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メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や、他では知りえない台湾情報などを、日本李登輝友の会の活動とともに配信するメールマガジン。

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【メルマガ日台共栄:第3310号】 蘇啓誠処長を自死に追い込んだフェイクニュースはなぜ生まれたのか

2018/09/24

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1>> 蘇啓誠処長を自死に追い込んだフェイクニュースはなぜ生まれたのか
2>> 不毛の大地を緑野に変えた八田與一(2) 古川 勝三(台湾研究家)
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1>> 蘇啓誠処長を自死に追い込んだフェイクニュースはなぜ生まれたのか

 9月14日、台湾の領事館に相当する台北駐大阪経済文化弁事処の蘇啓誠・処長が自死したという
ニュースを知って心底驚いた。

 2016年に李登輝元総統が石垣島を訪問されたときも、今年6月に慰霊碑除幕式に臨席されたとき
も、台北駐日経済文化代表処那覇分処処長だった蘇処長には陰ながら大変お世話になった。李登輝
元総統の沖縄ご訪問が成功した陰には多くの関係者の尽力があり、蘇処長もその一人で、台北駐日
経済文化代表処や沖縄県警との連絡や車輛などの手配でとてもお世話になった。本会会長の渡辺利
夫はその死を悼み弔電を打っている。

 その後の報道を詳しくみていると、自死の背景に、メディアのフェイクニュースに追い込まれて
いったことがだんだん判ってきた。また、蔡英文政権を追い落とそうとする台湾の国民党議員が批
判のネタとしてこの偽ニュースを利用し、台湾に圧力をかけ続ける中国側もこの偽ニュースを巧み
に利用していたことも判明した。

 一連のニュースの中で、自死に至った真相を地道に追いかけていたのが、台湾出身で東洋経済新
報記者の劉彦甫氏の記事だった。9月19日の「大阪駐在の台湾外交官はなぜ死を選んだのか」に続
き、21日に総括検証記事「『中国人優遇』の偽ニュースはなぜ生まれたか」を発表している。

 関空からショッピングモールまで中国人を乗せたバスは、中国の駐大阪総領事館が手配したバス
ではなく、関西エアポートが手配したバスだったことを明らかにし、「中国人旅行者が優先的に早
く出た事実はない」ことも明らかにしている。また、真偽不明の情報にもかかわらず、事実確認を
せずに報道した台湾メディアの責任にも言及している。

 恐らくこの記事がフェイクニュースが生まれた状況をもっとも詳しく伝え、真相に迫っているの
ではないかと思われる。改めて蘇啓誠処長のご冥福を祈りつつ、下記にその記事を紹介したい。

◆東洋経済新報社:「大阪駐在の台湾外交官はなぜ死を選んだのか」【9月19日】
 http://news.livedoor.com/article/detail/15325288/

             ◇     ◇     ◇

劉 彦甫(りゅう いぇんふ) Yenfu LIU 東洋経済 記者
台湾台北市生まれの客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲
田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。専攻はアジア国際政治経済、
東アジアジャーナリズム。現在は電子部品や精密機械、家電量販を担当しつつ、台湾や中国などア
ジアの動きも追いかけている。趣味はピアノや旅行。

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「中国人優遇」の偽ニュースはなぜ生まれたか 関空の中国人避難問題、一連の事実を検証
劉 彦甫 : 東洋経済記者
【東洋経済ONLINE:2018年9月21日】

 9月19日に「東洋経済オンライン」に掲載した筆者の記事「大阪駐在の台湾外交官はなぜ死を選
んだのか」では、台風21号によって一時閉鎖された関西国際空港での対応を巡り台湾で議論が巻き
起こり、大阪に駐在していた台湾の外交官の自殺にまで至ってしまったことを伝えた。

 この発端となったのが、「中国の領事館が関空にバスを派遣して中国人を救出し、優先的に中国
人を避難させた」というSNSでの発信や大手台湾メディアでの報道だった。それが台湾で「なぜ駐
日代表処(大使館に相当)は動かないのか」との議論に発展した。記事中ではこの発端となった情
報をフェイクニュースとして扱った。

 実際、記事を配信した19日には、東京にある台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(大使に相
当)が記者会見を開き、フェイクニュースを見極めるように呼びかけている。一方で、同日に中国
の駐大阪総領事館は中国人旅行者の避難に協力したとして、バス会社など協力した会社や団体を表
彰した。

