文学

雲上マガジン

総合創作団体・雲上回廊が送るメール文芸マガジン。

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雲上マガジン vol_159

2008/01/15

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    メールマガジン『雲上』 〜読者へつなぐ〜         第159号
         毎月、05日、15日、25日配信         2007/1/15
                     http://magazine.kairou.com/unjyou/

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 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】 前書
 【2】 連載超短編「赤井都超短編集」        第46回
  【3】 桂たたら『塑性言論』           第19回
 【4】 後記

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【1】 前書
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遥彼方「こんばんは、遥彼方です。」

言村律広「人形の陰謀により、言村、登場!……あ、こんばんは。」

遥「そこで普通に戻っちゃうの?!」

言村「いえ、いつも普通ですよ。ところで最近、何かありました?」

遥「うーん……言われてみれば、わりと時勢から隔絶されて生きてますねえ。」

言村「そうですか。私も隔絶されてますが、最近、今号の雲上掲載作を読みましたよ。
   五分くらい前に。」

遥「きのう原稿渡したのに…。」

言村「むしろ、話しながら読むよりは、ずいぶんましになったと褒めてください。」

遥「……まあ、それもそうですね。(こほん)今回は赤井都さんの「伝説」と「プク魔
  法」。そして我等が誇るロリコン桂たたらの「塑性言論」がついに小説に発展しま
  した。」

言村「いや、ロリコンはあまり誇らない方向で……(笑) ともかくも、まずは赤井さ
   んからですよね、いつもどおり。」

遥「いつもとちょっと違うテイストの作品を取り上げてみました。」

言村「なんというか、この作品が他とは違う印象がある点で、伝説ですよね。」

遥「細やかな筆致はたしかに赤井さんの作品といった感じがしますが、題材が珍しいの
  かな。夜の繁華街の雑踏から聞こえてきそうな感じがして好きです。アメ村とかの。」

言村「題材もまあ、そうなんですけど、なんでしょうね、いつもより悪意が露骨な感じ
   がします。……あー、うーん、まあ。悪意というのは失礼な言い方かもしれませ
   んね。」

遥「なんですかねー……言わんとしているところはなんとなく解るのですが……」

言村「いつもは、もっと幻想みたいなものが前面に出ている気がするんですよね。
   ……あ、もしくはこの伝説の子の存在が幻覚だったりするのかなあ。」

遥「幻覚だったとしても実在だったとしても、確実にかれらの間に「居る」んですよ、
  きっと。伝説だから、語られるから。……それに対して「プク魔法」はとっても
  可愛い、というか、"おんなのこってなんでできてる?"的な話だと思いました。」

言村「(笑)"おんなのこってなんでできてる?"ですか、確かに。」

遥「「夢だったってことでも知らないよ」とか、すごく少女的。」

言村「ちょっと、読み返したのですが、最後、美沙ちゃんはプクとは違って、増えたり
   しませんね。」

遥「美沙ちゃん増えたら……それはそれでかわいい(こら)」

言村「なんか、この最後の部分って成長を意味している気がしました。そのへんも少女
   的かもしれませんね。」

遥「ああ、そうかも。……で、次が塑性言論ですね。たたらさんやりますね。」

言村「たたらんは、もう、どうしたもんですかね、あの子。」

遥「ねぇ。コラムだったはずが小説になっちゃって、しかも上がってきたものがちゃん
  と面白いんですもんね。」

言村「まあ、それもですが、紹介文にロリコンって冗談で入れたの見せたら、このまま
   掲載してください的なリアクションが返ってきましたよ(笑)」

遥「そっち?!(笑)」

言村「順調にロリコン道を極めつつあるようで、嬉しいですね。」

遥「最近なんか、自他共に認めるロリコン、みたいになっちゃってますよね。」

言村「そうですね、自他共に認められてますが、これも雲上のおかげですよね(笑)」

遥「そんな、雲上が黒幕みたいな(笑)」

言村「まあ、ね(笑) そして、今回の主人公は、あの作品のあの子ですよ!」

遥「まあ、そんなこんなで、回廊159号、ごゆるりとお楽しみ下さいませ。」

言村「あ! 第八号です! 合わせて読んでね! お楽しみくださいー。」

...『回廊』第八号 桂たたら「まつりの時間」
http://magazine.kairou.com/08/spnovel/carnivaltime.html

後略。

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】 連載超短編「赤井都超短編集」      第46回
                 著/赤井都
 ──────────────────────────────────────

