文学

雲上マガジン

総合創作団体・雲上回廊が送るメール文芸マガジン。

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雲上マガジン vol_128

2007/02/25

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    メールマガジン『雲上』 〜読者へつなぐ〜         第128号
         毎月、05日、15日、25日配信         2007/2/25
                     http://unjyou.kairou.com/

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 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】 前書
 【2】 短期集中連載『二人の記念日』            第3回
 【3】 桂たたら『塑性言論』          第11回
 【4】 編集後記


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【1】 前書
 ──────────────────────────────────────

 いまさらニコニコ動画観てます。
 もう(いろいろな意味で)だめ。
                                     後略。

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】 短期集中連載『二人の記念日』            第3回
                 著/守護雷帝
 ──────────────────────────────────────

 雲上史上最強のラブラブ小説最終回!

 ……………………………………………連載小説……………………………………………

「終わったぁ〜」
 少女は、シャープペンを放り投げて歓声を上げた。ソファーに背中を預け、伸びをする。
「お疲れ」
 向かいで本を読んでいた彼は、しおりを挟んで少女にねぎらいの言葉をかけた。
 時間はもう午後の七時を回っており、すでに日は沈んでいる。ノートを写すだけとはい
え、ほとんど休憩も入れずに集中していたのだから、かなり疲れたはずだった。
「もういい時間だな……腹減らないか?」
 もう遊園地に行くような時間でもない。せめてデートらしく食事くらいはしにいこうと
思っての提案だった。
 だが。
「ん、それより、出かけよ」
「は?」
 いきなり少女の口から飛び出てきた言葉に、彼はぽかんとした。だが、そんな彼の様子
を見ているのかいないのか、少女はテーブルをぐるりと周り、彼の腕を引っ張る。
「ほら、早く」
「ちょ、おい、待てってば」
 引きずられるようにしながら、彼はリビングから出て行く羽目になった。


