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【メルマガ日台共栄:第3530号】 中国が8月1日から台湾への個人旅行停止と異例の発表

2019/08/01

>>>>> http://www.ritouki.jp/ ━━━━━━━━━━ 令和元年(2019年) 8月1日】

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1>> 中国が8月1日から台湾への個人旅行停止と異例の発表
2>> 中国国防白書「新時代の中国国防」 渡部 悦和(日本戦略研究フォーラム政策委員)
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1>> 中国が8月1日から台湾への個人旅行停止と異例の発表

 中国の文化観光省は8月31日、47都市の住民に認めていた台湾への個人旅行を8月1日から「「当
面の両岸関係に鑑み」一時停止すると発表した。中国が個人旅行を停止するのは初めてのことだそ
うで、ほとんどのメディアは「個人旅行の停止を公表するのは異例」と報じ、その狙いを「総統選
をにらんだ蔡英文政権への圧力」としている。

 昨年は107万人の個人旅行者が訪れたというから、ホテルや飲食業など観光産業には大きな痛手
で、読売新聞は「台湾経済は深刻な打撃を受けることになる」と伝えている。

 ただし、観光産業が痛手を受けるのは必至であることは誰にも予測がつくが、台湾経済は果たし
て「深刻な打撃」を受けるのだろうか。深刻とはどれほどの数値なのか。数値を出さなければ単な
るあおり記事に終わり、説得力にとぼしい。

 その点で、日本経済新聞は「台湾の行政院(内閣)による過去の試算を基にすると、8月以降に
中国大陸からの個人旅行者がゼロになっても、年間の実質経済成長率を約0.1%下押しする程度に
とどまる」と、独自調査による数値を出して記事に深みを加えている。

 また、総統選挙と関連する圧力とするなら、中国が総統選挙にどう対応しようとしているのかに
も触れないわけにはいかないが、日経の記事は「中国は蔡氏に圧力をかける一方、韓氏を側面支援
して台湾に親中的な政権が誕生するのを期待する」と、きちんと総統選への中国の意向にも言及
し、背景がかなり明瞭になる。

 さらに、日経記事は「蔡政権への露骨な圧力はかえって中国への反感を引き起こしかねず、逆効
果になる可能性もある」と、台湾が反発する可能性にも触れて記事を締めくくっている。下記にそ
の記事を紹介したい。

 別途、中国国防白書「新時代の中国国防」について、陸上自衛隊の東部方面総監で陸将だった日
本戦略研究フォーラム政策委員の渡部悦和(わたなべ・よしかず)氏が詳しく分析しているのでご
紹介する。中国が台湾をどうとらえているのか、今回の個人旅行停止に至る中国の基本認識は軍事
的な観点からの方がよく分かるようだ。

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中国、台湾への個人旅行を当面停止 蔡英文政権に圧力
【日本経済新聞:2019年7月31日】

 【北京=高橋哲史、台北=伊原健作】中国は31日、中国大陸から台湾への個人旅行を8月1日から当
面の間、停止すると発表した。中国からの旅行客に頼る台湾の観光業に打撃となる可能性が高い。
2020年1月の台湾総統選をにらみ、「一つの中国」原則を認めずに米国と軍事的なつながりを強め
る蔡英文政権に圧力をかける狙いがあるとみられる。

 中国当局は過去にも旅行会社への締め付けなどを通じて対立する国への団体旅行の制限を試みた
ことがあったとされるが、個人旅行の停止を公表するのは異例だ。

 個人旅行を停止する理由について、中国の海峡両岸旅遊交流協会は31日の発表文で「最近の両岸
(中台)関係をかんがみて」とだけ説明した。いつまで停止するかや、団体旅行の扱いには言及し
ていない。個人旅行客が増える夏休みや、10月1日からの国慶節(建国記念日)の大型連休を狙っ
た可能性がある。台湾で対中政策を所管する大陸委員会は「旅行による正常な交流に政治干渉すべ
きではない」と抗議するコメントを発表した。

 現在、中国大陸から台湾への個人旅行は北京や上海など全国の主な47都市の住民に限って認めら
れている。台湾側の統計によると18年の中国大陸からの観光客は205万人で、うち107万人が個人。
総数で2位の日本(144万人)を引き離している。

