国際情勢

メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や、他では知りえない台湾情報などを、日本李登輝友の会の活動とともに配信するメールマガジン。

全て表示する >

【メルマガ日台共栄:第717号】 李登輝前総統の「諸君!」発言が総統選の流れを変え謝長廷候補が急追

2008/03/09



>>>>> http://www.ritouki.jp/━━━━━━━━【平成20年(2008年) 3月9日】

  ☆★☆★ 日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」 ☆★☆★
          新しい日台交流にあなたの力を!!
<<INDEX>>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[Vol.717]
1>> 李登輝前総統の「諸君!」発言が総統選の流れを変え謝長廷候補が急追
2>> 李登輝前総統会見記 [時局心話會代表 山本 善心]
3>>【新刊紹介】黄文雄著『蒋介石神話の嘘』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1>> 李登輝前総統の「諸君!」発言が総統選の流れを変え謝長廷候補が急追

 3月4日、台湾メディアは、李登輝前総統が台湾総統選挙について、「諸君!」4月号
において初めて見解を表明したことを大きく取り上げた。

 李前総統は深田祐介氏との「諸君!」4月号の対談において「謝さんがあっさり大差
で敗北してしまえば、台湾の民主化は20年遅れてしまうでしょう。しかし、馬さんを僅
差で追い上げられれば、両党の旧勢力が一掃され、大幅に世代交代が進む可能性があり
ます」と述べるとともに、「場合によっては、第三勢力の結集、国民党の分裂など、政
界再編もあるかもしれない」と、非常に興味深い発言をしている(3月5日発行本誌第71
3号参照)。

 この発言は、台湾の一部では李前総統が謝長廷氏支持を表明したものと受け取られ、
総統選挙の流れが一挙に変わり、民進党候補者の謝長廷候補の急追に拍車をかけてい
る。

 謝長廷氏自身も4日、「李登輝前総統の意見を尊重する」と述べるとともに、「ホー
ムページでも多く見るが、民進党支持でも謝長廷支持でもない人たちが、この問題を憂
慮している。李登輝前総統は自分の考えを述べたのかもしれず、皆の意見を代弁したの
かもしれない」と、中国国民党を支持する台湾人であっても民主化の後退を憂慮してい
るとの見方を示した(3月4日付「Radio Taiwan International」)。

 「世界日報」がかなり詳しく総統選の様子を伝えているので、ご紹介したい。
                                  (編集部)
--------------------------------------------------------------------------
逃げる馬氏、追う謝氏−台湾総統選
李前総統発言が謝氏後押し「大差敗北なら民主化20年遅れる」
対中開放推進では一致

【3月6日 世界日報】

 22日の総統選挙へ終盤戦を迎える台湾では、支持率で終始リードする最大野党・国民
党の馬英九総統候補と与党・民進党の謝長廷総統候補の間で激戦が展開されている。勝
敗のカギを握るのは無党派層。双方とも中国への警戒感を示しながらも対中経済の改善
と景気浮揚策をアピールしている。
 李登輝前総統が日本の月刊誌「諸君!」で行った発言が波紋を呼んでおり、最終盤の
流れが微妙に変わる可能性もある。              (香港・深川耕治)

 3日、最新の各世論調査でも両者の支持率差が徐々に縮まり、中山大学政治学研究所
の廖達!)教授による調査結果では10ポイント差まで迫ったことを明らかにした。 

 すでに1日、国民党の呉伯雄主席は台湾内の退役軍人の集会で「党内の独自調査では
馬英九候補と謝長廷候補の支持率は現段階でわずか10ポイント差まで縮まっており、5
ポイント差まで急追されかねない状況だ」と語り、党内に楽勝ムードが漂うことに強い
警戒感を示している。

 終盤戦の山場の一つは、国民党政権が1947年2月28日に本省人を弾圧した二・二八事
件の記念日。香港生まれの外省人(中国大陸出身者とその子孫)である馬氏は28日、「
当時の国民党政府の腐敗や無能にある」として自党の過去を糾弾、同事件の遺族との直
接交流を深めて本省人(戦前から台湾に住む人々)の不信感を和らげた。

