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メールマガジン日台共栄

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【メルマガ日台共栄:第726号】 中国国民党が圧勝した台湾の行方

2008/03/25



>>>>> http://www.ritouki.jp/━━━━━━━━【平成20年(2008年) 3月25日】

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          新しい日台交流にあなたの力を!!
<<INDEX>>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[Vol.726]
1>> 中国国民党が圧勝した台湾の行方
2>>【分析】台湾総統選挙結果
3>> 台湾の総統選挙について、日本の有識者による記者会見が開催
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1>> 中国国民党が圧勝した台湾の行方
   台湾の課題は中国国民党の台湾化と改革のエネルギーの蓄積

 3月22日夕刻、本会が主催した「台湾総統選挙見学ツアー」に参加した一行約50名は、
台北・淡水にある「海中天」というレストランにおいて、3台設置された大型テレビの
画面から台湾総統選挙の開票速報を見守っていた。

 台湾の開票速報は「中選会」(中央選挙委員会)、「媒体」(報道)、「総部」(各
選挙対策本部)の3つの開票状況が同時に映し出される。「媒体」の数字が先行し「総
部」がそれに続く。もちろん「中選会」の数字が確定数字でもっとも遅い。

 午後4時に投票が締め切られ、開票速報がはじまってから馬英九候補が終始リードして
いた。

 私どもがレストランに入った5時半すぎ、中国国民党の馬英九候補は民進党の謝長廷
候補に100万票以上の大差をつけてリードしていた。すでに大勢は決まっていた。午後6
時過ぎ、馬英九氏に当確が出た。溜息がもれた。

 開票結果は、馬英九候補が7,658,724票(58・45%)、謝長廷候補が5,445,239票(41・
55%)と221万票もの大差をつけて圧勝した。翌日の「中国時報」と「聯合報」は立法
委員選挙と同様、見出しに「狂勝」と付してにぎにぎしく報道していた。

 投票率は76・33%とあまり伸びなかったが、例えあと10%(約170万票)伸びて、その
すべてが謝候補に投票したとしても、謝候補は当選できなかった。

 総統選挙と同時に行われた2つの公民投票は、投票率が36%と、公民投票の全有権者
(17,313,854人)の半数以上という規定をクリアーできず不成立となった。

 ちなみに、民進党が提案した台湾名による国連加盟には5,881,589票(有効得票率=
33・97%)、中国国民党が提案した中華民国などによる国連復帰には5,686,369票(有効
得票率=32・84%)と、公民投票では民進党が約20万票上回っていた。

 台湾の総統選挙の分析はすでに多くのところで出ている。管見では、その中で最も的
確な分析はメールマガジン「台湾の声」だった。下記にご紹介したい。

 この結果をもたらした最大の要因は、いろいろな意味で、やはり陳水扁総統とその政
権運営に対する台湾人の不満である。

 民主化が定着し、台湾人意識が今や70%を超えようとする台湾において、いかに中国
国民党を台湾化できるか、これからが台湾人の真価を発揮すべきところだ。

 中国は馬英九氏を全面的に支持しているわけではない。むしろ、米国との関係を懸念
している。日本人としては、馬英九政権が今後どのように台湾をリードし、中国、アメ
リカ、日本との関係をどのように舵取りしていくのかを注意深く見守りたい。

 一方、大敗した民進党では大幅な世代交代が図られ、恐らく葉菊蘭・総統府秘書長が
謝長廷氏の後任として党内をまとめていくことになるだろう。すでに中国国民党に乗り
換えようとする議員も出ている民進党だが、台湾人の声なき声をどのように救いあげて
改革のエネルギーとしてゆくのかを見守りたい。

 当選後、尖閣諸島を日本との領土問題にしようという意向を表明している馬英九氏で
もあるので、今後、反日姿勢を打ち出すことは考えられなくもない。しかし、今のとこ
ろ日台関係を決定的に変更し、敵対させるような要因は考えられない。民主化の流れも
変わるまい。とすれば、政権が変わっても、日本にとって台湾が生命線であることに変
わりはない。

 したがって、今後も、WHOなど台湾の国際機関への加盟を推進することや、日本か
らの局長や事務次官級訪問の実現が、台湾の孤立化を引き止め、中国への傾斜を防ぐこ
とになる。日本との政府間交流を促進させ、またこれまで以上に民間交流を深めるべく
微力を尽くしたい。
                   (メルマガ「日台共栄」編集長 柚原正敬)
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2>>【分析】台湾総統選挙結果

【3月24日 メールマガジン「台湾の声」】

                              台湾の声」編集部

 2000年5月、陳水扁総統は就任式で「中共に武力行使の意図がない限り、任期中は
(1)『台湾独立』を宣言しない(2)(中華民国という)『国名』は変えない(3)
『二国論』を憲法に盛り込まない(4)『統一か独立か』を問う住民投票は行わない
(5)(統一の道筋を定めた)国家統一綱領を廃止しない──という「5つのノー」公
約した。