 いったい真相はどうだったのか。経緯を振り返りながら、改めて検証してみたい。なお、一連の
事実は関西エアポートやバス会社などへの取材に基づくもの。中国総領事館は「新華社通信」の報
道が公式見解であるとして、取材には直接回答しなかった。新華社通信は「領事館が救出活動に協
力した」と報じているが、その詳細に触れた記事は確認できなかった。

◆約700名の中国人旅行者が残された

 9月4日、関空では台風21号の影響で大規模浸水被害が発生し、数千人の旅行者が空港内に取り残
された。取り残された旅行者には中国人や台湾人など外国人旅行者も含まれていた。関空を運営す
る関西エアポートは約700名の中国人旅行者がいたとしている。

 そこで中国領事館は関西エアポートに対して、関空にバスを派遣して中国人を救出したいと要請
した。関西エアポートによると、自国民の救出を申し出たのは中国だけではなかったようだ。ただ
し、破損した連絡橋の通行を制限していることやさらなる混乱を招く恐れがあるとして、同社はこ
れらの申し出を辞退した。

 とはいえ、外国人旅行者のなかで中国人の人数は最多。団体客も多く、言語疎通に問題が生じた
ケースもあり、中国領事館のサポート提案の受け入れを検討した。そして、関西エアポートと航空
各社、中国領事館の3者間で旅客を避難させる際は中国人旅行者をまとめて島外に出すよう調整が
行われた。

 この調整を受け、中国領事館は関空の対岸にある泉佐野市内のショッピングモールに空港から避
難した中国人旅行者を迎えるバスを派遣した。関西エアポートも旅行者を空港から避難させる際は
中国人だけを別に振り分けて、領事館が手配したバスが待つショッピングモールにバスで輸送する
ことにした。

 5日、中国人旅行者を含めて取り残されたすべての旅行者の避難が開始された。この時に、一部
の旅行者の間で誤解が生じ始めた。中国人旅行者を振り分けるために、中国人はパスポートの確認
を受けてからバスに搭乗。この対応を受けて、中国人旅行者や周囲の旅行者のなかには「中国人だ
から優遇を受けている」「領事館が尽力したから優先的に避難できる」といった誤解が生じ、SNS
上で流布され始めたのだ。

 また、関空から避難する際に搭乗したバスがほかの旅行者が搭乗したバスと行き先が異なること
や(ほかの旅行者は南海電鉄の泉佐野駅に送られた)、事前にSNSなどを通じ中国領事館の努力を
知っていたことから、「中国人が乗ったバスは領事館が手配したもの」という誤解も発生した。

 しかし実際に関空からショッピングモールまで中国人を乗せたバスは、関西エアポートが手配し
たバスだった。関西エアポートは「避難に用いられたバスは自社が手配したもので、バスの手配も
関空による決定。中国領事館が手配したバスは乗り入れていない」と話す。19日に中国領事館に表
彰された南海バスの広報担当者も、「要請は関西エアポートからのもので、中国領事館からではな
い」と認める。

◆動画が誤解を「補強」

 なぜどちらが手配したバスか、詳細に書いたのには理由がある。今回、空港から中国人旅行者だ
けが優先的に避難できたかのような複数の動画がSNS上に出回ったからだ。

 動画は避難が開始された早い段階でバスに搭乗できた中国人旅行者が撮影したようだ。中には、
中国領事館の職員とされる人物がバス車内で避難活動に参画している映像もあった。

 しかし、繰り返しになるが、空港からのバスは関空が手配したもの。空港へのアクセスが規制さ
れる中で、中国が手配したバスだけが特別に通行を許可されたわけではなかった。

 また動画が撮影された時点で、すでに中国人旅行客以外の旅行客も別のバスで避難を開始してい
たと見られる。実際、関西エアポートの広報担当者は「中国人旅行者が優先的に早く出た事実はな
い」とする。同社は「すべての旅行者の輸送は5日の23時をもって完了した」とのリリースを出し
ているが、広報は「中国人以外の旅行者の避難が完全に終了したのは5日の23時30分で、中国人旅
行者は6日の0時近くだった」と話す。

 一部の旅行者に生じた誤解が動画によってさらに誤解が強調され、台湾メディアもそれを見て事
実確認を行わず報道、広く流布されたと考えられる。

 以上、結論を言えば、中国領事館が同胞である中国人旅行者を救出するために尽力したのは事実
だ。他方で、中国領事館が手配したバスは関空まで乗り入れておらず、中国人旅行者が優先的に避
難した事実もない。結局、台湾メディアは事実を確認せずに、中国人旅行者が「優先的に避難し
た」と伝えてしまった。

