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【メルマガ日台共栄:第2907号】 父、祖父と「二・二八事件」 一青 妙

発行日:4/13

>>>>> http://www.ritouki.jp/ ━━━━━━━━━━━━━平成29年(2017年)4月13日】

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1>> 父、祖父と「二・二八事件」 一青 妙
2>> 何が何でも米中首脳会談の「成果」をお手盛りする必要があった習近平  黄 文雄
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1>> 父、祖父と「二・二八事件」 一青 妙

 1947年2月28日、闇タバコ取締事件が民衆のデモを引き起こし、台北から台湾全土に広がって
いった2・28事件では、実に多くの優れたエリートや前途有為の若者たちを中心に約3万人が無実の
罪で虐殺されました。

 それから約50年後の1995年2月28日、台湾の李登輝総統は国家元首として、2・28事件の犠牲者と
遺族に「政府が犯した罪」を認め、初めて謝罪の意を表しました。2006年には、張炎憲・國史館館
長たちの地道な実証研究により、最大の責任は国民党政権最高権力者の蒋介石にあったことが判明
しています。

 今年は2・28事件から70年の節目の年。本会でも、犠牲者の一人で台湾人初の検事だった王育霖
氏を伯父とする台湾独立建国聯盟日本本部委員長の王明理さんを講師として台湾セミナーを2月18
日に開き、2月26日からは『汝、ふたつの故国に殉ず』で犠牲者の弁護士、湯徳章氏の生涯を描い
た門田隆将氏が台湾で講演をするということで「門田隆将先生2・28台湾講演ツアー」を実施しま
した。

 『私の箱子』や映画化された『ママ、ごはんまだ?』でご自分の家族を描いたエッセイストで歯
科医の一青妙(ひとと・たえ)さんもまた2・28事件の遺族だったそうです。

 『私の箱子』には、台湾と日本の間で揺れる台湾屈指の名家「顔家」の長男だった父の苦悩や、
帰った台湾で待ち受けていた2・28事件のことも描かれています。その父が日本へ戻ったのは漁船
による密航だったとも書かれていて、2・28事件との関わり合いが示唆されていました。

 今回、一青さんがウェブサイト「現代ビジネス」に発表した「父、祖父と『二・二八事件』」で
は、祖父が2・28事件で犯罪者とされるも、6万坪の土地と引き換えに一命を取り留めたことなどを
つづっています。

 一青さんもまた2・28事件の被害者家族でした。一青さんは「顔家と二・二八事件。これから
も、わたしはあきらめずに調査を続けていく」と決然と述べ、筆を擱いています。
 
◆現代ビジネス:2017年4月13日
 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51369

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父、祖父と「二・二八事件」

                         一青 妙(エッセイスト・女優・歯科医)

◆顔家の「家訓」

 わたしの父は台湾人で、「顔(がん)」という姓を持つ。

 台湾では顔姓はあまり多くはない。父の一族は多くの台湾人がそうであるように福建省からの移
民で、台北から少し北の基隆(ジーロン)という場所に居を定めた。

 わたしも台湾では「顔妙」と名乗っている。そのあと「一族は基隆出身です」と話すと、台湾の
人からはたいてい「ひょっとして、あの顔家ですか?」という反応が返ってくる。日本統治時代の
台湾で、基隆から近い九份などの鉱山開発で財をなした顔家は「五大家族」にも数えられていたか
らだ。

 そんな顔家には、ひとつの「家訓」があった。

 「政治には関与しない」

 戦後、大陸からやってきた国民党政府による一党独裁が続いた台湾において、顔家以外の有力な
財閥は、政府にうまく取り入り、事業を拡張した。

 しかし、当時の顔家の当主であった祖父・顔欽賢は、むしろ政治から距離をおき、世の中の流れ
に逆走するように、事業を縮小し、ひっそりと目立たぬように徹した。そのせいか、五大家族のな
かで顔家は最も没落した存在になっている。

 祖父は酒豪で性格的に面倒見がよく、大風呂敷を広げる饒舌な性格だったと聞いている。本来
は、一族の事業をさらに拡大できる手腕を持っていたはずだった。しかし、なぜ、そうしなかった
のか。そのことがわたしにはずっと疑問で、家族の記録を調べているうちにたどりついたのが、
「二・二八事件」だった。