 「国民党は嫌いだが馬氏は支持する」との中間層支持者が以前より増えた。先月24日
に行われた総統候補同士の初テレビ討論会では「私は台湾人であり、中華民国の国民だ。
死んで灰になっても台湾人」と強調する。

 また、対中政策については「統一や独立、武力行使はしない」と中国との統一協議に
応じないことを表明。半面、景気浮揚のためにも、中国との直行便については「段階的
に拡大して定期便化する」とし、中国大陸への農産品輸出拡大の機会を増やし、3通(中
台間の交通、通商、通信の直接開放)についても積極推進を強調した。

 一方の与党・民進党の謝氏は本省人で独立志向。しかし台湾経済のために対中経済開
放を推進することを約束している。航空チャーター便に関して春節(旧正月)などの祝
日のみではなく3カ月以内に毎週末に拡大するとし、3通に関しても「台湾の安全確保」
を前提に推進すると言明。NGOや民間基金による外交拡大を目指し、台湾農産物の生
き残りを懸けた一村一品運動を重視し、中国の農産物輸入は行わない意向を示した。

 与党連合のパートナーである台湾団結連盟(台連)を中心とする本土派の足並みがそ
ろわない中、流れを変えたのは台連の精神的指導者、李前総統の新発言だ。

 李前総統は日本の月刊誌「諸君!」4月号で「謝氏が大差で敗北すれば台湾の民主化
が20年遅れてしまうが、馬氏を僅差(きんさ)で追い上げれば両党の旧勢力が一掃され、
大幅に世代交代が進む可能性がある」と述べたことが4日、台湾メディアで一斉に報じ
られ、与野党の攻防を激化させている。

 李前総統は同誌上の作家・深田佑介氏との対談で「世論調査の結果を見ると徐々に謝
氏が追い上げ、後者のシナリオが進む可能性が高まってきた」「場合によっては、第三
勢力の結集、国民党の分裂など政界再編もあり得るかもしれない」と述べ、急追する与
党・民進党の謝長廷候補が逆転勝利する可能性を期待感をにじませながら示唆。

 最大野党・国民党の馬英九候補については「馬氏は親中反日、謝氏は反中親日といっ
たような短絡的な見方は間違い」「馬氏は世間で言われているほど北京政府との関係は
深くない。米国との関係は予想以上に深いものがあり、北京政府はそれを察知したので
はないか」と述べており、これらの部分が台湾メディアで大きく取り上げられている。

 李前総統はこれまで総統選で両候補いずれにも支持を表明せず、長い沈黙を守ってき
ただけに、謝候補が大敗すれば民主化が後退するとの発言は台湾でも注目されている。
台連は1月の立法委員(国会議員)選挙で1議席も獲得できなかったが、比例代表で3・5
%の政党票を獲得。台連内部でも馬氏支持に動く造反派も現れる中、李氏の発言は急追
する謝氏にとって有利に働きそうだ。

 劣勢を挽回しようとする与党・民進党は16日、台湾名義での国連加盟を呼び掛ける1
00万人規模の集会を準備しており、逆転勝利へ弾みを付けるラストチャンスに勝負を挑
む。一方、野党・国民党も同日、大規模な集会を準備して対抗しており、馬候補当選に
よる8年ぶりの国民党政権復帰へ逃げ切りを図る公算だ。

 国民党総統・副総統候補の馬英九・蕭万長ペアは、これまで有権者と親しく握手する
パフォーマンスで幅広い支持者を増やそうとしていたが、2日夜の支持者集会から突如、
防弾チョッキを着用した。移動用の車も防弾設備を加えたトヨタ車に変えた。暗殺予告
の脅しは昨年末から始まり、国家安全局の警備メンバーらは厳戒態勢を強化しながら警
護している。野党側が脳裏によぎるのは4年前の総統選での陳総統へのテロ事件だ。暗
殺を含め、ぎりぎりでどんでん返しの可能性がゼロとは言い切れないからだ。

