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【メルマガ日台共栄:第3490号】 李登輝が「総統直接選挙」を実現したワケ  早川 友久(李登輝元総統秘書)

2019/06/06

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1>> 李登輝が「総統直接選挙」を実現したワケ  早川 友久(李登輝元総統秘書)
2>> 6月8日、本会千葉県支部が片倉佳史氏を講師に講演会「李登輝総統取材秘話」
3>> 南太平洋にまで進出する中国へ豪が米国と連携して巻き返し外交  宮崎 正弘(ジャーナリスト)
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1>> 李登輝が「総統直接選挙」を実現したワケ  早川 友久(李登輝元総統秘書)

【WEDGE infinity:2019年5月25日】
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/16323

 来年1月の総統選挙へ向け、与野党とも公認の候補者選びがいよいよ激化してきた。

 民進党は現職の蔡英文総統と頼清徳前行政院長が予備選に出馬しており、いまだ調整がついてい
ない。

 国民党も、鴻海精密工業の郭台銘氏が出馬宣言したり、韓国瑜高雄市長が「党からの指名があれ
ば」などと含みをもたせる発言をするなど、こちらも混迷模様だ。

 まだ出馬が不透明な柯文哲台北市長も、水面下では出馬準備をしていると噂されており、少なく
ともこの混乱した状況はもうしばらく続きそうだ。

 総統選挙へ向け、各党が候補者選びにしのぎを削る。こうした状況を李登輝はどのように捉えて
いるのだろう。

 台湾が明確に中国とは別個の存在であることを守り続けてくれる候補者にこそ台湾総統の座に就
いてもらいたいとは願いつつも、各陣営が侃々諤々の議論の末に候補者を絞り出す制度が確立され
たことに、台湾の民主化を進めた老政治家は満足しているのではなかろうか。

◆次期総統候補が語った「李登輝の教え」

 先日、日本を訪問し、首相経験者や多くの国会議員らと面会を重ねたと報じられた頼清徳氏だ
が、頼氏は「最高指導者は孤独だ。李登輝総統も、それはまるで観音山の頂上にいるようなものだ
と言っている。だからこそ、何かを決断するときに縋ることの出来る『強い信念』が必要だ、と教
えてもらった」というエピソードを折々に話したと聞いている。

 この「観音山」のストーリーは補足が必要だろう。

 観音山とは、淡水の対岸である八里にある山のことだ。日本時代は「淡水富士」とも呼ばれ、淡
水の夕陽とともにその美しさが讃えられ、「台湾八景」のひとつにも数えられた。余談だが、李登
輝事務所はこの観音山を真正面に捉える紅樹林にあって、窓からはその雄姿を拝むことができる。

 李登輝は、総統に就任して間もなく、この観音山へ家族とともにハイキングに出かけた。当時ま
だ幼かった孫娘も一緒だったというから、それほどきつい勾配ではなかったはずだ。しかし、600
メートルちょっと、という標高であっても、頂上までたどり着いてみると、その場は予想以上に急
峻だった。四方に寄りかかれるものが何もなく、その場所に立った李登輝は、恐怖さえ感じたという。

 同時に「総統の地位はこの山頂のようなものだ。周りに寄りかかることの出来るものが何もない
とは、すなわち誰にも縋ることが出来ないということだ。頼れるのは信仰だけだ」と悟ったという。

 李登輝は常々、指導者たるもの信仰を持たなければならないと説く。李登輝の場合はそれがキリ
スト教だったが、信仰でなければ「強い信念」でもよいという。要は、孤独のなかで何らかの決断
を迫られた場合でも、縋ることの出来る精神的支柱を自分の心のなかに用意しておかなければなら
ないということだ。こうした最高指導者としての必要な心構えが、民進党内で予備選を戦う頼氏に
とって大きな示唆となったのだろう。

 この日、孫娘を後ろから抱きかかえた李登輝と家族の写真が残っている。この場で得た感慨を残
そうとしたのだろうか、この写真をもとにした絵をスペイン留学から戻った画家の呉[火玄]三氏に
描いてもらったが、李登輝夫人によると、構図の上で「邪魔だから」と、李登輝と孫娘以外の家族
は削られてしまった、と苦笑いする。