 1947年に起きた二・二八事件は今日の台湾で知らない人がいない現代史上の重要な事件だ。228
は中国語で「アーアーバー」と読むが、数字をそのまま言うだけで、二・二八事件について話して
いることが相手に伝わる。日本でいえば、「8月15日」が、おのずと「終戦の日」と受け止められ
る感覚に近い。

 二・二八事件は台湾に暮らす人々の運命を根底からひっくり返した。1945年に終戦を迎え、台湾
は日本統治から解き放され、国民党率いる中華民国に接収された。台湾人の誰もが最初は「祖国復
帰」を喜んだ。だが、現実は残酷だった。国民党による搾取が横行し、深刻なインフレに陥った。

 台北で闇タバコを売っていた女性に警官が暴行を加えた事件をきっかけに、日々募ってきた人々
の不満は一気に暴発し、台湾全土に暴乱が広がった。のちに運動は武力で弾圧され、2万人を超え
る大量の犠牲者を生んだ。

 二・二八事件とわたしの顔家の関わりを知りたいと思ったが、顔家の親戚たちに尋ねても、「そ
んなことを調べてどうするんだ」と露骨に嫌な顔をされた。とにかくみんなそろって口が重く、た
ったひとつ知り得たことが、顔家は二・二八事件以来、「政治には関与しない」ことを決めたと
いう事実だった。

 人の口から聞けないのなら、自分で調べてみるしかない。

◆半年におよぶ逃亡生活の末に…

 台北の中心部で、台北駅の南側に位置する「二二八和平公園」を訪れた。二・二八事件の際、台
湾住民に蜂起を告知するのに使用したラジオ放送局の建物が「台北二二八紀念館」になり、二・二
八事件に関する資料が展示されている。

 そこに祖父の名前を見つけた。

 「台湾省『二二八』事変自新份子名冊」(台湾省「二二八」事件自新分子名簿)と書かれ、ず
らっと並んだ人名のちょうど真ん中のいちばん見やすい場所に、祖父の名前があった。

 姓名   顔欽賢
 略歴   台陽董事長 
      民社党台湾省党部主委
 犯罪事実 二二八事変処委会委員 
      組織煤礦忠義服務隊反抗政府
 住所   基隆市 

 「犯罪事実」という文字に、衝撃が背筋に走った。祖父は、二・二八事件に関与し、「犯罪者」
として位置づけられていたのだ。

 「台陽」は顔家の会社で、董事長は会長のことだ。犯罪事実のところには「二・二八事件処理委
員会のメンバーであり、鉱山労働者の忠義服務部隊を組織して政府に反抗した」と書かれている。
「忠義服務隊」は、動乱のなか民衆が自衛と治安維持のために組織したものだった。

 これらが記されていた「自新」とは一体何をさすのか。日本語からはちょっと想像がつかない
が、後に調べたところ、自首は、犯罪発覚前に、自ら警察や検察に届け出ることにより、判決を受
け、刑の軽減を得ることができる法律用語だという。自新を宣言した者には「更正」の証しである
「自新証」が与えられた。

 祖父もまた、「自新」を宣言した一人だったのである。

 「自新」という事実で、ぼんやりとしていた祖父と二・二八事件との関係が、より具体的な姿に
浮か上がった。祖父は犯罪者とされ、のちに「改心」を宣言することによって、罪を免れたのである。

 それから、わたしは、祖父が入っていたとされた二・二八事件の「処理委員会」について、情報
公開請求などを通して一次資料を入手し、詳しく調べた。

 処理委員会は、当時の台湾の有力者、有識者メンバーが集まり、事件が起きた翌日の3月1日に成
立した組織だ。委員会は国民党当局に政治改革要求を出した。だが、当初は交渉に応じる構えを見
せていた国民政府側は、大陸からの派遣軍の到着を待って、強硬に転じた。処理委員会の解散を命
じ、主要メンバーを指名手配犯とし、実力行使で鎮圧に乗り出したのだ。

 祖父を含めた委員会のメンバーは命の危険を感じ、直ちに逃亡を強いられることになった。実際
には指名手配犯となった人物の多くは逮捕されないまま行方不明となり、秘密裏に処刑されたと言
われている。