 …………………………………………… 伝説 ……………………………………………

 あいつ? あいつのこと、嫌いな人は嫌いだよ。
 どうしてって、まあ、ね。
 ああ、言ってやるよ。クスリで一度つかまってるんだよ、ニュースにもなったよ。そ
ういうやつだから、そういうのが好きなやつらが周りに集まる。
 それでもあちこちで踊ってるよ、有名、有名だねあいつ。だけどね。見に来ている子
たちもいかにも怪しい雰囲気でしょ、好きそうな。ダンスが目的じゃなくて、買いたく
て来てるみたいなさ。
 あいつ、ほんとはうまいのに、そういうところで損してるよな。
 あいつね。
 あるとき、チーム作ってさ。そのときもやっぱり、周りの連中もみんなやってた。や
るようになってた。
 それで海外のコンテストに出て、優勝して帰ってきて、盛り上がったパーティーで。
 チームの一番若いのが、マンションの十一階から飛び降りたんだ。
 やっぱり、やってたからね。
 そいつ、優勝して帰ってきて、今死ねば、伝説になると思ったんだ。それで、その場
にいたチームのみんなにあいさつして、じゃあって飛び降りた。
 だけど、飛び降りてる途中で、正気に返ったんだ。
 そっから体勢を立て直して、両足で着地した。
 だけど、脚の骨が肩や心臓を貫いて。内臓を吐いて、死んだ。
 すごくダンスのうまいやつだったよ。
 俺は、そのときそこにいた友達に、全部聞いたんだ。
 だから、あいつのこと、嫌いな人は嫌いだよ。周りみんなそうなるし。あいつは生き
残って、まだ踊ってる。もちろんうまいさ。

 ………………………………………… プク魔法 …………………………………………

 プクという白熊のぬいぐるみをわたしは持っている。会社から帰って電気をつけると、
プクは横向きに倒れている。かわいがるうちにプクの体はすっかりやわらかくなって、
ベッドの背にもたせかけて座らせておいても、くうーんと勝手に倒れてしまったりする。
その横に転がった姿がまたかわいい。わたしがいなくちゃ、ひとりじゃなんにもできな
いプク。こどもの時から持っている。ほっておけなくて、つい撫でる。そうしてプクは
日々くてくてよれよれのくまになっていく。幼馴染の美沙ちゃんには、「年季の入った
の」と呼ばれている。
 ある夜、プクの足と頭をひっぱると、ティッシュを抜いたみたいにプクからプクが出
てくる。二枚ぐらいプクを抜いてトイレへ行く。鼻をかむ。やわらかくてかわいいティ
ッシュ。でもいつかティッシュがすこんと底に当たるように、プクもあんまり使うとな
くなるんだよなと思う。それでもきもちよくて使ってしまう。美沙ちゃんに電話すると、
プクからプクが出てくるってそれってすごくかわいい、見たい、これから家に行きたい、
と大乗り気。
 わたしは、来てもいいけど、夢だったってことでも知らないよ、と云う。
 いいんだよ、夢でも、プクかわいい。あの年季の入ったの。
 わくわくしている美沙ちゃんの声もかわいい。美沙ちゃんの足と頭をひっぱって、体
を伸ばしてそれでもふっくらしているだろう胸にキスしたい。それで全部夢だったよっ
てことになったら知らない。

 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第160号(1月25日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!

 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【3】   塑性言論         第19回
                     著/桂たたら
 ──────────────────────────────────────

 ――雨の中を、少女が歩く。待ち合わせ場所まで歩く。
 ――家を出たときには降っていなかった雨が、傘にあたる。

 桂たたらが(もちろんロリコン的な意味で)贈る、新たな少女の興奮小説!