 台湾の行政院(内閣)による過去の試算を基にすると、8月以降に中国大陸からの個人旅行者が
ゼロになっても、年間の実質経済成長率を約0.1%下押しする程度にとどまる。ただ100万人規模が
従事するとされるホテルや飲食、運輸など観光関連産業が打撃を受けるのは必至だ。

 台湾では2008年に発足した対中融和路線の国民党・馬英九前政権が、中国大陸からの観光客受け
入れを段階的に開放した。14、15年は300万人を上回り、全観光客の4割超を占めた。だが中国大陸
と台湾が1つの国に属するという「一つの中国」原則を認めない蔡政権が発足した16年以降は減少
傾向にあった。

 独立志向を持つ台湾の蔡英文政権は、安全保障面で米国に接近している。米国は台湾海峡に艦船
を派遣するほか、7月上旬には台湾への戦車や地対空ミサイルなど総額22億ドル(約2400億円)相
当の武器売却も決めた。反発する中国は28日から8月2日にかけて台湾に近い浙江省と広東省の2カ
所の海域を航行禁止区域に指定し、軍事演習を実施しているもようだ。

 20年1月の総統選に最大野党の国民党から出馬する韓国瑜・高雄市長は中国との経済関係を強め
て台湾を豊かにすべきだと訴える。中国は蔡氏に圧力をかける一方、韓氏を側面支援して台湾に親中的な政権が誕生するのを期待する。

 ただ、蔡政権への露骨な圧力はかえって中国への反感を引き起こしかねず、逆効果になる可能性
もある。

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2>> 中国国防白書「新時代の中国国防」 渡部 悦和(日本戦略研究フォーラム政策委員)

【日本戦略研究フォーラム:2019年7月31日】
http://www.jfss.gr.jp/home/index/article/id/958

 2019年版の中国国防白書「新時代的中国国防(China’s National Defense in the New Era)」
が7月24日に公表された。今回の国防白書は、人民解放軍の大改革が2015年末に開始されてから初
めて公表された白書であるという大きな特色がある。

 4年前に公表された2015年版国防白書は、「中国の軍事戦略」というタイトルで、軍事戦略に焦
点を当てたものであったが、2019年版は主要な項目について網羅的に記述したものになっている。

 2019年国防白書を総括的に評価すると以下の4つの特徴がある。つまり、1)米国に対する厳し
い批判、2)台湾の独立に対する強い警告、3)「中国は米国とは違って、世界平和に貢献し、人
類運命共同体に貢献する国家である」というプロパガンダ、4)人民解放軍改革に関する簡単すぎ
る説明である。

 特に中国共産党のプロパガンダについては、明らかに事実に反する嘘や、「言っていることと、
やっていることが違う」主張が繰り返されている点には唖然とする。これは、中国共産党の体質的
なものもあるが、米中覇権争いの中で米国よりも世界に貢献しているという点を強調し、国際的な
支持を確保したいのであろう。

 以下、この4点を中心に、2015年版とも比較しながら解説したい。

◆米国への批判

 2019年版と2015年版を比較すると米国に対する批判が強くなっていることが分かる。その理由
は、米国のドナルド・トランプ政権が2018年から始めた貿易戦争、究極的には米中覇権争いが大き
な理由になっていると思う。

●2015年版の記述

 米国については、新型大国関係の相手国として登場する。そして、米国という国名は明確には出
していないが、「覇権主義、力による政治、新型の干渉主義という新たな脅威」という表現で米国
を非難している。

 また、「南シナ海問題について外部から頻繁に介入し、中国に対する近距離からの航空・海上監
視を行っている」と非難し、「これらの行為に対して領土主権、海洋の権利・利益を守らなければ
いけない」と記述しているが、外部から頻繁に介入する国家が米国であることは明白だ。

 つまり、2015年版では、米国に対するある程度の配慮をした米国批判になってる。

●2019年版の記述

  2019年版では米国を名指しして、非常に厳しい批判を加えている。

・「国際的な戦略的競争が高まっている。米国は『国家安全保障戦略』と『国防戦略』で、一方的
 な政策を採択した。それは、主要大国間の競争を誘発し、激化させ、防衛費を大幅に増加させ、
 核、宇宙、サイバーおよびミサイル防衛における能力増強を推進し、世界の戦略的安定を弱体化
 させた」