 このエピソードからは、台湾の最高指導者として、党内の抵抗勢力を抑え、どんな批判もかえり
みず台湾の民主化への信念を貫き通した李登輝の強さが垣間見えるだろう。

◆李登輝が「総統直接選挙」を実現したワケ

 そんな李登輝が民主化とともに推進した台湾の「本土化」の過程で、何を念頭に置いたかを表
し、李登輝が好んで使う言葉がある。それが「脱古改新」だ。

 「従来からの古(いにしえ)のやり方を捨て去り、新しく改める」という意味を一言で表したこ
の言葉は、文字通りそれまでの中国式のやり方から切り離し、台湾として全く新しくスタートさせ
るという意味を含んでいる。

 李登輝が総統の座についたとき、台湾を取り巻く環境も、台湾内部も矛盾だらけだった。

 台湾を統治しているのは中華民国だが、この中華民国はもともと中国大陸で成立したものだ。第
二次世界大戦終結後、国共内戦に敗れた中華民国が国ぐるみで台湾に移転してきた。

 しかも、李登輝以前の指導者は「いつかは中国大陸を取り戻す」ことを大義名分とし、台湾を戒
厳令下に置いていた。

 そのため、国の根幹である憲法は中国大陸を統治することを想定して制定されたものだったし、
国の行く先を決める国会は、国家総動員法に相当する「動員戡乱時期臨時条款」によって改選が凍
結されていたのである。

 李登輝は台湾人として初めての総統である。それまでの蒋介石や蒋経国は中国人であり、中国大
陸への「凱旋」を夢見ながら死んでいったともいえる。しかし、実際のところ、台湾はそもそも中
国大陸とはなんの関係もないのだ。中華民国が一方的に台湾を自分のものにして居座ってしまった
だけ、といってよい。

 そこで、これらの問題解決に着手する際、李登輝は考えた。
 
 「従来と同じ『中国』という枠組みのなかで制度を変えようとしても、それは根本的な改革にな
らない。これからの台湾に必要なのは、これまでの『中国』という考え方から脱して、全く新しい
台湾を作り上げることだ」

 李登輝は、従来の枠組みのなかで制度を変えていくことを「託古改制」と称した。古来から続い
てきた制度を踏襲しながら、少しずつ改めていくということだ。しかし、台湾がいつまでも中国と
の結びつきを残したり、中国大陸の奪還にこだわり続けることは、台湾にとって無益だと李登輝は
理解していた。

 つまり、李登輝の発想は「『台湾は中華民国』という発想の出発点そのものを捨てる」というこ
となのだ。

 であるならば、台湾がいつまでも中国式の制度を基盤としていては、それをどんなに改変してい
こうとも、決して中国式の枠組みを打破出来ないと考えたのである。

 そこで李登輝が提唱したのが「脱古改新」であった。

 これこそ、李登輝が台湾の民主化を進めるうえで念頭に置いた原則であった。

 実際、中国には、歴代王朝によって「易姓革命」というものが行われてきた。中国史を見れば、
武力によって王朝が倒され、次の新しい王朝にとって替わられることがたびたびあった。しかしそ
れは、天が地上を治めさせていた前王朝が徳を失ったがために、天が見切りをつけたことで現在の
王朝に交代させられたのだという理屈である。

 「易姓革命」が起きると、上から下まで、あらゆるものが新しい王朝に塗り替えられ、歴史さえ
も、後の王朝によって書き換えられることがままある。とはいえ王朝あるいは国家という点から見
れば、歴代の王朝もまた、前王朝の制度を引き継ぎ、皇帝が君臨するという枠組みが維持されて
いったにすぎないのである。

 このような中国式の制度がいつまでも維持されていては、国家というものを全く新しく生まれ変
わらせることは出来ない。李登輝の頭のなかには「台湾を中国とは別個の存在にする」という青写
真があったのだろう。それゆえに「古の制度は踏襲しない」と決意した。その答えが、国民が自分
たちで台湾の行く末を決める民主化であり、自分たちの指導者を多数決で決める総統直接選挙の実
現だったのである。

◆自由や民主主義は、天から与えられたものではない

 李登輝は、自分が指導者の立場を受け継いだ「中華民国」という組織を改革の出発点にしなかっ
た。従来の制度を踏襲していては、台湾はいつまでたっても単に中華民国を微調整したにすぎない
「改制」にとどまり、台湾化への抜本的な改革たる「改新」にはつながらないと考えたのだろう。

