文学

雲上マガジン

総合創作団体・雲上回廊が送るメール文芸マガジン。

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雲上マガジン vol_83

2006/02/24

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    メールマガジン『雲上』 〜読者へつなぐ〜         第83号
         毎月、05日、15日、25日配信         2006/02/24
                     http://unjyou.kairou.com/

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 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】 前書
 【2】 キセンで超短編「冷えた椅子」        第6回
 【3】 霧生康平と世界の旅「卵の幻想に囚われた男」 最終回
 【4】 連載「えごいすてぃっくいまじねーたー らすとえすけーぷ」第19回
 【5】 編集後記

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 【1】 前書
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 現在、空気椅子でこれを書いています星野です。こうやって自分に負荷をかけることで
逆に面白いことが言えるんじゃないかと期待しつつ開始5秒で既につらいです。
 さてさて、節分にバレンタインと2月の行事が粗方終わって、来月にはもう卒業シーズ
ンに突入ですね。
 皆さんのこれからの予定はいかがですか? 私としましては忍法の修行が佳境に入って
きましたし、古墳巡礼も今年で卒業したいと思っていますがこればかりはやめることがで
きなさそうです。
 とまぁつまらん冗談はさておきつつ、対照的に素晴らしい『雲上』の本編をどうぞ〜。

                                      後略。

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】 キセンで超短編「冷えた椅子」        第6回
                   著/キセン
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 キセンさんが闇に紛れるとき、その目は眩しさに細められ、恍惚に怖気を走らせる。
 キセンくんが歓喜に湧くとき、その頬は滂沱の滴りに濡れ、怒りに震えて肩が笑う。
 キセンちゃんが空を飛ぶとき、その足は地面を歩いていて、両腕は水をかいている。
 キセンが超短編を綴るとき、世界は変わる。

 …………………………………………… 超短編 ……………………………………………

 その日私が学校のふりをした牢屋のふりをした空っぽの檻から戻って見たものは誰もい
ないテーブルの向かい側を見つめて虚空に言葉を放る母の姿でした。ああ、糸、切れ
ちゃったんだ、と妙に冷静に思いました。母はとても楽しそうに今はいない父に話しかけ
ていました。今晩のおかずの味付けのこと。私の成績のこと(上昇気味だったのです――
そのときは)。父が経営していた、今はもうない会社のこと。脳のなかの話題が尽きるま
で「あの日」の前のことを話すんだと思うと、それまでなんともなかった胸が急に詰まり
ました。私は何か叫びながら母に飛び掛りました。やめてほしかったのです。いや違いま
す、救いたかったのです。私には生涯縁がないだろうと思っていた英雄的感情でした。…
…私は突き飛ばされました。何故かテーブルの上に投げ出されて、転がって、向かい側の
椅子とテーブルの間に落ちました。刹那、母は私にこの席に座ってほしいのだろうかと感
じました。私は思いました。嫌。汚い。あんな親父が座っていた席なんて嫌。後ろから倒
れこんで頬に触れた椅子の腰掛ける部分が冷たくて、とても悲しくなりました。すべては
無駄に終わったのです。不在はここに残ったままなのです。そして私はすぐに、汚いから
さっさと降りようと思いました。

 ………………………………………「DESPAIRSPACE」………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第84号(03月05日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!


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 【3】 霧生康平と世界の旅「卵の幻想に囚われた男」 最終回
                  著/霧生康平
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 あなたは知っているか?
 我が永遠の旅路にあって、其を片時も残さずに記述し尽くす事における絶望の闇をも呑
み込まんとする方法を知っているか?
 霧生康平を知っているか?

 ……………………………………………霧生世界……………………………………………

 卵の幻想。
 有精卵に赤外線を当てて計る成長過程。
 形成前の心臓。脈打つ紅。成長する。
 直前に煮殺すという選択。否。
 殻に亀裂が生じる。地獄への門が開く。卵の中身が世界を塗り替える。
 荒涼とした紅の大地。夕暮れの紅。血の紅。
 男は大地を彷徨い歩く。
 体内より生じた鎖は口より出でて、わずかに擦れて音を生じる。
 行く手にあるのは血と骸。骸を喰らい血を啜って生きる。
 生きとし生けるもの全ての骸が転がり、男の前に中身を晒す。
 照りつける太陽は鎖を熱し、骸を腐らせ、血を蒸発させる。
 男は歩く。歩き続ける。もっと遠くへ。
 新鮮な骸と芳醇な血のある場所へ。

 そうして、男はたどり着く。

 世界の果ての果て。地獄でもっとも暗き場所。
 血を流す眼の葬列を潜り抜けると、そこは最奥。
 人の骸。人の血。
 見知った顔、見知らぬ顔。
 苦悶の顔。至福の顔。
 分け隔てなく啜り、喰らう。