 祖父が家に戻れなくなった正確な日付はわからないが、1947年4月9日付の台湾省警備総司令部の
通達で、祖父は「反乱要犯」の1人になり、別の文書では、2ヵ月後の6月にも同じく逃亡犯として
リストアップされている。祖父の逃亡生活はおおよそ長くても半年続いた、ということになる。

 では、なぜ、祖父は罪から免れたのだろうか。

◆祖父の命を救った「水面下の取引」

 基隆には、顔家の邸宅で6万坪以上の土地があった。それが政府に没収された過去は断片的に聞
いたことがあった。

 基隆市の法務局に出向き、土地登記謄本を閲覧してみると、確かに、顏家の基隆の邸宅を含む膨
大な不動産の多くが、すべて1947年4月21日付で基隆市政府のものになっていた。

 さらに驚かされたのが、この所有権の移動について、登記理由欄が「空白」となっていたこと
だった。理由を尋ねると、「普通、登記理由に『空白』はないわね」と調べてくれた法務局の女性
職員も首をかしげた。

 きっと「空白」のうしろには、表に出せないことがたくさんあったのだ。祖父の命を救うため、
何かの水面下の取引が働いたにちがいない。

 別の資料からは、父の3番目の弟の顔恵卿も逮捕されていたことがわかった。1932年生まれなの
で、二・二八事件が起きた年はまだ16歳だった。

 「外が危ないのを知らずに、街を歩いていたら連行されたがすぐに釈放された」

 そんなことを以前親戚から聞いたが、本人に聞いてみれば、「特になにかを取られたり、拷問を
受けたりすることはなかったが、3週間は牢屋に入れられた」とだけ話してくれた。彼の釈放にも
きっと何かの取引があったはずである。

 当時の台湾人の誰もが、苦渋の選択を迫られたにちがいない。財産を持っていた祖父らのような
顔家の人々はまだ幸運だったとも言える。取引ができない人々は、無実のなかでろくな裁判もな
く、命を奪われていったはずだ。

 顔家が政治から距離を置く理由を少しだけ、理解することができた。

◆蔡英文の演説に耳を傾けながら

 二・二八事件から70年となる今年、わたしは台北市で開催された追悼式典に被害者家族の一員と
して参加した。祖父が二・二八事件で「名誉毀損」を受けたことが、このほど認められたからだ。

 台湾政府がつくった被害者への補償を行う財団法人「二二八事件紀念基金会」に対して、わたし
は「遺族の一人」として受難者賠償金を申請し、わずかばかりの賠償金が支払われた。だが、お金
よりはるかに重要だったのは、祖父の名誉が回復されたことだった。

 ただ、祖父が被害者に認定されたことを報告すると、一部の親戚からは「余計なことをしてくれ
た」と非難された。それほど「家訓」の重みがあったということなのだろう。それでもわたしは、
祖父は喜んでくれたと信じたい。

 今年の2月28日は2016年に政権交代を果たした民進党の蔡英文総統が就任してから迎える初めて
の追悼日でもあった。事件の真相究明に全力を挙げることを力強く語る彼女の言葉に、気づかない
まま、涙が頬を伝っていた。

 そんな祖父の苦労を知っていた父は、二・二八事件が起きた直後に、留学先の日本から台湾に
戻った。

 しかし、父を出迎えるはずの祖父はおらず、二・二八事件に続く、「共産党のスパイ摘発」に名
を借りた白色テロでは、同じ大学で学ぶ同級生たちが捕まっていく姿を目撃し、父は台湾での生活
をたった2年であきらめ、日本へ漁船による密航という形で引き返した。

 台湾で、父の親友だった同級生の一人を見つけたが、3年前に亡くなっていた。だけれども、残
された奥さんから聞いた話では、祖父のことを、「金と引き換えに命拾いした人間」として、忌み
嫌っていたという。

 父の友人のなかには、共産党員の活動や読書会に参加し、10年以上も監獄に入っていた別の同級
生もいたことがわかった。もしかすると、父が密航という尋常ではない形で日本に渡り、台湾へ戻
らなかった理由は、戦後の台湾の状況に失望し、同級生たちと一緒に読書会に参加したため、身の
危険を感じたからではないだろうか。