 リードを続ける馬氏、急追する謝氏という構図だが、現時点では「逆転までには至
らない」との見方が強い。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2>> 李登輝前総統会見記 [時局心話會代表 山本 善心]

【2月21日・28日 山本善心の週刊「木曜コラム」第170号・171号】

李登輝台湾前総統会見記

                          時局心話會代表 山本 善心

 2月15日、弊会(時局心話會)の企業経営者からなる30余名の訪台団が、東京・名古
屋を出発。到着後すぐ呉阿明氏(「自由時報」董事長)を表敬訪問、翌日の朝刊で会見
の様子が報じられた。滞在中は李登輝前総統と会見、また選挙事務所に謝長廷総統候補
を訪ねて激励する。しかし台湾総統選の最中にもかかわらず、街中が静かな印象を受け
たのは筆者だけであろうか。

 テレビ番組は馬英九候補の動静で埋め尽くされ、謝氏の映像が少ないという印象を受
けた。「これでは馬氏が圧倒的優勢と思われても仕方がないね」という参加者の声を聞
く。15日の午後5時から弊会主催のシンポジウムが開かれ、陳雅琳氏(ニュースキャス
ター)は今回の総統選について、黄石城氏(前国務大臣)は李氏総統時代のリーダーシ
ップ論などを元側近として語った。

 翌16日午後3時より、我々一行は淡水にある李氏の研究所を訪問した。

 当初は1時間の予定であったが、話に熱が入り2時間近くに及ぶ。弊会の参加者は普
段から勉強熱心な方々ばかりで、活発な質疑に前総統も思わずにっこり。下記は李氏の
講演内容の要約である。

【日本に残された課題】

 台湾政局の混乱、民主政治の行き詰まり、アメリカとイスラム圏の衝突、アメリカの
国内機構の麻痺、ロシアと中国、中東紛争の長期化など、国際問題は数多くの課題を抱
えている。今回は「東アジアにおける主導権をめぐる日中競争と日本のとるべき対策」
など、日本と中国の経済関係、リーダーシップの問題に焦点を絞って話をしたい。

 2月18日、私は『最高指導者の条件』という著書をPHPから出版する。これは総統
としての12年間の経験を述べたもので、主に以下の項目について触れている。今回は日
本語での出版だが、台湾の選挙関係者にもいずれ読んでほしいと思う。

!)指導者が持つべき哲学:信仰、信念、使命感など
!)組織を率いる力:リーダーシップ、現場主義、決断力、愛国心、エリートの育成など
!)上に立つ者の行動原理:忍耐力、惻隠の情、大局観、発想の転換、行動力と意志など

 国際社会の状態が激変する中、東アジア情勢も変貌を遂げている。60年前の敗戦から
起ち上がり経済大国として再生した日本は今、物質面のみならず生命力と創造力を持つ
国として生まれ変わるべき時に来ている。小泉元首相による政治改革は画期的だったが、
まだ改善すべき点が残されている。

 まず憲法を改正し、自衛隊が海外で自由に活動できるようにしなければならない。国
家安全会議の設立が安倍内閣消滅とともに挫折したのは残念だった。安全会議は、強い
内閣を生み出すためになくてはならない機構であった。

 また教育基本法の改正を通じて、国民のアイデンティティを確立することが求められ
る。アメリカ式の自由散漫な教育が行われている現状を廃し、日本人の品格と教養、愛
国心を養うことは、教育の基本であろう。

【アジアの状況と覇権争い】

 北京オリンピックの今年、アジア情勢に動乱が起こる可能性は低いだろう。

 だが2009〜10年、アメリカと中国の間で太平洋の覇権をめぐる争奪戦が発生すること
は考えられる。そしてアメリカがイスラム対策に縛られたままでいれば、アジア地域の
政治は第二次大戦時まで後退するかもしれない。政治覇権をめぐる競争が活発化する中、
東アジアのリーダーシップ競争の主力は日本と中国になるだろう。

