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【メルマガ日台共栄:第774号】 「馬英九の台湾」とどう付き合うべきか [花岡信昭]

2008/05/23



>>>>> http://www.ritouki.jp/━━━━━━━━【平成20年(2008年) 5月23日】

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<<INDEX>>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[Vol.774]
1>>「馬英九の台湾」とどう付き合うべきか [花岡信昭]
2>> 台湾新総統 中国も海峡の安定に尽くせ
3>> 日台関係早くもギクシャク 台湾 馬英九総統就任式典
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1>>「馬英九の台湾」とどう付き合うべきか [花岡信昭]

【5月16日「花岡信昭メールマガジン」第569号】
「カレント」5月号】再掲

http://www.melma.com/backnumber_142868/

 台湾総統選(3月22日)は国民党の馬英九氏が圧勝した。「親中・反日」の権化のよ
うにいわれてきただけに、日本の保守層には落胆の色が濃い。だが、政治の現実は冷徹、
非情であって、情緒的反応に陥ってしまっては日台関係の今後にかえって悪影響をもた
らす。

 「馬英九の台湾」とどういうスタンスで付き合っていくべきか、ここは冷静な政治的
英知をめぐらすべき局面である。

 それにしても、総統選の結果は歴然としていた。馬英九氏が765万票、対する民進党
の謝長廷氏は544万票。得票率は58%対42%だ。200万票の大差となったのは、事前の予
測を超えるものであった。

 1月の立法院選挙でも国民党が圧勝した。小選挙区制が導入されたため、得票数に比
べて議席差が出る。国民党は500万票、得票率51%、民進党は360万票、37%だったが、
獲得議席は国民党が全体の72%、81議席を占めた。民進党は24%、27議席にとどまった。
李登輝氏が率いる台湾団結連盟は議席を獲得できなかった。

 この結果によって、総統選では「揺り戻し」が生ずるのではないかと見られた。沈黙
を保っていた李登輝氏が投票日直前に謝長廷氏支持を打ち出し、チベット騒乱も民進党
優位に働くのではないかと見られた。

 だが、結果はそうした「淡い期待」を無残にも打ち砕くものであった。民進党の完敗
といっていい。

 この結果に対して、さすが李登輝氏は卓抜した現実的な政治感覚を持つ存在であるこ
とを改めて認識させる行動に出た。総統選直後に馬英九氏と会談、一気に関係修復を印
象付けたのだ。

 この李登輝氏の政治センスをとことん学ぶべきであろう。民主主義体制にあって、有
権者の審判は最大限に尊重されなければならない。たとえ、選挙結果が今後、台湾に苦
境をもたらすものであったとしても、それは台湾の人たち自身が甘受しなくてはならな
い。

 ここは厳粛な気持ちに立ち返って、台湾人の選択を見つめなおすべきであろう。日本
の保守論壇に馬英九氏の当選を快く思わぬ意識が強いことは十分に承知しているが、日
本の国益を踏まえ、今後の中国、台湾との関係をどう位置づけていくか、国家戦略とし
て再構築する構えが必要だ。

 筆者の経験を披露すると、台北市長時代の馬英九氏に会ったことがある。政界や企業
人らの訪台団とともに歓迎レセプションに出席した。馬英九氏が歓迎スピーチに立った
が、話を進めているうちになにやらおかしな雰囲気になった。

 日本の「過去」を持ち出し、反省と謝罪を迫り始めたのである。なにやら中国の要人
から責め立てられているようで、日本側の出席者がざわざわとしてきた。かなりの人が
「聞いてはいられない」とばかりに、スピーチ中は遠慮すべきであるのだが、飲食物が
並べられたテーブルを取り囲み、勝手に食べ始める始末であった。

 以来、筆者も馬英九氏に対するイメージは「親中・反日」の頭目といった印象がぬぐ
えないままであった。馬英九氏も最近は日本側のそうした反応を十分に認識しているよ
うだ。昨年の訪日のさいには、同志社大学で講演しているが、「東アジアの平和と繁栄
のためのビジョン」と題して、日台関係の強化を訴えた。反日めいた発言はいっさいな
かった。

 民進党の敗北は、陳水扁政権の経済失政と周辺のスキャンダルに尽きる。李登輝氏が
バックアップしていた時期の陳水扁氏は、政権運営も安定しており、日本側のイメージ
も悪くはなかった。

 日本側にとって、李登輝氏は特別な存在である。数年前に別荘を訪問したことがある
が、帰りがけに「地下室を見ていってほしい」と案内された。広大な地下室には木製の
本棚がまるで図書館のように整然と配置されており、日本の書籍であふれていた。

 日本の書店で見かけるような近刊本もずらりと並べられていた。未開封のダンボール
箱がいくつもあり、すべて日本から送らせた書物だという。岩波文庫はすべてそろって
いた。

