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【メルマガ日台共栄:第3477号】 日本がもっと活用すべき李登輝の「二国論」 早川 友久(李登輝元総統秘書)

2019/05/18

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1>> 日本がもっと活用すべき李登輝の「二国論」 早川 友久(李登輝元総統秘書)
2>> グラント・ニューシャム氏が自衛隊と第7艦隊の海上演習に台湾を招請せよと提言
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1>> 日本がもっと活用すべき李登輝の「二国論」 早川 友久(李登輝元総統秘書)

【WEDGE infinity:2019年5月10日】

 1999年7月、李登輝は台湾を中華人民共和国からも、中華民国からも引き離す決断をした。いわ
ゆる「二国論」発言である。

 1991年に「動員戡乱時期臨時条款」の撤廃を進め、中華人民共和国と、台湾を統治する中華民国
の「内戦状態」は終了した、と宣言した。これによっていわば、中華民国が「いつかは中国大陸を
奪還する」ことを目的に掲げた「大陸反攻」政策は終わりを告げ、国力を台湾の発展に使うことが
出来るようになった。

 一方、中華人民共和国は相変わらず台湾を「中華人民共和国の領土」として主張し続けていた。
1997年には香港が英国から返還されたことで、いよいよ「次は台湾」の気運さえ立ち上っていた。

 そうした状況のもと、李登輝の頭の中には、もちろん中華人民共和国でもなく、目下統治してい
る中華民国ともまた異なる、台湾として歩みを進めていこうという青写真があった。

 この構図は非常に複雑で、台湾を応援したいとする日本の人々のなかでも誤解している場合があ
るので改めて整理してみたい。

◆国名がどうであれ、台湾は台湾

 第二次世界大戦が終わり、台湾は日本の統治下を離れた。日本がアメリカの占領統治を受けたよ
うに、台湾は中華民国による占領統治を受けていた。その一方で、中華民国の国民党は中国大陸に
おいて中国共産党と、どちらが正統に中国を代表するかを争う「国共内戦」を戦っていた。

 結果、中華民国は敗れ、文字通り国ぐるみで台湾へと逃れてきた。中国共産党が中国大陸を有効
に統治することとなり、1949年には正式に中華人民共和国の建国が宣言されたのである。

 しかし、中華民国は「いつかは中国大陸を取り戻す」という姿勢を崩さなかった。そのため、内
戦中から敷かれていた「動員戡乱時期臨時条款」を台湾に移転したあとも引き続き施行し、国家の
資源を「大陸反攻」へ注ぎ続けたのである。

 この「動員戡乱時期臨時条款」に終止符を打ち、両岸が置かれた状況を変えようとしたのが李登
輝だった。簡単に言えば、中華人民共和国であれ中華民国であれ、中国大陸との繋がりを捨て去
り、台湾だけでやっていくことに決めたのが李登輝なのである。

 「このままでは台湾はその存在を失ってしまう。遅かれ早かれ中国に飲み込まれてしまうだろ
う」と李登輝が危機感を持ったのには理由があった。1997年に香港が返還され、同年には主要な国
交締結国であった南アフリカまで失った。これによって台湾の国際社会における生存空間はますま
す狭まり、中国は台湾統一工作を加速させていたことから、李登輝としてはどうにかして台湾の存
在を維持する方法を模索していた。

 その頃の李登輝の頭のなかはこうだ。

「台湾は戦後長らく、(台湾を統治する)中華民国と中華人民共和国が内戦中という前提だったた
めに国力をそがれてきた。しかしもはや台湾は対岸の中華人民共和国とは何ら関係ない。台湾はも
ちろん中華人民共和国の一部でもないし、中華民国の『一省』でさえない。これからは「台湾は台
湾である。そう言い切るのが難しいのであれば、『中華民国は台湾にあり』と言い換えても良い。
とにかく、国名がどうであれ台湾は中国大陸とは切り離してやっていくんだ」ということだった。
だからこそ、それまで存在した「台湾省」を凍結し、自らも経験した省主席のポストも廃止したのだ。

◆李登輝が「二国論」を発した背景

 そんな折、海外メディアからのインタビュー依頼が舞い込んだ。

 李登輝に聞くと、当初は通常の、何ら特別ではないドイツの放送局によるインタビューの予定
だったという。ところが、前もって提出された質問内容と、それに対して政府新聞局(当時)が作
成した想定問答を目にした李登輝は驚きとともに怒り心頭に発した。要は、台湾があたかも「中華
民国の一省」である、という立場による回答だったからである。

 ただ、李登輝はこれを千載一遇の好機として利用することにした。事前提出された質問内容に
は、李登輝が進める民主化や、中国に返還された香港を念頭に、「現実的に、台湾にとって独立宣
言はハードルが高く、香港のような『一国二制度』を受け入れるのも難しい。ではその折衷案はあ
るのか」という問いがあった。