◆ファクトチェック組織も「誤り」と指摘

 これらの誤解に基づくネット上の偽情報は関西エアポートなどの当事者に問い合わせ、事実確認
を行えばフェイクニュースとして流れなかったはずである。しかし、多くの台湾メディアはそれを
怠ってしまった可能性がある。台湾大手新聞社の記者は「人員も十分でなく、スピードで他社と競
争する以上、ネット情報を事実確認せず流すしかない時は多々ある」と事実確認の取材が甘い現状
を語る。

 9月15日には誤った情報が広がるのを防ぐためにファクトチェックを行う「台湾ファクトチェッ
クセンター」が、「中国領事館が関西空港にバスを派遣し、優先的に中国人旅客を救った」ことは
「誤り」だと指摘した(https://tfc-taiwan.org.tw/articles/150)。

 台湾ファクトチェックセンターには日本でファクトチェックの普及を目指すファクトチェックイ
ニシアティブジャパン(FIJ)も協力。FIJで理事長を務める早稲田大学政治経済学術院の瀬川至朗
教授は「旅行者の誤解や思い込みが積み重なって、ネット上で広がった真偽不明の情報をしっかり
事実確認せずに報道してしまった台湾の報道機関の責任は重い」と話す。

 関西エアポートへの取材や台湾ファクトチェックセンターの発表を基に、19日に配信した筆者の
記事では一連の情報を「フェイクニュース」と断言した。ただ、中国領事館が中国人の救出に尽力
したことは事実であり、その点で表現に曖昧さが出てしまったことも否めない。

 今回はメディアがいかにネット上の真偽不明の情報に向き合うか、改めて問われる一件だった。

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2>> 不毛の大地を緑野に変えた八田與一(2) 古川 勝三(台湾研究家)

 やはり、「不毛の大地を緑野に変えた八田與一」を読んで、八田の事績についてなら古川勝三
(ふるかわ・かつみ)氏の右に出る人はいないなと改めて思わされる。掌を指すごとく八田のこと
がよくわかる。(1)を未読の方は併せて読まれたい。

◆不毛の大地を緑野に変えた八田與一(1) 古川 勝三(台湾研究家)
 【nippon.com「台湾を変えた日本人シリーズ」:2018年7月28日】
 https://www.nippon.com/ja/column/g00557/

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不毛の大地を緑野に変えた八田與一(2) 古川 勝三(台湾研究家)
【nippon.com「台湾を変えた日本人シリーズ」:2018年9月23日】
https://www.nippon.com/ja/column/g00570/


◆巨大なかんがい事業決定の舞台裏

 工事の設計図と予算書を携えた技師の八田與一は、部下に見送られ嘉義駅(台湾・嘉義市)から
上京、台北に着くと総督府の会議室に腰を下ろした。民政長官の下村宏をはじめ土木局長の相賀照
郷、土木課長の山形要助以下、技師たちが八田の説明を聞き終わると、工事規模の大きさに多くの
技師が驚嘆した。かんがい面積15万ヘクタール、水路の延長1万6000キロメートル、工事期間およ
そ6年間、必要経費は事務費を入れて4300万円だったという。

 「水源は、どうする」と山形が口火を切った。

 「濁水渓からの直接取水で5万2000ヘクタール、それに官田渓に造るダムから9万8000ヘクタール
のかんがいを考えています」と八田は答えた。

 「ダムの規模は」と聞かれ、「有効貯水量約1億5000万トンのダムを半射水式で造ろうと考えて
います。これがその設計図です。全部で300枚余りあります」と八田。ダムの設計図を見て、技師
全員が目を疑った。

 設計図には堰堤(えんてい)は長さ1273メートル、高さ56メートル、底部幅303メートル、頂部
幅9メートルの巨大な堰堤の断面図が描かれていたからだ。東洋はおろか世界にも例がない規模の
ダムを、32歳の技師が設計していたのである。「八田の大風呂敷」が真価を発揮していた。局長以
下、ほとんどの技師が質問を終え、静寂が会議室を包んだ。

 下村がおもむろに口を開いた。

 「この規模の工事は、内地にはあるのか? ないとすれば、巨大工事を二つも台湾でやるのは愉
快じゃないか」。この言葉に、今度は土木局の全技師が耳を疑った。「日月譚水力発電工事」と
「官田渓[土卑][土川]新設工事」の巨大工事を土木局が一度に背負い込むことになるからだ。

 「金のことは何とかする。工事をするからには、必ず成功させてくれ。八田技師、頼んだよ。と
ころでダムの人造湖はまるで堰堤に生えた珊瑚樹そっくりだな。北の日月譚に南の珊瑚譚というの
はどうだろう。」下村は上機嫌で会議室を後にした。