 では新たな東アジア情勢の中、日本は果たしてアジアのリーダーシップをとれるか?
 残念ながら、今は程遠いと言わざるを得ない。週刊「東洋経済」でも発表したことだ
が、日本は依然として旧来のやり方から抜け出せていない。まず、金と権力さえあれば
よいという体質・派閥政治から脱却しなくてはならない。そのような改革制度を作り出
すのが政治家の役割だ。

 日本の政党政治のもとでは残念ながら、小泉元首相でさえ全面的な改革に踏み切れな
かった。民主国家であれば、総理は立候補制で決めるべきではないか。台湾も同じ問題
を抱えているが、根回しで元首を決める制度はやはり問題がある。

【新たな時代に対応せよ】

 たとえばバブルの後始末の問題がある。1985年以降、大量に入ってきた外貨が日本銀
行に集中した。金余りによるインフレーションが土地や株の高騰をもたらし、それがバ
ブル崩壊につながった。そのツケが今も日本を苦しめている。

 しかし台湾では私の在任中に各官僚を説得して、外貨を中央銀行に入れず、各銀行で
預金する方針をとった。そのためインフレは起こらず、90年代のアジア金融危機も無事
に乗り切ったのだ。また実現しなかったが、郵便貯金の撤収も視野に入れていた。

 かつて、お金とは計算のための道具であったが、今では商品そのものになっている。
つまり金で金を買う時代であり、昔のやり方では通らない。世界金融資本が世界を回っ
ているのだ。この時代を乗り切るためには新しい状態に対応した考え方が求められる。
アメリカのサブプライムローン問題に世界が引きずられているのも、金融が世界を回る
グローバリゼーション化によるものだ。

 電子産業についても、台湾の企業はいわゆるバーティカル(垂直的)な方法はとらず、
むしろ横に広がる形=分業を重視する態勢をとった。最初から半導体を作ることはなく
まず設計から入り、政府が技術者に貸し付けて会社を作らせ、減税・免税する措置を行
った。台湾はNECやシャープのような日本の大企業の下請けから国際的にシェアを広
げ、現在、電子産業ではアメリカ、日本、ドイツに次ぐ世界第4位のシェアを持ってい
る。

【今こそ新しい指導者を】

 経済でも技術でも世界に突出する日本だが、必要なのは優れた指導者だ。中国の指導
者に対抗できる人材はおらず、冷凍食品問題でも強く出られない。中国はいま大きな変
化を迎えつつあり、国内でもさまざまな問題を抱えているが、それをどう利用しどう助
けるか、正しく判断して行動に移るべきではないか。

 現在、伸び悩んでいる日本の国内消費を促進するため、オリンピックも大いに利用す
るべきだ。参加者や観客に、日本の持つ技術や商品で何が喜ばれるかを考え、ギョーザ
問題に拘泥するよりまず物を売ったほうがよい。

 アジアの主導権争いにおいて、自国の経済・金融・国のパワー・文化をもって中国に
頭を下げさせる指導者が、日本にはいない。日本にそれができないのは、政治が現場を
見ていないからだ。

 一例を挙げると、私は先日の靖国参拝について「中国への挑戦なのか」とマスコミに
聞かれたが、これは私の個人的な問題に過ぎない。実際、中国もほとんど何も言ってこ
ない。これを挑戦だなどというのは20年以上前の考え方である。韓国も歴史認識を選挙
や外交の道具として長年使ってきたが、新大統領である李明博氏はもうこの問題にこだ
わっていない。それが正しいのだ。

