文学

雲上マガジン

総合創作団体・雲上回廊が送るメール文芸マガジン。

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雲上マガジン vol_86

2006/03/25

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    メールマガジン『雲上』 〜読者へつなぐ〜         第86号
         毎月、05日、15日、25日配信         2006/03/25
                     http://unjyou.kairou.com/

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 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】 前書
 【2】 キセンで超短編「引き算」         第9回
 【3】 秋山真琴はいかが?「NAME ON THIRD EYE」  第3回
 【4】 連載「えごいすてぃっくいまじねーたー らすとえすけーぷ」最終回
 【5】 編集後記

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【1】 前書
 ──────────────────────────────────────

 こんにちは、みなさま。言村律広です。
 調べてみたところ、私が初めて『雲上』の編集を行ったのは2004年の09月30日に発行さ
れた、第23号でした。我ながら長いことやったな、と思います。60号ほど編集したことに
なりますね。始めたときには『雲上』を作ることだけでも手に余ったくらいですが、いま
や作者とやりとりする余裕も生まれました。『雲上』自身も、メンバも、よろよろとでは
ありますが、成長してこれたと思います。自画自賛!
 さて、さっきから過去形が多用されている通り、私は今回でおしまいです。

 次号からの編集長はキセンさんです。

 私はひとつ下の場所へ移って、新生『雲上』編集部を下支えしつつ、フェードアウトし
ていく予定です。
 さあ、ではメールマガジン『雲上』第86号、どうぞお楽しみください!

                                      後略。

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】 キセンで超短編「引き算」         第9回
                   著/キセン
 ──────────────────────────────────────

 キセンさんが闇に紛れるとき、その目は眩しさに細められ、恍惚に怖気を走らせる。
 キセンくんが歓喜に湧くとき、その頬は滂沱の滴りに濡れ、怒りに震えて肩が笑う。
 キセンちゃんが空を飛ぶとき、その足は地面を歩いていて、両腕は水をかいている。
 キセンが超短編を綴るとき、世界は変わる。

 …………………………………………… 超短編 ……………………………………………

 この街では大人と認められる為に一つの儀式を行う必要がある。
 大人になろうとしている者から身体を差し引くのだ。そこに精神があれば彼/彼女は大
人になれる。しかし無いと、彼/彼女はそのままで放置されるのだ。これは恥辱である。
自分に精神が無いことを多くの人間に知られてしまうのだから。僕はもう大人になれるく
らいの歳なのだが、怖くて儀式を行うことができない。ずっとからかわれているのだが怖
いのだから仕方が無い。自分の中に精神があるのか無いのか、僕は未だに知らない。 

 ……………………………………「CEREMONY FOR ME」……………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第87号(04月05日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!


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 【3】 秋山真琴はいかが?「NAME ON THIRD EYE」  第3回
                 著/秋山真琴
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 いらっしゃいませ、ようこそ秋山真琴へ。
 ご注文お決まりでしたらどうぞ。え、ええはい、こちら大盛りで、かしこまりました。
……マスター、三番様オーダーいただきましたぁ! 瑶ちゃん大盛りひとつ!

 …………………………………………… 322文字……………………………………………

「気づいているかな。君の名前が本物ではないことを」通りすがりの老人が、すれ違いざ
まに囁いてきた。思わず、振り返る。「君の本当の名前は、君の額に書かれているよ」老
人は後ろ手に持った手鏡を差し出してきた。君は手鏡を取って、顔を映して見入る。額に
は何も書かれていなかった。「何も見えない? おかしいね……いや、そうだった、思い
出した。確かその文字はじかに見ないと消えてしまうのだった。鏡に写してみても、写真
に撮ってみても、その名前は消えてしまう。あるいは、それこそが本当の名前である証明
だろう」君は水を張った桶を覗きこむ。満月が映っている、覗きこむ君の顔が映っている、
しかしその額には何も書かれていない。君は顔を上げる。老人がこちらを向いている、老
人の目を覗きこむ。老人の瞳には、君が映っており、君の額には――

 ……………………………………… 「本当の名前」 ………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第87号(04月05日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【4】 えごいすてぃっくいまじねーたー らすとえすけーぷ 最終回
                     著/キセン
 ──────────────────────────────────────

 このコーナは、『回廊』にて「EGOISTIC IMAGINATION」を連載していた、キセンによる
連載エッセイです。雲上から回廊へ、回廊から雲上へ、相互に関係する構造的新感覚メタ
エッセイをどうぞ。らすとくーる、ついに最終回!