 ただ、父が本当に読書会に参加していたかどうかは、まだはっきりとした証言や資料は手に入れ
ていない。

 顔家と二・二八事件。これからも、わたしはあきらめずに調査を続けていく。それがわたしがい
まここにいる意味を知ることにもなる。蔡英文の演説に耳を傾けながら、静かに、心のなかで誓った。

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2>> 何が何でも米中首脳会談の「成果」をお手盛りする必要があった習近平  黄 文雄

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2017年4月11日】

 4月6日、7日に行われた米中首脳会談(台湾では「川習会」と呼んでいます。ちなみに台湾では
トランプは川普と書きます)は、結局、共同記者会見も行われず、中国にとって目に見える成果も
ありませんでした。

 一方、アメリカ側は中国に対して巨額の貿易黒字を是正する100日プランを突きつけ、首脳会談
中にシリア攻撃を決定し、北朝鮮問題を解決しようとしない中国を恫喝するかたちになりました。

 習近平にとっては、対等な大国関係、つまりG2関係について、トランプ大統領が認めてくれるか
どうかが最大の関心事でした。しかしトランプの答えは、シリアに対する武力行使と北朝鮮への圧
力強化でした。習近平にとっては、一難去ってまた一難ということでしょう。

 しかし、中国のメディアではこの首脳会談は成功だったと称賛しています。人民網などは、「中
米の新たな青写真を描いた首脳会談」という題名で、米中の経済、貿易問題での協力関係が深まっ
たと評価しています。

 ただし、もともとこの米中首脳会談は、中国国内では成功を称賛しなければならない会談だった
のです。夏に北戴河会議を控え、秋には共産党大会が開催されます。習近平の人事がこの北戴河会
議で決まり、秋の共産党大会でそれが発表されるわけです。

 それに向けて、習近平としては何としても米中首脳会談が「成功した」というイメージを国内に
流布しなくてはなりません。そのため、アメリカと表立って衝突することは避ける必要があります。

◆今回だけではない、米国の中国「冷遇」

 今年3月、国連安保理のシリア化学兵器関連制裁決議案について、中国はロシアとともに拒否権
を行使して廃案に追い込みました。

 その中国が、今回のトランプ大統領のシリア攻撃を「理解を示した」というのですから、かなり
の譲歩でしょう。それだけ、トランプ大統領と正面衝突したくなかったということです。

 アメリカ側は、米軍の航行の自由作戦を強化する方針も習近平に伝えています。そして太平洋軍
のハリス司令官は8日、原子力空母カールビンソンを中心とする第一空母打撃群を朝鮮半島に派遣
しました。

 2016年7月、アメリカの共和党は政策綱領に初めて、台湾に対する「6つの保証」が盛り込まれま
した。この「6つの保証」とは、

1.台湾への武器売却の期限を設けない。
2.台湾への武器売却について中国大陸と事前に協議を行わない。
3.台湾と大陸間の調停を行わない。
4.台湾関係法の改正に同意しない。
5.台湾の主権に関する立場を変えない。
6.北京当局と協議するよう台湾に圧力を加えない。

というものです。

 今回のトランプ・習近平会談でも、台湾ではこれに抵触するような発言が中国側から出ないか注
視していましたが、とりあえず、そのようなことはありませんでした。台湾政府の報道官も、「台
米間には想定外のことはゼロ」としています。

 となると、やはり中国には成果と呼べるものはなく、アメリカからさまざまな要求をつきつけら
れただけだということになります。

 ここまでアメリカにやられっぱなしでも、習近平としては首脳会談は「成功」だと主張しなけれ
ばならなかったわけです。もっとも、こうしたことは今回に限りません。

 2015年8月、習近平は訪米してオバマ大統領との首脳会談が行われましたが、中国側が求めた習
近平の議会演説をアメリカ側は拒否し、両者は目を合わせることもほとんどなく、習近平に対する
アメリカ側の冷遇ぶりが目立っていました。

 にもかかわらず、中国メディアはこのときの米中首脳会談も「大成功」だと礼賛していました。
ところが首脳会談からわずか1ヶ月後、アメリカは南シナ海で航行の自由作戦を発動して中国を牽
制するようになったわけです。