【指導者の条件とは】

 経済、技術で大きな力を持っていながら、指導者がだらしなさ過ぎるのが日本の現状
である。これも週刊「東洋経済」で述べたことだが、アジアで米中が覇権を争う中で、
日本はもっと主体的に行動し、東アジアを指導する国としての自信を持つべきだ。軍国
主義は論外だが、東アジアの安全保障にはもっと関与してよい。経済協力などさまざま
な分野でもっと自信を持ち、幅広く活躍してほしい。

 指導者になりたがる者は多いが実際にその地位につける者は少なく、成功する者はさ
らに稀である。指導者に必要なのは常人の及ばない気概、自らを激しく奮起させ新たな
未来を作る能力だ。成功の機会は限られているのが現実であり、鍵を握るのはやはり素
質と能力である。指導者にこの二つが不可欠なのはもちろんだが、指導者を選ぶ側にも
やはり素質と能力が必要となる。

 さらに民主国家における指導者は、民に対して誠意をもって民意をくみ、長期的な計
画をもって国民の幸福に寄与するべきだし、民もそのような人材を選ぶべきだ。その意
味では指導者も民も、出発点と願望は同じなのだ。

 これが指導者を選ぶ側として、また指導者として私が自他の経験から得た、指導者の
条件である。
--------------------------------------------------------------------------
質問 「中国の台湾侵攻の可能性はあるのか」

─ 今後、西太平洋において、恐らくアメリカと中国のシーレーンをめぐる争いが起こ
るだろう。かつて地政学上の視点から「沈まない航空母艦」と呼ばれた台湾だが、いま
大事なのは航空母艦などではなく、武器と戦略である。一方、武器という点において、
ミサイルやロケットのような電子産業ではむしろ日本が優勢なので、日中間に戦争が起
きることはまずないと考えられる。台湾問題についても同様だ。

 中国はアメリカの原子力潜水艦やミサイルの能力などを恐れており、対米関係にはひ
どく気を遣っている。国際関係においては「戦わずして勝つ」が重要であり、日本も自
分の持つ経済力や技術力をもっと発揮すべきではないか。

質問 「政治が弱くリーダーシップある指導者もいない日本が、力を発揮するにはどう
 したらよいか」

─ 軍国主義に戻るのではなく、民主主義の制度内で力を集めるべきだ。今のような政
党政治の権力争いにとらわれずに、政治家は未来の日本のあり方についてのメッセージ
を国民に発信してほしい。

質問 「経済が強いと言っても、日本は多額の借金を抱えている。企業も多額の税金を
 徴収されることを諦めざるを得ない状態だ。これらの難関を打開するにはどうしたら
 よいか」

─ 税金を下げることだ。台湾では企業から営業税や営業所得税を取っていたが、私は
総統時代にこの2つを統合、税率を27%から17%まで引き下げた。その結果、税収がア
ップしたのだ。税率が高すぎると国内に金が貯まらない。贈与税も45%から10%にまで
下げ、浮いた35ポイントを国のために振り向けるようにした。経済学的なマーケットメ
カニズムでは金持ちにしか金が行かないから、富を公平に分配するには政府が手を入れ
なければならない。

質問 「日本の官僚や政治家はアメリカという壁に阻まれている。その現状を打破する
 ために、李閣下のような外部からもっとメッセージを発信していただきたい」

─ いずれ中国とアメリカが覇権争いになったとき、アメリカは日本を頼らざるを得な
い状況にある。しかし先の戦争以来、アメリカは日本に圧力をかけるのが癖になってい
る。

 アメリカ人は実際的な反面、哲学に欠けるところがある。日本人は技術の他にも自然
との調和力など優れた精神性・世界観を持っているのだから、こうした素晴らしい面を
もっと自覚して、アメリカの壁を打ち破るべきだ。まず憲法、教育基本法を見直して、
日本文化の伝統的な良さを取り戻す必要がある。

質問 「これからは台湾、日本、韓国の3国がしっかり手を携えて、中国と共存してい
 かなければならないのではないか」

─ 台湾の安全は日本に握られていると言っても過言ではない。中国も変わってきつつ
あるが、旧態依然としたところがまだ残っている。アジアの価値を下げる皇帝型・帝国
的な中国のやり方は改めるべきだ。