 米国からの圧力もあったと聞くが、総統就任時に早くも「台湾共和国」建国の目標を
放棄して、自らを縛ってしまった。2004年の再任時は、「新憲法制定」を公約にして当
選したので、 この「5つのノー」は踏襲されないだろうと支持者は期待したが、陳総
統はまたもこの「5つのノー」で自らを縛った。結果的に、「中華民国」体制から脱却
できるという支持者の期待を裏切ることになってしまった。

 陳総統は「台湾独立」の定義をはっきりさせなかった。あのとき「独立宣言しない」
とか「国名を変更しない」と約束するのではなく、もっと早く謝長廷氏のように「台湾
の独立した現状を守る」と強調したり、中国が定義する台湾独立問題が存在しないこと
や、台湾の国名変更問題は台湾の内政問題という立場を明確にするなどして、米国や日
本などの理解を促すべきだった。

 また、民進党は経済的に中国への積極開放を進めた結果、台湾の伝統産業の空洞化が
起こった。経済が悪くなったという批判に、「でも経済成長率はよい」と主張しても逆
に反感を持たれる。失業率増加の原因や賃金が上がらない原因をはっきりさせ、台湾国
民に粘り強く説明すべきだった。中国への過剰な進出が経済悪化の原因となっているこ
とが説明不足だったため、台湾国民は中国と経済交流を強化したほうが経済が活性化す
るという国民党の主張に期待を持ってしまった。

 謝長廷氏は現在の中華民国憲法は「憲法一中」(憲法上は「一つの中国」)でアモイ
(厦門)も憲法上は中華民国大陸地区だという主旨の発言をして批判されたことがある。
これを謝氏は「改革の対象」と主張したが、では実際に憲法をどう改正するのか道筋が
示せなかった。というのも、2005年の憲法改正で、憲法改正手続きおよび国民投票のハ
ードルが高くなり、憲法改正および新憲法制定がほぼ不可能になってしまったからだ。

 また、陳総統は2004年に「新憲法制定」を公約にし、2008年から実施することを目標
としていたのに、はっきり国名を「台湾」にすると打ち出すことができず、ごまかしな
がらの中途半端な憲法改正にトーンダウンしたため、とうとう新憲法の見本を示せなか
った。これが、支持者や中間層に「台湾新憲法」は実現不可能だと思わせてしまい、理
念より利権の国民党へ流れていった。

 謝氏が訴えた「和解と共生」の理念は素晴らしいが、謝氏自身が「虎に出合い、羊が
寛容や共存を持ち出しても意味がない」と語ったように、羊(民進党)は「共生」を呼
びかけたが、立法院(国会)で絶対多数を得た虎(国民党)の支持者を民進党に引き寄
せるには至らなかった。もちろん、勝負に勝ったあと、虎になった謝氏が「和解と共生」
を実行してこそ意味があったので、残念だった。

 このほか、陳水扁総統およびその家族に対する不満が民進党への不満となっていたの
が謝長廷氏にとって不利に働いた。利権で支持を集める国民党支持者は国民党の汚職に
寛容だが、理念で支持を集める民進党の腐敗には「疑惑」が浮上するだけでも台湾の有
権者厳しかった。国民党の格好の攻撃材料にされ、台湾人意識に訴える政策さえも、陳
総統周辺のスキャンダルをそらすためのものと思われてしまった。

 民進党は自由な民主政党なので、党内批判も自由にできる。しかし、総統選挙や立法
委員選挙の党公認候補者選びの過程において、内紛が絶えず、親民党との選挙協力に成
功した国民党と対照的に、立法委員選挙で民進党は台湾団結連盟(台連)との候補者選
びで激しく対立してしまい、団結や感動が冷めてしまった。

 民進党と台連が決定的に対立した原因は、2005年の憲法改正による小選挙区制の導入
である。台連は少数派の民意を尊重するためにドイツ式(得票率で総獲得議席が決まる)
を主張したが、民進党と国民党の2大政党が手を結んで、小政党が生き残れない日本式
に近い小選挙区制を導入してしまった。また、比例代表では、5%のハードルが設けら
れ、台連以外にもミニ政党が乱立したため、第3勢力の票が分散し、台連も5%を超え
られず、議席をすべて失った。

 民進党は当時第1党であれば小選挙区でも勝てると考えていたのだろうが、国民党と
親民党を足して過半数だった国会の状況を考えれば、これは民進党には不利な制度だっ
た。各選挙区は県長選挙と市・郷長選挙のちょうど真ん中の規模だが、これは地元利権
派の政治家が影響力を発揮するちょうどよい大きさだった。