 李登輝氏によって日本人は「武士道」の気高さを改めて教えられた。日本人が忘れて
いた「日本的資質・美徳」を李登輝氏が日本の論客以上の迫力を持って伝えてくれたの
であった。日本国内で最も信頼されている台湾要人は李登輝氏であるといって過言では
ない。

 李登輝氏は「台湾人」というアイデンティティーの貴重さを台湾内部に根付かせた。
これを香港生まれの外省人である馬英九氏が巧みに取り入れたのである。総統選の底流
に流れていた重要なテーマは、「台湾人」意識であったといっていい。

 馬英九氏は中台関係について、「統一せず、独立せず、武力行使せず」を基本として
いる。中国傾斜が強いことは事実だが、これは現状維持政策である。馬英九氏の時代に
なれば、一気に中国との同化が進むと見る向きもあるが、そこは周到に判断していくほ
うがいい。

 台湾海峡で武力衝突を起こさないようにすること。これが日本の国益に直結する。台
湾海峡は日本の重要なシーレーンなのだ。

 つまりは、馬英九氏も謝長廷氏も突き詰めれば現状維持派なのである。中国側は謝長
廷氏が勝てば、独立志向が強まると警戒していたが、両氏とも練達の政治家なのであっ
て、現状を激変させるような政治行動を取るわけがない。

 いってみれば、馬英九氏は「親中の現状維持派」、謝長廷氏は「反中の現状維持派」
なのだ。であるならば、日本が取るべき道ははっきりしている。「馬英九の台湾」の今
後をきっちりと見据え、中国傾斜が過ぎるようだったら、これを牽制していくことだ。

 さらには、韓国に対北太陽政策を放棄する新政権が生まれたことも重視しなくてはな
らない。「馬英九の台湾」を必要以上に中国寄りにさせないよう、日韓台の連携を一段
と強めていくことだ。そこには、経済交流と同時に、自由と民主主義、人権を至高のも
のとする価値観の共有化という接着剤がある。これは中国とは相容れない基本スタンス
である。

 馬英九氏はアメリカのグリーンカード(永住権)を取得しており、選挙戦で攻撃を受
けたが(大きなマイナスにはならなかった)、ここは、馬英九氏の「親米度」に注目す
べきである。馬英九氏は「親中」以前に「親米」派といっていいのではないか。

 となれば、「馬英九の台湾」は、日米韓台の連携を強める契機として位置づけること
も可能だ。これこそが価値観を共有する仲間同士である。価値観同盟と言い換えていい
かもしれない。

 これを強化していくことだ。そこに、対中関係で日本が新たな「カード」を握る可能
性が見えてくる。福田政権はいたずらに親中姿勢を強めることしか眼中にないようだが、
これでは日本の外交パワーは生まれない。

 チベット騒乱への武力弾圧などに対して、前期の価値観同盟の基本姿勢を踏まえ、中
国を厳しく牽制する。そうでなくては日本外交はあなどられるだけだ。「馬英九の台湾」
は日本の国家戦略の再構築につながるのである。
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2>> 台湾新総統 中国も海峡の安定に尽くせ

 昨日の本誌で、馬英九新総統の就任演説の日本語訳について「日本語としてこなれて
いない箇所が少なくなく、読みにくいところが多々あります」と指摘したが、関係者の
話をまとめると、この日本語訳は台湾側から送られてきたもので、日本側には直す権限
が与えられていなかったというのが真相のようだ。

 これが中国国民党のやり方だとすれば、いかにも硬直したやり方で、今後がいささか
心配になる。

 就任演説の内容に関して、読売新聞の社説が中国の姿勢も問うているので、ご紹介し
たい。

 ただ、台湾にとってはアメリカ、日本、中国との関係からいえば、日米がその核とな
るのだから、日本政府は台湾を「非政府間の実務関係」と位置づけているが、実務協議
できるよう、まず国家公務員の渡航制限を撤廃するのが筋だ。福田康夫首相には、そん
な素振りは微塵も感じられない。                   (編集部)
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台湾新総統 中国も海峡の安定に尽くせ
【5月22日 読売新聞「社説」】

 新しい中台関係の模索の始まりである。台湾・国民党の馬英九氏が総統に就任した。
8年ぶりの政権交代だ。

 馬総統は就任演説で、中国と早期の関係改善を目指すと同時に、台湾海峡の現状維持
を継続すると宣言した。

 中国との関係では、「統一せず、独立せず、武力を用いず」の「三つのノー」政策を
強調、中国との「和解と不戦」を訴えた。同時に中国の主張する「一つの中国」の内容
は、双方が独自に解釈するとの過去の合意を受け入れた。

