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【メルマガ日台共栄:第657号】 国連加盟に向けた「公民投票」をめぐる動き [松本 充豊]

2007/12/08



>>>>> http://www.ritouki.jp/―――――――――――【平成19年(2007年) 12月8日】

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<<INDEX>>―――――――――――――――――――――――――――――[Vol.657]
1>> 国連加盟に向けた「公民投票」をめぐる動き [松本 充豊]
2>> 台湾の住民投票問題に誤ったシグナルを送った高村外相 [柚原 正敬]
3>> ダライ・ラマ14世との会見中止 問われるヴァチカンの姿勢 [曽野 綾子]
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1>> 国連加盟に向けた「公民投票」をめぐる動き [松本 充豊]

 来年3月の総統選挙の際に、台湾では住民投票が行われる予定です。中国は「独立の動
き」として、アメリカは「現状を変更する」という理由で反対しています。

 しかし、台湾では与野党ともに実施しようとしており、その背景や理由について、長
崎外国語大学外国語学部助教授の松本充豊(まつもと みつとよ)氏が11月15日発行の
「台湾教会報」において詳しく述べていますので、ご紹介します。

 松本氏のプロフィールなどにつきましては下記をご参照ください。なお、転載に当た
りましては、著作権者の松本氏および台湾協会の許諾を得ています。    (編集部)

http://www.nagasaki-gaigo.ac.jp/main/professor/matsumoto.htm
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【11月15日付 台湾教会報「最近の台湾情勢」】

国連加盟に向けた「公民投票」をめぐる動き

                           長崎外国語大学 松本 充豊

■「台湾」名義による加盟申請

 本年七月、陳水扁総統は国連の播基文(パン・ギムン)事務総長宛に「台湾」名義で
の国連加盟を求める申請書を提出しました。しかし、国連事務局は「一つの中国」原則
を規定した一九七一年の総会決議を理由に、この申請書を受理せぬまま返却しました。
これを受けて、陳総統は台湾名義での国連加盟の是非を問う「公民投票」を、来年三月
の総統選挙と同時に行う方針を打ち出しました。この公民投票とはレファレンダムのこ
とで、わが国の国民投票に相当します。陳総統の方針に対して、中国政府は「中国から
台湾の分裂を狙ったもの」と強く反発、米国政府の高官も「現状を一方的に変更しよう
とする動きは受け入れられない」として公民投票に反対する姿勢を重ねて表明していま
す。

 一九九三年以来、台湾当局は毎年「中華民国」名義での加盟申請を行い、その都度
「門前払い」されてきました。しかし、今回の陳総統による加盟申請は、初めて「台湾」
名義で行われたものでした。

■国連加盟をめぐる公民投票

 昨年夏から、陳総統は台湾名義で国連に加盟申請する意向を表明していましたが、今
回はその是非を問う公民投票を来春の総統選挙と同時に行う方針を打ち出しました。台
湾社会においていわゆる「台湾主体意識」はより一層高まっており、ここ一年間の世論
調査では、常に七〇〜八〇%の回答者が台湾名義による国連加盟に賛成しています。陳
総統が今回の公民投票を進める背景にはそうした民意が存在しています。

 現在、与野党双方から国連加盟をめぐる公民投票案が提案され、わが国の国民投票法
に相当する「公民投票法」の規定に基づき、その実施に向けた署名活動が行われていま
す。

 民進党が打ち出した台湾名義による国連加盟の是非を問う案は「入聯公投」と呼ばれ、
国民党が提出した「わが国の実務的、弾力的な戦略による国連復帰とその他国際組織へ
の加盟」の是非を問う案は「返聯公投」と呼ばれています。台湾では国連を「聯合國」
と表現するため、「入聯」は国連加盟、「返聯」は国連復帰を意味します。

 ただし、二つの公民投票案の内容は対立するものではありません。国民党案には、
「中華民国名義、または台湾名義、あるいはその他加盟実現の助けとなる尊厳ある名称
による国連復帰やその他国際組織への加盟を申請する」とあります。