 政府の新聞局が作成した想定問答は、これまで李登輝が進めてきた政策を真っ向から否定するよ
うなものだったため、李登輝は自ら鉛筆をとって想定問答を作ることにした。そして同時に、台湾
はもはやこれまでのような「中華民国の一省」という立場ではなく、もちろん中国大陸とも何ら関
係がない、ということを国際社会に向けて発信するまたとない機会として利用することにしたのだ。

 そうして李登輝の口から発せられたのが、中国と台湾は「少なくとも特殊な国と国との関係であ
る」という「二国論」であった。非常に微妙な、「少なくとも特殊な」という言い回しに、李登輝
が脳みそを振り絞って導き出した苦労が見て取れる。

 この「二国論」発言から今年でちょうど20年になるが、台湾を考えるうえでこの発言の内容は大
いに参考になる。李登輝自身が台湾あるいは中華民国の地位をどのように捉え、どういった方向に
導こうとしたかは、台湾が歩んできた歴史そのものと重なる部分が大きいからだ。

 日本では「少なくとも特殊な国と国との関係」という一句だけが有名で、他の部分はあまり知ら
れていないこともあるので、もう少し内容を紹介してみたい。

◆日本が利用すべき「二国論」のレトリック

 「1949年に建国された中華人民共和国は、未だかつて中華民国が支配する台湾本島、澎湖諸島、
金門島、馬祖島を統治したことはない。我々中華民国は1991年の憲法改正により、その統治の効力
が及ぶ地域を台湾に限定することとした。同時に、中華人民共和国が合法的に中国大陸を統治して
いることを認めたのである。

 さらには、立法院および国民大会の民意代表は、台湾の有権者からのみ選出することにした。つ
まり、人民を代表し、国家を統治する権力の正当性は、台湾の有権者によって授権されたもので
あって、中華人民共和国とは全く関係のないものなのだ。

 1991年の憲法改正以来、両岸の関係は、国家と国家の関係に位置づけられた。少なくとも特殊な
国と国との関係である。決して一方が合法的な政府で、もう一方が反乱団体だとか、あるいは中央
政府と一地方政府という『ひとつの中国』を前提とした内部の関係でもない(後略)」とした。

 この質疑に加えて、より重要なのは、「それゆえに、台湾は改めて独立宣言をする必要はない」
としたことだ。すでに台湾は実質的には国家として独立しているのだから、今さら独立宣言をする
必要はない、という論法である。こうした姿勢は、現在に至るまで、暗黙のうちに台湾が堅持して
きたようにも思える。

 つまりこの「実質的な独立」をいかに維持していくかが、中国との距離を置くうえで重要である
し、日米が警戒する「一方的な現状変更」を脅かすものでもない。繰り返しになるが、台湾が中国
とは別個の存在として、実質的に独立していることは、日本にとっても大きな意義を持つ。

 大切なのは、台湾と価値観を共有する日本をはじめとする民主国家が、台湾に対して「外交関係
がないから」といって二の足を踏むのではなく、「実質的に独立した」台湾といかにして実務的な
関係を築けるかに知恵を絞ることではあるまいか。

 李登輝が、文字通り知恵を絞ってひねり出した「特殊な国と国との関係」というレトリックを、
日本は大いに利用してよりいっそう日台関係の強化を図るべきである。

 ちなみに、この「特殊な」という文言は、国際法で使われるラテン語の用語の日本語訳というこ
とだが、李登輝によると「当時、日米台で、持ち回りで行っていた明徳プロジェクトという政府間
の秘密会議があった。水面下でいろんな情報交換をしていたんだ。そこに出席していた日本の外交
官の発言からヒントをもらって、この『特殊な』という文言を思いついたんだ」ということである。

              ◇     ◇     ◇

早川友久(はやかわ・ともひさ)
1977年(昭和52年)6月、栃木県足利市生まれ。現在、台湾・台北市在住。早稲田大学人間科学部
卒業後、金美齢事務所の秘書として活動。2008年に台湾大学法律系(法学部)へ留学。台湾大学在
学中に3度の李登輝訪日団スタッフとしてメディア対応や撮影スタッフを担当。2012年12月、李登
輝元総統の指名により李登輝総統事務所秘書に就任。共著に『誇りあれ、日本よ─李登輝・沖縄訪
問全記録』『日本人、台湾を拓く。』など。

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2>> グラント・ニューシャム氏が自衛隊と第7艦隊の海上演習に台湾を招請せよと提言

 米国ではトランプ政権になって以降、台湾との関係強化を図る「台湾旅行法」(2018年3月)や
「アジア再保証イニシアチブ法」(2018年12月)などが次々と制定され、今年に入ってからも、連
邦議会は4月30日に上院、5月7日には下院も全会一致で「台湾に対する米国のコミットメントと台
湾関係法の実施を再確認する決議案」を可決している。

 連邦議会諮問機関の「米中経済安全保障調査委員会」が2017年11月15日に発表した年次報告書で
は、米国が主導する軍事演習リムパック(環太平洋合同演習 Rim of the Pacific Exercise)に
台湾を招待すべきと提言し、空軍軍事演習の「レッドフラッグ」やサイバー攻撃に対する国際演習
「サイバーストーム」に台湾を招待すべきとも提言している。

