文学

雲上マガジン

総合創作団体・雲上回廊が送るメール文芸マガジン。

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雲上マガジン vol_113

2006/09/25

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    メールマガジン『雲上』 〜読者へつなぐ〜         第113号
         毎月、05日、15日、25日配信         2006/09/25
                     http://unjyou.kairou.com/

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 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】 前書
 【2】 連載超短編「赤井都超短編集」      第6回
 【3】 連載エッセイ「塑性言論」        第5回
 【4】 編集後記

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【1】 前書
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 今日は高校生ドラフトがありましたね、田中が楽天だとは驚きました!
 もう、一部の人以外は置いておこうと思います。
                                     後略。

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】 連載超短編「赤井都超短編集」      第6回
                 著/赤井都
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 時に清新、時に残酷。超短編界屈指の言霊遣い、赤井都の作品を集成! 今回は二作品
を掲載します。

 ……………………………………………………………………………………………………

 鍋にたっぷり水を入れる。粉をよく振るう。ボウルの中で卵黄と白あんを混ぜる。火を
起こし、蒸籠の中、泡がふつふつする抹茶色の海に、小豆の浮島がところどころにある景
色。固まったものを切り分けて、ふくさに包む。
 しっとりとした蒸し菓子を持って、アキコさんは出かける。膝にふくさ包みを置き、抹
茶色の海に舟を出して、小豆色の影を浮かべる小さな浮島へ漕ぎ渡る。
 きな粉のように乾いた砂の島は、朱色の鳥居が一つ立っているだけで既に満杯で、足の
踏み場もない。いずれにせよ人の重みがかかったら沈んでしまうような島かも知れないの
だ。
 鳥居の下に濃い紫の風呂敷包みがある。周囲の砂に、子供の足跡ほどの小さな紋様が残
されている。腕を伸ばして取り上げた軽さで、全部また食べられたのだな、とアキコさん
は思う。空の包みを取った後に、抹茶の蒸し菓子の包みを置いて、振り返らずにアキコさ
んは帰る。何が菓子を食べるのか、アキコさんは知らない。

 ……………………………………………………………………………………………………

 三色の白玉に黒みつをかける。砂糖とラムで漬けた栗を飾る。
 甘いものが好きな神様のために、アキコさんは茶の子の包みを持って今日も出かける。
黒みつの色をした冬の夕暮れの海を小舟で漕いで、沖の浮島に艫を寄せる。
 みそまんじゅうのような丸い砂の上に朱色の鳥居が立っている、ただそれだけの小さな
島だ。鳥居の足下から中身のないふくさを取り上げ、代りに三色白玉の包みを置く。
 ふくさの周囲の砂に、引っ掻いたような文様が残されている。はっきりとした足跡は見
えない。
 雲の間に細い裂け目ができて夕日の赤が覗いている。しかし海は暗いままだ。切り分け
られた赤を片目に見ながら、アキコさんは心の海を漕ぎ戻る。
 きっと子供の神様だ、とアキコさんは思う。日一日と育っている我が子とは少し違う、
そうではなくて、自分自身の子供の頃が、もし時間の中に痕跡として残っているならば、
それらの痕跡の影がつくる澱がいつしか集まって形成されたような、そんな神様が祀られ
ているのだと思う。どこからか漂ってきたその浮島が、いつからその沖に浮いているのか、
いつからそこに通い出したのかは定かには思い出せない。神様は既に自分自身ではないし、
自分の子供時代そのものとも一致していない。生まれた基は自分の思い出からなのかもし
れないが、しかし思い出を自分で美化した結果ではなく、時間が過ぎるにつれて勝手にい
つしか神様になってしまったような、そんな神様がいる。
 心の海から戻れば膝の下から、既に自分自身の人生を歩みつつある子供が、お気に入り
の丸い積み木を持って見上げてくる。ほほえみを返し、アキコさんはお菓子の本を閉じて
お茶を飲み干す。窓の外では、赤い光が厚い雲の切れ目に満ちている。雲の向こうは一面
真っ赤だろうに、こちらは天気の悪い冬の夕暮れだ。かわいい子がいて幸せだが、心の中
に子供の神様がいる。

 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:unjyou@ml.kairou.com
 次回は第114号(10月05日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【3】 連載エッセイ「塑性言論」        第6回
                 著/川西素浪人
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 連載エッセイ第6回。キャラ設定の極意とは?

 ……………………………………………連載小説……………………………………………

 キャラが良い、キャラがありがち、キャラにオリジナリティがある、などという言葉は
良く聞きますが、そのキャラクタ性の良し悪しを、いったいどうやって受け手は判断して
いるのでしょうか?

 *

 キャラクタ性

 これは、結論から述べますと

 リアクション

 によって判断されるものです。
 もし二人のキャラクタが居たとして、同じ状況で同じ行動を取ったならば、それは受け
手にとっては

 同じキャラクタ

 だと認識されてしまいます(それを逆手に取るような演出もありますが、ここでは割愛
します)。

 *

 例えば普通の高校生が、いわゆる「超常現象」のようなものに遭遇したとしましょう。
幽霊に出会ったのでも良いし、魔法としか考えられないような現象を見たのでも構いませ
ん。現実には起こり得ない事ならばどのようなことでも良いです。