 …………………  ――冬の雨、駅前、人ごみ、そして少女――  …………………

 気の早い家はもうクリスマスの飾りつけをしている十二月の上旬、彼女は傘をさして小
雨の中を歩いていた。友人との待ち合わせは午後二時である。彼女は携帯電話で現在時刻
を見て、まだあと三十分ほど時間があることを確認した。
 駅前の広大なロータリに到着し、さて早くつきすぎたな、と彼女はどうして時間を潰す
かを考え始めた。駅前ならば時間を潰すのに不自由はしないが、これ以上雨の中を歩いて
卸したてのブーツを汚してしまうのも考えものだ。
 駅ビルの本屋にでも、とつらつら考える彼女の目の前を、窮屈そうに傘をぶつけ合いな
がら人の波が流れていく。雨だというのに、日曜日だけあって人の数が多い。人ごみが苦
手な彼女はその光景を見て無意識に三ミリほど眉根を寄せた。
 傘を叩く雨音を聞きながら思う。この雨は雪に変わるだろうか。もしそうなら初雪だ。
 頬をなぶる寒風に、彼女はマフラーを少しきつく巻き直した。
 雨が降りそうだからと早めに家を出て正解だった。突然雨脚が強くなって、彼女は駅ビ
ルへと移動した。
 このビルの八階に喫茶店と本屋が並んでいたはずだ。駅のエントランスからエレベータ
に乗ろうとボタンを押す。十五秒ほど待つとドアが開いた。幸運なことに誰も搭乗してい
ない。これだけ人の多い日にこれは幸運だと彼女は少しだけ嬉しくなった。
 エレベータへ乗り込み、目的である八階のボタンを押す。くるりとドアを振り返ると、
また偶然にも同乗する客もいなかった。これならストレートかも知れない。
 静かにドアが閉まる。
 室内が喧騒から切り離される。少しだけ特別になったような気がした。
 エレベータが動き出した。
「……あれ?」
 なぜかエレベータは下方へ動いている。すぐに彼女は地下一階のボタンを押した。なん
の理由で誤作動しているのかは分からないが、どちらにせよ下は目的の方向とは異なるの
だ。早めに降りるに越したことはない。
 エレベータは動き続けている。彼女は面倒なことになったな、と考えた。これはおそら
く地下一階を通り過ぎている。このエレベータは地下三階まであるので、最悪、そこまで
降り続けることになるかも知れない。
 エレベータが目的の階層に辿りついたことを知らせる音が鳴った。ドアが静かに開く。

 人は多いのに妙に静かな空間だった。
 じろり、と彼女に不躾な視線を送るのが半分くらい、無視を決め込むのが半分くらい。
人はざっと見た限りでも百人ほどは数えられそうだ。ピリピリとした緊張感が、すぐに彼
女にも伝わってきた。
「時間ぎりぎりでございますな。これはこれは、お嬢さんのような可愛らしい受験者が今
回は多いようです。ささ、こちらへ」
「え? あの、はい?」
 彼女はドアのすぐ外に立っていた老人に、引っ張られるようにしてエレベータから連れ
出される。
「ではこちらをお持ちになってください」彼女は手のひらほどの紙とそれを入れる名札
ケースを渡された。「こちらのペンで名前をお書きください。ええ、別に偽名でも構いま
せんぞ。必要なのは実力だけですからな」老人は笑顔を浮かべた。
 彼女が口を開く前に老人はくるりと他の人たちへと振り返った。
「それでは、これより試験を行いますので、移動をお願いいたします」
 ぞろぞろと人の波が移動していく。
「わ、わわ」
 体躯の小さい彼女は、その人並みにもまれるようにして押し流されてしまった。

 彼女はわけも分からないまま、列の中ほどに並ばされていた。
 列は彼女が並んでいるもののほかにもかなりの数があるようだ。ちょうど学校の朝礼の
ような風景だと彼女は思う。
 立ち止まることでようやく彼女に余裕が生まれてきた。周囲の状況を確認しようと首を
伸ばすが、どうやらここの集まりは男性、それも身長の高い――というよりは屈強な体格
の人が多いようで、周囲をうかがうのも一苦労である。
 ここはおそらくまだテナントの入っていない地下フロアだ。ところどころに天井を支え
る円柱が建っているが、それだけである。広さは少なく見積もっても四百メートル四方。
もっと広い可能性も高い。東京都内の地下鉄駅構内から、人ごみや店などを取り払えばこ
ういう光景になるだろう。
 パーティションを使って空間がざっくり区切られている。その一つは二十メートル四方
程度で、そこには良く分からない機材が配置されていた。
 ばーん、とか、がしゃーん、という音がときおり聞こえてくる。何の音か確かめたかっ
たが、前方は人の壁で見えなかった。
 彼女がきょろきょろとしていると、いつのまにか彼女の番が回ってきた。
 しまった逃げるタイミングを逃した、と彼女は胸中で頭を抱えた。
 試験だ、とあの感じの良い老人は言っていた。なんの試験かは分からないが、適当に
やって落ちればすぐに帰れるだろう。急げばまだ待ち合わせの時間には間に合う。
「えー、では次の方ー」
 彼女は呼ばれて前に歩み出る。試験官は彼女の胸元の名札を見て言った。
「お名前は……、新月小鳥さん、ですね。ではこちらへどうぞ」

