】 前書
 【2】 実験超短編企画「ハコニワ」           第1回(募集第1回)
 【3】 競馬コラム「オケラ回廊」            第1回
 【4】 1000字企画「雲上の庭園」     お気に入りの5作 (募集第1回)
 【5】 後記

 ……………………………………………………………………………………………………
◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【1】 前書
 ──────────────────────────────────────

 みなさまこんにちは、遥彼方です。
 「雲上の庭園」も徐々にひと段落してきました。
 今回は「お気に入りの五作」として寄せていただいた寸評の続き、そして前代未聞の<競馬コラム>、雨下雫&よあけpresents「オケラ回廊」の第一弾を掲載します。
 
 そして。雲上にもっとすてきな超短編を! ということで、あたらしい超短編企画が
スタートしたのですよ。というか私が勝手にスタートさせたのですよ。その名も、実験
超短編企画「ハコニワ」。
 編集長の周囲ではぼちぼち告知を始めておりますが、ざっくり言うと、無茶なルールで、マトモな小説の枠からはみ出した無茶な代物を書いてみよう、というものです。
 今回のルールは

  ・七五調で
  ・オノマトペを10回以上使い
  ・500字以内
 
 大切なのはノリと感覚。技巧や意図の外、偶然に立ち上る雰囲気のおもしろさをのん
びりと楽しみましょう、とまあそういうコンセプトです。
 今回は第一回として言村律広さんの作品を掲載します。


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】 実験超短編企画「ハコニワ」         第一回 〜 言村律広
 ──────────────────────────────────────

 ……はなやぐ庭園の奥にひっそり息づく、奇妙な箱庭にようこそ。

 ━━━━━ ・ ∵ ・ 神器 「法経穏羽」のはなし ・ ∵ ・ ━━━━━━

 塗り固められ、ぬめぬめと、底意地の悪い夜でした。
 ささやきに似て君の声「こわいみたい」と聞こえます。
 ちろちろと見え、這う舌が、君の心でぬくいです。
 ほっきょんぱあで、うっそりと、姿を消してしまうので、ぼくは独りでさみしくて、
村のみんなに囲まれて、泣いて暴れて、痛みます。じんじん赤く、手も足も。
 納戸の奥にしらじらと、ほっきょんぱあがありました。
 ずんぐり重く、固いのに、片手で持てる円錐で、つついつ滑る、武器でした。神器だ
なんて、嘘ですよ。
 村をごっそり消しました。ほっきょんぱあは、すごいです。
 ちぎれた君が、ぬうたりと、汁を垂らしてぬくいです。
 声が小さく「こわいわ」と。
 ぼくはうっそり、消えました。

 ━━━━━ ・ ∵ ・ ∵ ・ ∵ ・ ∵ ・ ∵ ・ ・ ∵ ・━━━━━

 「ハコニワ」では随時作品を募集中です。くわしくは編集部まで:info@kairou.com


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【3】 競馬コラム「オケラ回廊」              第一回
 ──────────────────────────────────────

 競馬をこよなく愛する熱い心の小説書き雨下雫が、よあけ=遠野浩十を連れ、競馬の
おもしろさを語り倒す!!!

 ………………… 第一回:初心者に優しく競馬の魅力を語らんとす …………………

 よあけ:
 澄み切った師走の空気を切り裂いて——ついに始まりましたね雫さん! アシスタント
のよあけですよ!

 雫嬢:
 おうよ、ついに始まっちゃったぜよあけ! アシスタントされる雫だとも!
 見切り発車とゴリ押しのダブルパンチによって実現した競馬コラム『オケラ回廊』。
第一回の今回は、初心者に優しい競馬コラムを目指そうと思うんだぜ。
 テーマは「競馬の面白さ」について!

 よあけ:
 競馬の面白さというとやっぱりアレですか、万馬券とかそういうのですね。一攫千金
ですね!
 
 雫嬢:
 それも確かにそうだけど、いきなりそこから入ったら初心者に優しくねぇだろう。
 何においてもまずは『サラブレッドが走る』という行為そのものに魅力を感じるか否
かってとこよ。
 競馬という娯楽、競技、ギャンブルといった全容以前に、その中心たるサラブレッド
そのものについて、今回は語ろうと思うんだ。

 よあけ:
 なるほど……ところで、突然ですが雫さん、競馬は好きですか?

 雫嬢:
 ホントに突然だな(笑)。好きだよ。当ったりめぇだろうが。
 
 よあけ:
 じゃあやっぱり、競走馬が走るってことそものに——サラブレッドそのものに魅力を感
じてると?

 雫嬢:
 そうですとも! サラブレッドは良いぞー。
 走る芸術品って言われるだけあって毛艶とか綺麗だし筋肉とかカッコ良いし、その実、
間近で見ると結構デカくておっかないし、嘶きなんて想像以上にやかましくてびびるし、
 気の悪いヤツなら近付き過ぎると噛み付いてくるし、草食動物だと思って舐めてると
それがかなり痛いし、基本的に畜獣だから臭いし、糞尿も所構わずだし、もう最高だね!

