国際情勢

メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や、他では知りえない台湾情報などを、日本李登輝友の会の活動とともに配信するメールマガジン。

全て表示する >

【メルマガ日台共栄:第3458号】 テリー・ゴウ、シャープの次は台湾総統へ「野心」の衝撃  野嶋 剛(ジャーナリスト)

2019/04/21

>>>>> http://www.ritouki.jp/ ━━━━━━━━━━ 平成31年(2019年) 4月20日】

   ☆★☆★ 日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」 ☆★☆★
           日台共栄のためにあなたの力を!!
<<INDEX>> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  [Vol.3458]
1>> テリー・ゴウ、シャープの次は台湾総統へ「野心」の衝撃  野嶋 剛(ジャーナリスト)
2>> エースの出馬表明で大混乱の民進党、日台関係への影響は?  早川 友久(李登輝元総統秘書)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

● 【戸籍問題】 本会のネット署名にご協力を!【第18期:3月1日〜12月31日】
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/a5gxiadcmygj
 *署名に国籍制限はありません。誰でも、世界中どこからでも署名できます。
 *本会署名は、氏名及び住所の記載を要請する請願法に基づいた正式署名です。
 *詳細は本会HP ⇒ http://www.ritouki.jp/index.php/recommendations/koseki/

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1>> テリー・ゴウ、シャープの次は台湾総統へ「野心」の衝撃  野嶋 剛(ジャーナリスト)

【WEDGE infinity「野嶋剛が読み解くアジア最新事情」:2019年4月19日】
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15985

 台湾政治はまるで韓流ドラマのように展開が速い。しかし、それもいささか行き過ぎではないか
と思えるほど、今回は途方に暮れてしまった。それはもちろん、巨大企業ホンハイの創業者である
テリー・ゴウ(郭台銘)が、台湾総統への野心をあらわにし、野党国民党から台湾総統選に立候補
することを表明したからだ。これまでの選挙構図を一変させる衝撃が台湾に広がり、その波紋は世
界にも及んだ。

 なんといってもホンハイは日本のシャープも買収した実績を持ち、2018年のグループ売上高は19
兆円に達する超巨大企業。企業トップの政治指導者としては米国のトランプ大統領が思い浮かぶ
が、企業人としての実績はテリー・ゴウがはるかに上である。

◆貧しい少年時代を支えてくれた媽祖様の「お告げ」

 テリー・ゴウは17日、台湾・板橋にある道教の廟・慈恵宮を朝11時に訪れた。その理由は、総統
選への出馬の最終意思を固めるためだった。慈恵宮はテリー・ゴウにとって特別な意味のある場所
だ。かつて、貧しい少年時代を送ったテリー・ゴウの一家は、住む家がなく、この慈恵宮の一角を
間借りして暮らしていたからだ。大学にも行けず、叩き上げでホンハイを立ち上げ、世界企業にま
で成長させたテリー・ゴウにとって、航海の安全を願う神である媽祖を祀っている慈恵宮は、昔も
いまも、彼の原点である。

 テリー・ゴウは集まった記者団にこう語った。

「今日は特別に媽祖様にお伺いを立てにきました。20年後の台湾を考えれば、2020年の選挙はとて
も重要であり、私が出馬すべきかどうか。実は、媽祖様は数日前、夢で私に掲示を与えてくださっ
た。媽祖は夢に託して出馬を求めてきた。私は彼女の命ずるところに従う」

 ドラマチックな出馬表明はもちろん派手なパフォーマンスを好むテリー・ゴウの演出であろう。
しかし、その衝撃は本物だ。これまで、2020年の総統選をめぐっては、民進党が現職総統の蔡英文
と元行政院長の頼清徳の一騎打ちになっており、国民党は、元新北市長の朱立倫、元立法院長の王
金平、そして先の統一地方選で韓流人気を巻き起こして一躍政治スターとなった現高雄市長の韓国
瑜らが争う混戦状態。両党で、4月から5月にかけて、激しい争いと駆け引きが展開されることが確
実視されていた。