 したがって、国民党案の内容は「中華民国」名義での加盟申請という従来の方針に沿
ったものであり、また民進党案を含んだ内容であるとも理解できます。要するに、世論
調査の結果と二つの公民投票案の内容からは、陳総統が語るように、国連加盟という点
においては台湾社会、そして与野党の間でも意見は一致しているといえるのです。

■公民投票というマジック

 それでは、どうして同様の提案が並立しているのでしょうか。台湾内部でも、与野党
双方が提案を取り下げてはどうか、あるいは国連加盟を問う新たな統一提案を示しては
どうか、という声があります。しかし、目下のところ両党とも独自案での公民投票を推
進する姿勢を崩していません。与野党が譲らないのは、公民投票を推進することが、双
方にとって総統選挙の重要な選挙戦略だからです。

 台湾では、二〇〇四年に最初の公民投票が行われました。同年三月の総統選挙を前に、
陳総統は総統選挙と同時に「中国軍のミサイルからの防衛」と「両岸の平和メカニズム
の構築」のための公民投票を実施すると表明しました。いずれも台湾住民の台湾主体意
識に訴える内容でした。この公民投票には中国政府が強く反発、そして中国政府の働き
かけを受けた米国政府や日本政府も反対を表明しました。最終的には、総統選挙では陳
総統が再選を果たしたものの、公民投票は野党陣営が投票のボイコットを呼びかけたこ
ともあり、二つの公民投票とも投票率が成立条件の五〇%に届かず、不成立に終わりま
した。

 ところが、二〇〇四年の総統選挙と公民投票のデータからは、「公民投票のマジック」
ともいえる非常に興味深い現象が見て取れます。公民投票の投票率が五〇%を超えた各
地域(各県市)では、総統選挙の得票率でいずれも与党候補(陳水扁・呂秀蓮ペア)が
野党候補(連戦・宋楚瑜ペア)を大きく上回っていたという事実です。これは陳総統の
勝利につながった一因だったと考えられます。

 今回、陳総統が台湾名義による国連加盟という台湾主体意識に訴えるテーマで、公民
投票を総統選挙と併せて実施することを進めている理由はここにあるのです。要するに、
総統選挙での民進党候補(謝長廷・蘇貞昌ペア)の得票率アップが狙いなのです。

 他方、国民党としては、国連加盟を求める有権者の声は無視できず、また前回同様た
だ反対したのでは、民進党に攻撃材料を与えることになりかねません。さらに、国民党
も公民投票のマジックが存在したことを十分認識しています。民進党案だけで公民投票
が実施された場合、二〇〇四年の再演が予測されるため、国民党も民進党への対抗戦略
として、同党案による公民投票を推し進める必要があるのです。

 台湾名義での国連加盟の是非を問う公民投票の実施をめぐっては、その国際問題とし
ての深刻化が懸念されるところですが、台湾の住民の七〇%は、たとえそうした公民投
票が実施されても中国の武力行使はないと考えているようです。与野党が互いに譲らぬ
状況が続くなかで、今後の行方が注目されます。
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2>> 台湾の住民投票問題に誤ったシグナルを送った高村外相 [柚原 正敬]

 訪中している高村正彦外相が12月3日に胡錦濤国家主席と会談した際、胡主席から「日
本が(台湾当局の)国連加盟に向けた住民投票に明確に反対して、適切に処理すること
を望む」と注文を付けられた。胡主席のこの注文に対して、高村外相は「1972年の日中
共同声明以来、日本の立場は一貫している。安心してほしい」(12月4日付、西日本新聞
=下記参照)と応じたという。

 台湾の国連加盟についてはすでにアメリカが反対を表明し、日本も日中共同声明を根
拠に「台湾を国家として扱わない」として反対を表明している。しかし、2008年に実施
予定の住民投票についてはアメリカが反対を表明しているのに対し、日本はこれまで沈
黙を守ってきた。