 よあけ:
 最高なのかよ! 常識的に考えてマイナスイメージが先行するよその感想だと!
 
 雫嬢:
 む、それもそうか。まあ、気の良いヤツなら人懐っこいし、頭も良いし、アレだよ。
ばかデカい犬コロだと思えば良いんだよ。
 その犬コロがだ、命を懸けて走るんだよ。文字通りの死に物狂いでよ。悪くすりゃあ
本当に死ぬんだぜ。馬も、乗ってる騎手も。

 よあけ:
 ああ、予後不良ってヤツですね。中学の頃にダビスタ好きだったから、それくらいの
用語はなんとなく分かります。
 
 雫嬢:
 おうよ。競走馬——騎手もだが、とりあえず置いといて——ってのは常にそういう死の
リスクを背負って走るのさ。
 それが存在意義だから。サラブレッドってのは、根本的に『速く走る』ためだけに生
み出された、ある種の怪物だからな。
 自然界に生きるウマとしての本能ってのもある程度残っちゃあいるが、そんなもんは
300年に及ぶ品種改良の歴史の中で相当変質を来してる。
 さっき、サラブレッドはデカい犬コロみたいなもんだって言ったが、この点でも似通
ってるな。
 愛玩犬は愛される、狩猟犬は獲物を仕留める、みたいに、一つの目的に向けて徹底的
に人間に弄られてるわけだ。

 よあけ:
 第一回で初心者に優しいハズなのに、既に相当ハードだよ……精神的に。
 
 雫嬢:
 まあそう言うなよ(笑)別にサラブレッドが可哀相とか人間クソッタレなんて言うつ
もりはこれっぽちも無いんだし。
 走るためだけに創造されたなんて字面からだとなんか機械的な印象受けるかもだけど
さ、一頭一頭が全く違うんだぜ。体格も毛色も走るフォームも、それに顔付きもよ。
 それだけで『生き物』なんだなって思わせてくれるじゃねぇか。汗もかく、クソもショ
ンベンもする、立派な畜生ってことよ。
 それに、サラブレッドは、実際のとこ走るってことが好きなんだよ。

 よあけ:
 好きなの? 死ぬのに?

 雫嬢:
 絶対死ぬってわけじゃねぇんだから……まあ、全力疾走ぶっ続けるレースそのものは
好きじゃないだろうけどさ、『走る』って行為そのものは、人間の改良も及ばぬウマの
本能の根源的な部分ってことよ。
 まあ、何にせよ、だ。綺麗でカッコ良くて可愛い、ついでに悲哀も背負ったサラブレ
ッドが、色んなものを乗っけて走るのが、競馬ってわけだ。
 本能は言うに及ばず、人の夢と希望、業と欲望ってヤツまでもな。これが、面白くね
ぇわけなかろう?
 
 よあけ:
 うん。僕は、さっきも言いましたが、中学時代にダビスタやってそこから興味を持っ
たクチですから、実際の競馬というものを良く知らないけど、でもちょっとくらいなら
分かるかもしれません。
 面白いよね、競馬。
 
 雫嬢:
 ああ、面白いさ。よあけみたいに、ゲームや漫画から競馬に興味を持つってのも良い
ことだ。つうか、俺らの年齢じゃそれが普通かもな。
 
 よあけ:
 おっと、お互い年齢及び学年の話はタブーですぜ。

 雫嬢:
 こいつはすまねぇ、思い返せば歳が法的にマズいってことも無きにしも非ずってヤツ
だぜ……つうか学年はどうでも良い(笑)

 よあけ:
 それにしても、こうしてハナシを聞いてみると、ゲームや漫画の馬と現実の馬って、
やっぱり違いますね。

 雫嬢:
 そりゃまあな。二次元媒体の競走馬は、存在感は出せても臨場感ってのをどうしても
出せねぇ。その臨場感ってのが、現実の競馬の醍醐味だからよう。それになにより、二
次元じゃ『生き物』としての馬を実感できないからな。
 
 よあけ:
 なるほど。そういう魅力に一度触れてみるというのが、競馬を好きになる第一歩、な
のやもしれません。
 一度も実際に触れていない僕が言うのもなんですが。

 雫嬢:
 いやいや、そういう人間が言ってくれればこそ、(現実の)競馬に興味を持って貰え
るやもという期待に胸が膨らむってもんだぜ。

 よあけ:
 今回は、競馬の根本的な話ができた気がします。まずはサラブレッドありき……ある
意味で当たり前ですが、やはりそこを知っておかないと。

 雫嬢:
 そもそもからして『生き物としてのウマなんてキラ〜イ、二次元最高! 初音ミクは
俺の嫁!』みたいなヤツがこのコラム読んだりしたら、かえって一見さんお断りな内容
になってるのかもね!
 
 よあけ:
 最後の最後になって何言ってるんですか(笑)実際の競走馬も見ずにそこまで言う人
なんてそうは居ませんって。
 ——さて、今回の対談もそろそろお終いです。
 第一回の今回は、初心者に優しい(?)競馬の根本的な魅力を語っていただきました
が、次回は何をネタにやるんですか雫さん?
 