 少女に連れられて来たのは、彼の家の近くにある河原だった。
 治水工事に合わせて、ちょっとした広場のように整えられた場所だ。早朝や夕方には犬
を散歩させる人の姿が多く見えるし、放課後には近くの小学生達がよく遊んでいる。
 しかし、日が沈んだ後ともなれば、わずかな街灯の光だけが照らし出す河原に人影はな
い。たまに自転車や歩行者が通り過ぎていくだけで、わざわざ広場にまで入っているのは
彼らくらいのものだった。
「……いきなりこんなとこに連れ出してどうしたんだ?」
 名残のようにわだかまる熱気に辟易しながら、彼は傍らに立つ少女に、ほんの少し苛立
たしげに問いかけた。
 少女が強引なのは、いつもの事だ。だが、今回は、少し突っ走りすぎに感じられた。ま
るで付き合い始めたばかりで加減が掴めてない頃のように。
 食事に行こうとする彼の心中が分からない少女ではないだろう。せめて彼女の誕生日く
らいは花を持たせてくれてもいいじゃないか――そんな恨みがましい気持ちで少女を見る。
「ん? もう少し待って。後十五秒」
 だが、少女は彼の視線など気にした風でもなく腕時計を見ていた。
「十五秒……?」
 その一言が気になり、彼は眉をひそめながら携帯の液晶をのぞき込んだ。
「あ……」
 瞬間、彼は少女が何を望んでいるのか、理解した。これならば、少女が一度も休憩を取
らずに宿題を写していたのも頷ける。
 そして、きっかり十五秒後、夜空に花が咲いた。この広場は、ちょうど高層マンション
の隙間から花火が見える位置にあるのだ。
(……参ったな)
 どうやら勝手だったのは自分らしいと気づき、彼は小さくため息を吐いた。食事などよ
りも、予定を――そこに込められた願いを大事にするべきだったのだ。遊園地に行かなけ
れば花火が見られないわけではないというのに、予定が狂った事ですっかり諦めてしまっ
ていた。それなのに、少女に八つ当たりみたいなことをしてしまって……情けない事この
上ない。
 だが、ここで謝ってしまうと、雰囲気そのものがぶち壊しになりそうだった。彼は心の
中で「ごめん」と謝り、口からは別の言葉を紡ぐ。
「こんな場所、よく見つけたな」
「うん、たまたま通りかかったら、見えたんだ」
「へぇ……」
 二人は、歓声を上げるでもなく、ただ寄り添うように並んで花火を眺め続けていた。
 壮大に見えるわけでも、鮮やかに見えるわけでもない。それでも、二人で見ているとい
うだけで、言葉がいらないほど綺麗な花火として映っていた。
 やがて、花火は一段落した。いつもの通りなら、少ししてからまたあがるはずだ。
「そうだ」
 彼は、少女に向き直り、意を決して口を開いた。ふと思いついたと言わんばかりの言葉
だが、声の震えは隠せない。
「ん?」
「えっと……」
 少女の向けてくる好奇の眼差しを直視できなくて、彼は中空に視線をさまよわせてしま
う。何もかも分かっているのに、あえて彼の言葉を待っているのではないか――そんな被
害妄想じみた考えが浮かんできてしまった。
 振り払うように首を振り、彼は少女をまっすぐに見据える。
「誕生日、おめでとう」
「……あたし、てっきり怒らせちゃったかと思ってた」
「へ?」
 いきなりの言葉に、彼は目をしばたたかせた。少女は、少しだけ唇をとがらせる。
「だって、全然言ってくれないんだもん。今日の予定つぶしちゃって怒ったのかなぁって
ずっと心配してたんだから」
「あ……ごめん」
「ううん。言ってくれたからいい」
 少女は、そう言って本当に嬉しそうに笑った。それが嬉しくて、彼も思わず笑みを浮か
べてしまう。
「あ、そうそう……今年はきちんと用意したよ」
 彼は、ポケットから手の平に乗るくらいの小さな箱を取り出して少女に差し出した。
「え……これって……」
 そっと箱を手に取った少女が、目を丸くする。
 宝箱を模したような青い箱。その中に何が入っているかは、容易に想像できるはずだっ
た。箱を開けようとする少女の指先が、かすかに震えている。
「指輪だ……」
 箱の中を見た少女が、吐息のようにつぶやいて今にも泣き出しそうな笑顔を浮かべる。
「ありがとう……すごく嬉しい」
 宝物を抱くように胸元に抱きしめ、少女はそっと目を伏せた。そして、指輪を手に取り、ごく自然に左手の薬指へはめた。
 それを見た彼の顔が瞬時に真っ赤になった。
(ひ、左手ですか……)
 まさか当たり前のように左手にはめるとは思ってもみなかった。いや、左手にはめた姿
を想像しなかったといえば嘘になるが……何となく右手にはめるのではないかと思ってい
たのだ。
 少女は、左手を透かすように空へ向ける。そして、納得したように頷いて胸元に引き寄
せ、
「どうかな?」
 はにかみながら彼にそう尋ねた。
「う、うん……似合ってる」
「よかった」
 安堵したようにこぼす笑みが、彼の心を掴んで離さない。
 意味深すぎるかもと心配していたのは、杞憂だった。彼は、緊張にこわばっていた心を
ほぐすように息を吐いた。
「あ、そうだ」
 直後、少女が声を上げた。
「え? な、何? どうかした?」
「はい、私からもプレゼント」
 少女が、箱を差し出してきた。それは、彼が先ほどプレゼントしたのとまったく同じ箱
だ。
 だが、彼がプレゼントした箱は、まだ少女の手の中にある。
「え……?」
 事態が掴めず、彼は固まってしまう。少女は、彼がプレゼントした箱をポケットにしま
い、自分の差し出した箱を彼の手の中に納めた。
「開けてみて」
 少女に促され、彼は恐る恐る蓋を開ける。中に入っていたのは、デザインこそ違うもの
の、少女に贈ったものに似た指輪だった。
「これ……いや、だって、誕生日なのは……」
「うん、でも、二人の記念日でしょ?」
「え……?」
 彼は言葉に含まれた意味が分からず、ぽかんと少女を見返した。
「確かにあたしの誕生日だけど……付き合って一年の記念日だもん。あたしからもプレゼ
ントしたいなって」
「……ひょっとして、バイトが忙しかったのって」
「うん」
 少女は自慢げに頷く。
「じゃぁ、宿題が終わらなかったのも……」
「あはは」
 これは笑ってごまかすつもりらしい。
 彼は、大きくため息をついた。まさか、こんな不意打ちがあるとは思ってもみなかった。
「なんか……変な気分だな」
 彼は指輪を取り出し、一瞬だけ考えるように動きを止めた。
 だが、すぐに左手の薬指にはめた。少女の顔がほころぶ。
「ありがと」
 妙に照れくさくて、彼はそう言うのが精一杯だった。少女は何も言わず、ただ笑ってい
るだけだ。
 心地よい沈黙が二人の間に漂う。だが、その沈黙はすぐに再開した花火に散らされた。
「ねぇ」
 少女が甘えるように呼びかけてくる。彼は、視線だけを少女に向けた。
「来年も再来年も……こうして、二人で花火を見ようね」
 そう言って笑う少女の横顔を、花火が照らし出す。
 彩り鮮やかに浮かび上がる少女の笑顔は、太陽の下で見るよりも、何倍もキレイだった。

 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:unjyou@ml.kairou.com

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】 桂たたら『塑性言論』          第11回
                 著/桂たたら
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 桂たたらの頭の中、第11回。

 …………………………………………連載エッセイ…………………………………………

 最近のマイブームはチャンピオンコミックスの「みつどもえ」と「ペンギン娘」。きら
ら系統の作家と比較すると同じ萌えでもなんか雰囲気が全然違いますね。こちらのお勧め
は里好。そして最近のチャンピオンは異常。
 すみませんこのままだと好き勝手しゃべり倒して終わりそうですね。
 どうもこんばんは。桂です。