 国民党は地元利権派の候補調整にうまく行ったので、小選挙区での戦いを有利に進め
た。

 小選挙区で大勝した国民党は、組織をフル活用できた。一方、民進党は落選した台連
の一部の議員が選挙の怨念からか国民党支持に回ってしまい、特に台連元議員が国民党
支持を表明した高雄市と台南市では国民党の得票のほうが多かった。

 民進党は、今後政権の座から下りて野党になるが、台湾にとって幸いなことは、野党
が台湾派になったことだ。これまで、民進党は与党の立場であったとき、国会で多数を
握る野党が中国的な立場から攻撃するため、「ねじれ」状態が8年間続いた民進党は理
想や目標をはっきり語れなかった。今後、国民党は中国からの脅威に直接与党として向
き合うことになり、少しは現実路線になるだろう。

 従来、中国の意を受けた外国の反対などに、国民党が呼応して政府を攻撃して台湾の
足を引っ張ったりしたが、今度は台湾に根ざした台湾にとって建設的な批判や対案が野
党から示されることになる。これは長期的に見れば、国民党の台湾化を促し、台湾派の
2大政党という理想には近づくかもしれない。

 民進党の今後の役割は、国民党が台湾路線から外れないよう監督し、国民党の台湾化
を促すことが重要となるだろう。
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3>> 台湾の総統選挙について、日本の有識者による記者会見が開催

【3月24日 台湾週報】

 台湾の「第12代総統・副総統選挙」は3月22日に投開票が行われ、同日夜、中国国民
党公認の馬英九・総統候補および蕭萬長・副総統候補が選出された。

 同日夜、日本の台北駐日経済文化代表処においてもプレスセンターを開設し、同選挙
の開票状況を伝える衛星同時中継を行った。選挙の大勢が明らかとなった後、同処で記
者会見が開かれ、選挙の結果についての分析が日本の政治、軍事、経済関係の有識者に
より行われた。この記者会見には、元駐タイ国大使であり、国際問題評論家である岡崎
久彦研究所の岡崎久彦・所長、軍事評論家の平松茂雄氏、経済評論家で大陸問題研究協
会の高野邦彦・会長、自民党青年局次長の山際大志郎・衆議院議員、在日台湾人同郷会
の河元康夫・会長等が出席した。

 今回の選挙結果について、岡崎所長は、「今度の選挙は民主主義の結果である。この
結果により、民主主義が続けば良いことであり、台湾の人が台湾の将来を決められる社
会が今後も続けられるのであれば、選挙での勝ち負けは大したことではない。そういっ
た意味で、次期政権が民主主義を動かすことがなければ、今回の選挙は民主主義の勝利
といえる。中国もこの選挙の結果が『統一』を認めたと間違ったメッセージにとらえた
ならば問題であり、これは社会不安にも関連してくる」と述べた。

 平松氏は、「台湾・中国の軍事バランスは中国に傾きつつあり、台湾海峡の安全維持
は日米両国の柔軟な対処にかかっている。中国がこのまま経済成長を続けていけば軍事
力も増大し、台・中関係に影響を及ぼすものであり、注意深く観察していかなければな
らない。中国は経済的に発展しつつあり、台湾の人たちは、中国が変わってきていると
表面的な面のみをとらえて見ているが、中国共産党のその本質はかつての姿と全く変わ
るものではないという、その本質に気が付いていないことが心配であり、これは日本人
にも当てはまることである」と指摘した。

 高野会長は「経済面で見ると、台・中経済関係が今回の大きな争点であり、台湾が中
国との関係の壁を高くするか低くするかの問題であったが、台湾の国民は『安定を中心
とした、大陸との関係強化』を選んだ。次期政権が急激にこれを進めると反動が出てく
る。そのため、ある程度、壁を高くしたほうが、台湾にとり良い結果が出てくると思う」
と分析した。

 山際議員は「日台は地理的、文化的、経済的にも深い関係がある。今回の選挙が民主
主義のルールに従い、粛々と行われたことに歓迎の意を表する。日本は地理的に近い台
湾と、今後も共存共栄の関係を築いていきたい」と述べた。

 また、在日台湾人同郷会の河元康夫・会長は「3月13日から台湾人同郷会の会員たち
と台湾全土を回り、選挙応援をしてきた。台湾の選挙は非常に民主的でお互いに応援し
合っていた。こういう選挙が続けば台湾は良くなっていく。世界各国の人々が台湾につ
いて応援してくれたことに感謝する。台湾は政権が変わっても急激に変わっていくこと
はないであろう」と選挙全体についての感想を述べた。
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  • 名無しさん2008/03/25

    国民党が政権獲得したとはいえ悲観することはない。日本と台湾の民間人同士が今まで以上に協力し民進党を応援すればよい。