◆習近平にとってなぜ米軍の北朝鮮攻撃は「悪夢」なのか

 今回、もしもアメリカに北朝鮮を攻撃されれば、中国の面目は丸つぶれとなります。習近平に
とっては、それは最悪のシナリオです。

 すでに中国は突発事態に備えて、中朝国境に15万の兵力を結集させているという話もあります。
はたして中国はアメリカの北朝鮮攻撃を阻止するのか、あるいは自ら北朝鮮に乗り込んで金正恩政
権を倒そうとしている可能性もあります。

 かつて清朝は李氏朝鮮の興宣大院君が壬午軍乱というクーデターを起こした際、朝鮮に攻め入っ
て、大院君を拉致して天津で幽閉したことがありました。同じようなことをやろうと考えている可
能性もあります。

 世界のメディアなどでは、金日成の生誕105周年である4月15日に北朝鮮が6度目の核実験をする
のではないかと目されています。

 そしてアメリカの空母カールビンソンはまさにこの4月15日ごろに朝鮮半島周辺に到着する見通
しとなっています。

 もしも北朝鮮が核実験やミサイル発射を強行した場合、中国はもはや北朝鮮を擁護することはで
きなくなるでしょう。張成沢の処刑以来、中国と北朝鮮とのパイプは極度に細っており、中国とし
ても我慢の限界を超えることになるでしょう。

 このメルマガでも以前に報じましたが、金正日以来、北朝鮮の核実験やミサイル発射は、中国を
牽制する意味があり、北朝鮮では中国こそ最大の敵として見なしているのです。

 アメリカの行動は習近平にとっては、まさしく「悪夢」になるでしょう。すべてが中国国内の権
力闘争の行方にかかわります。せっかく「核心」と呼ばれるようになったにもかかわらず、習近平
の権力完全掌握を阻止する動きが活発化する可能性が高くなるからです。習近平の命綱は、アメリ
カの北朝鮮への動向にかかっているといっても過言ではありません。

◆北朝鮮が日韓を攻撃する可能性も

 中国と朝鮮半島との関係は、少なくとも歴史的には統一新羅以来、ずっと宗属関係にありまし
た。現在の中国では、朝鮮半島は一つの国であるよりも、多くの国々に別れていたほうが利用価値
が高くなっています。

 現在の中国にとって、番犬としての北朝鮮の利用価値がなくなったとき、厄介者になるのは必然
です。朝鮮半島が多くの国に分裂していれば、一つの国を支援することで、他国を牽制することも
できます。一時的に中国と韓国が蜜月関係になった時期がありますが、そうやって利用することが
できます。

 これまで朝鮮半島は、近現代史のなかで、英・仏・米・日・清・露との間で、力関係を利用しな
がら、清の朝鮮省や露の沿海州への編入を避けてきましたが、「東洋の永久平和」という大義名分
のもとで、列強は新興勢力の日本に「日韓合邦」を押し付けました。「ノー」と言えない日本は、
いやいやながらもこの厄介者と関わるようになったのです。

 現在は北と南に別れていますが、米露日中のどこが「火中の栗」を拾うことになるのか、非常に
気になるところです。

 韓国の大統領選は、はじめは最大野党「共に民主党」の文在寅が独走状態だったのですが、最新
の世論調査では第二野党「国民の党」の公認候補・安哲秀が文を初めて支持率で追い抜きました。
アメリカの対北朝鮮の実力行動によって、朝鮮半島はまた情勢が変わってくるでしょう。

 北の金正恩体制は、アメリカに対する反撃能力はなくても、韓国や日本を襲撃する可能性が高
まってきています。戦後日本は、冷戦があっても、目下のサイバーウォーがあっても、「無風状
態」が続いてきました。しかし、世の中はそれほど甘くはありません。

 日本にとっては、グローバリズムが消えつつある現在、その対応力が問われる新しい時代が到来
しようとしています。国会での政争ごっこやマスメディアの政権批判は相変わらずですが、少なく
とも憲法前文に謳われているような、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、安全と生存
を保持する」ことが可能な時代ではありません。

 日本人は、もはや予想外、想定外のことで「ショック」を受けることさえ、許されない時局を迎
えつつあるのです。

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・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
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日本李登輝友の会

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日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会の活動情報とともに配信するメールマガジン。

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