 本当に最近は暖かい日が続きますね。地球は四季の予定を繰り上げようとしているので
しょうか。先日などは家の近所で、二月だというのに十八度を記録しました。この辺だけ
太陽が少し近くなったのかな。
 ただ、それでも夜になるとやはり寒いですね。昼間の暖かさはどこへやら。
 春の夜の匂い、というものがあります。春の夜、暖かい日差しが降り注いだ日の夜にだ
け、日本を満たす香りです。
 正確にはきっと、春の匂いなんて曖昧なものではなく、何種類かの花の香りが混ざり合
ったものなのでしょうが、それを嗅ぐたびにとても幸せな気分になります。我ながら安い
ですね(笑)。
 他に冬の朝の匂いと夏の夜の匂いもあります。どちらも好きです。あとは春の田んぼの
匂い。ちょっと説明できない香りですが(苦笑)。夏の長い雨の後の匂いも良いですね。
 皆さんも、自分だけのとっておきの香りのようなものはありますか?
 四季折々を、視覚だけでなく、嗅覚で感じている方ってどれくらいいらっしゃるのでし
ょうね?
 それはとても得をしている楽しみ方なのだ、と私は思います。
 これを機に、如何ですか、四季を香りで感じてみては。そして四季のみならず、自然の
中から好きな匂いを探してみては。
 きっと、素敵な発見がありますよ。

 ――さて、もうそろそろ桜の時期――

 *

ネッツ「この始まり方ってどうなの」
僕「どうよ?」
ネッツ「長いよ」
僕「前振りは長いほうが」
ネッツ「なんか文章が気持ち悪くない?」
僕「この対談形式にすると一回は気持ち悪いって言われるんだけど」
ネッツ「え? それでなんで不思議そうにしてるの?」
僕「え? ……」
ネッツ「…………」
僕「…………」

ネッツ「さてさてー、それじゃあ自己紹介いっとこかー」
僕「どうもー、僕ですー」
ネッツ「どうもー。小国テスタのメインヒロイン、ネッツですー」
僕「え? メイン?」
ネッツ「メインですー」
僕「俺の周辺調査ではヒナ王が一番人気のようでした。つーかその名前なによ」
ネッツ「おまえが聞くのかよ」
僕「もう某車種が思い浮かんでしょうがねえ」
ネッツ「そろそろ慣れて。話は変わって、さてさてここを読んでいる貴方にだけ重大ニュ
ースをお届けしますー」
僕「お、なんだなんだ気になるなー」
ネッツ「よっ! ナイスサクラ! 鑑オブサクラ! えー、小国テスタが連載になったよ
うです! おめでたい!」
僕「原稿落とさなければ次号の十号に載るよ!」
ネッツ「ヘタクソな構成だから連載にしないと収まりがつかなかったんだって! バーカ
バーカ! 死ね! 恥ずかしさで死ね! 厚い顔の皮で窒息しろ!」
僕「え!? なんでそこまで言われるの!?」
ネッツ「ホノカさんも出番があって一安心だね」
僕「ですね」
ネッツ「次回は物語的に大きな動きがあるのだとか。楽しみにしててね! 私も次はメイ
ンヒロインですよ、次は、マジで! コレマジ!」
僕「天然、嫉妬のコンボはメインヒロインの貫禄ですねー。これぞエロゲの古き良き伝統
というやつですね」
ネッツ「小国テスタのADV製品版はコミケ72で発売予定だよ!」
僕「いやいや! 嘘! 嘘ですから! テキトー言うなって!」
ネッツ「ばいばーい」

(そせーげんろん三回目休み)

 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:unjyou@ml.kairou.com
 次回は第131号(3月25日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!

*****◆◇作者と読者を繋ぐ〜オンライン文芸マガジン『回廊』最新刊 Vol.9◇◆*****

    それは純粋にして、妖しく……はかなくして、強きもの
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◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【4】 編集後記
 ──────────────────────────────────────
 前略。
 いかがでしたでしょうか。『雲上』では現在、作品募集を行っています。詳しくは下記
公式ページをご覧ください。

*公式サイト
http://unjyou.kairou.com/
*編集部
unjyou@ml.kairou.com


 次回の配信は3月5日を予定しています、それでは。

   ……………………………………… 公 募 ………………………………………

 本誌『雲上』では、アイデアと感動に満ちた作品を募集しています。

 対象は「文章で表現されるすべての作品」です。
 著作権等の問題が無ければ、既に何らかの形で公開された作品でも構いません。
 編集部では作者との共同作業で作品をより良くするシステムを整えております。
 たくさんのご応募を、お待ちしております。

         まずは編集部までご連絡ください:unjyou@ml.kairou.com

   ……………………………………… 奥 付 ………………………………………

       発行日:2007年2月25日
       発行元:雲上回廊
       発行者:秋山真琴
       編集者:キセン
           遥彼方
           言村律広
           恵久地健一
       ご意見ご感想:
           unjyou@ml.kairou.com
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創刊日:2003-11-08  
最終発行日:  
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