・「米国はアジア太平洋地域の軍事同盟を強化し、軍事力の展開と介入を強化しており、地域の安
 全保障を複雑化している。米国が韓国に終末高高度防衛(THAAD)システムを配備したことは、
 地域の戦略的バランスと地域諸国の戦略的安全保障上の利益を著しく損なっている」

・米国を名指ししていないが、「(アジアの)域外国は、中国に対して頻繁に空と海を利用した接
 近偵察を行っており、中国の領海と島と岩礁の周辺水域と領空に不法侵入し、中国の安全保障を
 脅かしている」と批判している。

◆台湾の独立に対する強い警告

 「中国は台湾独立に反対し、これを封じ込める」と明確に記述し、最大の核心的利益である「台
湾統一」を目指す姿勢を強調している。この背景には、台湾を支援するトランプ政権に対する怒り
や2020年1月の台湾総統選挙への懸念があるのだろう。

 以下は白書の記述だ。

●台湾独立の試みに断固として反対

・「分離主義者との戦いはますます激しくなっている。台湾の民進党は、台湾独立に固執し、1992
 年コンセンサスを拒否している。彼らは、漸進的な独立に向けて、大陸との関係を断ち切ろうと
 する努力を強化し、法律上の独立を推進し、敵意と対立を強め、外国の影響力を借りて、分離主
 義の道を進んでいる」

・「『台湾独立』分離独立勢力とその活動は、台湾海峡の平和と安定に対する最大の差し迫った脅
 威であり、国家の平和的統一を妨げる最大の障害である」

・「台湾問題を解決し、完全統一を実現することは、中国にとっての基本的利益であり、国家再生
 に不可欠である。中国は『平和統一』と『一国二制度』の原則を堅持し、両岸関係の平和的発展
 を促進し、国家の平和的統一を進める。
  中国は、中国を分裂させようとするいかなる試みや行動にも断固として反対し、この目的のた
 めに外国が干渉することにも断固として反対する。中国は統一されなければならず、また統一さ
 れるだろう。中国は、国家主権と領土の一体性を守る強い決意と能力を有しており、いかなる
 者、いかなる組織、いかなる政党による領土のいかなる部分の分離も決して許さない」

●武力行使を放棄せず

・「武力行使を放棄することを約束するものではなく、必要なあらゆる手段を講じるという選択肢
 を留保する。これは決して台湾の同胞を対象としたものではなく、外部の力と、非常に少数の
 『台湾独立』分離主義者とその活動の干渉に対するものだ。
  人民解放軍は、台湾を中国から分離し、国家統一を保とうとする者を断固として打倒する」

・「人民解放軍は、国家の統一を守るため、海洋を中心に軍事態勢を強化している。台湾周辺の船
 舶や航空機を利用して、人民解放軍は『台湾独立』分離独立派に厳しい警告を発している」

◆中国共産党のプロパガンダ

 2019年版には「決して覇権・勢力拡大・影響圏を求めない」という項目があるが、そこでの記述
は「事実に反する内容」、「記述していることと、実際にやっていることが違う」という中国共産
党らしいプロパガンダが多い。

●「建国以来70年、一度も戦争や紛争を起こしていない」という主張

 国防白書では、「強国になっても好戦的な国は破滅する。中国国民は常に平和を愛してきた。中
国が他国にそのような苦しみを与えることは決してない。中華人民共和国は、建国以来70年が経過
したにもかかわらず、一度も戦争や紛争を起こしていない」と記述している。

 しかし、「建国以来70年、一度も戦争や紛争を起こしていない」という主張は明らかに虚偽であ
る。例えば、1979年に起こった中越戦争は、鄧小平が「ベトナムに対する懲罰を与える」と宣言し
て引き起こしたものだ。中国は、1979年2月17日に10個軍30万人、1500門の長距離火砲をもってベ
トナム領内に進攻を開始した戦争だ。