 しかしながら、このテリー・ゴウの出馬によって、選挙情勢は大きく変貌するだろう。その具体
的な流れはまだ読みきれないところもあるが、同じカリスマ的な候補者として有力視されていた韓
国瑜はテリー・ゴウと支持層が被ってくる可能性が高く、出馬の見通しは大きく下がったと台湾メ
ディアは報じている。最新の世論調査の結果はまだ出ていないが、朱立倫、王金平は人気では到
底、テリー・ゴウにかなわないだろう。

 もともと統一地方選の大敗の前から、民進党の蔡英文総統の支持率は低迷しており、復活の兆し
はなかなか見えてこない。立候補を表明した頼清徳との内紛に近い権力闘争が起きている。ますま
す民進党の復活は厳しい。そうなると、いま最も総統の座に近いのはテリー・ゴウということにな
る。もちろん台湾政治は、一寸先は闇。そう簡単に行くとも思えないが、いまのところ、テリー・
ゴウ立候補の知らせで、台湾のムードは一変してしまった。これから5月にかけて国民党の党内選
挙が行われる見通しだ。

 テリー・ゴウの出馬の背後には、現主席の呉敦義、馬英九前総統、副主席の郝龍斌らが一致して
画策した、という情報もある。彼らは前馬英九政権で党運営の主導権を握っていたが、現在の総統
候補レースでは呉敦義や馬英九は人気が伸びておらず、妥協案としてテリー・ゴウという神輿を担
ぐことで権力確保を狙ったとしても不思議ではない。

 テリー・ゴウは、日本では間違いなく、最も有名な台湾の経営者である。その彼が出馬するとい
うのだから、日本では当然、大きなニュースになった。なにしろ、日本のナショナルブランドで
あったシャープを買収し、一時は東芝の半導体部門も買い取るという話になったこともあった。そ
のたびに日本での知名度はうなぎのぼりに上昇している。

 今回、テリー・ゴウの出馬表明に対し、通常は海外で野党の総統選候補に立候補したニュースで
はありえない「速報」を日本メディアが流したことも当然といえる。

◆2年前に、私が出馬を予想していたワケ

 私の電話やメールには、昨日から、シンクタンクやメディア、日本政府の関係者から連絡が相次
いで入っている。過去、日本各地で台湾政治について講演したり、記事を書いたりするにあたり、
テリー・ゴウが国民党の切り札になる可能性を指摘してきたこともあるだろう。その私でも、今回
の出馬表明は意外であった。というのも、九合一選挙のあと、韓国瑜という新しい国民党の政治ス
ターの登場によって、テリー・ゴウへの注目度は低下していたからだ。どんな理由でテリー・ゴウ
が最終的に立候補を決めたのか、その内心や政治的な背景を読み解くことは現時点ではなかなか容
易ではない。

 ただ、私は、テリー・ゴウが出馬を表明した台湾のテレビを日本で見ながら、NewsPicksという
メディアに「郭台銘が台湾総統になる日」という原稿を2017年6月6日に発表したときのことを思
い出していた。

 そこで私は、郭台銘が台湾総統になるかもしれない理由について、こんな分析をしている。

<台湾で生まれ育って企業人として頂点を極めた野心家にとって、次のステップが政治の世界であ
るというのは、あながち、ありえない話ではない。台湾では日本同様、過去にビジネス出身者が政
治のトップになったケースはない。しかし、同じ東アジアの韓国では前々任の李明博大統領がお
り、米国のトランプ大統領の勝利は誰もが思い浮かべるケースだろう。加えて、プーチン、習近
平、トランプ、ドゥテルテなど、個性的で強気なキャラクターが世界政治の枢要を占めつつあるな
か、何かとその派手な言動で注目を集めてきた郭台銘もそうした条件にあてはまる。台北市長の柯
文哲など「素人政治家」が選挙民に好まれる傾向はすでに台湾にも及んでいる>

 いま読み返してみても、それなりに的を射ているような気もする。20兆円近い規模の大企業帝国
を作り上げた男にとってさらなるチャレンジは政治における総統のポストしかないのであろう。そ
して、次にこう書いた。