 今や台湾は、形式的にも実質的にも、中華人民共和国とは別個の存在であることは明らかだ。そ
して、台湾の有権者が、少なくともこの状態を維持していきたいという強い思いを持っていること
は、各種の世論調査からも見て取れる。「中国と統一したい」という回答をする有権者はほんの僅
かだからだ。

 台湾の民主主義や自由は、台湾が中国と別個の存在であるからこそ維持される。この民主台湾を
守り、深化させてきたのは台湾の人々の努力によるものだが、その基礎を築いたのは間違いなく李
登輝だ。李登輝があらゆる知恵を絞り、強い信念を持って推し進めたからこそ実現した台湾の民主
化なのだ。

 現在、与野党問わず、総統選挙の予備選が行われている。候補者も有権者もどうか、「台湾と中
国は別個の存在」という状態が、天から与えられたものだと誤解しないでいただきたい。努力し続
けなければ維持していくことは出来ない、と肝に銘じてほしい。

 それが、李登輝の存在なしでは実現しなかった、あるいは実現したとしてもまだ長い年月がか
かったであろう、台湾の民主主義を享受する人々の、李登輝へのオマージュとなるのではなかろうか。

              ◇     ◇     ◇

早川友久(はやかわ・ともひさ)

1977年(昭和52年)6月、栃木県足利市生まれ。現在、台湾・台北市在住。早稲田大学人間科学部
卒業後、金美齢事務所の秘書として活動。2008年に台湾大学法律系(法学部)へ留学。台湾大学在
学中に3度の李登輝訪日団スタッフとしてメディア対応や撮影スタッフを担当。2012年12月、李登
輝元総統の指名により李登輝総統事務所秘書に就任。共著に『誇りあれ、日本よ─李登輝・沖縄訪
問全記録』『日本人、台湾を拓く。』など。

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2>> 6月8日、本会千葉県支部が片倉佳史氏を講師に講演会「李登輝総統取材秘話」

 初夏の候、本年5月から「令和」となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 さて、来たる令和元年(2019年)6月8日(土)、日本李登輝友の会千葉県支部は第12期の定時総
会を開催後、恒例になりました台湾在住のジャーナリスト、片倉佳史さんの講演会を催します。

 今回の演題はズバリ「李登輝総統取材秘話〜その側面から学ぶもの」!

 我ら「日本李登輝友の会」会員なら、是非とも聞きたいこと満載間違いなし。奮ってご参加くだ
さいますようお願いいたします。

片倉さんからのメッセージ:

 私が過去に行なった4回のインタビュー、計約10時間の録音テープをもとにして、「学びとは何
か」という軸を設け、思想、人格形成過程、戦争体験、政治家への転換、後藤新平、八田與一など
を組み合わせてお話します。2012年刊行の『日台心と心の絆』はお読みいただいた方もおられると
思いますが、この本には書けなかったエピソードも交え、お話しをしたいと思います。

 https://kokucheese.com/event/index/568025/

 令和元年(2019年)5月吉日

                      日本李登輝友の会千葉県支部 支部長 嶋田敦子

                     記

・日 時:令和元年6月8日(土) 18時30分〜20時30分(開場18時00分)

・会 場:すみだ産業会館(丸井ビル)9階 第1・2会議室

     東京都墨田区江東橋3-9-10
     【交通】JR総武線錦糸町駅南口 徒歩2分 東京メトロ半蔵門線錦糸町駅 徒歩2分
    https://www.city.sumida.lg.jp/sisetu_info/syouhisya_recycle/sumida_sangyou.html

・参加費:2,000円 (学生1,000円)

・申込み:お名前、ご住所、連絡先(電話)、E-mailを書き添えてメールで。
     E-mail:yk-plan@ocn.ne.jp

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3>> 南太平洋にまで進出する中国へ豪が米国と連携して巻き返し外交  宮崎 正弘(ジャーナリスト)