 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第160号(01月25日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!

  
◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【3】 編集後記
 ──────────────────────────────────────

言村「今回のテーマは「人形の陰謀」です。たぶん。」

遥「人形遣いじゃないとこがミソな雰囲気ですね。」

言村「ああ、そうかもしれませんね。」

遥「人形ほしいんですよ。心斎橋の辺りでね、ドールショップみたいなのを見つけて。
  手のひらサイズの球体関節人形とか売ってるんです。ほれぼれ。」

言村「てのひらサイズ? それってかなり小さいのでは。関節の球とかも。」

遥「もう、めっちゃくちゃ、かあいいんですよう。店頭で見た瞬間くぎづけでしたよ。
  以来片思いです。」

言村「それはまた、素敵なお店ですねえ。」

遥「あと人形作家だったら三浦悦子とか。王道だけど天野可淡とか。
  すてきですねぇ(ため息)。……とまあ、こういう奴ですか、人形の陰謀にまんま
  と嵌ってるのは。」

言村「じゃあ、それで何か書いたら良いと思いますよ(笑)」

遥「……りっちーの陰謀にも嵌った気分ですが(笑)」

言村「陰謀渦巻いてますね。」

遥「ね。おおおそろしや。」

言村「そういえば、先日、波王戦というのがありましたよ。」

遥「ありましたねー。(波王戦…創作道場「波紋」内で行われた競作企画。言村さんは
  参加、遥は審査っぽいのをした。)そう、あれの入賞作品も近いうちに載せます。」

言村「審査で一番だった作品の作者が波王の称号を得る戦いでしたよね。参加者は、秋
   山真琴、雨下雫、遠野浩十、私でした。果たして誰が波王になったか、お楽しみ
   に、ですね。」

遥「です:) そんときに波紋の紹介も合わせて行おうかな、と。思っています。」

言村「なるほど。以前に掲載した守護雷帝さんの「二人の記念日」も波紋から出てきた
   作品ですね。」

遥「そういえば、そうでしたね。「二人の記念日」は回廊の15号にも再掲が決まりまし
  た。いい話ですよ。」

言村「それは何よりです。いい話ですもんね。」

遥「では、今回はこのへんで。また次回、お会いしましょう。」

言村「次回も塑性言論が載っちゃいますよー。お楽しみに!」

*公式サイト
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*編集部
info@kairou.com

 次回の配信は1月25日を予定しております。

   ……………………………………… 公 募 ………………………………………

 本誌『雲上』では、アイデアと感動に満ちた作品を募集しています。
 
 対象は「文章で表現されるすべての作品」です。
 著作権等の問題が無ければ、既に何らかの形で公開された作品でも構いません。
 編集部では作者との共同作業で作品をより良くするシステムを整えております。
 たくさんのご応募を、お待ちしております。

         まずは編集部までご連絡ください:info@kairou.com

   ……………………………………… テーマ ………………………………………
  
  10/15...「結婚しました」
  10/25...「真夜中の仮想パレードへようこそ」
 11/5...「六年目の結末」
  11/15...「ただいまママー」
  11/25...「王手!」
  12/5...「海岸の白い貝殻」
  12/15...「がばちょ」
 1/25...「人形の陰謀」

   ……………………………………… 奥 付 ………………………………………

       発行日:2008年1月15日 
       発行元:雲上回廊
       発行者:秋山真琴
       編集者:遥彼方
           キセン
          言村律広
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