質問 「本日のようなお話を日本の学生にも聞かせたい。大学関係者なので、ぜひ李前
 総統をお招きしたいが、いかがだろうか」

─ 日本の若い人たちに、精神的な道徳や伝統・文化の重みを国が伝えていない。日本
人が目先の利害にばかりとらわれていれば、真の進歩などあり得ないだろう。日本人特
有の精神とは「大和魂」であり「武士道」であると思う。それは日本人の行動基準であ
り、生きるための哲学だ。機会があれば、いつでも日本で講演させてほしい。

質問 「最近出回った『台湾の民主化の道』というDVDによると、『李登輝は一体
 何者だ』『コロコロ考えが変わる』との批判が一部にあるようだが」

─ 台湾大学史学科の呉密察教授は、「李登輝氏は大正世代に生まれて徹底的に日本の
薫陶を受け、忍耐・自制・秩序を重んじ、公のために奮闘・努力する精神を身につけた
人である」と言っている。この考えに私は同意するが、実践躬行(じっせんきゅうこう、
自分で実際に行動すること)が述べられていない。日本的教育は、武士道の実践に意義
があるからだ。

 時代は大きく変化している。人間の考えや行動は、時代の変化に適応することが肝要
だ。世界がどんどん変わっているのに、政治や経済が変わらないなら国が衰退するだけ
だ。しかし、国の精神や伝統・文化、企業の理念・哲学は未来永劫変わってはならない。

質問 「一国の指導者であった李前総統から、指導者の条件について聞かせていただき
 たい」

─ 指導者であるのは容易なことではない。団体の大小を問わず、基本的に考えの違う
人々を従え、同じ目標に向かって前進するわけだから、大変な挑戦といえるだろう。ピ
ーター・ドラッカーは「知識のある人ほど管理しにくい。しかし、知識のある人を使う
ことは目標を達成する最良の方法だ」と言っている。

 指導者は専門家と違い、側に立ってしっかり努めればよいというのではない。いつで
も最前線に立って、随時判断し、決断し、実行しなければならない。

日本の企業の社長・会長は「トップは物事を“現場”で処理しろ」と言っているが、企
業がバブル崩壊後の業績悪化から立ち直ったのは、経営者が現場を重視したからではな
いか。

※訪台の写真集は弊会HPを御覧下さい。
 http://www.fides.dti.ne.jp/~shinwa/jikyokushinwakai/08taiwan.html

時局心話會
東京都台東区池之端2−2−8 3F
電 話:03-5832-7231 FAX: 03-5832-7232
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3>>【新刊紹介】黄文雄著『蒋介石神話の嘘』

 本書は、蒋介石の生い立ちから命終までを、厖大な史料を駆使して丹念にたどり、そ
の虚像、すなわち「神話」を徹底的に暴いている。

 日本では蒋介石の「以徳報怨」という神話をいまだに信用している人々や団体がある。
しかし、その蒋介石神話は本書によって完全に崩壊した。

 台湾での「神話」の崩壊は日本以上に進んでいる。蒋介石統治を象徴していた中正記
念堂が「台湾民主記念館」と改称されたことがそれを如実に物語っている。神話化に拍
車をかけたのが蒋介石像で、それは43,000体も造られ(10万体という説もある)、台湾
ではどこへ行っても見られた。だが近年、倒されたり撤去されたりして、どんどん少な
くなっている。

 カバー表紙は、蒋介石像を台湾各地から集めた桃園県大渓の「慈湖紀念雕塑公園」だ
が、何とも薄気味悪い。カバー写真の撮影者で、台湾留学中の早川友久氏(本会初代青
年部長)は「あそこには一人では行きたくない。夜は特に遠慮したい」と洩らしている。
まさに墓場であり、蒋介石の現在を雄弁に語っている。