「素人政治家でユニークなキャラクター、ビジネス出身で強いリーダーシップといった現在の世界
の政治トレンドに、テリー・ゴウという人物が合致していることは確かだ」

 テリー・ゴウは、総統選の候補となった場合、そのリーダーシップを全面に打ち出して選挙戦を
戦うであろう。いま世界はかつてない未来の見えない不安定な時代に入ろうとしている。どの国で
も、少々強引でも、決断力や発信力に定評のある強いリーダーを求める傾向が強まっている。米国
のトランプしかり、ロシアのプーチンしかり、日本の安倍晋三しかりだ。

 蔡英文総統の人気不足も一言で言ってしまえばリーダーシップの欠如に起因していると言わざる
を得ない。テリー・ゴウのリーダーシップは独裁といっても過言ではないほどだが、その点は保証
つきである。

◆テリー・ゴウこそ、中国政府の「意中の人物」?

 日本では、テリー・ゴウの出馬に対して、特に経済面で日本への影響が想定されるため、強い関
心を示していくだろう。産経新聞は「ホンハイ傘下で再建を進めてきたシャープにも影響が及ぶの
は必至の情勢だ。テリー・ゴウはホンハイを一代で巨大企業に成長させたカリスマ経営者で、
シャープの経営にも影響力を持つだけに、退任となれば足元の業績が揺らぐシャープにとって、さ
らなる波乱要因になりかねない」とさっそく書いている。

 実はテリー・ゴウは今月9日に東京を訪れたばかりだった。東京の営業拠点でシャープの戴正?
会長と共に、8Kの映像技術や折りたたみディスプレイの試作品などを、来日中だった中国・広東
省の幹部らにアピールしたばかりだった。

 シャープは、ホンハイの支援のもとで順調に経営再建を進めていたが、中国経済の減速とともに
一時の勢いに陰りが出ているだけに、郭台銘の出馬は、シャープにとってプラスに働かないのでは
ないかという心配が広がった。産経新聞では経済アナリストが「ホンハイは郭氏の経営力で成り
立っていた企業であり、それが抜けるのは大きな問題だ」と指摘している。

 当然、中国でいくつも巨大工場を有するホンハイグループのトップであるテリー・ゴウは中国政
府との密接な関係で知られている。そのテリー・ゴウこそが中国政府の「意中の人物」であるとい
う見方も出ている。一方、テリー・ゴウは米トランプ大統領の故郷に巨大投資を行っているなど、
トランプ大統領との親しい関係も報じられている。もちろん日本ではシャープの買収、東芝の半導
体事業への出資などをめぐってすでに知名度は高い。世界的経営者としては、ソフトバンクグルー
プ会長の孫正義に匹敵するかそれ以上の存在感を持つテリー・ゴウがもしも順調に国民党の総統候
補に選ばれた場合、いまから8ヶ月後の台湾総統選までに、どのようなパフォーマンスと政策を見
せてくれるのか、世界と台湾は期待と不安の入り混ざった眼差しで注視することになるだろう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2>> エースの出馬表明で大混乱の民進党、日台関係への影響は?  早川 友久(李登輝 元総統秘書)

【WEDGE infinity「日本人秘書が明かす李登輝元総統の知られざる素顔」:2019年4月12日】
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15898

 台湾が来年の総統選挙に向け、早くも政治の季節を迎えているが、与党民進党の内部が大混乱に
陥っている。

 もともと民進党は党公認の候補者を4月17日に正式決定する予定だったが、なんと4月10日に開か
れた党中央執行委員会で「党公認の総統候補は、立法委員(国会議員に相当)の候補者を決めた後
の5月22日以降に正式決定する」と発表したのだ。

 これまで「候補者決定は一週間延期か」と憶測が報じられるなどしていたが、結果的に1ヶ月以
上延期という衝撃的なニュースとなり、党内部の混乱を露呈することになった。

 本来であれば、李登輝が直面した「3つの危機」というテーマで、3回にわたってお読みいただく
予定だったが、ここへ来て、民進党の公認候補者選びに際し、蔡英文総統のなりふり構わない姿勢
によって党内が大混乱になっている状況が露呈してきたことから、急遽テーマを変更して書いた次
第だ。