 また、1974年に西沙諸島をめぐる戦いでは、中国は南ベトナム軍艦1隻を撃沈し、南ベトナムが
実行支配していた島嶼に部隊を上陸させ占領した。この結果、中国が西沙諸島全域を実効支配する
ことになった。当時の南ベトナムは、1973年に米軍が全面撤退し、ベトナム戦争末期の非常に困難
な時期であった。中国は、その弱点を突き中国主導の戦いを実行したのだ。

 さらに、中国は根拠のない「九段線」を理由に、南シナ海の大部分の領有を主張し、人工島を建
設して周辺諸国に脅威を与えている。この中国の主張は、国際仲裁法廷である常設仲裁裁判所の判
決で完全に否定されたが、中国はその判決を受け入れず、「判決は紙くずに過ぎない」とまで発言
した。

 これら一連の行動は、白書が記述する「中国国民は常に平和を愛してきた。中国が他国にそのよ
うな苦しみを与えることは決してない」という表現がいかにまやかしであるかを示している。

●中国の強力な軍事力は、世界平和と人類の未来を共有するコミュニティ建設のため

・「中国は、他人の内政に干渉し、強者が弱者を虐待し、他人に意志を押し付けようとすることに
 反対している。
  中国の国防の発展は、正当な安全保障上のニーズを満たし、世界の平和勢力の発展に寄与する
 ことを目的としている。歴史は、中国が覇権を求める際に大国のこれまでのやり方に決して従わ
 ないことを証明し、今後も証明し続けるだろう。中国がどのように発展しても、他国を脅かした
 り、勢力圏を求めたりすることは決してない」

・「人類の未来を共有するコミュニティ建設のために」という項目の中で、「中国人の夢は世界の
 人々の夢と密接につながっている。中国の平和、安定、繁栄は、世界に機会と利益をもたらす。
 中国の強力な軍事力は、世界の平和と安定、人類の未来を共有するコミュニティの建設のための
 堅固な力である」と書いている。

 「中国の強力な軍事力は、世界の平和と安定、人類の未来を共有するミュニティの建設のための
堅固な力である」とまで書かれると、唖然とせざるを得ない。中国の軍事力は、日本をはじめとす
る中国の周辺国にとって大きな脅威であり、「世界の平和と安定」を脅かす存在であることは多く
の人が認めるところだ。

◆人民解放軍の改革について

 白書は、人民解放軍の改革について、230万体制から30万人を削減したなどの成果を概略的に説
明しているが、主要点は以下の通り。

●白書が紹介する簡単すぎる人民解放軍の組織図

 人民解放軍の指揮系統は、「軍委管総、戦区主戦、軍種主建」がキーワードだ。つまり、「中央
軍事委員会が全てを管理し、5つの戦区が作戦を実施し、軍種である陸・海・空・ロケット軍は
各々の指揮下部隊の戦力開発(部隊の編成装備、訓練など)を担当する」という意味だ。

 白書では軍隊の実態を知る基本資料である組織図について、図1と図2に示す簡単な組織図しか紹
介していない。これでは、人民解放軍の複雑な組織を十分に理解することはできない。やはり秘密
主義の壁は厚い。

・図1「中央軍事委員会‐軍種‐部隊」(編集部註:原文参照)

 図1は、中央軍事委員会と軍種及び部隊の関係を示している。中央軍事員会が直接、陸軍等の軍
種を指揮している。各軍種は、各々の部隊を鍛えて戦力を維持・強化する。

・図2「中央軍事委員会‐戦区‐部隊」(編集部註:原文参照)

 図2は、中央軍事委員会と戦区及び部隊の関係を示している。中央軍事委員会が直接戦区を指揮
し、戦区が部隊を指揮して作戦を実施することを示している。

●人民解放軍の指組織図(渡部案)

 図1と図2だけでは人民解放軍の全体像を把握できないので、筆者が諸資料を総合して作成した組
織図が図3だ。この図3により人民解放軍の全体像が概観できるはずだ。

・図3「人民解放軍の組織図(渡部案)」(編集部註:原文参照)

●統合兵站支援部隊

 今回の白書で注目される部隊が戦略支援部隊と統合兵站支援部隊(JLSF: Joint Logistics Support 
Force、?勤保障部?)であった。戦略支援部隊は、人民解放軍改革の目玉として当初から注目さ
れてきた。情報戦、宇宙戦、サイバー戦、電子戦を担当する部隊で、厚い秘密のベールで被われ、
今回の白書でも詳しい記述がない。