 本書カバーの裏の写真は、蒋介石の「身分証」で、学歴欄に「日本士官学校」とある。
蒋介石は日本の陸軍士官学校には入学していない。蒋介石が日本に留学して学んだのは
東京の振武学校という、陸軍士官学校の予備校だった。この明らかな学歴詐称が蒋介石
「神話」を象徴している。

 著者の黄文雄氏は、まさに蒋介石独裁下の台湾に青少年時代を過ごし、どのようにし
て蒋介石が神話化されていったかを肌身で知る世代だ。だが、「本来なら蒋介石を神と
して崇拝すべきだったのだろうが、大多数の台湾人と同じく、悪魔としてしか映らなか
った。なぜなら、あの時代はもっとも台湾人として生まれた悲哀を実感させた白色テロ
の時代だったからである」(本書「まえがき」)と述べている。

 台湾を理解するためには欠かせない一書である。           (編集部)

■書名 『蒋介石神話の嘘』
■著者 黄 文雄(文明史家、評論家、日本李登輝友の会常務理事)
■版元 明成社 http://www.meiseisha.com/
■体裁 四六判、並製、本文316ページ
■定価 1,575円(税込)
■発売 平成20年3月22日

●書店発売は3月20日ころですので、本書をご希望の方は日本李登輝友の会までお申し
 込み下さい

・1冊〜9冊のご注文 → 送料サービス
・10冊以上のご注文 → 1割引・送料サービス

●お申し込み【代金後払い】
 1)お名前、2)ご住所、3)電話番号、4)注文冊数(『蒋介石神話の嘘』と書き
 添えてください)を明記の上、本会ホームページの申し込みフォーム、あるいはFA
 Xかメールでお申し込みください。1週間以内にお届けします。代金は後払い。本と
 一緒に郵便振替用紙(払込料:無料)を同封、1週間以内に郵便局でお支払いくださ
 い。

■お申し込み先
・本会のホームページの申し込みフォームなら、お手軽に申し込めます。
・日本李登輝友の会 
 FAX:03-5211-8810 E-mail: ritouki-japan@jeans.ocn.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●日本李登輝友の会へのご入会─入会申し込みフォームをお使いください
 本会へのご入会申し込みフォームをホームページに設けています。これでお手軽にご
 入会申し込みができますのでご利用ください。
 ■入会申し込み http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0005.reg

●本誌が届かなくなった方は【解除→再登録】の手続きを
 このところ、本誌「メールマガジン日台共栄」が届かなくなったという方が続出して
 います。通常は週に3回以上発行しております。購読を解除したわけでもないのに届
 かなくなったという場合は、いったん購読を解除し、それから再登録をお願いします。

1)解除手続き http://melma.com/contents/taikai/
  「メールマガジン日台共栄」のマガジンIDは「00100557」
2)メルマ!事務局から「メールマガジン解除完了のお知らせ」が届く。
3)本会ホームページのメールマガジン欄「購読お申し込み」から申し込む。
  ホームページ:http://www.ritouki.jp/
4)メルマ!事務局から本登録を完了させる「メールマガジン登録のご確認」が届く。
5)本登録。
6)メルマ!事務局から「メールマガジン登録完了のお知らせ」が届いて完了!

 現在登録しているマガジン名やマガジンIDが分からない方は、下記アドレス宛に空
 メールをお送りください。折り返しメルマ!事務局からご登録マガジンの一覧が送ら
 れてきます。
 ■登録マガジンお取り寄せアドレス ⇒ maglist@melma.com
--------------------------------------------------------------------------
日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会
の活動情報とともに配信するメールマガジン。
●マガジン名:メルマガ「日台共栄」
●発   行:日本李登輝友の会(小田村四郎会長)
●編集発行人:柚原正敬
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(C) 2007 Friends of Lee Teng-Hui Association in Japan

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2003-10-06  
最終発行日:  
発行周期:週3回以上刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。