◆エースの出馬表明が民進党内に与えた衝撃

 台湾では、2000年に国民党から民進党へと、史上初の政権交代が実現して以来、就任した3人の
総統はそれぞれ憲法で規定されている2期までを全うしてきた。

 そうした前例に鑑みれば、現職総統の蔡英文が次の総統選挙にも出馬する意欲を持つのは当然だ
ろうし、事実、今年2月に行われたCNNのインタビューにも「現職の総統が国家のためにより多
くのことをしたいと考えるのは自然だ」と再選への意欲をにじませる発言をしている。

 ところが、3月に頼清徳・前行政院長が総統選への出馬宣言をしたことで状況は一変する。頼氏
は現在59歳で医師出身。もともとは台湾北部(現在の新北市万里区)の生まれだが、台南の医学部
で学んだのが縁となり、台南に根を下ろして政界入り。市長在任中は、災害対応の手腕や市民の満
足度調査の高さからネット上では「頼神」とも呼ばれる民進党のエースである。

 端正な顔立ちや、台南市長時代の市政への評価はもとより、「私は台湾独立派だ」と立法院での
答弁で明言するなど、自身の政治姿勢や主張を明確にする態度が概ね好感を持って迎えられている
ことから、国民的人気の高い政治家と言っても過言ではない。

 民進党を支持する有権者の声を聞くと、来年の総統選挙には蔡英文が出馬して二期目を全うし、
その次に頼氏、という見方や期待を耳にすることが多かった。

 しかし、蔡政権の支持率があまりにも低迷していることや、両岸問題を含め、国際社会における
台湾が持つ問題点を蔡英文が一向に打開できないことなどから、このままでは政権を手放すことに
なりかねないという危機感が頼氏に出馬を決断させたといわれている。

 党の「エース」参戦により、党内は大混乱に陥った。単純にいえば、再選を目指したい蔡英文
と、このままでは政権を手放すどころか民進党の凋落に繋がると危機感を募らせた頼清徳の一騎打
ちの様相を呈してしまったわけである。

 そこで党執行部は頼氏に対し「蔡英文・総統候補、頼清徳・副総統候補」で選挙戦を戦うことを
提案した。それこそが党の安定と利益にもなるし、ひいては総統選の勝利を大きく引き寄せる唯一
の手段だ、などと翻意を促したようだが、頼氏はそれを蹴ったと報じられている。頼氏としても時
機を見極めたうえ、党を分裂させるとの批判覚悟で出馬しただけに、そうやすやすと翻意できない
のは当然であろう。

◆「合理的な理由なき延期」に対する批判

 そんな混乱のなか、民進党として党公認の候補者を決める時期が近づいてくる。

 ここでまた問題になるのがその決定方式だ。民進党では、党公認の総統候補に立候補した人物が
複数の場合には、党内で当事者を含めた調整を行うが、それでも決定しなかった場合には「世論調
査の結果のみ」によって最終決定するとしている。

 これは文字通り、選挙民とともに歩んできた民進党ならではのポリシーであろう。その前に党内
調整があるとはいえ、最終的な世論調査結果だけで候補者を決定するプロセスは、情実が入りよう
のない仕組みが一応は担保されてきたということだ。

 ところが、世論調査の結果を見ると、蔡英文と頼清徳の差は一目瞭然だ。大手テレビ局やシンク
タンクが3月に行った世論調査では、民進党の候補者が蔡英文の場合、国民党から誰が出てもほぼ
勝ち目がない、という結果が出ていた(唯一勝利したのが呉敦義・国民党主席だったが、呉主席は
奇しくも同じ4月10日、党の執行役員会で「出馬しない」と明言した)。

 このままでは、ほぼ自動的に民進党の公認候補は頼清徳になってしまう。そう焦った蔡英文側
が、なんとか時間を稼いで頼氏の説得を試みようとしての延期であり、それは傍から見ればなりふ
り構わない姿勢とも見てとれる。こうした姿勢に対しては、党内外からも「合理的な理由なしに延
期するのはおかしい」と非難される始末だ。

 実際、頼氏は「延期にはとうてい賛成できない」としながらも「党公認の総統候補になるべく初
志貫徹する」と、改めて明言するとともに、「オープンで公正な方式で候補者を選定する仕組み
は、民進党の誇りだったはずだ」と執行部を批判しており、蔡英文と頼清徳の溝はますます深まる
気配を見せている。