 総督府土木局内での審議はこれで終わったのである。

 巨大なかんがい事業が嘉南平原で動き出そうとしていた。八田案は総督の明石元二郎の決断を経
て第42帝国議会で審議された。米騒動の苦い経験をしていた議会は、7月の追加予算で通過成立さ
せたのである。巨大工事は総督府の直轄工事でなく、民間工事として国が補助金を出し、総督府が
工事全体を監督する方式にした。そのため「公共埤圳嘉南大圳組合」が設立され、八田は総督府か
ら組合に出向し、烏山頭出張所長として工事を指揮することになった。

◆苦難を乗り越え、10年後にダムが完成

 1920年9月1日、烏山頭の工事起点となる小高い丘で起工式が行われた。

 工事は4カ所に分かれて行われることになっていた。一つは曽文渓から取水するための烏山嶺隧
道掘削工事、二つ目は濁水渓からの直接取水工事、三つ目は烏山頭ダム構築工事、最後が水路を
ネットワーク化する給排水路工事である。これらの工事が広大な嘉南平原全域で行われるが、最も
重要なのが烏山頭ダムの建設で、工事現場の責任者は当然ながら設計者の八田が当たった。

 八田はこのとき、驚く行動に出た。「この工事は人力より機械力が成否を決める」と考え、現場
の職人が見たこともない大型土木機械を、渡米して大量に購入した。さらに「安心して働ける環境
無くして、良い仕事はできない」との考えから工事現場の原生林を切り開き、68棟もの宿舎を造っ
て200戸余りの部屋を新築した。その上、従業員のための学校、病院、購買所、風呂、プールに弓
道場、テニスコートまで造った。工事を請け負った大倉土木組の倉庫や事務所、それに烏山頭出張
所を加えると、常時約1000人が暮らす町が出来上がった。他の町から働きに来る人を含めると2000
人近くになるため、台南州は急いで警察派出所を造ったほどだった。

 だが、不幸が工事現場に襲い掛かった。22年12月6日、烏山嶺隧道掘削工事中に入り口から900
メートル掘り進んだところで、噴出してきた石油ガスに引火し大爆発が起きた。この事故で50数人
の作業員が死傷した。工事を始めて2年目だった。八田は打ちひしがれたが、遺族の「亡くなった
者のためにも、工事を必ずやり遂げてほしい」との言葉に励まされ、決意を新たに工事に取り組んだ。

 ところが半年余りたった1923年9月1日、東京を直下型の巨大地震が襲った。関東大震災である。
そのため、台湾総督府から多くの義援金が贈られたが、工事の補助金は半減される事態になり、職
員の半数を解雇せざるを得なくなった。八田の部下は優秀な人間を残してほしいと頼んだが、悩ん
だ末、八田は優秀な職員から解雇した。「優秀な職員は就職口があるが、そうでない者は路頭に迷
う」と言って、退職金を渡しながら涙を流したという。解雇した職員の再就職先は、組合より給料
が良いところにわざわざ世話をした。その上、満額の補助金が付くと、希望する者は全員雇い入れ
たというから、八田の人間性にひかれる人が多かった。

 震災の影響で工事期間と予算が見直され、全ての工事が完了したのは、着工から10年後の30年
だった。その間に烏山頭で亡くなった人は家族を含め134人にもおよんだ。八田は殉工碑を堰堤の
下に造り、日本人や台湾人の区別なく死亡順に名を刻んだ。5月10日には竣工(しゅんこう)式が
行われ、ダムの放水門から激流となった水が、1万6000キロメートルの給排水路に流れ込んだ。水
路の水を目にした農民は、信じられない思いで叫んだ。

 「神の水だ。神が与えてくれた恵みの水だ」

 この時から、八田は「嘉南大[土川]の父」として嘉南60万の農民から慕われ、尊敬されるように
なる。神の水が全ての水路に行き渡るのに3日を要した。その間、烏山頭では2600人近い日本人や
台湾人の従業員による祝賀会が続いた。世紀の大事業は終わった。八田は家族とともに7月には烏
山頭を去り、再び総督府の技師として活躍する。翌年の7月には、機械掛長の蔵成信一を発起人代
表とする親睦会「烏山頭校友会」から八田の銅像が届き、ダムを見下ろす丘に設置された。

