文学

雲上マガジン

総合創作団体・雲上回廊が送るメール文芸マガジン。

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雲上マガジン vol_173

2008/06/05

 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】 前書
 【2】 赤井超短編集               第53回
 【3】 創作塾『波紋』リレー小説         第4回
 【4】 後記

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 【1】 前書
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 みなさん、こんにちは、遥彼方です。
 Audiosurfというゲームにはまっています。ニコニコ動画などでプレイ動画を見ることが出来るのですが、とても美しいステージデザインです。

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 【3】 連載超短編「赤井都超短編集」      第53回
                 著/赤井都
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 ………………………………………………隣の隣……………………………………………

 雪菜が死んだので、雪菜のデジタル3Dモデルを隣人に作ってもらいました。雪菜は猫
です。隣人はデジタル人形を作るプロです。
「雪菜を完璧に作ったら、結婚してくれる?」
 隣人は冗談めかして聞きました。
 私は返事をしませんでした。
 デジタル雪菜は完璧に仕上がりました。
 デスクトップの上で、ゆったりとくつろぐ姿、右腕だけで顔を洗うしぐさ、しっぽをく
ゆらし回る動作、どれも雪菜そのものです。
 ビデオ画像では、繰り返し見ているうちに、雪菜が次に何をするか全部覚えてしまいま
すが、プログラミングされたデジタル画像が次の瞬間にすることは、予測できません。
 手を伸ばしても、液晶画面の表面がへこむだけで、雪菜を撫でることはできません。抱
きしめられない異次元の猫です。
 わたしは瞬きもせずに画面を見つめました。
 ドアが開いていたようです。隣人が私の横に立っています。
 私が雪菜にしたように、そっと首に両手を回してきます。
「結婚してくれる?」
 冗談めかして、隣人は聞きます。わたしは答えません。指の力が強くなってきます。隣
人は、見ていたのかもしれません。わたしが雪菜にしたことを、隣人はわたしにします。
 デジタル雪菜が、自分のしっぽを追ってくるりと回りました。その隣に、もうすぐわた
しの3Dモデルが並ぶと思います。

 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第174号(6月15日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】創作塾『波紋』冬合宿企画〜リレー小説          第4回
                  著/言村律広・雨下雫・秋山真琴・遠野浩十
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 創作塾「波紋」とは。創作団体「雲上回廊」から派生し、小説のスキル向上を目指して
日夜活動している団体(団体?)のこと。
 第1回はこちら http://www.melma.com/backnumber_102964_4031290/
 第2回はこちら http://www.melma.com/backnumber_102964_4053747/ 
 第3回はこちら http://www.melma.com/backnumber_102964_4086476/
 
 第4回の担当は遠野浩十さんです。

 …………………………………… ―― 第四話 ―― …………………………………

「……ん、ここは、……?」
 少年が目覚めると、目の前に見知らぬ少女が全裸でいた。
「う、うわ、だ、だれ!? っていうか何故に裸なの!? あ、ぼくも裸じゃん! なに
これ、なんの罰ゲーム!?」
「安心すってばと。わっちはおんしを取って食おうなんてかんがえとりゃせんでよ」
 全裸の少女、麻椎はそう答えると、全裸のまま少年に抱きついた。
「説得力ない説得力ない!」
 麻椎に抱きつかれながら、少年は湯船のなかに沈んでいった。
(あ、そっか。風呂はいってるからお互い全裸なのかあ……)
 少年はそんな風に考えながら、いや、それはぜんぜん説明になってないじゃんよ! と
自分の独白に突っ込みをいれた。
「わっちは、麻椎」
おぼれながら、からみあいながら、麻椎は少年に語りかけた。
「おんしの妻になるヒトじゃってん」


 そうして二人の生活は始まった。しかし、翌日にはその生活ははやくも破綻しかけてい
た。
「き、起源覚醒!?」
「ちがうって。記憶喪失だって……」
 少年は申し訳なさそうに、しかし突っ込み口調だけは変えずに言った。
 二人がお互いの同意をえずに半強制的に結ばれた翌日、つまり今日、そしてその朝。そ
ういえばまだ少年の名前を聞いていなかったことに気づいた麻椎は、少年に名前を尋ねた
のだった。
 そして、帰ってきた答えが、
「き、起源覚醒!?」
「はいはい、空の境界映画化おめでとうおめでとう……」
 少年はやや疲れた風に、なげやりな突っ込み(というよりボケ)を返した。
「ようするに、ぼくは自分が誰なのか、なんて名前なのか、どこから来たのかがわからな
いんだ……」
「きゅん♪」
「きゅん? え、今の何の音?」
「わっちのハートがどってんばったん波打ってる音だわいさ。ルビをふるなら『ビートっ
てる音』ってとこだっちゃわいや」うっとりした表情で麻椎が言った。「自分のこっちゃ
わありゃんせんなんて、かげん素敵な設定ばきいたことねえさ!」
「そ、そうなんだ……」
 麻椎の奇態に、少年は完全にドン引きだった。
「あ、えっと、朝ごはんまだだよね……宿のメイドさん、早くもってきてくれないかな」
「ここは完全自給自足の村だだちゃ。朝飯はわっちが獲物かっついできちゃるわさ」
 そういって「よっこらしょういち、っと」と腰をあげかけた麻椎の動きを、少年が片手
で制して止めた。
「え……」
 予想以上の力強い少年の力に驚いて、麻椎はきゅんとするよりも困惑していた。
「ぼくが行くよ。きみはここで待っててよ」
 そう行って、少年は麻椎の返事を待たずに宿を出て行った。
 一人のこった麻椎は、
「……ふ、ふん。あんだば小童に狩りなんてできるわけねえっちゃよ。めそめそぎゃーぎ
ゃー帰ってきばったら、わっちがなぐさめて甘やかしてとろかしてめろめろにして、それ
からわっちが代わりに狩りに行ってやるっちゃよ」
 麻椎は、自分の想像どおりに進まないことがちょっとだけ苛立たしかった。なぜなら狩
りなんてできたら、ここらへんの男衆とおんなじで、なんの面白みもないのだから。
 しかし、麻椎の妄想もむなしく、少年は巨大なバッファローとフライドチキンのおじさ
んを仕留めて帰ってきた。

 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第176号(7月5日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!



◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【4】 編集後記
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 いかがでしたでしょうか。次回は「水車は回り続ける」をお送りします。
 あと、そろそろ読書会をしたいところですね。

*公式サイト
http://magazine.kairou.com/unjyou/
*編集部
info@kairou.com

 次回の配信は5月25日を予定しております。

   ……………………………………… 公 募 ………………………………………

 本誌『雲上』では、アイデアと感動に満ちた作品を募集しています。
 
 対象は「文章で表現されるすべての作品」です。
 著作権等の問題が無ければ、既に何らかの形で公開された作品でも構いません。
 編集部では作者との共同作業で作品をより良くするシステムを整えております。
 たくさんのご応募を、お待ちしております。

         まずは編集部までご連絡ください:info@kairou.com

   ……………………………………… テーマ ………………………………………
  
  10/15...「結婚しました」
  10/25...「真夜中の仮想パレードへようこそ」
 11/5...「六年目の結末」
  11/15...「ただいまママー」
  11/25...「王手!」
  12/5...「海岸の白い貝殻」
  12/15...「がばちょ」
 1/25...「人形の陰謀」
 2/5...「隠れた名作」
  2/25...「ミ、ミズをくれぇ〜。」
 4/5...「方は、いやぁ、眠い。」

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創刊日:2003-11-08  
最終発行日:  
発行周期:月3回  
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