 さて、その彼ら彼女らは、どのような行動を取るでしょうか。その対処のパターンを分
類してみます。

 まず、その現実には起こりえない現象に対する知識の有無により、

 一、既知
 二、未知

 と分けられ、
 さらに、それが現実のものであること、目前で繰り広げられていることを

 一、受容
 二、拒否

 と分けることができます。拒否とは、いわゆる「これは夢だ」「早く起きなくちゃ」と
いった反応をするタイプのキャラクタのことですね。欠かせない役だといえます。

 これらは全ての組み合わせがあり得ます。

 1、既知、受容のパターン
 完全に「あっち側の世界」のキャラですね。すでにそういったものの存在を知っていて、
その上でその現象を受け入れる。主人公というよりも助言役、助っ人に多いタイプです。

 2、未知、受容のパターン
 主人公に多いパターンです。普通の人間が特殊な世界に巻き込まれていく、といった筋
書きの物語なら十中八九この形になります。受け手の感情移入もしやすいキャラですね。

 3、未知、拒否のパターン
 真っ先に死ぬタイプです。早く夢から覚めてくれ、と言いながら死んでしまう、もしく
はパターン1のキャラクタに助けられて、そのまま物語からフェードアウトなんてことも。
まあ、脇役のポジションですね。

 4、既知、拒否のパターン
 すこし複雑ですが、ようするに驚き役、解説役です。自分の知っている技術や常識を大
きく上回っていて目の前で起こっていることに理解を示せない、といったタイプ(厳密に
は、だからこれは「既知」よりも「未知」よりではありますが)。より大きな背後の存在
を匂わせるキャラクタのポジションでもあります。

 大雑把ですが、特にライトノベルや少年漫画などではこういった分類はよく見られます。

 これは「超常現象に出会ったら」という例から考えた分類ですが、このようにしてキャ
ラの差別化は図られます。

 であるので、キャラの髪型や服装、喋り癖や顔つき、さらには語尾が特殊だからといっ
てオリジナリティのあるキャラだ、ということにはならないのです。

 もし拳銃を向けられたら
 もし幽霊と出会ったら
 もし空が飛べるなら
 もし目前で大切な人がさらわれたら
 もし貴重な落し物を拾ったら――?

 あなたは、これらの状況に対して、幾通りのパターンのキャラクタのリアクションを思
い浮かべることができるでしょうか。
 その多さが、そのままあなたのキャラクタ力に直結しているはずです。

 ――さあ、想像を広げましょう。
 こうだ、という固定観念を捨てることから始めましょう。

 クリエイトという行為の本質はそこにあるはずですから。

 *

 と、ここで終われば良い感じなのですが、蛇足を一つ。

 私はよくこうした想像をして遊ぶのですが、漫画やアニメ、小説の中の状況に、他のキ
ャラクタをあてはめてどういった行動を取るのか、と考えることがあります。
 キャラクタ力をつけるための訓練の一つとして、「ああ、そんなことをしている人もい
るんだなあ」ぐらいの気持ちで受け止めてもらえれば幸いです。

 *

 さらにもう一つ、蛇足の蛇足。本当はこの話をメインにして書こうと思っていたのです
が。
 キャラクタの本質がリアクションであるならば、先達が作り上げた既存のキャラクタを
流用することも案外、容易なものです。

 あるキャラクタを思い浮かべ、そこから、年齢、性別、所属、外見などといった項目を
ちょいちょいと変えてやればそれで十分です。
「そのキャラクタだったらこの状況でどう動くか」をまず考え、そのリアクションを、さ
きほど決めた年齢、性別などの項目を考慮しながら調整を加えます。
 それだけで「簡単に動かしやすい良質なキャラクタ」ができるわけです。

 そちらの筋の方ならピンとくるかもしれませんが、これは、いわゆる二次創作、同人誌
の書き方と同様です。

 *

 ……まあ、「塑性言論」一回目から前回まで同様、今回も同人でしかできない書き方で
すね。いまさらですが、商業で同様のことをしたりしてなにかあったとしても、当方は責
任を持ちませんよ? やるときは自己責任で! でも案外こんな書き方でもライトノベル
の新人賞の小さい奴くらいはとれちゃったりして、などと最近のラノベを読んでいて思い
ます夏の終わり。

 ご要望があれば、次回は「見せ場」についてお話します。盛り上げ方とかそういう方向
で。
 なければ私、桂の「ネギま!」二次創作が掲載されます。へへ、雲上ジャックだぜ! 
「塑性言論」枠を好きに使っちゃうぜ!

 失礼しました、桂でした。

(BGM GARNET CROW「祭りのじかん」)
 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:unjyou@ml.kairou.com
 次回は第116号(10月25日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!

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◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【5】 編集後記
 ──────────────────────────────────────
 前略。
 いかがでしたでしょうか。『雲上』では現在、作品募集を行っています。詳しくは下記
公式ページをご覧ください。
 ところで、日ハムがダース・ローマシュ匡という選手を獲得したらしいのですが、なん
かダースベイダーみたいですね。シュコー。

*公式サイト
http://unjyou.kairou.com/
*編集部
unjyou@ml.kairou.com


 次回の配信は10月05日を予定しています、それでは。

   ……………………………………… 公 募 ………………………………………

 本誌『雲上』では、アイデアと感動に満ちた作品を募集しています。

 対象は「文章で表現されるすべての作品」です。
 著作権等の問題が無ければ、既に何らかの形で公開された作品でも構いません。
 編集部では作者との共同作業で作品をより良くするシステムを整えております。
 たくさんのご応募を、お待ちしております。

         まずは編集部までご連絡ください:unjyou@ml.kairou.com

   ……………………………………… 奥 付 ………………………………………

       発行日:2006年09月25日
       発行元:雲上回廊
       発行者:秋山真琴
       編集者:キセン
           遥彼方
           言村律広
           恵久地健一
       ご意見ご感想:
           unjyou@ml.kairou.com
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