 雫嬢:
 ん、ああ、そう、だね……オホン。
 次回予告! 競馬コラム『オケラ回廊』第二回、『競馬はギャンブルだけどスポーツ
(仮)』『サラブレッドを見てみよう(仮)』『競馬場で僕と握手(仮)』『おいよあ
け酒買ってこい(確)』のどれかを取り上げてみるつもりだぜ。
 
 よあけ:
 最後のはただのパシリだよ! 競馬関係ないよ!

 雫嬢:
 うん。だから(確)ってなってるわけで。

 よあけ:
 予告パシリwwwひどいwww

 雫嬢:
 それでは皆さん今度こそ、いつかその時この場所で。

 よあけ:
 第二回でまた会えることを願いつつ、さよ〜なら〜!

 ━━━━ □ おまけ:オススメ競馬関連資料inニコニコ動画 □ ━━━━ 
 
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm2160339
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm2160355

 JRAのブランドCM『最後の10完歩』シリーズ(二種類)。
 サラブレッドが走る姿ってのは、ただそれだけでこんなにも綺麗なのです。 

 ……………………………………………  走  ……………………………………………

 このコーナーに対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第189回(10月25日号)に掲載予定です。


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【4】 1000字企画「雲上の庭園」     お気に入りの5作 (募集第1回)
 ──────────────────────────────────────

 お気に入りの5作と寸評をお寄せくださったみなさま、ありがとうございます。
 選者ごとにお気に入りを紹介します。

 ……………………………………………  庭  ……………………………………………

【選】魔王14歳

 09┠──「哲 夫」あんず
   作者さんの狙いは別のところにあるだろうと思うんですれど、なんかストレー
  トな感動に胸を打たれてしまいました。哲夫さんはどうしようもないろくでなし
  で、彼女のことを本当に思っているのに彼女を不幸にするような言動思考しかで
  きないんですね。なんて純情。でもこんな女性を不幸にする男は滅びてしまえば
  いいと思います。

 22┠──「伝道師」駿河捷克
   最後の一文が、この作品を俄然面白くしていると思います。正常と異常が一言
  でひっくり返ってしまう感覚。私たちもまた"もともと正常だった側"にいたはず
  なので、この反転劇になんだか糾弾されたような気分になってしまいます。

 32┠──「リヴァプール1790」雨街愁介
   陰鬱で薄暗く閉じた近代の街、そこに突然現れる半裸の屈強な男たち(きっと
  超兄貴みたいなスマイルハゲ集団いに違いありません)、そして間髪入れず眼下
  に開ける青い空。このラストで突然畳みかけるように開いていく視覚イメージの
  奔流が見事だと思います。ある種のセンスオブワンダーとも。
 
 35┠──「落下さん」不狼児
   現実でなく空想に依って立ち、虚構の上に虚構を重ねるボルヘス的想像力。値
  と演算子には日本語が用いられていますけど、そこから生み出される式は過去の
  どんな関数にも当てはまりません。積み重ねられて現実に負けぬ強度を得た虚構
  は、既に新しい現実なのでしょう。いちばん好きな作品です。

 50┠──「ひとりうたい」添田健一
   ヒネリがあるわけでもなくそのまんまなんですけれど、なんか好きです。好
  きったら好きです。読んだあと気分よくなれる、すてきな作品。なんの仕掛けが
  なくてもこういう作品が書けるのは、表現力という地力があってこそと思います。

 ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇
【選】伊藤鳥子

 14┠──「ここにキスして」
   フェティッシュな描写のたたみかけに引き込まれた。

 27┠──「するり」
   言葉遊びのできる人は素敵です。

 29┠──「荒野の呼び声」
   潔い変態っぷりがむしろ爽やかで好感を抱いた。

 49┠──「社会人以下でも良い」
   クローン人間と茸という発想のギャップが面白かった。

 52┠──「野田と寺山は海へ行く」
   野田秀樹と寺山修二だと思って読みました。
   最後に観客の目線になるところが良かった。

 ……………………………………………  幻  ……………………………………………

 このコーナーに対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【5】 編集後記
 ──────────────────────────────────────

 今回は実ににぎやかな雲上になりましたが、いかがでしたでしょうか。
 「ハコニワ」は、少なくとも今年いっぱいは今のルールで募集を続けます。しなやか
な作品をお待ちしております。

 次回は「雲上の庭園」最終ラウンド、選者秋山真琴・言村律広・遥彼方による、72作
全てについての寸評を一挙掲載です。ぎゃー。

 それでは、おげんきで。

*公式サイト
http://magazine.kairou.com/unjyou/
*編集部
info@kairou.com

 次回の配信は10月5日を予定しております。

   ……………………………………… 公 募 ………………………………………

 本誌『雲上』では、アイデアと感動に満ちた作品を募集しています。
 
 対象は「文章で表現されるすべての作品」です。
 著作権等の問題が無ければ、既に何らかの形で公開された作品でも構いません。
 編集部では作者との共同作業で作品をより良くするシステムを整えております。
 たくさんのご応募を、お待ちしております。

         まずは編集部までご連絡ください:info@kairou.com

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