 完成から3年後には、不毛の大地15万ヘクタールが、蓬莱米、サトウキビ、野菜による三年輪作
給水法によって緑野に変わった。総督府の考えた食糧増産計画は成功を収め、米も砂糖も日本へ大
量に移入されるようになった。その結果、嘉南の農民は経済的に豊かになり、生活が一変した。奇
美実業の創業者で2013年秋に旭日中授章を受章した許文龍氏は「台南では町の人より農民の方が豊
かなのが不思議だった」 と少年時代を私に語っている。

◆フィリピンへの航海中に訪れた悲劇

 八田が勅任官になり2年がたった1939年12月8日、対米交渉で追い詰められた日本は、「ニイタカ
ヤマノボレ」の暗号電文を連合艦隊に発し、太平洋戦争が始まった。戦雲は軍人だけでなく、八田
をも巻き込んだ。42年4月20日、陸軍から米軍が破壊したフィリピンの綿作かんがい施設の調査命
令を受けた八田は、3人の部下を同行し「南方資源開発要員」として宇品港から大洋丸に乗り込んだ。

 大洋丸は技術者1010人、軍人34人のほか、約300人の乗組員を乗せて5月5日午後7時30分に出港、
滑るように瀬戸内海を南下した。8日、五島列島沖に差し掛かった時、米国潜水艦が発射した魚雷4
発を受け、大洋丸は有能な技術者を道連れに東シナ海に没した。八田は56歳だった。

 悲劇はまだ続く。

 45年9月1日、3人の娘と共に台北から烏山頭に疎開していた八田の妻、外代樹夫人がダムの放水
プールに身を投げ自死した。45歳の若さだった。

 台湾永住を決めていた夫妻のことを知った組合は、ダムを見下ろす丘に日本式の墓碑を造り夫妻
を納骨し、除幕式を行った。以降、公共埤圳嘉南大圳組合は八田の命日5月8日が来る度に、毎年墓
前にて追悼式を行ってきた。今年も約300人が参加して、盛大に行われた。

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創刊日:2003-10-06  
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  • 下津井よいとこ2018/09/26

    杉田議員が、同性愛的傾向のある人に対して「生産性がない」と言ったのは、同性愛の人の一部は家庭をもって子供を育てられないことを指して言ったのです。仕事など他のことを指して言ったのではありません。

     唯、世の中には国語の読解力が低い人が多いことや、恣意的に曲解する人が多いことを踏まえて、言葉を選ぶ必要があったのかも知れません。

     同性愛的傾向のある人の実態は直接的には把握が難しいものと思われますが、同性愛的傾向を表に出さずに生活している人が多くを占めているのではないかと言われます。普通に結婚する人が多いのではないかと言われています。

     左翼人、全体主義者達は、同性愛的傾向のある人達にとってその同性愛的傾向が恰も人格の全てであるかのように言っています。これは同性愛的的傾向のある人を侮辱することに他ならないのではないでしょうか。恐らく同性愛的傾向のある人であっても常にその事を意識しているわけではないでしょう。同性愛的傾向のある人であっても、恐らく多くの場合、普通の人と同じように生活を送っているものと推測してよいのではないでしょうか。

     左翼人は人間を物質的な観点でしか見ることの出来ない人達です。(また別の話になりますが、嘗て左翼人が優生保護法を制定して堕胎を黙認しろと盛んに主張したのも、その物質主義者のもつ冷酷さの表れなのです。)

     左翼人が「性」の問題を殊更に取り上げるのは、人間を物質的な観点でのみ捉えようとする場合に最も適合し易いからでしょう。

     我が国には、同性愛的傾向のある人に対する差別意識はありません。杉田議員の発言も差別発言などではありません。

     左翼人は近年、我が国にあるとは思えない同性愛に対する「差別」などを捻り出そうと躍起になっています。

     左翼人は何かと同性愛の問題を持ち出そうとします。同性愛などと云うものの存在を多くの人に認識させることにより、日本人の感覚を惑乱させようと図っているものと思われます。

     また同性愛的傾向のある人を政治的に駆り立てようとしているものと思われます。

     同性愛的傾向のある人に対して「同性愛こそがお前達の根本の特質だ。そのことを自覚しろ。」と云うメッセージを送って、同性愛的傾向のある人でも恐らくは多くの場合は普通に営んでいる結婚生活や家庭生活から離反させようとしていると云うこともあると思います。そして、それを突破口として、社会全体に家庭の崩壊を及ぼそうとしているのかも知れません。

     

     「新潮45」が、左翼人、全体主義者、アナーキストの圧力に屈したのは誠に残念です。今後左翼がこの休刊に勢いを得て言論弾圧を公然と行うようになるのではないかと強い危惧が抱かれ慄然とさせられます。