◆「道連れになってはかなわない」という声

 そもそも、蔡英文政権の凋落を決定づけたのが昨年11月の統一地方選挙だった。それまで蔡総統
自身の不人気、不評は確かに存在した。世論調査を見れば、蔡英文政権発足直後に6割前後あった
支持率が、3割近くに低迷していたこともそれを物語っていた。そして、有権者たちは統一地方選
挙の場において、より明確に、蔡英文総統あるいは民進党政権に不信任という判断を下したのである。

 結果的に、昨年11月の統一地方選挙では、与党民進党が国民党に大惨敗を喫し、勢力図が大きく
塗り替えられた。大敗の責任をとって蔡総統は党主席を辞任している。

 振り返れば、前回の2014年の選挙では、台湾本島の大部分の自治体で民進党籍の首長が誕生し、
続く2016年の総統選も蔡英文候補が制した。

 前任の馬英九政権末期に起きた「ひまわり学生運動」という追い風があったとはいえ、民進党に
とっては、史上初めて総統も、立法院(国会に相当)の過半数も有することになり、様々な法案を
優位に通せることから有権者も大きな期待を寄せた。

 日本政府も、もちろん政府としては公式に明言できないものの、民進党政権になってより一層、
日台関係が前進するものと期待したに違いない。

 そうした、「満を持して」発足した蔡政権だったが、この3年間の執政に対して、選挙民が表明
する世論調査の数字は、各社どれも30数%とふるわず、ここ最近では不人気や期待外れといった評
価が定着しつつあったのである。

 とはいえ、そうした地方選での敗北や支持率低迷があっても、現職の蔡総統がまだ一期目であ
り、自身も再選に意欲を持つ発言をしていることから、このまま蔡候補で再選を目指すという空気
が党内でも「なんとなく」出来つつあったところへの頼氏出馬だったわけだが、客観的に考えれ
ば、頼氏の出馬にはうなずけるところもある。

 党内が、これまでは漠然と、表面上は蔡候補で選挙戦を戦うという方向に傾いていたとはいえ、
統一地方選大敗で引責辞任した蔡氏の後任として党内選挙で選ばれた主席(卓栄泰氏)が蔡氏支持
派というだけで、実際のところ蔡氏の支持率が30パーセント前後という不人気なことに変わりはない。

 来年1月には、総統選挙と同時に立法委員(国会議員に相当)の選挙も行われるため、蔡氏の道
連れになってはかなわないという声が党内から漏れ出てくるのは自然のなりゆきであろう。

◆「日台関係」への影響は?

 候補者決定が1ヶ月以上延期されたが、このまま党内調整がつかず、世論調査の結果で候補者を
選ぶことになれば、現時点では頼氏が候補者となる可能性が大であろう。

 台湾政治は日本以上に「一寸先は闇」の世界ではあるものの、頼候補という前提に立てば、それ
は日本にとっても非常に重要な問題だ。

 蔡総統は当初、多くの期待を持って迎えられた。それまでの国民党政権に比べても親日派という
フレコミで、日台関係がいっそう良くなると、多くの日本人が期待したのだ。

 確かに尖閣諸島の領有権問題や慰安婦問題で揺れた国民党政権と比べて期待した日本人も多かっ
ただろう。

 とはいえ、この3年間で蔡総統が日台間で結んだ実利的な取り決めの成果は乏しい。密輸防止や
特許に関する協定の締結など数個に限られる。むしろ「反日」と言われた馬英九政権時代のほうが
「日台関係が進展した」と評価する声を日本の外務省関係者から耳にしたこともある。

 確かに馬英九政権下で日台が結んだ協定は、長年懸案とされた投資や租税、漁業に関するものを
含めて実に20項目以上。個別の項目だけを見るとバラバラだが、それらを合わせるとほぼFTA(自
由貿易協定)を締結したに等しい水準だという。地理的にも経済的にも密接な日台関係において、
個別の協定を「積み木のように」重ねていくことによって、国交がある国家どうしのレベルに限り
なく近づけるという、外交関係者が知恵を絞った結果である。

