文学

雲上マガジン

総合創作団体・雲上回廊が送るメール文芸マガジン。

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雲上マガジン vol_80

2006/01/25

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    メールマガジン『雲上』 〜読者へつなぐ〜         第80号
         毎月、05日、15日、25日配信         2006/01/25
                     http://unjyou.kairou.com/

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 ……………………………………… も く じ …………………………………………

 【1】 前書
 【2】 遠野浩十の究極連作「七十秒後の改行都市」 第12回
 【3】 キセンで超短編「ボロボロ」        第3回
 【4】 霧生康平と世界の旅「LIKE LIFE」      第10回
 【5】 連載「えごいすてぃっくいまじねーたー らすとえすけーぷ」第18回
 【6】 編集後記

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【1】 前書
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 こんにちは、みなさま。言村律広です。
 ついこの前に第50号を発行したと思ったら、もう『雲上』は第80号となりました。思え
ば秋山さんから雲上編集長を引き継いで、一年以上になるわけです。
 っとっとと。いけませんね、つい歳のせいか振り返ってみたりしがちですね。
 前向きに行きましょう。
 どこまでも雲を突き抜ける道は、宇宙の彼方まで昇っていますよ。

                                      後略。

◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【2】 遠野浩十の究極連作「七十秒後の改行都市」 第12回
                   著/遠野浩十
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 ここに在るのは果たして、詩か、小説か、短歌か……。鋭利な一行が全てを斬り裂く!

 ●前々回●
 触れない誰もいないはずの声を聴いた。
 ●前 回●
 風船は大きくなりすぎて人混みに落っこちて砕けて空へと飛んでった。

 ……………………………………………  斬  ……………………………………………

 秒針が一周すると時計は壊れ、時は止まったが、何かが流れ続けている。

 …………………………………………… つづく ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第81号(02月05日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!


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 【3】 キセンで超短編「ボロボロ」        第3回
                   著/キセン
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 キセンさんが闇に紛れるとき、その目は眩しさに細められ、恍惚に怖気を走らせる。
 キセンくんが歓喜に湧くとき、その頬は滂沱の滴りに濡れ、怒りに震えて肩が笑う。
 キセンちゃんが空を飛ぶとき、その足は地面を歩いていて、両腕は水をかいている。
 キセンが超短編を綴るとき、世界は変わる。

 …………………………………………… 超短編 ……………………………………………

 鉄を融かし錆びさせる灰が舞う街を、ボロを纏ったロボットが彷徨っている。ロボット
は大声で自分の呪われた境遇を周りの奴等に愚痴っているが、誰を耳を貸そうとしない。
かつて彼の仲間に仕事を奪われた人間の職人連中はあからさまに不快感を示し、殴りたそ
うにしているが、誰もそうしようとはしない。防御機構の発動を恐れているのだろう。
 俺だって/昔は/皆俺様を/新型/俺は/廃棄処分……
 消費されつくした物語が、ステロタイプの欠片が、灰に混じっていく。
 愚痴をひとつこぼすごとに、彼の身体が融けていく。やがて、軋んだ音。ぐにゃりと歪
んだ鉄の身体が地面に沈む。私は右手に持った煙草を、彼の光を失った眼に押し付けて、
脚が錆びかけた恋人の家に向かう。もちろん錆止めを持って。
 その道程で私は三度転びその度に部品を落とす。四度目で頭も。それでも私は立ち上が
り、ここからだと三キロ先にある目的地を目指す。いまこうしている間にも錆があいつの
脚を駄目にして、それで、あいつはもうどこにもいけなくなってしまうかもしれない。私
の脚はまだ動く。不意に泣きたくなるが、もうそれは不可能だ。 

 …………………………………………「BOROBOT」 …………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第81号(02月05日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!


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 【4】 霧生康平と世界の旅「LIKE LIFE」      第10回
                  著/霧生康平
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 あなたは知っているか?
 我が永遠の旅路にあって、其を片時も残さずに記述し尽くす事における絶望の闇をも呑
み込まんとする方法を知っているか?
 霧生康平を知っているか?

 …………………………………………… 536字 ……………………………………………

 私がそれを意識するようになったきっかけは、高校の頃姉と同じ人を好きになったとい
うことだと思う。一卵性双生児である私たちは寸分たがわぬ体格と性格で、勉強の出来も
運動神経も趣味嗜好もまったく同じだった。
 なのに彼は姉を選んだ。その違いはどこにあったのか。
 姉だけがリボンをつけていた。幼かったころに叔母から貰ったものだった。別に叔母は
私が嫌いなわけではなかった。ただその時私が居なかったというそれだけの理由で、私は
それを貰い損ねた。
 姉は彼と付き合い、私は誰とも付き合わなかった。些細な違いは時間とともに大きなも
のへと成長してゆく。
 姉は活動的になり、身を飾って遊ぶことを覚えた。私はといえば地元の大学に入ってな
んの活動もせず粛々と四年間を過ごした。
 その後、姉は成功者になった。お金にも名声にも不自由のない。偉大な人間になった。
私はといえば、一人暮らしをしながらOLをやっていた。もちろん付き合ってる人などい
なかった。
 それからしばらくして、突然姉が死んだ。交通事故だった。あっけない死に様だった。
ピアスをし、豪奢な衣服を纏い、紅い口紅をしていた。