 ……………………………………………第 20 回……………………………………………

>>「……ふん」
 アップロードされていたその文章を読み終えた秋山はひとつ、息を吐いた。こんなもん
か、と思う。
 まったく苦し紛れの文章だった。最初からずっと苦し紛れにひねり出したとしか思えな
い連載だったが、最終クールにしてそれが極まったと云っていいだろう。一年以上続けて
きてこれか。結局何の足しにもならないメタに回帰したというわけだ。
 メールマガジンに載っていたこの……小説と名乗る資格があるかどうかすらあやふやな
代物の中身はこうだ。まず、メールマガジンの母体としてオンライン文芸マガジンが存在
する。それに連載している小説を補完する構造で、メールマガジンでの連載が存在すると
いうわけだ。補完、といえば聞こえはいいが、要するにそれをネタに――ネタにすらして
ないことすらある――適当に書き散らしているだけの、極めて適度の低い代物だ。
 で、今年の初めに出たオンライン文芸マガジンの最新号で、そちらでの連載が完結した。
それは「実験小説」という特集に組み込まれており、わかりやすく読者を作品に巻き込む
メタ構造にひとひねりを加えたようなものだった。まあ、それもお世辞にも出来がいい代
物とはいえないが、それを下敷きに書き始められた、秋山が発行人を務めているメールマ
ガジンでの連載――これはほんとうに酷い。こんなものが認められるとは到底思えない。
まさかとは思うが、ほんとうに続きを一切考えずに書き始めたのではないだろうか。彼は
リッチーから編集長を引き継ぐはずなのだが、果たして大丈夫なのだろうか。不安が過ぎ
る。
 構造はこうだ。
 オンライン文芸マガジンでの連載は作者名を秘して書かれ、最後で読者を巻き込むよう
にして終わる。メールマガジンでの連載はそれを読んだ読者の視点で綴られ、小説の内容
に憤慨した彼は伏せられている作者名をばらそうとするのだ。しかしそこで使われる「こ
の小説」という言葉の語義が混乱を来し、自分が「この小説」のなかにいるのではないか
と疑って終わる。これが第一回目。第二回目は第一回目を読んだ読者の視点で、第一回目
の虚構性をここで保証する。そして第一回目の構造をばらそうとするのだが、ここで再び
語義の混乱に見舞われて終わり。第三回目は雲上の編集長であるリッチーの立場に立って
同じことをやる。というかほとんどコピペだ。
 ……まったく、だから何だというのか。いくら読者を揺さぶっても此岸と彼岸の境目は
動かない。まったく無駄で、意味のない試みだ。いい加減、載せるのもいやになってくる。
まあ、もうすぐ終わりだ。さっさと同じにしてしまおう。
 そう、この文章の虚構性はこの秋山が保証しているのだ。秋山がこの文章が掲載される
メールマガジンを発行するのだから。

 ……「この文章」?
 いやいや待て、秋山までが罠に嵌ってどうする。もう三度も繰り返されているというの
に。この文章は今秋山が読んでいる文章でこの秋山の実在は証明されている。揺るぎない
秋山。秋山は実在している。そう、嘘。この文章はこの秋山が綴っている読んでいる虚構。
この世界は文章でつくられていない。秋山の実在、文章の虚構を証明してくれる奴がいる
はずだ。そのディスプレイの向こうにいやディスプレイなんて必要ない。
 そう……あろうことか秋山の領域に属する場所でメタを取り扱いながら、彼がまるで存
在しないかのように振舞う愚を、奴はまず悟るべきだったのだ。もう背後に彼の気配を感
じてい<<