 このような台湾との関係強化を図る米国内の動きは、当然ながら日本との関係にも及び、大紀元
紙は、元米海兵隊大佐のグラント・ニューシャム氏が「先週、米誌『ナショナル・インタレスト』
のウェブサイトで記事を発表し、台湾海軍が、日本の自衛隊と米国で最大規模の海軍艦隊・第7艦
隊(司令部・横須賀)が毎年開催する2国間海上演習に参加するよう提案した」と報じている。

 ニューシャム氏は「日本は日米台共同訓練を躊躇するかもしれないが、日本当局は、台湾の防衛
が日本の防衛に繋がると、はっきり理解しているはずだ」とも述べているという。台湾防衛が日本
の防衛と直結していることは、他言を要しまい。下記にその記事を紹介したい。

 ニューシャム氏は、日米台関係研究所(渡辺利夫理事長)が5月29日に開催する国際シンポジウ
ム「日米台安全保障協力の方向性─台湾有事に備えた日米台の連携」の米国のパネリストの一人と
して来日する。

 下記に、ニューシャム氏のプロフィールとともに国際シンポジウムの内容を紹介するホームペー
ジも併せて紹介したい。

 ちなみに本会は昨年3月、「政策提言」として「台湾を日米主催の海洋安全保障訓練に参加させ
よ」を発表した。

 これは「台湾の防衛力強化をサポートし、台湾が西太平洋地域、そして世界の安全保障のために
貢献できる機会を拡大するとともに、中国による国際社会における台湾孤立化の企図を抑制するた
め、日本は米国と共催の海洋安全保障訓練に台湾を招くよう米国に働きかけることを提案」する内
容で、米国と日本は「ウェスト・リムパック」(環西太平洋合同演習)を共催し、人道支援・災害
救難など地域における地域海洋安全保障訓練に、参加不可欠の地域メンバーとして台湾を招聘した
らどうかという提言だ。
 
◆日米台関係研究所:国際シンポジウム「日米台安全保障協力の方向性」
 http://just-j.tokyo/

◆台湾を日米主催の海洋安全保障訓練に参加させよ 日本李登輝友の会「2018政策提言」
 http://www.ritouki.jp/index.php/info/20180423/

◆グラント F・ニューシャム(Grant F. Newsham)
 1956年、米国バージニア州生れ。プリンシピア大学を卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス
 校法科大学院修了。米大平洋海兵隊予備役作戦参謀及び情報参謀、駐日米国大使館海兵隊武官を
 歴任。また、米大平洋海兵隊の陸上自衛隊との連絡官を務める。文民の経歴として金融機関所
 長、米国務省職員、コロンビア特別区弁護士会国際貿易委員会共同議長。世界経済フォーラムの
 組織犯罪に関するグローバルアジェンダ評議会メンバー。30年以上に亘り防衛、ビジネス危機等
 に関し定期的に発言する傍ら、論文執筆、講演活動を行う。

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日台関係の強化を提唱「台湾防衛は日本防衛に」=専門家
【大紀元:2019年5月17日】

 台湾周辺での中国の軍事活動の増加に対応して、米国は台湾関係の強化を行っている。東アジア
地域の安定を脅かす中国の軍事活動を抑制するため、米国の台湾対応は重要となる。日本問題の専
門家は、日本も台湾と関係の強化を行うよう提唱している。

 米国下院で7日、台湾を支持し、台湾の防衛費増額を求める内容の「2019年台湾保証法案」が全
会一致で可決した。また、米両院は4月、「台湾に対する米国のコミットメントの再確認と台湾関
係法を実施する」法案を可決した。米議会の積極的な行動は、中国や日本のほかアジア周辺国に
も、米国が台湾に対して関わっていくとの態度を強調した。

 読売新聞は5月16日の社説で、「台湾海峡の不安定化は、日本にも悪影響を及ぼす。日本は米国
と連携し、経済や人的交流を通じて台湾との協力を深化させたい」と書いた。

 日本のシンクタンク・日本戦略研究フォーラムの上級研究員グラント・ニューシャム氏は先週、
米誌「ナショナル・インタレスト」のウェブサイトで記事を発表し、台湾海軍が、日本の自衛隊と
米国で最大規模の海軍艦隊・第7艦隊(司令部・横須賀)が毎年開催する2国間海上演習に参加する
よう提案した。

 ニューシャム氏は、台湾軍が日米共同訓練に参加することに期待し、「もし北京が尖閣諸島や台
湾へ短期的な攻撃を決めても、台湾海軍は座視するわけにはいかない」と述べた。

 米海兵隊退役高官であるニューシャム氏は、日本は日米台共同訓練を躊躇するかもしれないが、
日本当局は、台湾の防衛が日本の防衛に繋がると、はっきり理解しているはずだ、と述べた。

                                 (翻訳編集・佐渡道世)

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・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)

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