【宮崎正弘の国際ニュース・早読み(通巻6099号):令和元年(2019)6月5日】

 日本訪問にひき続き、6月2日、トランプ大統領は英国に国賓として招かれ、エリザベス女王と会
談し、メイ首相と共同会見に応じた。

 日本での公式行事、とくに首脳会談、皇居における晩餐会に加えて安倍首相とのゴルフのことが
大きく報じられたが、訪日最終日に、横須賀基地で護衛艦「かが」へ乗船したことは大きく報じら
れなかった。

 その日、5月27日は「海軍記念日」である。米国が、わが海上自衛隊に「海軍」としてのお墨付
きを与えたと比喩すべきイベントである。「かが」は軽量級とはいえ、事実上の空母である。

 さて、日本では大きく報じられなかったが、重要なニュースがまだ幾つかある。

 トランプ大統領は6月1日、士官学校の卒業式に赴いて、軍人幹部候補生らを激励した。その卒業
生のなかに台湾からの交換軍人がいた。会場には中華民国の国旗が飾られていたのである。台湾重
視策がここでもあらわれていると見るべきではないか。

 豪では奇跡の再選を果たしたモリソン政権を「祝福」するかのように、中国海軍艦隊が、予告な
くシドニーを親善訪問した。

 これは豪に脅威を与える軍事的な示威行動なのか、シドニーは50万人のチャイナタウンをかかえ
ており、鉄鉱石などでは中国が最大のバイヤー、しかし、モリソン政権はトランプの要請を受けて
ファーウェイの排斥に乗り出している。やはり豪もファイブアイズのメンバーだけあって、米豪の
間には眼に見えない連携がある。

 6月4日、モリソン豪首相は突然、ソロモン諸島を訪問した。ソロモン諸島は台湾と外交関係を維
持する国であり、地政学的にも航路の要衝にある。

 モリソン首相はソロモン諸島に向こう5年間で188億円を支援すると打ち上げ、あからさまな中国
との対決姿勢をしめした。ファーウェイの進出が激しいソロモン諸島は、いまや豪ではなく、中国
との貿易がトップを占めるようになっている。

 モリソン政権は、ファーウェイ問題でトランプと同一軌道の外交を進めており、たとえばパプア
ニューギニアへの海底ケーブル・プロジェクトの入札でも中国を排除した。

 南太平洋地域で台湾と外交関係のある国々とはナウル、ツバル、キリバス、マーシャル群島、パ
ラオだ。

 もしソロモン諸島が北京に転べば、太平洋地域でもドミノが起こる危険性がある。2018年3月に
も蔡英文総統が外交関係の維持をはかるべくナウル、パラオを訪問したことは記憶に新しい。

▲南シナ海から南太平洋にまで進出する中国

 昨夏来、台湾と断交した国にはパナマ、ドミニカ、エルサルバドルがあるが、2007年に札束攻め
でコスタリカが中国に転んでからは中米でさえ、依然台湾と外交関係を保つのはニカラグア、ベ
リーズ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラスとなった。

 トランプ政権は、台湾重視政策を増強させており、台湾と断交したパナマ、エルサルバドル、ド
ミニカから大使を召還する措置をとった。

 こうした状況下、シンガポールで恒例「シャングリラ対話」が行われ、米国からはシャナハン国
防長官代行、中国からは魏鳳和・国防大臣が出席した。この席で米中両国は角突き合わせる火花を
散らした。

 米国防長官代行のシャナハンは「南シナ海から南太平洋にかけての軍事的プレセンスは近隣諸国
に脅威となっている。すみやかに引き揚げ平和を回復すべきだ」

 対して魏鳳和は「われわれは世界一の軍事ヘゲモニーで米国の立場にとって替わる意思もない
が、そちらが望むのなら最後までつきあう。台湾が独立を言うのなら軍事的行動を辞さない。また
天安門事件は正当な処置であり、ファーウェイは軍事組織とは無縁である」などと言いたい放題
だった。

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*沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、宅配便の都合により、恐縮ですが1件につき
 1,000円(税込)を別途ご負担いただきます。【2014年11月14日】

*本会でご案内してきた台湾の高級調味料XO醤は、このほど台湾メーカーの都合により日本へ出
 荷できなくなったことが判明しました。今後も入荷できない状況となりましたのでご案内を取り
 止めます。ご了承のほどお願いします。【2019年4月16日】

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・片倉佳史先生講演録「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」(2013年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
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