                 *


 そして、今、すべては引用文のなかの世界になった。まあはてな記法だけどね。嘘だと
思うならはてなのアカウントを取得して、はてなダイアリーの編集画面に貼り付けてみな
よ。それが引用メソッドだ。君は「メン・イン・ブラック2」のラストシーンを覚えてい
るかい? 観てない? あっそ。まあ、僕もよく覚えていないんだけど、つまりあんな感
じだよ。嘘だけど。2回目から中途半端にコピペが行われているのは、つまり、ひとつの
文章にそれまでの連載を内包する試みに他ならない。アスタリスク前の秋山真琴の一人称
は、言村律広の一人称の回を含んでいる。言村律広の一人称の回は、その前の名もなき読
者の一人称の回を含んでいる。その前もしかり。いいかい、言及というのは恐ろしい。人
は時に言及した文章だけを読み、言及元なんて見向きもしない。言及するということはす
なわち言及した元の文章を含むことに他ならないのだ。その論法でいくとえごいまラスト
クールの第一回はエゴイマラストケースに言及している、つまり、含んでいる。そして、
エゴイマラストクールはそれまでのすべてのエゴイマに言及している――ほら、独善的な
想像がどうとか云ってたじゃん――だから、そうだ! この秋山真琴の一人称の回さえ読
めば、エゴイマなんて読む必要がないんだ! そして今私の一人称によるこの文章はアス
タリスク前の秋山真琴の一人称による文章に言及した。だから今この文章さえ読んでいれ
ばそれで充分なんだ。
 ところで君はニーツオルグというサイトを知っていたかい。それなり以上に有名なテキ
ストサイトだったんだが、これがこのあいだ閉鎖した。閉鎖を予告する文章で管理人氏は
こんなことを云った――「「ニーツオルグ」というウェブサイト(これ)は、2006年の3
月19日いっぱいで全コンテンツの旅路が1つところに至って大団円を迎え、そこで終了と
なります。」と。いや、記憶は随分あいまいだから信用しないで欲しいんだけど、とにか
くこんなことだ。格好よいと思わないかい。だからこのエゴイマすべて、えごいますべて
に言及し、含んだこのテキストも、たったひとつに収斂して消えてなくなるんだ。あ、何?
私が誰かって? 夕賀恋史? 誰それ? まあ、そういうわけで私はメタ次元において宣
言する。《今からこのテキスト、そしてこのテキストが含むテキストすべては矢印三つあ
との点に収斂して消えてなくなる。たとえ見えていたとしてもそれはたんなる残骸で何の
意味も持たないのだ。》⇒⇒⇒・

 ……………………………………………  終  ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【5】 編集後記
 ──────────────────────────────────────
 前略。
 いかがでしたでしょうか。『雲上』では現在、作品募集を行っています。詳しくは下記
公式ページをご覧ください。
 さて、私が最初に編集を担当した第23号によると、当時の読者数が64人だそうです。最
近は急にメルマさんが購読者数を表示しなくなってしまったので、数字の報告は行えてい
ませんが、数号前を見ると100人を超えています。まさしく読者のみなさまに支えられて
やってこれた、というのが明瞭ですね。ありがとうございます。
 また当時の『回廊』最新号は第02号で、今や第07号が目前という状態です。『雲上』で
も『回廊』第07号に向けての宣伝活動を活発化させていきます。いつもの増刊号ですね。
どうぞお楽しみに!
 これからもメールマガジン『雲上』を、どうぞよろしくお願いします!

*公式サイト
http://unjyou.kairou.com/
*編集部
info@kairou.com


『回廊』のダウンロード状況は、
第00号〜第05号:合計で7938。
[最新]第06号:ダウンロード版が377。


 次回の配信は04月05日を予定しています、それでは。

   ……………………………………… 公 募 ………………………………………

 本誌『雲上』では、アイデアと感動に満ちた作品を募集しています。

 対象は「文章で表現されるすべての作品」です。
 著作権等の問題が無ければ、既に何らかの形で公開された作品でも構いません。
 編集部では作者との共同作業で作品をより良くするシステムを整えております。
 たくさんのご応募を、お待ちしております。

         まずは編集部までご連絡ください:info@kairou.com

   ……………………………………… 奥 付 ………………………………………

       発行日:2006年03月25日
       発行元:雲上回廊
       発行者:秋山真琴
       編集者:言村律広
           遥 彼方
           恵久地健一

       ご意見ご感想:
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       (c) unjyou_kairou 2006 all right reserved

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創刊日:2003-11-08  
最終発行日:  
発行周期:月3回  
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