 脱中国一辺倒だった陳水扁・前政権とは大きな違いだが、大陸で結党された国民党の
総統として、中国とは「統一せず」と宣言した意味は大きい。

 統一でも独立でもない、現状維持を選択する。それが住民の声の最大公約数である点
を考慮すれば、当然の判断と言える。

 中国も馬政権との対話を開始するに当たっては、こうした台湾の民意を十分に理解し、
尊重する態度が重要である。

 馬総統には選挙戦中から、中国寄りとの批判があった。それだけに対中関係を巡る考
え方をはっきり示すことで、住民の大多数を占める台湾出身者を安心させ、政権発足に
当たって、団結心を生み出そうとしたのだろう。

 閣僚人事でも、対中政策を扱う大陸委員会の主任委員(閣僚)に、李登輝・元総統を
後ろ盾にする独立派政党「台湾団結連盟」の元立法委員(国会議員)を充てた。同じよ
うな考え方がうかがえる。

 馬総統は李氏を総統就任式に招待しており、李氏の知恵も借りようとしているようだ。

 新政権の焦眉の課題は、中国市場を利用した台湾経済のテコ入れだ。近い将来には、
中国側との間で、週末の中台チャーター直行便の開設や、中国人観光客の受け入れなど
が開始されよう。

 四川大地震では、台湾からの義援金の額が、他国・地域と比べてずば抜けて多い。台
湾経済界の対中改善への期待が、それだけ大きいということだろう。

 馬総統は、台湾海峡の安全保障で、米国との関係強化を訴えた。日本を名指ししなか
ったが、「理念が通じ合う国家との連携」との表現で関係強化をにじませた。

 中国福建省には、台湾を威嚇するためのミサイル約1300基が配備されている。中国側
にこれを撤去する気配はない。

 馬政権の登場を契機に、中国も発想を変え、台湾海峡の安定に寄与することをしても
らいたい。
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3>> 日台関係早くもギクシャク 台湾 馬英九総統就任式典

【5月23日 産経新聞】

 【台北=田中靖人】台湾で20日に行われた馬英九新総統の就任式典をめぐり、日台関
係に思わぬ“つまずき”が生じている。当日のささいな発言や態度がきっかけだが、背
景には、馬総統の「親中、反日」イメージへの懸念をぬぐえない日本側と、日本の姿勢
にいらだつ台湾側との認識ギャップがある。「ボタンの掛け違い」が今後の関係悪化に
つながる可能性も否定できない。

「4年後の演説に『日本』と入れていただけるよう日本側も努力したい」

 20日午後、台北市内の総統府で開かれた昼食会。日華議員懇談会の平沼赳夫会長が就
任演説で日本に言及しなかったことに遠回しに注文を付けた。

 日本側には、馬総統が対中、対米接近を打ち出す一方、過去に日本に対して厳しい歴
史認識を示してきたことから、対日関係が軽視されるのではないか、との懸念が根強い。
平沼氏の発言はこうした不安を代表したものだったが、平沼氏の声を聞き損ねた台湾側
通訳が「4年後は日本語で上手にあいさつしてほしい」と誤訳。日本側の苦言は宙に消
えた。

 逆に馬総統は21日の記者会見で「演説ですべての国名を挙げることはできない。日本
の代表団とは昼食をとり、日台関係の重要性を強調した」と“反論”。国民党幹部は「日
本側こそ馬氏の配慮に気付き、政権交代を機に日台新時代を築く勇気を出せないものか」
と不満を漏らした。

 台湾側の言い分はこうだ。馬総統は当選後、「反日」イメージ払拭(ふっしょく)の
ため度々、「対日関係重視」に言及。日本の台湾統治に対する厳しい歴史認識を基調と
しながらも、「未来志向の新しい関係構築」に向けて微妙に姿勢を軟化させ、8日は日
本統治時代の日本人技師、八田與一の慰霊祭に足を運んだ。「知日派でありたい」とす
る馬総統は、昼食会では「台湾高速鉄道(台湾新幹線)は日本の技術だ」と持ち上げた。

 これに対する日本側の対応は外交辞令の範囲にとどまり、昼食会直後には国会議員団
全員が帰国。石原慎太郎東京都知事らも視察に出掛け、同日夜、高雄市で開かれた祝賀
晩餐会に日本側要人の姿はなかった。

 一方、同じく代表団を派遣した米国は20日、カード前大統領首席補佐官がブッシュ大
統領の親書を手渡した上、就任演説の内容や民主的な政権交代の実現を高く評価した。
さらに、歴代の米国在台湾協会所長(米国大使に相当)5人は高雄まで同行し、新幹線
内でも馬総統と会談。内容は台湾海峡の安全保障問題から米中台の関係にまで踏み込み、
陳水扁政権下で傷ついた関係修復への意欲を示した。

 国民党幹部は「日米の対応差は歴然。今後の日台関係を占うボールは日本側にある。
東アジア新時代の当事国としての意識を持ってほしい」と訴えている。
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