 ところが、高村外相が「安心してほしい」と中国側に言質を与えた。この報道の通り
だとすれば、日本は台湾の住民投票に反対する立場を表明したことになる。

 そうだとすれば、これは誤ったシグナルを中国に送ったことになる。日本はこれまで
「台湾を国家として扱わない」ことと、台湾国内で行われる住民投票とは関係がないと
の認識に立つが故に住民投票に対して口をつぐんできた。それは、2004年の総統選挙の
ときに行われた住民投票に対して、アメリカに追従するように「内政干渉」ともいうべ
き「申し入れ」を行って台湾国内に大きな混乱をもたらした反省の上に立ってのことだ
ったろうと思われる。

 そもそも日本は、日中共同声明を根拠にするのであれば、「台湾は中国の一部」とい
う中国の主張に縛られる必要はない。日本はその主張を承認しているわけではなく、あ
くまでも「理解し尊重」する立場以上でも以下でもない。また、近年の日本は台湾に対
してノービザを実施し、相互運転免許制度を承認して、台湾と中国を明確に分けて認識
している実績がある。

 ましてや、中国が台湾を代表しているという事実はない。中国がそうしたいだけであ
る。台湾を己が領土としたい中国に誤ったシグナルを送れば、日本は自分で自分の首を
絞める結果となる。台湾の次の標的が日本であることは、李登輝前総統はじめ中国を知
る人々にとってはあまりにも明白な現実だからだ。

 日本はこの現実を認め、日本の国益にそって、隣国台湾が国際社会でどのように位置
づけられたらよいのかについて積極的に関与してゆくべきであろう。中国の主張に阿ね、
アメリカの発言に追従する時代はとうに過ぎている。

                            (本誌編集長 柚原正敬)
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胡主席 来年早い時期に訪日 高村外相と会談で表明 台湾問題「反対を」
【12月4日 西日本新聞】

 【北京3日傍示文昭】訪中している高村正彦外相は3日、北京・人民大会堂で中国の
胡錦濤国家主席と会談した。胡主席は、自らの訪日について「来年の比較的早い時期に
公式訪問したい」と述べ、中国元首として1998年の江沢民国家主席(当時)以来、
10年ぶりとなる公式訪日への意欲をあらためて強調した。

 胡主席はまた、台湾の陳水扁政権が来年、台湾名での国連加盟の賛否を問う住民投票
を予定していることに関して「地域の平和と安定を著しく害する」と強調した上で、「日
本の不利益にもなり、明確に反対してほしい」と要請。高村外相は「1972年の日中
共同声明以来、日本の立場は一貫している。安心してほしい」と応じた。

 一方、高村外相が東シナ海のガス田共同開発問題の解決に向け、指導力の発揮を要請
したのに対し、胡主席は「両国の指導者が大局的見地から対話を堅持し、解決する政治
的意欲を持つことが大事だ」と指摘。「早期解決に賛成する」と述べるにとどまった。

 ガス田開発問題について高村外相は1日、楊潔〓中国外相との会談で、早ければ年内
にも予想される福田康夫首相の訪中までに決着を目指すことを確認したが、具体的な進
展は得られなかった。

 中国元首が外国の閣僚と単独で会談するのは極めて異例で、日本の外相とは2002
年9月に当時の江主席が川口順子外相と会談して以来、5年3カ月ぶり。

※〓は竹かんむりに虎
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3>> ダライ・ラマ14世との会見中止 問われるヴァチカンの姿勢 [曽野 綾子]

 作家の曽野綾子氏が産経新聞に連載している「曽野綾子の透明な歳月の光」で、ダラ
イ・ラマ14世と、ローマ法王との会談が中国政府の圧力で中止になったことについて、
ヴァチカンの姿勢を問い糺しつつ、中国側の発言を取り上げて「これこそ中国の本性を
示す発言である」と、中国もバッサリ斬っている。