 そして、特に日本との関係において、蔡総統の能力に大きな疑問符をつけたのが福島県および近
隣5県の食品禁輸問題だった。

 福島第一原発の事故から8年。諸外国は産地証明書添付などの条件付きや、一部品目のみを禁輸
とするなど解除の方向に向かっているが、台湾だけが一律に食品の禁輸措置を続けているのだ(酒
類を除く)。

 台湾だけが、政府による明確な根拠の説明のないまま禁輸措置を続けていることに対し、日本側
からも不満の声が漏れ聞こえてくる。確かに禁輸措置の発端となった事故の責任は日本側にあるの
はもちろんだが、とはいえ、科学的に安全性が検証された食品さえ禁輸措置が解かれないことに対
する不満だ。

 確かに蔡総統はリーダーシップを発揮してグイグイ引っ張っていくタイプではない。しかし、少
数意見を重んじると言えば聞こえは良いが、別の見方をすれば批判を恐れるあまり決断ができな
い、指導力に欠ける、という指摘も多い。李登輝元総統が2016年11月に産経新聞紙上で「蔡英文は
勇気がない、決断力がない」と苦言を呈したこともそれを物語っている。

 この食品禁輸措置の解除について言えば「民の声を聞く」として公聴会を開いたところ、それを
野党に逆手に取られ、紛糾し収拾がつかなくなってしまった。

 あまつさえ、昨秋の統一地方選と同時に行われた公民投票では「禁輸措置を解除するか」という
議題が反対多数で否決されてしまった。日本政府の関係者からは、自分で決められないから有権者
に聞く、という姿勢ならばそもそも政治家は必要ないではないか、という恨み節も聞こえてくる。

 その一方で、頼氏の姿勢はどうか。

 対日関係においては、台南市長在任中は、台湾の農業に大きく貢献した日本統治時代のダム技
師、八田與一の慰霊祭に毎年出席したり、市内に残る日本時代の古跡の保護や修復を積極的に進め
るなど、日本との関係の近さを窺わせる。

 また、頼氏は「自分は独立派だ」と立法院の答弁で明言してしまうほど、批判を恐れず自分の意
見を鮮明にするタイプであり、蔡総統のように調和を重視し、少数意見にまで目配りするタイプと
は異なる。

 もちろん、そうした姿勢が、国家の指導者として吉と出るか凶と出るかはまだ未知数ではある。
ただ、頼氏の態度を明確にする姿勢が、蔡総統よりも頼氏に好感を持つ根拠とする有権者が多いこ
ともまた確かで、民進党の候補者選びはますます難航することとなり予断を許さない状況だ。

 とはいえ、前述のように、民進党の候補者選定のプロセスは、最終的には世論調査の結果だけで
決定する、至極民主的なシステムである。

 今回の、明確な理由が説明されない非合理な延期は、民進党自らがその民主的なシステムを葬り
去ってしまった自殺と言ったら過言であろうか。

 今からでも遅くはない。民進党は、公正な候補者選びを行うためにも、党利党略といった、自ら
の利益にばかり目をとらわれず、真の意味で「民主主義の体現者」としての矜持を発揮してほしい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【日本李登輝友の会:取扱い本・DVDなど】 内容紹介 ⇒ http://www.ritouki.jp/

*ご案内の詳細は本会ホームページをご覧ください。

● 台湾フルーツビール・台湾ビールお申し込みフォーム
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/rfdavoadkuze

*台湾ビール(缶)は在庫が少なく、お申し込みの受付は卸元に在庫を確認してからご連絡しますの
 で、お振り込みは確認後にお願いします。【2016年12月8日】

● 美味しい台湾産食品お申し込みフォーム【常時受付】
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex

*本会でご案内してきた台湾の高級調味料XO醤は、在庫切れのためお申し込みを中止していまし
 たが、このほど台湾メーカーの都合により日本へ出荷できなくなったことが判明しました。今後
 も入荷できない状況となりましたのでご案内を取り止めます。ご了承のほどお願いします。
 (2019年4月16日)