 なおも男は歩き続ける。
 誰かが再び卵の殻を割る日まで、あるいは、そのまま煮殺してくれる日まで。
 永遠に。

 ……………………………………………世界霧生……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【4】 えごいすてぃっくいまじねーたー らすとえすけーぷ 第19回
                     著/キセン
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 このコーナは、『回廊』にて「EGOISTIC IMAGINATION」を連載していた、キセンによる
連載エッセイです。雲上から回廊へ、回廊から雲上へ、相互に関係する構造的新感覚メタ
エッセイをどうぞ。らすとくーる第三回。

 ……………………………………………第 19 回……………………………………………

「……ふん」
 その文章を読み終えた私はひとつ、息を吐いた。こんなもんか、と思う。
 まったく苦し紛れの文章だった。最初からずっと苦し紛れにひねり出したとしか思えな
い連載だったが、最終クールにしてそれが極まったと云っていいだろう。一年以上続けて
きてこれか。結局何の足しにもならないメタに回帰したというわけだ。
 メールマガジンに載っていたこの……小説と名乗る資格があるかどうかすらあやふやな
代物の中身はこうだ。まず、メールマガジンの母体としてオンライン文芸マガジンが存在
する。それに連載している小説を補完する構造で、メールマガジンでの連載が存在すると
いうわけだ。補完、といえば聞こえはいいが、要するにそれをネタに――ネタにすらして
ないことすらある――適当に書き散らしているだけの、極めて程度の低い代物だ。
 で、一ヶ月前に出たオンライン文芸マガジンの最新号で、そちらでの連載が完結した。
それは「実験小説」という特集に組み込まれており、わかりやすく読者を作品に巻き込む
メタ構造にひとひねりを加えたようなものだった。まあ、それもお世辞にも出来がいい代
物とはいえないが、それを下敷きに書き始められた、メールマガジンでの連載――これは
ほんとうに酷い。こんなものが認められるとは到底思えない。まさかとは思うが、ほんと
うに続きを一切考えずに書き始めたのではないだろうか。彼は私からメールマガジンの編
集長を引き継ぐことになっているのだが、はたしてこんなことでつとまるのだろうか。
 構造はこうだ。
 オンライン文芸マガジンでの連載は作者名を秘して書かれ、最後で読者を巻き込むよう
にして終わる。メールマガジンでの連載はそれを読んだ読者の視点で綴られ、小説の内容
に憤慨した彼は伏せられている作者名をばらそうとするのだ。しかしそこで使われる「こ
の小説」という言葉の語義が混乱を来し、自分が「この小説」のなかにいるのではないか
と疑って終わる。そして第二回でそれを読む読者の視点に切り替わり、第一回の構造をふ
たたびあらわにしようとする。
 ……まったく、だから何だというのか。いくら読者を揺さぶっても此岸と彼岸の境目は
動かない。まったく無駄で、意味のない試みだ。
 そう、この文章の虚構性はこの私が保証しているのだ。

 ……「この文章」?
 いやいや待て、私までが罠に嵌ってどうする。二度目だ。この文章は今私が読んでいる
文章でこの私の実在は証明されている。揺るぎない私。私は実在している。そう、嘘。こ
の文章はこの私が綴っている読んでいる虚構。この世界は文章でつくられていない。私の
実在、文章の虚構を証明してくれる奴がいるはずだ。そのディスプレイの向こうに。この
文章を誰よりも早く読む男。
 編集長、読んでるんでしょう、私は実在していますよね、この文章は、嘘、なんですよ
ね、編集長、そして、その背後にいる……

 …………………………………………… 続く ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第86号(03月25日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【5】 編集後記
 ──────────────────────────────────────
 前略。
 998、999、1000……。はっ、もうこんな時間ですね。黒ごまの早数え選手権
に向けて練習していました。黒ごまは血液をさらさらにするみたいですよ。熱いですよね、
黒ごま。
 本編の方は堪能されましたでしょうか。今号もボリュームたっぷりでお届けした『雲
上』ですが、そろそろお別れです。というか私も空気椅子が限界です。本当にやってたの
かよと心の中で呟いたあなた、もう立派な突っ込み初段ですね。
 大した内容のない前書後記、お粗末さまでした。
 ではでは、次回もごひいきに〜〜。

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*編集部
info@kairou.com


 続いて、読者状況に関して報告を。
 現在、メールマガジンの購読者数は104人。

『回廊』のダウンロード状況は、
第00号〜第05号:合計で7672。
[最新]第06号:ダウンロード版が331。


 次回の配信は03月05日を予定しています、それでは。

   ……………………………………… 公 募 ………………………………………

 本誌『雲上』では、アイデアと感動に満ちた作品を募集しています。

 対象は「文章で表現されるすべての作品」です。
 著作権等の問題が無ければ、既に何らかの形で公開された作品でも構いません。
 編集部では作者との共同作業で作品をより良くするシステムを整えております。
 たくさんのご応募を、お待ちしております。

         まずは編集部までご連絡ください:info@kairou.com

   ……………………………………… 奥 付 ………………………………………

       発行日:2006年02月24日
       発行元:雲上回廊
       発行者:秋山真琴
       編集者:言村律広
           遥 彼方
           恵久地健一
           星野慎吾

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