 ヴァチカンが中国との国交締結を模索していることについて、李登輝前総統は来日時
に「あまりにも政治的な意図が強い」と指摘し、「中国では天主教(注・ローマ‐カト
リックの通称)の神父は北京政府に指定された人でなくてはならないのです。信仰が政
府によって規制される、こういうことは世界的に見てもちょっとおかしな話です」(日
本外国特派員協会での記者会見)と疑問を呈している。

 曽野氏から見たローマ法王の姿勢、そしてヴァチカンを取り込もうと目論む中国の本
性とは──。                            (編集部)
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曽野綾子の透明な歳月の光(267回)
【12月3日 産経新聞】

ダライ・ラマ14世との会見中止 問われるヴァチカンの姿勢

 ローマ法王ベネディクト16世がダライ・ラマとの会見を中止したという報道は、この
教皇の資質を見せる一つの出来事かもしれない。

 もちろん私たちには、政治の世界の裏側を見る機会もデータもない。戦争中、時のロ
ーマ法王ピオ12世が、ナチスのユダヤ人圧迫に対してひたすら「卑怯な沈黙を守った」
という風評は有名だった。しかし私は戦後、当時ヴァチカンにいたドイツ人の司教から
真相を教えられたのである。

 その人は戦後、駐日ヴァチカン大使になり、私たちを東京の大使館の昼ご飯に招いた
後、夕暮れが迫るまで、その問題について語り続けた。アウシュヴィッツで他人の身代
わりになって処刑されたポーランド人神父、マクシミリアノ・マリア・コルベの名を私
が深く意識し、後年『奇蹟』というノンフィクションの作品を書いたのも、その日がき
っかけである。

 ピオ12世がナチスの暴虐に対して沈黙を守ったのは、決して脅しに屈したからではな
い、と大使は言った。ナチスに抗議する度に、その報復のようにユダヤ人たちが殺され
たから、ピオ12世はやがて何を言われようと沈黙を守るようになった。「私はその時、
ヴァチカン市国の中にいた唯一のドイツ人だった。あの狭い公園ほどの国家のどこもが
難民で溢れていた。その事情を知っているのに、コルベ神父をモデルにしたと言われる
戯曲『神の代理人』の作家、ホホフートは、なぜ私に事情を聞きに来なかったのかと思
う」と大使は私に語った。

 ヴァチカンには諸宗教対話評議会という役所があり、そこがすべてのキリスト教では
ない宗教者との対話・会話を進めるために働いている。私が長い間師として仰いで来た
尻枝正行神父は、そこの次長で、いつも大臣に当たる枢機卿と共に日本に来て、仏教と
も神道とも他の宗教の方たちとも、ひたすら対話を続けるために働いていた。

 真相はわからないが、11月27日付の共同電によると、「イタリアのレプブリカ紙は26
日、12月に予定されていたチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と、ローマ法王と
の会談が中国政府の圧力で中止になったと報じた。法王庁報道官は同紙に『会談の予定
はない』と述べた。(中略)翌11月1日、中国外務省スポークスマンは『会談は中国への侮
辱となるだろう』と警告した」

 これこそ中国の本性を示す発言である。金集め目的の偽物教祖以外は、あらゆる信仰
の組織に対して満遍なく門戸を開き、総(すべ)ての宗教者との対話を拒まないのがヴ
ァチカンの姿勢であろう。それを政治と絡めて、それは中国への侮辱となるだろう、と
脅す。もっとも嫌な中国の一面だ。ベネディクト16世は、それに対して今後ヴァチカン
の平和への勇気ある意図の原則をどれだけ守り、脅しに屈せず信念を示せるかの責任を
持っている。
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  • 名無しさん2007/12/08

    民主党議員団の中共詣で、日本はこのままでどうなるのか心配になります。小泉、安倍政権は中共に対して明確にNOを言えたのに今の政権は……。