 ──姉が死んでからも、私の生活に変化は無い。あいかわらずOLをやっている。
 ただ、私は未だに誰とも付き合っていないし、身を飾ったこともない。

 ………………………………………「人生を生きる」………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第81号(02月05日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【5】 えごいすてぃっくいまじねーたー らすとえすけーぷ 第18回
                     著/キセン
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 このコーナは、『回廊』にて「EGOISTIC IMAGINATION」を連載していた、キセンによる
連載エッセイです。雲上から回廊へ、回廊から雲上へ、相互に関係する構造的新感覚メタ
エッセイをどうぞ。らすとくーる第二回。

 ……………………………………………第 18 回……………………………………………

「……ふん」
 その文章を読み終えた僕はひとつ、息を吐いた。こんなもんか、と思う。
 まったく苦し紛れの文章だった。最初からずっと苦し紛れにひねり出したとしか思えな
い連載だったが、最終クールにしてそれが極まったと云っていいだろう。一年以上続けて
きてこれか。結局何の足しにもならないメタに回帰したというわけだ。
 メールマガジンに載っていたこの……小説と名乗る資格があるかどうかすらあやふやな
代物の中身はこうだ。まず、メールマガジンの母体としてオンライン文芸マガジンが存在
する。それに連載している小説を補完する構造で、メールマガジンでの連載が存在すると
いうわけだ。補完、といえば聞こえはいいが、要するにそれをネタに――ネタにすらして
ないことすらある――適当に書き散らしているだけの、極めて程度の低い代物だ。
 で、一ヶ月前に出たオンライン文芸マガジンの最新号で、そちらでの連載が完結した。
それは「実験小説」という特集に組み込まれており、わかりやすく読者を作品に巻き込む
メタ構造にひとひねりを加えたようなものだった。まあ、それもお世辞にも出来がいい代
物とはいえないが、それを下敷きに書き始められた、メールマガジンでの連載――これは
ほんとうに酷い。こんなものが認められるとは到底思えない。まさかとは思うが、ほんと
うに続きを一切考えずに書き始めたのではないだろうか。
 構造はこうだ。
 オンライン文芸マガジンでの連載は作者名を秘して書かれ、最後で読者を巻き込むよう
にして終わる。メールマガジンでの連載はそれを読んだ読者の視点で綴られ、小説の内容
に憤慨した彼は伏せられている作者名をばらそうとするのだ。しかしそこで使われる「こ
の小説」という言葉の語義が混乱を来し、自分が「この小説」のなかにいるのではないか
と疑って終わる。
 ……まったく、だから何だというのか。いくら読者を揺さぶっても此岸と彼岸の境目は
動かない。まったく無駄で、意味のない試みだ。
 そう、この文章の虚構性はこの俺が保証しているのだ。

 ……「この文章」?
 いやいや待て、俺までが罠に嵌ってどうする。この文章は今俺が読んでいる文章でこの
俺の実在は証明されている。揺るぎない俺。俺は実在している。そう、嘘。この文章はこ
の俺が綴っている読んでいる虚構。この世界は文章でつくられていない。俺の実在、文章
の虚構を証明してくれる奴がいるはずだ。そのディスプレイの向こうに。この文章を誰よ
りも早く読む男。
 なあメールマガジンの編集長、読んでるんだろ、俺は実在しているよな、この文章は、
嘘、なんだよな?

 …………………………………………… 続く ……………………………………………

 この作品に対するご意見・ご感想は編集部まで:info@kairou.com
 次回は第83号(02月25日配信予定)に掲載予定です。お楽しみに!


◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆
 【6】 編集後記
 ──────────────────────────────────────
 前略。
 メールマガジン『雲上』第80号、いかがでしたでしょうか。
 中には実在が危ぶまれる作者もいるみたいですが、今号も自信の作家陣でお届けできた
と自負しております。
 最近は掲載予定が安定してきているので、ここいらで次号予告なんてしてみようかな、
と思います。次号は遠野さんと霧生さんとキセンさんの三本立てです。最近の常連メン
バーですね。霧生さんとキセンさんは書き溜めてある超短編や掌編からの掲載になります
が、遠野さんは毎号ごとに、次の号までに一行を作ってもらっています。次号はどうなる
のか、私も楽しみだったりします。
 さていささか長くなりました。ここらで今号もお別れです。
 ではみなさん、また次号でお会いしましょう。

*公式サイト
http://unjyou.kairou.com/
*編集部
info@kairou.com


 続いて、読者状況に関して報告を。
 現在、メールマガジンの購読者数は102人。

『回廊』のダウンロード状況は、
第00号〜第05号:合計で7434。
[最新]第06号:ダウンロード版が297。


 次回の配信は02月05日を予定しています、それでは。

   ……………………………………… 公 募 ………………………………………

 本誌『雲上』では、アイデアと感動に満ちた作品を募集しています。

 対象は「文章で表現されるすべての作品」です。
 著作権等の問題が無ければ、既に何らかの形で公開された作品でも構いません。
 編集部では作者との共同作業で作品をより良くするシステムを整えております。
 たくさんのご応募を、お待ちしております。

         まずは編集部までご連絡ください:info@kairou.com

   ……………………………………… 奥 付 ………………………………………

       発行日:2006年01月25日
       発行元:雲上回廊
       発行者:秋山真琴
       編集者:言村律広
           遥 彼方
           恵久地健一

       ご意見ご感想:
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創刊日:2003-11-08  
最終発行日:  
発行周期:月3回  
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