 一方、統合兵站支援部隊が中国の公式な白書で紹介されるのは今回が初めてだ。統合兵站支援部
隊は、統合兵站支援を行い、戦略・戦役レベルの兵站支援を実施する主力部隊で、中国の現代的軍
事力体系の重要な部隊である。

 統合兵站支援部隊には、倉庫保管、物流輸送、パイプライン輸送、工事建設管理、備蓄資産管
理、購買などを担当する部隊がある。また、統合兵站支援部隊の下には、無錫、桂林、西寧、瀋
陽、鄭州の5ヶ所にある統合後方支援センター、解放軍総合病院、解放軍疾病予防管理センターな
どがある。

●海軍陸戦隊

 日本のメディア(北京時事)は、「中国の国防白書は、上陸作戦を担当する海軍陸戦隊(海兵
隊)が3大艦隊と同等に格上げされたことを初めて明記した」と記述し、今後海軍陸戦隊が増強さ
れ上陸能力を高め、尖閣や南西諸島にとっての脅威となると主張している。

 確かに、東海艦隊、南海艦隊、北海艦隊の次に海軍陸戦隊が記述されているのは事実であるが、
「3大艦隊と同等に格上げされた」とは書いていないので、これを別の資料で確認しなければいけ
ない。

●解放軍の腐敗の温床であった軍のビジネスからの撤退

 白書には、「2018年6月現在、不動産賃貸業、農産物関連業、サービス業など15の分野におい
て、主要機関、事業単位、軍関係公共機関によるすべてのレベルでの有料サービスは基本的に停止
されている。中止された事業は10万件を超え、全体の94%を占める。軍は事業から撤退するという
目標を達成した」と記述されている。

 これが事実であれば、人民解放軍の改革の目的の一つであった「軍のビジネスの禁止による腐敗
根絶」が成果を収めたということである。しかし、実態はどうか、今後の展開を注視したい。

◆日本関連

 最後に日本関連の記述について紹介する。2015年版では、中国は日本を仮想敵として、「日本は
戦後レジームからの脱却を目指し、軍事・安保政策の大幅な変更を進めている。その様な傾向は地
域の他の諸国に重大な懸念を引き起こしている」と非難した。

 しかし、2019年版では直接日本を批判する表現はない。この背景には、米中覇権争いを背景とし
て、この時点では日本を中国の敵にしたくないという中国側の思惑があると思われる。

 「日本は、軍事安全保障政策を調整し、その投資を増やし、『戦後体制』の突破を追求し、軍事
力を外向きに強化している」と記述しているが、特段批判的とは言えない。

 尖閣諸島(中国側は釣魚島と言っている)については、「中国は、国家主権と領土保全を断固と
して守る。南シナ海の島々と釣魚島は中国領土の不可分の一部だ。中国は、南シナ海の島嶼・岩礁
におけるインフラ整備や必要な防衛力の配備、東シナ海の釣魚島でのパトロールなどのために国家
主権を行使している」と記述し、「海上における安全保障上の脅威、侵害、挑発行為に断固として
対応する」と記述している。

 いずれにしろ、我が国は中国という厄介な大国と今後とも付き合っていかざるを得ない。その際
に、この国防白書を熟読し、中国共産党のプロパガンダに惑わされることなく、日米同盟を上手く
活用しながら、したたかに中国に対応していくべきであろう。

              ◇     ◇     ◇

渡部悦和(わたなべ・よしかず)
1955年(昭和30年)、愛媛県生まれ。1978年に東京大学工学部を卒業後、一般幹部候補生として陸
上自衛隊に入隊(78幹候、防大22期相当)。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕
僚大学留学、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年
に東部方面総監。2013年に退職。陸将。同年12月、富士通システム統合研究所所長に就き、2015年
6月、ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。著書に『米中戦争 そのとき日本は』(講
談社現代新書、2016年)。

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加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)

ゆうちょ銀行
加入者名:日本李登輝友の会 (ニホンリトウキトモノカイ)
店名:〇一八 店番:018 普通預金:9521417
*他の銀行やインターネットからのお振り込みもできます。

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創刊日:2003-10-06  
最終発行日:  
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