● 台湾土産の定番パイナップルケーキとマンゴーケーキのお申し込み【常時受付】
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex
 *詳細は本会HP ⇒ http://www.ritouki.jp/index.php/info/2018pineapplecake/

*沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、宅配便の都合により、恐縮ですが1件につき
 1,000円(税込)を別途ご負担いただきます。【2014年11月14日】

*パイナップルケーキ・マンゴーケーキを同一先へ一緒にお届けの場合、送料は10箱まで600円。

・奇美食品の「鳳梨酥」「芒果酥」 2,900円+送料600円(共に税込、常温便)
 [同一先へお届けの場合、10箱まで600円]

・最高級珍味「台湾産天然カラスミ」 4,160円+送料700円(共に税込、冷蔵便)
 [同一先へお届けの場合、10枚まで700円]

● 書籍お申し込みフォーム
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/uzypfmwvv2px

・浅野和生編著『日台関係を繋いだ台湾の人びと(1)・(2)』*new
・劉嘉雨著『僕たちが零戦をつくった─台湾少年工の手記』 *在庫僅少
・渡辺利夫著『決定版・脱亜論─今こそ明治維新のリアリズムに学べ』
・呉密察(故宮博物院長)監修『台湾史小事典』(第三版)  *在庫僅少
・王育徳著『台湾─苦悶するその歴史』(英訳版) *在庫僅少
・浅野和生編著『1895-1945 日本統治下の台湾』
・王明理著『詩集・故郷のひまわり』
・李登輝著『李登輝より日本へ 贈る言葉』 *在庫僅少
・宗像隆幸・趙天徳編訳『台湾独立建国運動の指導者 黄昭堂』
・林建良著『中国ガン─台湾人医師の処方箋』 *在庫僅少
・盧千恵著『フォルモサ便り』(日文・漢文併載)
・黄文雄著『哲人政治家 李登輝の原点』
・李筱峰著・蕭錦文訳『二二八事件の真相』

● 台湾・友愛グループ『友愛』お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/hevw09gfk1vr

*第1号〜第15号(最新刊)まですべてそろいました。【2017年6月8日】

● 映画DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za

・『海の彼方』
・『台湾萬歳』
・『湾生回家』
・『KANO 1931海の向こうの甲子園』*在庫僅少
・『台湾アイデンティティー』 
・『台湾アイデンティティー』+『台湾人生』ツインパック
・『セデック・バレ』(豪華版)
・『セデック・バレ』(通常版)
・『台湾人生』

● 講演会DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/fmj997u85wa3

・2018年 李登輝元総統沖縄ご訪問(2018年6月23日・24日)*new
・2014年 李登輝元総統ご来日(2014年9月19日〜25日)
・片倉佳史先生講演録「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」(2013年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆日本李登輝友の会「入会のご案内」

・入会案内:http://www.ritouki.jp/index.php/guidance/
・入会申し込みフォーム:https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/4pew5sg3br46

-----------------------------------------------------------------------------------------
◆メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会の活動情報
とともに配信する、日本李登輝友の会の公式メルマガ。

●発 行:
日本李登輝友の会(渡辺利夫会長)
〒113-0033 東京都文京区本郷2-36-9 西ビル2A
TEL:03-3868-2111 FAX:03-3868-2101
E-mail:info@ritouki.jp
ホームページ:http://www.ritouki.jp/
Facebook:http://goo.gl/qQUX1
 Twitter:https://twitter.com/jritouki

●事務局:
午前10時〜午後6時(土・日・祝日は休み)

●振込先: 

銀行口座
みずほ銀行 本郷支店 普通 2750564
日本李登輝友の会 事務局長 柚原正敬
(ニホンリトウキトモノカイ ジムキョクチョウ ユハラマサタカ)

郵便振替口座
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)
口座番号:00110−4−609117

郵便貯金口座
記号−番号:10180−95214171
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)

ゆうちょ銀行
加入者名:日本李登輝友の会 (ニホンリトウキトモノカイ)
店名:〇一八 店番:018 普通預金:9521417
*他の銀行やインターネットからのお振り込みもできます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(C) 2011  Friends of Lee Teng-Hui Association in Japan







規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2003-10-06  
最終発行日:  
発行周期:週3回以上刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。